シカのツノは毎年抜ける?知って楽しい日本のシカ入門

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まとめ
  • シカのツノは毎年生え変わる『期間限定アイテム』!?
  • ツノの役割は繁殖のための戦いや誇示にあり、オス同士のバトルや見た目のアピールでメスを引きつける重要な武器!
  • ツノの成長スピードは驚異的!生きた組織から硬質な骨へと変化していくユニークな生態の秘密とは?

『シカ』と聞いて、まず思い浮かべるのは奈良公園のシカたちかもしれません。でも実は、日本には地域ごとにさまざまな種類の野生のシカが暮らしているのを知っていますか?

北海道から屋久島・対馬まで、島国である日本はシカの多様性がとても豊かな国。しかも、それぞれのシカにはツノの形や体の大きさ、生態に驚くほどの違いがあります。

この記事では、日本に生息する主なシカの種類を地域別に紹介しながら、彼らの生態や毎年生え変わる不思議なツノ、さらには実際に会える動物園も案内します。

思わず誰かに話したくなる『シカ知識』が満載です。

目次

夜行性?草しか食べない?シカの意外な『日常』をのぞいてみよう!

普段の生活であまり見かけることのないシカたち。

でも実は、私たちのすぐそばの山や森で、ひっそりと日々の営みを続けています。そんな彼らの意外な日常をのぞいてみましょう

「ピィー」!?シカの鳴き声やジャンプの意味

シカの鳴き声は意外とバリエーション豊かなことを知っていますか?

ピーピーと高い声で鳴くのは警戒時の合図で、仲間に危険を知らせています。オス同士の対決時には低い唸り声を発し、威嚇したりもします。

ジャンプして逃げるのも、防御のひとつ。後ろ脚の強靭な筋力を使って一気に距離をとるのです。

食べ物は「草だけじゃない」!?

『草食動物=草を食べる』と思いがちですが、シカの食性は意外と幅広いもの。草はもちろん、木の芽・葉・樹皮・果実・どんぐりなど、季節に応じて食べるものを変えています。

エゾシカからヤクシカまで、地域別シカまるわかりガイド

日本各地に生息するシカたちは、それぞれの環境に合わせて進化し、多彩な姿を見せてくれます。ここでは代表的な5種類のシカを地域別に紹介します。

【寒さに強い北の巨シカ】北海道の王者『エゾシカ』

日本最大のシカであるエゾシカは、北海道全域に生息しています。

オスの体長は最大190cmを超えることもあり、重厚なツノとがっしりとした体つきが特徴。厳しい冬の気候にも適応し、雪原を悠々と歩く姿はまさに『北の王者』です。

【神と共に生きる】奈良のアイドル『ホンシュウジカ』

本州、四国、九州の広い範囲に分布するホンシュウジカは、私たちに最もなじみ深い存在ではないでしょうか。

特に奈良公園では『神の使い』として大切にされており、人間との距離が非常に近いシカとして知られています。体長は130〜160cmほどで、都市近郊の山林にも生息しています。

鳴き声や仕草も比較的よく観察でき、シカの『入門編』としておすすめの種類です。

【静かなる九州の住人】森の中の『キュウシュウジカ』

九州地方に生息するキュウシュウジカは、ホンシュウジカの亜種とされています。体つきはやや小柄で、森林にひっそりと暮らす傾向が強く、野生で出会うには運も必要。

生息地の減少や人間活動の影響で個体数が減少傾向にあり、一部地域では保護活動も始まっています。生きたシカ文化財としての価値が見直されつつあります。

【“島限定”の希少種】対馬の幻『ツシマジカ』

長崎県・対馬のみに生息するツシマジカは、非常に希少な固有亜種です。

一時は、県の天然記念物にも指定されていたこともありますが、近年では保護政策により個体数が増加して被害が拡大している側面もあるとか。対馬野生生物保護センターでは、その姿を間近で見られる機会もあります。

【世界遺産に暮らす小さなシカ】屋久島の『ヤクシカ』

屋久島にのみ生息するヤクシカは、日本のシカのなかでも最も小さな種類。険しい山岳地帯で暮らしており、その小柄な体は急な斜面を移動するのに適しています。また、屋久島の環境に適応した結果、泳ぎが得意といった特徴を持っています。

世界自然遺産に登録された屋久島の森の中で、静かに息づくその姿は、まるで童話の世界の住人のよう。観光客の前にも現れることがありますが、野生動物としての距離感を大切にしましょう。

落ちる・伸びる・戦う!?シカのツノのひみつ

シカといえば、堂々としたツノが印象的ですよね。

しかしツノ、実は毎年生え変わるって知っていましたか? 落ちて・伸びて・戦いに使われる……そんなツノの知られざるひみつに迫ります。

毎年ポロッと抜ける!?ツノは『使い捨て』の骨だった!

