- ハムスターを飼うなら『里親』という選択肢もある
- 里親にはなれなくても、ハムスターの命を守る役に立てる
- 日々の生活の中にも、ハムスターを守るヒントがある
保護犬や保護猫など、ペットショップ以外から動物を迎える選択肢が広がりつつあります。しかし「保護ハムスター」がいることを知っている人は多くありません。
日本にはさまざまな理由で、団体に保護された保護ハムスターたちが存在します。
今回はハムスターを保護し、里親探しの活動をしている『ハムメディア』を運営するナシオさんに、私たちが日常的に保護活動のお役に立てることはないか、聞きました。
保護ハムスターの里親になることだけではない、ハムスターの保護活動をサポートする方法や、自分が迷子のハムスターを見つけたときの対応について、ハムメディア代表理事のナシオさんが解説してくれました。
犬・猫の保護団体の行う譲渡会や運営のサポートを経験。縁あってハムスターをお迎えしたことをきっかけに、ハムスターの魅力に目覚める。行き場を失ったハムスターの味方になるべく、2017年にハムメディアを発足。ハムスターの保護・譲渡活動や、飼育情報の発信をおこなう。
ハムスターの里親になるという選択肢
ハムスターのお迎えを考えているなら『保護ハムスター』という選択肢を考えてみませんか?
保護犬や保護猫という選択肢は、近年一般的にも定着してきましたが、保護ハムスターという選択肢を思いつく人は少ないのが現状だと思います。
実際に保護ハムスターの里親になるためには何が必要なのか、ナシオさんに聞きました。
ハムスターの里親になるための条件
ハムスターの保護・譲渡を行うハムメディアで、ハムスターの里親になるための条件は、以下のようになっています。
- 安定した収入があること
- ハムスターの終生飼育を約束できること
- ペットの飼える住宅に住み、室内飼育ができること
- 同居する家族全員がハムスターの飼育について理解していること
- 単身者・高齢者の場合、後見人がいること
- 小動物を捕食する動物を飼っていないこと
- ハムスターを届けられるエリアに住んでいること
- ハムスター専門の飼育書を1冊以上持っていること
- トライアル期間・トライアル終了後も規定の回数の連絡を入れられること
- 譲渡誓約書に署名・捺印が可能なこと
- ハムメディアに会員登録できること
保護犬や保護猫のような収入や飼育環境の条件に加えて、同居する動物やハムスターへの理解も必要なのですね。
詳しい里親の条件については、お申し込みの条件を参照してください。
ハムスターを飼うために必要な環境
動物の飼育を考えたとき、いくつか必ず確認しておかなければいけないことがあります。
室内飼育は絶対条件ですね。
ハムスターは気温の変化に弱い動物なので、室内は1年中20〜25℃に保ってほしいです。老齢のハムスターの場合は23℃くらいの室温が必要です。
プラスして1匹1ケージが基本です。
予定外の繁殖を防ぐために1匹1ケージを守る必要があるのですね。
そのほかに必要なものにはどんなものがあるでしょうか?
体格に合ったサイズの回し車や床材などケージの中に必要なものはそろえてほしいです。
野生のハムスターだと1日10km走るといわれるほど、実は運動量の多い動物です。回し車は体のサイズに合うものを必ずケージに入れてあげてください。
ハムスターの飼育環境に必要なのは以下のようなアイテムになるそうです。
- ケージ
- 体が隠れるサイズのハウス
- かじり木
- 水飲み
- 回し車
- トイレ
- 床材(紙製)
床材は紙製がおすすめなのだそうです。アレルギーが出にくいため、ウッドチップよりは紙製を選ぶと健康状態が維持しやすいと、ナシオさんが教えてくれました。
里親以外にハムスターをサポートする方法
ハムスターの里親になるという方法でハムメディアの活動をサポートする方法はもちろんですが、それ以外にもハムメディアをサポートし、ハムスターを救うための手助けができる方法があります。
その方法についてナシオさんに解説してもらいました。
預かりスタッフになるには
保護したハムスターを預かっている登録制の『預かりスタッフ』というお仕事があるそうです。
ハムスターが大好きで、ハムスターの飼育経験もあるという人なら「預かりスタッフ、やってみたいかも」と思う人もいるのでは?
