- 初雪の直前に現れる、冬の代名詞のような虫
- 白くてフワフワの『蝋物質』がまるで雪みたい!
- 生活面では害虫になることも。大量発生時の対策を知っておこう

今年もいよいよ冷え込んでくる季節になりました。お住まいの地域によっては、すでに初雪が降った人も多いのではないでしょうか。
年末年始が近づくこの時期、空を飛び交う『雪のような虫』が観測されることがあります。初雪と見間違えそうになるこの虫は『雪虫』。今回は、雪虫の生態や対策について紹介します。
※本記事内には雪虫(アブラムシ)の画像が挿入されます。虫が苦手な人は注意してください。
雪虫とは?初雪の直前に現れる不思議な虫

まずは、雪虫の基本的な生態や特徴について紹介します。
冬の風物詩でもある雪虫ですが、地域によっては「見たことがない!」という人もいるでしょう。雪に形容される理由はその見た目だけではありません。太陽に照らされて溶ける雪のように、命の儚さも特徴的な虫なのです。
ふわふわの雪のよう!アブラムシの一種
雪虫の正体は、アブラムシの一種です。アブラムシは成虫になる過程で、翅を持つ『有翅型』と翅を持たない『無翅型』に分かれます。おもに越冬をする際に有翅型が生まれる傾向にあります。
有翅型の個体は体に『蝋物質』をまとっており、その姿がまるで雪に見えることから『雪虫』と呼ばれるのです。ロマンティックな見た目の虫ですが、実は庭や公園でも目にする身近な虫の仲間なんですね。
雪に見える『蝋』の正体は?
雪虫の最大の特徴は、体の白い蝋物質です。そもそも蝋(ロウ)とは、動植物から採取される有機物です。
アブラムシは植物の汁液を吸汁する性質があり、そこから得た炭素を蝋に作り変えます。つまり雪虫の『雪=蝋』は、もともと植物から作られているといえます。
そもそも雪虫は『アブラムシのなかでも白い蝋物質を分泌するものの総称』です。雪虫以外には、カイガラムシやハゴロモの仲間にも蝋物質をまとう虫がおり、彼らも雪のような白くフカフカの姿をしているんですよ。
冬の訪れを感じる風物詩の虫
雪虫の具体的な種類は『トドノネオオワタムシ』や『ヒイラギハマキワタムシ』などが代表的。日本では、東北を中心とした本州と、北海道で見かけられます。雪虫のおもな発生シーズンは10~12月頃です。
初雪の直前の時期に現れるため、冬の訪れの代名詞のような虫といえます。実際に俳句の世界においても、雪虫は冬の季語として親しまれています。
地域によっては「初雪かと思ったら雪虫だった」ということも。アブラムシは飛行能力が低いため、風に吹かれて揺れながら飛ぶ姿は、まるで本物の雪のようです。
地域によって個性的な呼ばれ方をすることも
雪虫は、地域によってさまざまな呼び方を持つ虫でもあります。
たとえば蝋物質のフワフワ感を綿と捉え『綿虫』と呼ばれることも。東京では『オオワタ』や『シーラッコ』『シロコババ』、京都では『ゆきんこ』『おこまさん』などの名前で呼ばれます。
ほかにも伊勢地域の『オナツコジョロ』、水戸地域の『オユキコジョロ』など、ユニークな呼び名がいっぱい。それぞれの地域と時間のなかで、人と雪虫がともに暮らしてきたことがわかりますよね。
生まれた瞬間に短命の運命
そんな雪虫は何を食べて暮らしているのかというと……実は、雪虫のオスには口が無いんです。オスは成虫になると絶食状態になり、わずか1週間程度で寿命を迎えてしまいます。
メスには口がありますが、こちらも卵を産むと死んでしまいます。またオス・メスともに熱に弱く、人間の体温にふれた程度でもすぐに体力が尽きてしまうのです。
まるで雪が肌に落ちて溶けるように、あっという間に命を散らす虫。雪虫は、雪と命の儚さを感じさせる生き物といえるでしょう。
綺麗なだけじゃない?雪虫が与える生活への被害

