- ナマズ以外にも、地震を予知するといわれる生き物は多い
- 科学的に解明されていないからこそ、不思議で神秘的!
- 生き物の異常を感じたら、空や海などの違和感もチェックして備えよう

動物や魚などの生き物は、人間にはない不思議な能力を持っていることがあります。犬の帰巣本能やイルカのエコロケーションなども、人間からするとミステリアスな能力ですよね。
生き物の数ある不思議な能力のなかでも、いまだ解明されていないのが『地震予知能力』です。今回は、地震を予知すると考えられている生き物たちの、神秘的な能力について紹介します。
ナマズの地震予知は本当?秘密はナマズの生態にあり

『地震を予知する生き物』といえば、まず思い浮かぶのがナマズ。『地震前にナマズが騒ぐ』というのは有名な話ですが、その原理や実態はどのようなものなのでしょうか?
地震の微弱な揺れをキャッチしている
今までも『大地震の前にナマズが異常な行動をとった』という報告は数多く残されています。理由として考えられるのが、地震前に発せられる電磁波です。
まだ研究課程ではありますが、地震が起こるときには『地中で砕けた岩石に電波が発生する』という説があります。
またナマズは地面にピッタリと張り付いて生活しているため、人間にはわからない微細な揺れを感知している可能性も考えられています。
ナマズと地震の関係性は150年以上も続いている
実は、ナマズと地震の関係性は150年以上も続いているんです。
1855年10月『安政の大地震』と呼ばれる直下型の地震が発生しました。死者1万人以上を出した安政の大地震の後、ナマズを描いた瓦版(粘土に字や絵を彫ったもの。江戸時代の新聞の役割)が飛ぶように売れたそうです。
ナマズが描かれた理由は「地震は地底の大ナマズが起こす」と考えられていたから。『地震により破壊された社会や文明を、ナマズが作り直してくれる』と期待や願いを込め、多くの人がナマズの瓦版を購入したといわれています。
犬・猫も地震を予知するって本当?優れた五感が異常を察知

私たちにとって身近な生き物である犬・猫も、地震を予知する能力があるといわれています。人間よりも遙かに高い聴覚や嗅覚を持つ犬や猫。一体どのような原理で地震を予知しているのでしょうか?
地震の前に異常行動をする犬・猫は少なくない
すべての犬・猫に共通するわけではありませんが、過去には国内外問わず『地震前に犬や猫が異常に騒ぐ』という事態が発生しています。日本でも阪神淡路大震災や十勝沖地震の前に、多くの犬や猫が落ちつきを失っていたそうです。
原理として考えられているのが、犬や猫の『聴覚』です。地震の前には『P波』と呼ばれる初期微動が起こります。P波は空気に伝わり、犬や猫にとっては地響きのような音に聞こえると考えられています。
人間より優れた五感で、わずかな変化を察知
地震前には、静電気が増加したり磁場が変化したりなどの現象が発生することも。人間より感覚が敏感な犬や猫は、環境の微細な変化を『異常事態』と認識し、騒ぎ始めているという説もあります。
犬や猫の地震予知能力は、科学的に解明されているわけではありません。もし原理が明確になれば、愛犬や愛猫の様子の変化によって、災害被害を最小限にできるかもしれません。

鳥も地震前に騒ぎ出す?