預かりスタッフが増えれば増えるほど、保護できるハムスターの数が増えていくわけですから、関東に住んでいる人ならチャレンジしてみるのもいいかもしれませんね。
預かりスタッフの場合は個人で受けていただくことが多く、キャパもあると思いますが、2〜3匹程度としています。家族など、複数人でお世話をお願いできる場合には、5匹預かってもらっているスタッフもいます。
預かりスタッフになるための条件や、お仕事内容はこちらから。
支援品や寄付でハムメディアを支えるサポートファミリーとは
保護したハムスターの医療費や、ハムスターが生活するための消耗品など『ハムスターの保護活動』にはお金がかかります。
そのための活動費は、かなりの部分が寄付でまかなわれているのだそう。
実際にお金を寄付してくれる人はもちろん、消耗品を寄付してくれる人もいるそうです。
そんな寄付や支援について話してもらいました。
高齢・ケガ・病気などで里親探しが難しいハムスターの預かり、そのための医療費の援助、支援品などを提供してくださる方が全てサポートファミリーです。
亡くなってしまったハムスターのものを寄付してくださったりという方もいます。
ペレットや床材などの消耗品の支援をしてくださるのも助かります。
遠方だったり、預かりスタッフなどは難しいけれど……と思っていたりする場合は、ほかにも支援の方法はあるので参考にしてください。
現在一時的に支援品の受付を停止しています。2025年1月上旬から再開予定のため、支援品を送る場合は事前に確認をお願いします。
毎日の生活の中で、保護ハムスターのためにできること
毎日の生活の中で、何気なくやっていることの中にも「ハムスターを救うためのお手伝いができる」とナシオさんは話します。
日々していることの何に気をつけると、ハムスターを助けるための役にたつのでしょうか?
迷子のハムスターを見かけたら
ハムスターは種類によっては体長が10cmに満たないほど小さい個体もいる動物です。街中にいるなんて思いもしなければ、見かけてもそれがハムスターだと気づけないのではないでしょうか?
でも、ハムスターは実際に発見され、場合によってはハムメディアに来ることもあるのだとか。
もしも迷子のハムスターを見かけたら、どうすればいいのか?ナシオさんに聞きました。
まず放置はやめてください。可能であれば一時的にハムスターを確保していただき、警察でも、東京近辺ならハムメディアでもいいので、通報をお願いしたいです。
ハムスターは基本的に飼われている環境から外に出されたら、生きてはいけない生き物です。放置はそのまま見殺しにするということ。もしも見かけたら通報をお願いします。
遺棄や放置は命を奪う行為なのだとナシオさんはいいます。小さな命を守るために、面倒がらずに通報をすることを忘れないようにしたいですね。
こんな場面に遭遇したら
ネットで情報を探したり、動画に癒されたりすることが日常の世の中になりました。
毎日のようにネットを眺めていると、ふと見かけた画像や動画に、眉をひそめることもあります。
そんなときは絶対に見過ごさないでほしいとナシオさんは声を大にして話します。
もしもハムスターの虐待動画や画像を見つけたり、虐待・放置などを見かけたりしたら、とにかくそのまま放置はしないでほしいです。
ハムスターも動物愛護法の対象動物です。
ハムスターの虐待は犯罪ですから、運営するサイトの通報ページでも警察でもいいので、必ず通報するようにお願いします。
【参考】
支援の方法はいろいろ!ハムスター救うお手伝い
ハムスターを専門に保護する団体ハムメディア。知らなければ見過ごしてしまうような、ハムスター保護の現場についていろいろお話を聞きました。
ハムスターの保護に直接たずさわるだけではない、ハムスターの保護活動の支援についても、方法は多岐にわたることもわかりました。
日頃の生活の中でも、ふとしたことがハムスターの保護につながったり、小さな命を救うきっかけになるそうです。
誰にでもできるワンアクションから、始めてみませんか?