スッポンの飼い方!飼育の注意点はポイントも紹介

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まとめ
  • スッポンが落ち着くよう、砂に潜れる環境が大切
  • 人工餌料を中心に、乾燥エビや切り身餌を与える
  • 皮膚病を防ぐために水質管理と日光浴が大切

「スッポンって食べるだけの存在じゃないの?」と思う人も多いかもしれません。実はスッポンはペットとしても人気があり、独特のフォルムと野性味ある動きで飼育を楽しむ人も多いカメです。噛みつく獰猛な生き物のイメージも強いですが、長く飼育すると飼主にもよく馴れます。

今回は、そんなスッポンの基本情報からおすすめの種類、飼育方法や注意点までを初心者にもわかりやすく解説します。

目次

スッポンとは?大きさや食性など基本情報

スッポンの大きさや食性など、基本情報を紹介します。飼育を始める前に、スッポンがどんな生き物か理解していきましょう。

スッポンはどんな生き物?大きさや寿命は?

スッポンは淡水に生息するカメの仲間です。他のカメと比べて甲羅が柔らかく、平らな形状をしています。大きさは種類にもよりますが、最大種で80~100cm、小さな種類で20~25cmとさまざまです。

寿命は飼育下で20~30年で、中には50年以上生きることもあります。一説には100年以上生きた個体もいると言われています。そのため飼育をする場合は、最後までしっかりと飼育できるのかを十分に考えましょう。

スッポンは雑食性

スッポンは肉食メインの雑食性で自然界では魚・小動物・水生昆虫・藻類などを食べます。飼育下では人工飼料を中心にエビ・魚の切り身などバランスよく与えるのがポイントです。

スッポンは狂暴な生き物?

「スッポンに噛まれると雷が鳴るまで離さない」といった話を聞いたことがあるかもしれません。スッポンは確かに噛む力が強いですが、普段は臆病でむやみに人に噛みつくことはありません。臆病な性格だからこそ、身を守るために強い顎で噛みつくと言えるでしょう。

飼育を続けていくと人に馴れますし、注意をしていれば噛みつかれることはほとんどありません。ただし防衛本能で噛む可能性もあります。飼育をする前に、そういった特性があるということを十分に理解しておきましょう。

おすすめのスッポン!種類ごとの値段も紹介

ペットとしておすすめのスッポンを紹介します。日本に生息しているニホンスッポン以外にもさまざまな種類が流通しているので、お気に入りの種類を見つけてください。

身近な環境に生息するニホンスッポン

ニホンスッポンは、日本各地に分布している在来種です。古くから食用としても知られており、養殖も盛んに行われています。丈夫で環境への適応力が高く、初心者にもおすすめの種類です。成体になると30cm前後の大きさになるため、将来的には大型水槽が必要です。

養殖が盛んなため流通量も多く、比較的安価で入手できます。ベビーサイズで1,000~2,000円、成長した個体で3,000~5,000円が相場です。

幼体の模様が美しいフロリダスッポン

フロリダスッポンはアメリカに生息する種類です。幼体時には甲羅に網目状や斑点のような美しい模様が入り、非常に観賞価値が高いです。成長にともない模様はやや薄れますが、その美しさから人気があります。

性格はやや神経質ですが、落ち着いた環境を用意すれば徐々に慣れる個体が多いです。飼育自体もそれほど難しくなく、初心者でも飼育できるでしょう。

オスは最大で30cm・メスは50cmに成長します。サイズによって5,000~30,000円で販売されています。

飼育がしやすいトゲスッポン

トゲスッポンは、アメリカ中部に広く分布するスッポンで、首の付け根に小さなトゲのような突起があるのが名前の由来です。体表に美しい斑点模様が入る個体も多く、高い人気があります。最大で50cmに成長します。

性格は活発で、水槽内でも物怖じしない個体が多いです。餌もよく食べ、スッポンの中で一番飼育しやすい種類ともいわれています。サイズによって5,000~30,000円で販売されています。

あまり大きくならないヒラタスッポン

ヒラタスッポンは小型の種類で、最大でも20cm程度です。標準的な60cm水槽でも飼育できるので、限られたスペースで飼育を始めたい人にはうってつけの種類と言えるでしょう。性格もおとなしく、レイアウトした水槽で飼育するのもおすすめです。

他のスッポンと比べると流通量が少なく、いつでも手に入る種類ではありません。価格も高く、20,000~50,000円で販売されています。

スッポンの飼育方法

スッポンの飼育方法を具体的に解説します。スッポンを健康に育てるためにもしっかりとした環境を整えてあげましょう。

スッポン飼育に必要なものは?

