- 終生飼育はすべての飼主の責務であり大前提
- 病院や医療だけではなく、災害時の対応も考えよう
- トラブル時の相談相手・預け先の確保もしっかりと
ペットは「可愛い」だけでは飼育できません。生き物たちが幸福に寿命を全うできる環境が整うことで、初めて家族として迎えられます。
今回は、ペットを飼育する前に考えるべきポイント18項目を紹介します。一つひとつの項目をチェックしつつ、しっかりと準備したうえで飼育を検討していきましょう。
【準備編】ペットを飼う前に考えること
ここでは、ペットをお迎えする際に大前提となる準備について紹介します。ペット飼育では、まず「飼主としての心が構えができているか」が大切。項目を確認しながら、自分の心と向き合って考えてみましょう。
終生飼育について理解できているか、賛同できるか
ペットの飼育は、終生飼育が大前提です。終生飼育とは、文字通り「ペットが死ぬまで面倒を見る」こと。飼育する生き物の寿命を考えたうえで、自身のライフスタイルが変化しても最後まで飼育できるかどうかを考えましょう。
衝動的・感情的に判断していないか
衝動的・感情的な飼育は、将来的な飼育放棄を誘発します。とくに「可愛いから」「運命を感じたから」「目が合ったから」という理由で飼育しようとしている場合は要注意。生き物から一度距離を置き、冷静な状態で再考してみましょう。
飼育に関する十分な知識を得られるか
ペットを飼育する際は、飼育に関する十分な知識を得られるかどうかを確認してください。流通数が少ない生き物は飼育情報が少ない傾向にあり、トラブルへの対処が難しくなります。とくに初めてペットを飼育する人は、書籍やwebで情報を集めやすい生き物を選ぶとよいでしょう。
【家族編】ペットを飼う前に考えること
ここでは、ペットを飼育する前に家族同士で確認しておきたいポイントを紹介します。
家族や恋人と一緒に住んでいる場合は、同居人のペットへの理解が必要です。また将来的に同居する可能性がある相手にも配慮しましょう。
家族の理解は得られているか
ペットを迎える際は、事前に家族に許可や了承を得ましょう。同じ家族同士でも、好みや苦手なものの全く違う、別の人間です。生き物に対する温度差があるのは自然なこと。新しい家族を快く迎えるためには、まず今いる家族を大切しなければなりません。
家族が生き物にアレルギーを持っていないか
ペット飼育において、アレルギーの有無は死活問題です。症状によっては、発作によって命に関わるリスクが生じます。
「一緒に暮らしたらアレルギーは治る」は、根も葉もない虚説です。お迎えの前に医者の診断を受けたうえで、場合によっては飼育を諦める判断も大切です。
家族が生き物に間違った知識を持っていないか
ペットを迎える際は、家族が生き物に間違った知識を持っていないかどうかも確認しましょう。とくに「人間の残飯を与えていい」や「ペットは基本的に外で飼育するもの」などは、今でも多くの人が誤認している情報です。
【住まい編】ペットを飼う前に考えること
ここでは、住まいに関連する確認ポイントを紹介します。
ペットにとって住居は、寿命を迎えるまでのほとんどの時間を過ごす環境です。適切な環境を与えるために、必要な項目をチェックしていきましょう。
ペットを飼育できる十分なスペースがあるか
ペットの飼育では、生き物の性質やサイズに応じた十分なスペースが必要です。広さが足りない場合は、引越しをするか、今の住居スペースに応じたペットに検討し直すかが求められます。
飼育場所の環境はペットに寄り添っているか
ペットの健康的な飼育のためには、広さ以外にも飼育場所の環境が大切です。適切な温度や湿度を維持できるかや、日当たりや騒音などは問題ないか、匂いや音がストレスにならないかなど、細かな要素もチェックしましょう。
住居はペット可物件か
ペットを飼育する際は、ペット可物件かを必ず確認してください。ペット不可物件で動物を飼った場合、トラブルにつながることがほとんどです。
飼育が見つかった場合に退去・引っ越しを余儀なくされたり、最悪の場合はペットを手放す必要があり、不幸な動物を増やしてしまいます。ペットに責任をもつためにも、住居のペット飼育の可否は必ず確認しましょう。
飼育を継続するための金銭的な余裕はあるか
ペットを飼育する限り、金銭的な負担は永続的に生じます。飼育後の光熱費や消耗品費を想定し、問題なくコストを支払えるかをシミュレーションしてみましょう。
