- ハリセンボンの飼育は、大きめの水槽を用意することが大切
- 基本的には単独飼育、もしくはハリセンボン同士で飼育する
- 餌はアサリやエビなどの生餌を中心に、人工餌料にも慣らすとよい

丸く膨らんだ姿が愛らしく、ユニークなトゲで知られるハリセンボン。水族館や海で見かけたことがある人も多いでしょう。実は家庭の水槽でも飼育でき、人懐っこい性格からペットとしても人気があります。もちろん、長生きさせるためには適切な設備や管理が欠かせません。
この記事では、ハリセンボンの特徴からおすすめの種類から飼育のポイントや注意点まで、初心者にもわかりやすく解説します。
ハリセンボンとは?特徴や生態など基本情報

ハリセンボンがどんな生き物なのか、基本情報を紹介します。飼育を始める前にハリセンボンがどんな生き物なのかをみていきましょう。
ハリセンボンはどんな生き物?大きさや寿命は?
ハリセンボンはフグ目ハリセンボン科に属する海水魚です。最大の特徴は名前の由来にもなった、全身を覆うトゲです。身の危険を感じると体を大きく膨らませ、全身のトゲを立たせるようにして防御します。
種類にもよりますが、成魚の体長は20〜70cmになり、家庭での飼育では成長に合わせた大きめの水槽が必要です。寿命は飼育環境次第ですが、適切に管理すれば10年ほど生きることもあります。
ハリセンボンは肉食性
ハリセンボンは自然界では甲殻類や貝類を中心に食べる肉食性です。硬い殻を持つ生き物を噛み砕く強い歯を持ち、貝やカニもバリバリと砕きながら食べます。
歯は成長とともに伸び続けるため、飼育下でも硬い餌を与えることで自然にすり減らし、健康な状態を維持させることが大切です。
ハリセンボンは危険?人に慣れる?
ハリセンボンは全身にトゲを持っていますが、通常時は寝ており触ってもそれほど危険ではありません。危険を感じて体を膨らませた状態のハリセンボンを、素手で触るとケガをする恐れがあります。膨らんだ状態で持ち上げようとすると、自分も魚も大きなストレスを受けるため絶対に避けましょう。
性格面では、飼育下のハリセンボンは人によく慣れることが多く、水槽の前に立つと寄ってきたり、餌をねだるしぐさを見せたりします。毎日決まった時間に餌を与えていると、飼主を認識してくれやすいです。
おすすめのハリセンボン3選

ハリセンボンの仲間は世界中で約20種類が確認されています。ですが、すべてが観賞魚として流通しているわけであありません。今回はおすすめの3種類を紹介します。
定番の種類のハリセンボン

ハリセンボンはもっとも一般的に流通している種類で、入手もしやすいです。価格は大きさにもよりますが、4,000〜10,000円が相場です。成長すると体長25~30cmになるので、最終的には90cm以上の水槽を用意しましょう。
性格は温和ですが、活発に泳ぎ回るため観察していて飽きません。丈夫で飼育しやすいことから、初めてハリセンボンを飼う人にもおすすめです。
人に良く慣れるメイタイシガキフグ

メイタイシガキフグは黒い斑点があり、やや長めのトゲが特徴です。人に良く慣れ、飼育下では餌をねだるように近づいてくる個体も多く、ペットとして楽しませてくれます。価格は大きさにより5,000〜15,000円が相場です。
上記のハリセンボンと比べると流通が少ないですが、愛嬌のある行動を見せてくれるので人気があります。成魚は30cmほどになるので、やはり90cm以上の水槽が必要です。性格は比較的穏やかですが、混泳相手は慎重に選びましょう。
カリブ海産のストライプドバーフィッシュ

ストライプドバーフィッシュはカリブ海に生息する珍しい種類で、体に入った鮮やかな縞模様が目を引きます。流通は少なく、価格も20,000〜35,000円とやや高めです。成長しても15cmほどと小型のため、単独であれば60cm水槽でも飼育できるでしょう。
単独飼育でじっくり観察すると魅力を堪能できます。希少種のため、購入前にしっかりと飼育環境を学び、環境を整えてお迎えしましょう。
ハリセンボンの飼い方・管理方法