スッポンの飼育で必要なものを紹介します。ろ過フィルターや各種ライトなど大掛かりに感じるかもしれませんが、健康を維持するために必要なものなのです。

水槽・飼育容器

スッポンの飼育では、大半の種類で最終的に横幅1m以上のスペースが必要になります。ベビーサイズであれば最初の数年は、観賞魚用の水槽がおすすめです。

成長に伴い、頑丈な衣装ケースやトロ船と呼ばれる容器がおすすめです。大型の個体が暴れると、ガラス製の水槽は割れる可能性があるので注意しましょう。

水深は首を伸ばして呼吸をできる深さにしてください。飼育初期に環境に慣れていない個体は、砂から出ようとしないこともあります。楽に呼吸できるようにすることで、スッポンも落ち着きます。

ろ過フィルター

スッポンは水質変化に弱いので、水質管理が大切です。ろ過フィルターを使うことで、水質悪化を緩やかにできます。水槽であれば上部フィルター、トロ船であれば投げ込み式フィルターがおすすめです。スッポン飼育では目の細かい砂を使用するため、目詰まりには注意してください。

バスキングライト・陸場

日光浴をするスッポンのために、バスキングライトと陸場を設置しましょう。陸場にバスキングライトを当てて日光浴する場所を作ります。

陸場にはレンガや石がおすすめです。あまりゴツゴツしたものを使用すると、皮膚を傷つける恐れがあるので注意してください。

紫外線ライト

健康な甲羅を維持するために、紫外線ライトは必須です。紫外線を浴びることでビタミンD3が合成され、カルシウムの吸収がよくなり、甲羅が育つのです。太陽の代わりなので、8~10時間点灯しましょう。

観賞魚用ヒーター

スッポンは20℃以上の環境を好むため、冬場は観賞魚用ヒーターは欠かせません。20~25℃に設定して保温しましょう。スッポンが噛みつく可能性があるので、ヒーターカバーで守ってください。

床材

スッポンは砂に潜る特性があるので、目の細かい砂を敷きましょう。大きな粒のものや、角ばったものは皮膚を傷つける恐れがあるので気を付けてください。厚く敷きすぎると汚れが溜まり水質悪化につながるので、甲羅の厚さより少し厚いくらいで大丈夫です。

スッポンの餌は何をあげる?

スッポンの餌にはカメ用の人工餌料・乾燥エビ・魚の切り身などをメインに与えると良いでしょう。小さい個体は1日に1回、成体は2~3日に1回で十分です。餌を与えすぎると肥満するので注意してください。

個体によっては人工餌料を食べない個体もいます。活きたエビや魚・ミミズなどから始めて、冷凍のエビや魚の切り身、そして人工餌料と、少しずつ慣らしていくとよいでしょう。

日々の管理は何をする?

スッポンの飼育では、以下のような管理が欠かせません。

  • 健康状態のチェック
  • 食べ残しや排泄物の掃除
  • 水温チェック
  • 陸場やバスキングライトの点検

毎日泳ぎ方や餌の食べ具合をチェックして、健康状態を確認しましょう。水換えとは別に、食べ残しや排せつ物は小まめに吸い出すことで、水質を保ちやすいです。健康を保つために、小まめな観察と管理が大切です。

スッポン飼育の注意点とポイント

スッポンを飼育する上での注意点、ポイントを紹介します。スッポンの飼育はそれほど難しくありませんが、トラブルを防ぐためにも、以下のことに注意してください。

基本は単独飼育しよう

スッポンは複数で飼育すると喧嘩をするので、単独で飼育しましょう。スッポンが喧嘩になるとお互いに噛みつき合います。噛む力がとても強いので、大けがに繋がる可能性が高いです。スッポン以外のカメとの同居もおすすめできません。

定期的に日光浴させよう

紫外線不足は甲羅の変形や病気の原因になります。紫外線灯を設置していても、可能であれば屋外で日光浴させる時間を設けましょう。1週間に1回、這い上がれない高さの衣装ケースなどに入れて、1時間程度日光浴させます。

スッポンは基本的に日光浴が好きですが、稀に水槽内では陸地に揚がらない個体もいます。スッポンは皮膚が弱く、乾燥する時間がないと皮膚病にかかる可能性が高いです。このような個体の場合、強制的に日光浴させることで健全な甲羅を維持することができます。

水換えをして水槽を清潔に保とう

スッポンは排泄量が多いと同時に、水質悪化に弱いです。水質が悪化すると皮膚病などの病気にかかりやすくなるので、定期的な水換えが欠かせません。

水換えは1週間に1回、1/3~1/2の水量を目安に交換します。新しい水は水槽の水と水温差が無いように注意してください。2ヶ月に1回程度は全量水換えをし、フィルター内のろ材も洗浄しましょう。

水の汚れは餌の量・ろ過フィルターの種類によっても変化します。状況によっては、さらに小まめな水換えをしてください。

適切な環境を整えてスッポン飼育を楽しもう

スッポンはやや臆病な性格で、皮膚が弱く病気に注意しなくてはいけませんが、ポイントを押さえれば初心者でも十分に楽しめます。健康に育てるには、スッポンに適した環境づくりをして、日々の管理をしっかり行うことが大切です。飼育することで見えてくるスッポンの可愛らしさや魅力は、実際に迎えてみてこそ味わえるものです。

一方でスッポンは非常に長寿な生き物で、種類によっては大きくなります。飼育を始める前に、最後まで飼育を続けられるのか、しっかりと考えましょう。その上で飼育をしたいと思える人は、ぜひ飼育を始めてください。

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のべじ

のべじ

元水族館職員の生き物好きライター。ダイビングガイド、農家などの経験を活かし生き物・自然・家庭菜園・料理など、さまざまな分野でライティングしています。

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