雪虫は『冬を知らせるロマンティックな虫』というイメージもありますが、実は人間にとって害虫と評されることも。
ここでは、雪虫が与える悪影響について紹介します。一見無害そうに見える雪虫ですが、なぜ私たちの生活に被害を与えるのでしょうか?
大量発生で肌や服に付着
雪虫は定期的に大量発生することで有名な虫です。とくに夏が長かった年は繁殖サイクルが加速して、大量発生しやすい傾向にあります。
一見すると雪のようで綺麗とはいえ、結局のところはアブラムシ。服や肌に付着すると不快に感じるのも無理はありません。
とくに大量発生時期は洗濯物に付着することも多く、安心して外に干せなくなることも。また肌が弱い人は、雪虫の付着によって痒みなどのアレルギー反応が出る場合もあります。
2025年の初秋~初冬に大量発生
猛暑が続く日本の令和の夏。とくに2025年は記録的高温が続いたため、雪虫の大量発生に驚いた人も多いのではないでしょうか。
2025年の大量発生は、例年通り初冬までとされています。地域によっては12月中頃まで見られる可能性もあるため、外出時は気にかけておきましょう。
大量発生時は外出もままならない!
雪虫の大量発生時のピークは、外出することもままならなくなります。目や口の中にも入ろうとしてきますし、まともに真っ直ぐ歩けなくなることも。車で移動しようとしても、ドアを開けた瞬間に数匹が入ってきてしまうほどです。
大量発生時は、外に出ないことが最大の防御。発生のピークは1週間程度であるため、雪虫が出始めたときを見計らって、食べ物や日用品を買い込んでおくのも対策になるでしょう。
少しでも被害を減少!雪虫対策

ここでは、雪虫からの被害を最小限にするための方法を紹介します。雪虫は蚊のように吸血することも、蜂のように刺すこともありません。適切な対処方法を知り、不快感を減少していきましょう。
鞄はゴミ袋で覆う
雪虫はほかの虫と同様に、ツルツルした素材に長時間止まるのが苦手です。外出する際は、鞄をゴミ袋やポリ袋で覆うことをおすすめします。
どのような袋で覆っていても多少は付着するため、捨てやすい安価なビニール袋を選ぶと良いでしょう。見た目は少し悪いですが、鞄への侵入を大きく防げます。
ツルッとした素材のアウターを着る
アウターも同様に、ツルツルした素材を選ぶのが吉。サテンやシルクなど、光沢感のある生地のアウターが推奨されます。またナイロン素材も比較的止まりにくく安価であるためおすすめです。
マスク・サングラス・帽子で徹底ガード!
雪虫の直径は5mm程度と小さく、わずかな隙間でも入り込んでしまいます。外出の際は、マスク・サングラス・帽子で徹底ガードが鉄則です。
とくに髪が長い人は、髪に絡まった雪虫を室内に持ち込んでしまうことも。できる限り1つに結んだり、帽子の中に髪ごとしまい込んだりしておくと安心です。
つまむよりも『エアダスター』の対処がおすすめ
どれほど気をつけていても、大量発生時には雪虫が服や鞄に付着してしまいがちです。付着した雪虫への対処方法は、直接ふれるよりもエアダスターが推奨されます。
雪虫は小さいためつまみにくく、軽くふれたつもりが潰してしまうこともあります。逆さ使用OKのエアダスターであれば、背中や足元にも使いやすくおすすめです。
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今回は、雪虫の生態や対処法などを紹介しました。ときに害虫として迷惑に感じてしまう雪虫。しかし雪虫も、生活や繁殖に精一杯なだけなのです。
雪虫のピークは約1週間。「今の時期だけ我慢すればいい」と思えれば、その幻想的な姿を楽しむ余裕も生まれてくるかもしれませんね。