ハリセンボンの飼い方や管理方法について解説します。ハリセンボンを受け入れる前に、しっかりと準備を整えておきましょう。
飼育に必要なもの
ハリセンボンの飼育を成功させるには、環境を整えることが大切です。まずはどんなものが必要なのかを見ていきましょう。
種類に合わせた大きさを選ぼう│水槽
ハリセンボンの種類や飼育する個体のサイズに合わせた水槽を用意してください。一部の小型種を除いて、最終的に90cm以上の水槽が必要です。大型個体を飼う場合は120cm以上が必要になるので、将来的なことも踏まえて考えましょう。
水温を保つ必須アイテム│ヒーター
ハリセンボンの飼育適温は24〜26℃なので、夏以外は温度管理用のヒーターが必要です。サーモスタットを接続して水温を調整しましょう。急激な温度変化は病気や体調不良の原因となります。
水をきれいに保つ│フィルター
ハリセンボンは餌をよく食べ、排泄量も多いため、水質が悪化しやすいです。ろ過能力の高い外部フィルターやオーバーフロー式がおすすめです。そのほかのフィルターの場合、ワンランク上のパワーのものを選ぶと水質を保ちやすいでしょう。
鑑賞性を高める│照明
強い光は必要ありませんが、ハリセンボンの本来の色味を引き立てるLED照明を設置すると観賞性が向上します。決まった時間にオン・オフすることでリズムが整い、健康を保ちやすくなります。
落ち着ける環境を作り上げる│レイアウト素材
ライブロックや人工サンゴを配置しレイアウトしましょう。隠れられる場所を作ることで、ハリセンボンが落ち着きやすくなります。活きたサンゴはハリセンボンが齧る可能性があるので注意してください。
水質維持にも役立つ│サンゴ砂
ハリセンボンが好むアルカリ性を保ちやすくするために、サンゴ砂を敷くのがおすすめです。サンゴ砂はバクテリアの住み家にもなり、水質維持にも役立ちます。見た目も明るくなり、海らしい雰囲気を演出できます。
餌の種類と与え方
肉食性が強いので、アサリ・エビ・イカの切り身・乾燥クリルを中心に与えます。慣れれば人工餌料も食べるので、徐徐々に与えていくとよいでしょう。生餌だけでは栄養が偏りがちになるので、人工餌料に慣らすことで、より健康に飼育できます。
幼魚のうちは毎日、成長したら2~3日に1回で十分です。餌の与えすぎは肥満の原因になるので注意してください。
小まめに水換えをして水質を維持しよう
ハリセンボンは水を汚しやすいため、週1回は全体の1/3程度を換水しましょう。新しい水には、比重や水温を合わせたものを用意することが大切です。フィルターや底砂も月に1回程度掃除することで、よりきれいな環境を維持できます。
ハリセンボン飼育のポイントと注意点

飼育環境に慣れれば飼育しやすいハリセンボンですが、管理方法を誤ると弱らせてしまいます。注意点やポイントをしっかりとチェックしておきましょう。
混泳には注意しよう
基本的にはほかの魚との混泳はおすすめできません。ハリセンボンは気性は荒くないものの、ヒラヒラとしたものを齧る習性があります。ほかの魚のヒレを齧る可能性があるので、混泳には向いていないのです。
水槽に余裕があればハリセンボン同士の混泳は可能です。前述したように水を汚しやすいので、一回り大きな水槽を用意しましょう。
こまめに体調チェックしよう
ハリセンボンは病気にかかりやすい魚です。食欲や泳ぎ方などの変化を観察し、異変を感じたら早めに対応しましょう。たとえ病気になっても、早めに治療すれば回復するので、まずは異変に気付くことが大切です。
わざと膨らませるのは厳禁!
ハリセンボンが膨らむ姿は、何とも言えない可愛らしさがあります。しかし膨らむ行動はハリセンボンにとって強いストレスです。何度も膨らむと体力を消耗し、健康を損なうので、遊び半分で刺激するのは絶対にやめましょう。
人に良く慣れるハリセンボンをペットにしてみよう

ハリセンボンは愛嬌のある姿と人懐っこい性格で、多くのアクアリストを魅了します。しかし、大型水槽が必要で、水質管理の難しさなど、飼育にはしっかりとした準備が必要です。
十分なサイズの水槽を用意し、適切な設備やバランスの取れた餌やこまめな水換えを心がければ、長く元気な姿を楽しむことができます。あなたもぜひ、自宅でハリセンボンと過ごす特別な時間を検討してみてください。