犬や猫だけではなく、鳥も地震前に不思議な行動をとることがあるようです。空に生きる鳥にとって、地震は縁が少ない災害のようにも感じますよね。地面から遠い場所に住む鳥が、なぜ地震を予知できるのでしょうか?
微細な振動や気象の変化を感知している可能性
鳥が地震を予知するという伝承は、古くから世界中で伝わっています。おもな理由としては『地下の微小な変動や気象の変化を察知したから』が通説のようです。
『ノアの箱舟』の物語を代表するように、神話における鳥は神秘的な生き物として描かれることがあります。『人間に重要な知らせを届ける存在』である鳥が地震を予知する、と考えると、なんだかロマンを感じますよね。
とはいえ鳥の地震予知能力も、科学的に解明されていません。新しい研究や技術の進展により、地震予知の手がかりが見つかることが期待されています。
トルコの大地震前にも鳥の『異常行動』が話題に
鳥の地震予知は、架空の物語上だけの出来事ではありません。2023年1月のトルコでは、マグニチュード7.8の大地震が発生しました。地震の直前に撮影されたとされる映像では、鳥たちの異常行動が残されています。
大量の鳥たちが上空をグルグルと飛び回り、一斉に近くの木々に止まる姿は、どこか不穏な印象を感じさせます。付近の木々は、降り立った鳥の群れでまるで黒い塊のように……。該当の動画はSNSに投稿され、多くの注目を集めました。
参考:ニュースウィーク日本版「トルコ大地震を予知した?鳥の異様な行動が観察される」
小さなネズミも地震を感知。安全な場所に逃げていく!?

犬や猫よりもさらに小さい生き物であるネズミも、地震を感知を感知するケースがあるようです。体が小さいからこそ、小さな変化でも敏感に察知できるのかもしれませんよね。ネズミの不思議な生態についてもふれてみましょう。
地震前にネズミは『大引越し』をすることがある
ネズミは地震前になると、集団で引越しをすることがあるようです。安政の大地震や関東大震災では、地震直前に『街中でネズミの姿を見なくなった』というエピソードが残っています。
実際にネズミが集団で移動するシーンを目撃した人もいるのだとか。また不思議なことに、地震が収まるとネズミたちが元いた場所に帰ってくるケースもあるようです。
参考:アニラボ(中央動物専門学校)「地震を予知している? 地震発生前にみられる動物たちの異常行動について」
普段見かけない場所にネズミがいたら要注意?
当然ながら、引越ししたからといってネズミたちの数自体は変わりません。地震を予知して引越ししたネズミたちは、安全性が高い別の場所で生息していると考えられます。
ネズミを1匹見かける程度であれば大きな問題はありませんが、明らかに違和感のある場所でネズミを見かけたり、同時に複数匹のネズミと遭遇した場合は、念のため災害に備えたほうがいいかもしれません。
ほかにも色々!地震前の動物たちの不思議な行動

ご紹介した以外にも、地震前の生き物たちの不思議な行動は後を絶ちません。たとえば……
- 家の中に毛虫が大量に湧いた
- 大地震の前年に大量のマグロが獲れた
- 庭で大量のミミズが死んでいた
- アリがいたる場所に穴を作った
- 冬眠中のヘビが這い出した
- 深海魚が海岸に打ち上げられた
- イルカやクジラが集団座礁した
- 乳牛の出す牛乳量が減った
- 大量のコウモリの群れが飛び交った
- シャコが大量に浮き上がってきた
など、哺乳類や魚類にかかわらずさまざまな生き物たちの行動に変化が現れています。
また地震前には生き物だけではなく『海岸が遠浅になった』『路地口から水が湧き出た』『一定の方角の空が急に明るくなった』『温泉の源泉から白濁した湯があふれた』のように、空や海などの環境にも大きな変化が生じることも。
生き物たちに異常性を感じたら、自然や水場など身近な場所にも変化がないか要チェック。違和感を抱いたら、すぐに避難できるように荷物を整理するだけでも、冷静や安心を得られるかもしれません。
参考:東京消防庁「地震と鯰」
地震に関連する動物の神秘。未来の研究に期待大!

今回は、地震を予知する生き物たちの不思議な能力やエピソードを紹介しました。
生き物たちの世界は、まだ分からないことだらけです。見ている景色や聞いている音、眠りながらみる夢、超音波や鳴き声によりコミュニケーションなど、さまざまな領域に謎や神秘が隠されています。
研究によっては、生き物たちの動向によって災害を的確に予測できる未来があるかもしれません。専門家たちの報告に胸を高鳴らせつつ、生き物たちの神秘を楽しんでいきたいですね。