A moray eel shows off its teeth at the Cairns aquarium.

海で気をつけたい!危ない海の生き物図鑑

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まとめ
  • 海には毒・鋭い棘・強力なあごをもつ危ない生き物がいる
  • 死んでいても毒の成分が有効な場合もるので注意する
  • 海遊びの際は、肌の露出を避け、むやみに生き物に触らない
A moray eel shows off its teeth at the Cairns aquarium.

夏は海水浴に磯採集、釣りなど海遊びが楽しい時期です。楽しいレジャーの陰には、思わぬ危険が潜んでいることも事実です。生き物目当てのレジャーはもちろん、そうでない場合でも、危険な生き物には注意しなくてはいけません。

毒針、鋭い歯や棘などをもつ生き物は想像以上に多いです。とは言え、多くは彼らから攻撃するわけでなく、私たちの注意不足が原因で事故が起きます。正しい知識を持っているだけで、防げるケースも少なくないのです。

そこでこの記事では、海水浴や磯遊びの際に注意したい代表的な危険生物10種を紹介します。正しい知識を身につけ、安全に海遊びを楽しみましょう。

目次

海水浴や海遊びで気を付けたい危ない海の生き物10選

clearfin lionfish

海遊びで遭遇しやすい危ない海の生き物を10種類紹介します。どの生き物も、むやみに襲ってくることはありません。私たちが注意することで防げる事故は多いので、海遊びの際の参考にしてください。

鋭い毒針をもつ【ゴンズイ】

ゴンズイは夜行性のナマズの仲間で、胸ビレと背ビレに強い毒のあるトゲを持ちます。夜釣りをしていると、外道で釣れることが多いので注意しましょう。針から外す際は、素手で掴むのではなく、フィッシュグリップなどでしっかりと固定して外すのがポイントです。

海水浴やシュノーケリングでは遭遇しても刺されることは少ないですが、磯遊びで採れた際は注意してください。万が一刺されたら40〜45 ℃の温水に20~30分ほど患部を浸しましょう。痛みが続く場合や、棘が折れて残っている場合は速やかに病院を受診してください。

砂地に隠れている【アカエイ】

アカエイは砂底に体を埋めて静かに獲物を待つため、気づかずに踏みつけやすい生き物です。尻尾の棘には毒があり、刺さると深い傷と強烈な痛みに襲われるので注意が必要です。浅瀬を歩くときはマリンシューズを履き、すり足で移動することで、刺されるのを防げます。

万が一刺された場合まずは棘を取り除き、流水で洗います。アカエイの毒はタンパク毒で、熱によって分解されるため、40~45℃の火傷しない程度のお湯に浸しましょう。痛みが続いたり、傷が深かったりする場合は、病院で処置を受けてください。アカエイの刺傷は破傷風になる可能性があるので、予防接種が必要な場合もあります。

きれいな見た目に騙されるな!【ミノカサゴ】

ミノカサゴは、白と赤の縞模様とレースのようなヒレが美しく、優雅に泳ぐ魚です。その見た目とは裏腹に背びれ・腹びれ・尻びれの棘に毒を備えています。磯採集でも見かけることもあり、ついつい捕まえたくなりますが、取り扱いには注意が必要です。

ダイビングやシュノーケリングでもよく見かけますが、むやみに触らないようにしましょう。こちらから近づかなければ攻撃してくることはありません。万が一刺された場合は患部を40~45℃の温水に浸し、痛みが強いときは病院で処置を受けてください。

岩にしか見えない【オニダルマオコゼ】

Side view of a Stonefish at the Cairns Aquarium in North Queensland, Australia. These fish look just like a rock, and they wait till a small fish gets close enough to strike and eat.

まるで岩のような見た目のオニダルマオコゼは、背中の棘に強力な神経毒をもっています。うっかり踏むと激痛が走り、血圧低下や呼吸困難に陥ることがあるため、注意が必要です。

オニダルマオコゼは岩に擬態しているので、似たような岩の多い潮だまりやサンゴ礁の浅瀬を歩くときはマリンブーツを着用し、足元をつねに確認しましょう。刺されたら迷わず119番通報してください。応急的に40~45 ℃前後の温水で患部を温めつつ医師の処置を受けましょう。

海のギャング【ウツボ】

Two moray eels at the Cairns aquarium, Australia.

ウツボは鋭い歯と強いあごを持ち、見るからに狂暴そうな姿をしています。イセエビやタコを襲って食べることから、『海のギャング』と言われることもありますが、実は臆病な魚です。ウツボから私たちを襲ってくることはまずありません。

磯採集やシュノーケリングで、ウツボのいる岩の隙間に手を入れると、反射的に噛みついてくることがあります。余計な事故を防ぐためにも、手を着くところ、入れるところはよく観察しましょう。

ウツボに噛まれた場合、咬傷は深く、細菌感染を起こしやすいため注意が必要です。咬まれた場合は流水で流し、すみやかに医療機関で処置を受けましょう。

死亡例もある【ヒョウモンダコ】

Blue-Ringed Octopus (Hapalochlaena sp.)

The blue-ringed octopus flashes its 50-60 rings within a third of a second as a warning display to predators. Being one of the world's most venomous marine animals, its poison causes total body paralysis - also to humans.

