ベアドッグとはどんな犬?熊の人身被害を防ぐ!犬種や仕事内容を解説

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まとめ
  • ベアドッグとは、『人間とクマの共生』を目的として使役される犬のこと
  • 現在公式に認められている犬種は『カレリアン・ベア・ドッグ』のみ
  • ベアドッグはクマを傷つけない。クマ・人・社会を『守る』ために活動する

現在、社会問題となっているクマの人身被害。人間とクマとの共生については長年議論が交わされており、現在もさまざまな施策が講じられています。

野生動物に関する問題は、環境変化や人口減少など、複数の要素が複雑に絡まっている状態です。抜本的な解決が難しい最中、人間とクマが適切な距離感を保つ方法としてあげられるのが、ベアドッグの活用です。

今回は、ベアドッグの仕事内容や、ベアドッグに任命されている犬種について紹介します。ベアドッグの役割を学び、クマとの共存についての考えを深めていきましょう。

目次

ベアドッグに任される役割・仕事

まずは、ベアドッグに任される役割や仕事について紹介します。

人とクマとの距離感を守るために、さまざまな手段を用いるベアドッグ。具体的な仕事内容を知り、彼らの貢献を学んでいきましょう。

大きな鳴き声で吠えてクマを追い払う

一見すると獰猛に見えるクマですが、実は臆病で警戒心が強い動物です。クマは犬の鳴き声を嫌う傾向にあり、大きな音に敏感に反応して逃げる性質を持ちます。ベアドッグの仕事のひとつは、鳴き声によるクマの『追い払い』です。

人の居住地近くにクマがやってくると、指示を受けたベアドッグは大きな声で吠えます。ベアドッグの鳴き声を聞いたクマは、森へ逃げ帰ります。この追い払いを何度も繰り返すことで、クマは『いてはいけない場所』を少しずつ理解するようになるのです。

クマの移動経路を特定する

ベアドッグは、対クマ用の使役犬として特別な訓練を受けています。その一つがクマの臭いの学習。ベアドッグは山中のクマの臭いに敏感に反応するように訓練されており、クマがその場を去った後でも臭いで移動経路を特定します。

移動経路を特定できれば今後の侵入の防止策につながり、より適切な距離感を守れます。ベアドッグは『現在のクマ対策』だけではなく、未来でのクマとの共生の仕事も担っているのです。

クマの存在を人間に知らせる

クマの存在を人間に知らせるのも、ベアドッグの仕事の一つです。大きな体を持つクマですが、普段は岩陰や藪の中に隠れていることもあり、姿に気づかぬうちに近距離まで接近してしまうときがあります。

また木の上や洞窟など、死角になる場所に身を潜めていることも。ベアドッグは、人間には感知できない臭いや音でクマの存在を発見します。クマが近くにいることを人間に知らせることにより、人間は安全に活動できます。

ベアドッグは、『殺すため』ではなく『守るため』の存在

大前提として、ベアドッグはクマに襲い掛かりませんあくまで鳴き声で追い払うのみであり、直接的な危害は加えません。つまりベアドッグの活用は、クマを『殺すため』ではなく守るための手段なのです。

守られるのはクマの命だけではありません。クマとの適切な距離感を保つことで、人間の命や社会も守られます。ベアドッグが戦いに参加しないことで、犬自身の身も守られます。

クマの人身被害が拡大する昨今では、ベアドッグだけですべての被害を防ぐことは困難です。しかしベアドッグを有効活用すれば、クマが人間に被害をもたらすケースを減らせます。

つまりベアドッグは『人間にとって殺す必要があるクマ』を減らす存在。人間とクマ、異なる環境で暮らす両者の平和を守る使役犬といえるでしょう。

ベアドッグと『マタギ犬』との違い

ベアドッグが時折『クマを襲う』と勘違いされる理由には、マタギ犬の文化が関連していると考えられます。マタギ犬とは、古くから日本に存在していた猟犬のことです。別名を『熊犬(くまいぬ)』といいます。

マタギ犬は、マタギ(狩猟を生業とする集団)のパートナーとして、クマやカモシカなどの狩猟をサポートしていました。

マタギ犬は近年まで活躍していましたが、2002年に改正された鳥獣保護法で『野生動物に対する犬の噛みつき』が禁止されました。これを機に、マタギ犬は現在に至るまで減少傾向にあります。

マタギ犬もベアドッグもクマの感知をおこないますが、決定的な違いは目的。マタギ犬は狩猟を目的とするため、クマを含む獲物への攻撃もおこないます。またマタギ犬が獲物を追い詰め猟師が撃つ、というケースも。

『人間からクマを遠ざける』『クマと適切な距離感を保つ』を目的としたベアドッグとは、根本的に異なる存在です。

ベアドッグの犬種『カレリアン・ベア・ドッグ』とは

2026年現在、ベアドッグとして公式に認められている犬種はカレリアン・ベア・ドッグ』のみとなっています。原産国であるフィンランドでは現在も猟犬として活躍しており、知性と体力に優れた犬種です。