また、動物が常に健康でいられるとは限りません。病気や怪我などの際の医療費は、動物の場合数十万と高額になることもあります。ペット飼育において、一定以上の安定した経済力は、大前提となる要素です。
【生活編】ペットを飼う前に考えること
ここでは、ペットとの実際の生活において確認したいポイントを紹介します。ペットの健全な飼育では、お金・時間・心の余裕・環境など、複数の要素の充実が求められます。自身のライフスタイルと合わせて、無理のない飼育を目指しましょう。
お迎え前後に大きな環境変化はないか
ペットをお迎えする際は、環境が大きく変化する時期を避けることが大切です。たとえば引越し・転職・転勤・出産などがあげられます。
新しい家に慣れる前のペットにとって、環境変化は大きなストレスの原因に。お迎えは、新生活が落ち着いてからでも遅くはありません。
散歩やスキンシップの時間を捻出できるか
ペットのお世話は、ごはんと排泄物のケアだけではありません。散歩やおもちゃ遊びなど、スキンシップの時間を捻出できるかも確認しましょう。人間の子どもと同じように、ペットも他者とのコミュニケーションによって健全に成長していきます。
現在のライフスタイルがペットの性質に合っているか
ペットを飼育する際は、現在のライフスタイルがペットとの性質に合っているかどうかを確認してください。たとえば出張や旅行ばかりの人は、ペットにお留守番を強いる機会が増えてしまいます。
家を空ける時間が長い人は、魚や爬虫類など、孤独に比較的強い生き物を選ぶのも一つの手段です。
【トラブル編】ペットを飼う前に考えること
ここでは、ペット飼育におけるトラブルについて解説します。ペットを飼っている限り、イレギュラーは必ず発生するものです。「万が一の備えができている人のみが、ペットを飼育する権利を持つ」と認識しましょう。
継続的に通える動物病院はあるか
ペットを飼育する際は、継続的に通える動物病院を見つけることが先決です。ワクチン接種・健康診断・突然の発病・誤飲や誤食・終末期など、動物病院にお世話になる機会は想像以上に多いもの。
無理なく通える範囲内に病院が見つからない場合は、飼育を見送る判断が推奨されます。
難病・終末期における医療費への理解はあるか
ペットの命は、いつか必ず終わりを迎えます。難病や終末期では、数十万~百万円以上の費用が発生することも決して珍しくありません。日々の飼育代のほかに、高額な医療費が発生するリスクを常に頭に入れておきましょう。
緊急時に預かってくれる人はいるか
社会で生きている限り、人間にもイレギュラーは発生するものです。
ペットを迎える際は、自分が緊急で家を空けなければならないときに、代わりに預かってくれる人を探しておきましょう。最寄りのペットホテルやペットシッターを見つけておくことも大切です。
災害時の避難所はペット受け入れ可能か
ペットを飼育する前に、災害時の最寄りの避難所の情報を確認しましょう。避難所によっては、ペットの受け入れを拒否している場合もあります。
以下の記事では、ペット飼育における災害時の準備をまとめています。今回の記事とあわせて、ぜひ参考にしてくださいね。
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自分が死んだ後の受け入れ先はあるか
生きている限り、自分の身に何が起こるかは誰にもわかりません。もし自分がペットよりも先に死んでしまった際に備え、ペットの受け入れ先を決めておきましょう。
たとえば第三者や専門家に「死後事務委任契約」を依頼することで、ペットの引取先を指定することもできます。
「かわいい」だけじゃ飼えない。お迎え前に、準備をしっかり整えよう
今回は、ペットを飼育する前に考えたいポイントを紹介しました。
現代では、動物愛護の考えが世界的に広まりつつあります。日本でも動物を守る制度が多く展開されていますが、非常に残念ながら、今でも飼育放棄や飼育崩壊などのトラブルが後を絶ちません。
ペットを幸福にするのも不幸にするのも、すべては人間の判断によるものです。種類や寿命に限らず、ペットをお迎えする際は「終生飼育が可能かどうか」をよく考えたうえで、慎重に検討しましょう。
ペットにとって、飼主が与えてくれる環境は、文字通り「世界のすべて」です。ペットが幸せに生きる世界をつくるために、できる準備から始めてみましょう。