ヒョウモンダコは体長10 cmほどの小型のタコですが、唾液にテトロドトキシンを含む危険な種類です。噛まれると数十分で呼吸麻痺が起こることがあるので、見つけても絶対に触らないでください。特に青い輪模様が出ているときは警戒している証拠なので注意しましょう。

万が一噛まれたらただちに119番通報してください。テトロドトキシンに特効薬はなく、速やかに医療機関の処置を受けることが大切です。

長いトゲに注意【ガンガゼ】

ガンガゼはウニの仲間で、30 cm近い黒い棘を放射状に伸ばします。毒のある棘は鋭く、ウェットスーツやマリンシューズを突き通します。それでいて折れやすく、刺さると皮膚の中に棘が残り、腫れや化膿を招きやすい点が厄介です。

夜行性で昼間は岩陰に潜み、夜になると開けた場所に出てきます。岩場で遊ぶ際は、手足を付く場所をよく観察しましょう。

万が一刺さった場合は、棘をできる限り抜き、40~45℃の温水に浸します。体内に残った棘が多い場合は医師に除去してもらう必要があるので、医療機関を受診してください。。

死んでいても毒針を発射する【カツオノエボシ】

透明な浮き袋と青い触手をもつカツオノエボシは『電気クラゲ』とも呼ばれます。触手は10 m以上にもなり、触手には刺胞毒があって、ふれたり刺激を受けたりすると毒針が発射されます。

刺胞毒は岸に打ち上げられた死骸でも残存するため、触ると危険です。浜辺で見つけても近づかず、触らないようにしましょう。透明感があり、きれいな色合いをしているので、触ってしまう子供が多いので注意してください。

刺された場合は、海水で優しく洗いながら触手をピンセットで除去し、患部を冷やします。ポイントは、患部を洗う際に海水を使うこと。絶対に真水を使ってはいけません。痛みが続くときは医療機関を受診してください。死亡例もある強い毒なので、早めに処置をすることが大切です。

特に刺されたのが2回目以上の場合、アナフィラキシーショックを起こす可能性があるため、医療機関の受診も検討しましょう。

長い触手が危険な【アカクラゲ】

アカクラゲは傘の直径が20cmほどで、触手は長いもので2mになります。触手には毒があり、海水浴中に長い触手に気が付かずに刺されたり、打ちあがった個体を触って刺されたりします。

刺されると水ぶくれやミミズ腫れを引き起こし、人によってはアナフィラキシーショックを起こすこともあるので注意が必要です。刺された場合は海水で洗い、触手を取り除いてください。その際、絶対に患部をこすらないようにしましょう。

蕁麻疹や吐き気、咳など患部以外に症状が出た場合はアレルギー反応の可能性があります。速やかに医療機関の処置を受けてください。

無数の毒毛をもつ【ウミケムシ】

ウミケムシは海底を這う多毛類の一種で、体の毒毛が皮膚に刺さると痛みとかゆみが数日続きます。夜行性なので、昼間は砂の中や岩の下に隠れています。磯採集や潮干狩りの最中に砂の中から出てきた場合は、触らずにそっとしておきましょう。

万が一毛が刺さった際はガムテープやピンセットを使って毛を抜きます。かゆみが続く場合は、病院でステロイド外用薬を塗布してもらいましょう

危険生物への対策はなにができる?

A Crown-of-thorns starfish or sea star at the Cairns Aquarium.

海の生き物による事故の多くは、私たちの不注意によって起きることがほとんどです。正確な知識を身に着け、対策をとれば多くの事故は防げるでしょう。具体的な対策方法を紹介するので、参考にしてください。

肌の露出を控えよう

海に入るときは、できるだけ肌の露出を避けた服装を心がけましょう。ラッシュガード・ウェットスーツ・マリンシューズ・グローブなどを着用することで棘や咬傷から身を守れます。日焼け対策としてはもちろん、岩場やガラス片などによるケガも防げるので有効活用しましょう。

知らない生き物をむやみに触らない

磯採集では生き物を見つけると、つい興奮して捕まえてみたくなるかもしれません。知らない生き物はどんな危険性があるのかも分からないので、むやみに触るのはやめましょう。たとえ死んだ個体でも毒が残っているケースがあるため、やはりむやみに触らないほうがよいです。

スマホを持っていれば、その場でどんな生き物なのかを調べるとよいでしょう。事前に、遊びに行く環境にはどんな生き物がいるのかを確認しておくのもおすすめです。

周囲をよく観察する

海で遊ぶ際は、自分の周囲に注意を払いながら行動することが大切です。足元にウニやエイがいないか、岩の陰にウツボやオコゼが隠れていないかなど、常に視線を巡らせる習慣をつけましょう。周囲を観察することは、生き物だけでなく、鋭い岩や危険な漂着物、急な高波など海における危険から身を守るために大切なことです。

危険な生き物に気をつけながら、海を楽しもう!

海にはとても多くの生き物がいて、その中には危ない生き物も含まれています。『危険生物』だからといって、むやみに怖がる必要はありません。正しい知識をもち、むやみに触らず、周囲を観察することで、大抵のトラブルは避けることができます。

毒や鋭い棘は、あくまで厳しい自然界を生き抜くために身に着けたものです。決して、私たちを痛めつけるためのものではありません。海遊びをする際は『海にお邪魔している』という気持ちで節度ある行動で楽しみましょう。

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のべじ

のべじ

元水族館職員の生き物好きライター。ダイビングガイド、農家などの経験を活かし生き物・自然・家庭菜園・料理など、さまざまな分野でライティングしています。

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