カレリアン・ベア・ドッグの特徴は声を使ったコミュニケーション。ほかの犬種以上に、自分の気持ちを伝える際に鳴き声を利用します。鳴き声による交流はカレリアン・ベア・ドッグにとって、人間が他者に言葉で気持ちを伝えることと同じなのです。

そのため無理に鳴き声をしつけようとすると、大きなストレスの原因に。声もよく通るため、都市部での飼育には向きません。

しかしその状況判断能力や忠誠心を含め、ベアドッグとしては非常に優秀な性質を持ちます。愛玩犬としては課題となる大きな鳴き声も、ベアドッグの素質としては理想的なものです。

ベアドッグになるための方法

すべてのカレリアン・ベア・ドッグが、ベアドッグとしてデビューできるわけではありません。ベアドッグになるためには、生後3ヶ月過ぎ頃から始まる適性テストに合格する必要があります

テストを通して素質のある子犬のみが、本格的な訓練に進めるのです。現在の訓練の内容は、カレリアン・ベア・ドッグの特性に完全に合わせて開発されています。

2018年までは、アメリカのベアドッグ育成機関から生体と技術を譲り受けてきました。現在は繁殖が進み、国内でのノウハウ継承も拡大しつつあります。

ベアドッグに向いている犬の特徴

現在ベアドッグに認められた犬種はカレリアン・ベア・ドッグのみですが、素質を持つ犬種であれば、今後ベアドッグとして活躍する可能性は十分に考えられます。

その際は『犬種別の訓練方法の確立』から考える必要があるため、すぐに活躍することは難しいかもしれません。しかし犬種の幅が広がれば、それだけ『訓練を通過する犬』も増え、ベアドッグが有効活用されるシーンもより広がっていくでしょう。

ここでは、ベアドッグに向いている犬の特徴を紹介します。ベアドッグに求められる要素を学び、未来の使役犬たちの姿をイメージしていきましょう!

飼主に忠実で従順である

ベアドッグの条件は、飼主に忠実であること。カレリアン・ベア・ドッグは自分がリーダーと認めた者にのみ服従するため、同等の忠誠心を持つ犬種であることが望まれます。

クマと直接対峙するシーンもあるベアドッグは、自分勝手で気分屋な行動をすると命の危険につながります。

警戒心が高く、勇敢である

ベアドッグは自分より大きな体を持つクマに吠える必要があるため、勇敢さが必須です。また強い警戒心は、クマの臭いや気配を察知するためにも役立ちます。勇気と洞察力を兼ね備えた犬種はベアドッグ向きといえるでしょう。

遠くまでよく響く鳴き声を出せる

犬の鳴き声はクマへの威嚇になります。遠くまでよく響く鳴き声を出せることも、ベアドッグになるための重要な素質です。マズル(鼻から口先までの部分)が長い犬種であるほど、鳴き声が大きく響きやすい傾向にあります。

知性が高く、感情のコントロールができる

ベアドッグは五感を使ってクマの存在や移動経路を察知するため、状況把握能力や論理的思考力が重要です。

『考える力』を発揮するための知性・IQを持つ犬種は、ベアドッグに向いています。知性の高ければ感情の抑制も容易になり、どのような状況下でも冷静に行動する力につながります。

体力があり、傾斜や岩場にも対応できる

ベアドッグが活躍するシーンは、おもに傾斜の激しい森林地帯。必要に応じて長距離を移動するため、十分なスタミナが求められます。岩場や泥道など、足元の条件が悪い場所でもめげずに歩ける犬種が、ベアドッグに向いています。

人間とクマとの共生を担う、ベアドッグの未来

今回は、ベアドッグの仕事内容や向いている犬種などを紹介しました。

ベアドッグ文化では、今後の国内繁殖に大きな期待がかかっています。現在ベアドッグは少しずつ繁殖活動が進んでいますが、未だにアメリカからの輸入にも頼っている状況です。

しかしアメリカは日本とは異なり、狂犬病が残っている国です。そのため予防接種を受けてからではないと輸入できません。つまり輸入の場合は『ベアドッグとして訓練途中』の段階で来日しなければならないのです。

国内繁殖が進めば、子犬時代から飼主(リーダー)とともに訓練を始められるため、飼主との結びつきが深まりやすくなります。またより若い頃から環境に馴染めれば、ベアドッグ自身もストレスを抱えにくくなるでしょう。

ベアドッグの国内繁殖が初めて成功したのは、2018年。日本におけるベアドッグの歴史は、まだ始まったばかりです。人間とクマとの共生を担うベアドッグの未来に、これからも注目していきましょう!

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あらゆるジャンルを縦横無尽に駆け巡る雑食系ライター。元ペットショップ販売員として表彰経験あり。SEOを中心に、執筆記事は2,000本以上。アニマル・メンタルヘルス・ウェルビーイングなどを中心に、毎日の充実度がちょっぴり高まる記事を発信中。

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