シカのオスのツノは、なんと毎年生え変わっているのを知っていますか?

春になると根元からポロッと抜け落ち、数ヶ月で新しいツノが再生する。これは一種の『使い捨ての骨』で、動物界でもかなり珍しい特性です。

再生中のツノは『袋角』と呼ばれ、皮膚と血管に覆われた柔らかい状態です。秋になるとこの皮が自然にむけ、硬くて立派なツノが完成します。

オスのツノは『モテ武器』!

ツノはオスにしか生えず、主に繁殖期の戦いに使われます。ツノをぶつけ合って力比べをし、メスへのアピールを競います。年齢とともにツノの枝分かれが増え、経験豊富なオスほど複雑な形状になります。

この『モテ武器』の出来が、子孫を残せるかどうかを左右する大事な要素になるのです。自然界の厳しい競争の中で、ツノは進化し続けています。

落ちたツノ、どうなる?ツノの知られざる利用法

自然界に落ちたツノは、他の動物にかじられてカルシウム源になったり、分解されて土に還ったりします。人間社会では、ツノを拾ってアクセサリーやクラフト作品にする例もあります。

ただし、国立公園や保護区でのツノの持ち帰りは法律で禁止されていることが多いので注意してください!

全国の『推しシカ』に会いに行こう

ここからは、実際にシカに会いに行ける全国の動物園を紹介します。

奈良公園(奈良県)

奈良の観光名所として知られる広大な公園には、約1,000頭のシカが自由に暮らしています。奈良公園のシカは『奈良のシカ』として国の天然記念物に指定されている野生動物です。人懐っこいホンシュウジカとふれ合える、日本屈指の『鹿の聖地』とも言えます。

園内を自由に歩くシカたちは観光客に人気で、鹿せんべいをねだる愛らしい姿も名物です。人に慣れているように見えますが、あくまで野生のため、ふれたり追いかけたりせず、静かに見守るのがマナーです。

シカせんべいを与える際も、周囲への注意を忘れないようにしましょう。

旭山動物園(北海道)

旭山動物園では、エゾシカを自然に近い環境で観察することができます。特に冬の雪景色の中で悠々と歩く姿は、北の大地ならではの美しさを感じることができます。

井の頭自然文化園(東京都)

都会の中にありながら、自然と動物にふれあえる井の頭自然文化園では、日本固有の希少なシカ『ヤクシカ』に出会えます。

濃い茶色の毛並みが特徴で、屋久島の森の中でもその姿は神秘的と評されます。そのヤクシカを屋久島まで行かずとも、東京でじっくり観察できる貴重な機会なので、ぜひ足を運んでみてください。

東山動植物園(愛知県)

多種多様な動物を飼育する東山動植物園では、インドやスリランカに生息する『アクシスジカ』が見られます。臆病な性格ですが、群れで行動し、穏やかな表情が来園者に人気です。日本ではなかなか見られない種類なので、ぜひ立ち寄ってみてください。

もっと知りたくなる、日本のシカの世界

私たちの暮らす日本には、こんなにもたくさんのシカたちが、各地の自然のなかで息づいています。体の大きさ・ツノのかたち・暮らす場所、どれをとっても個性豊か。

そんな姿に心を動かされたのか、シカは古くから和歌や物語にもたびたび登場し、日本人の情緒や四季の感受性を育んできました。今も昔も、シカは私たちのすぐそばにいる存在なのです。

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miwa

生粋の猫派ライター。アメショの猫に飼われながら、他にもカメ・インコ・ウサギ・金魚と幼き頃から過ごしていました。また、水族館大好き。特にサメ類への関心が強く、実は、シロワニの生態研究者になることを夢見ていました。趣味のダイビングでは、海中での生物観察も楽しんでいます。実際のダイビング経験と水族館での観察、両方の視点から海の生き物たちの魅力を伝えていきたいです。

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