- アロワナは淡水に生息する生きた化石の1つ
- 肉食性で、時にはジャンプして木の枝にいる虫を捕食する
- 縁起物としても人気で、美しい個体は数百万円することもある

アクアリウムの世界でひときわ強い存在感を放つ魚、それがアロワナです。古代から姿を変えずに生き残ってきた『生きた化石』と呼ばれる魚であり、力強く優雅な泳ぎ、宝石のように輝く大きな鱗は多くの人を魅了してきました。水族館の大水槽で悠然と泳ぐ姿を見て、その迫力に圧倒された経験を持つ人も少なくないでしょう。
さらにアジアでは縁起物としての評価が高く、富裕層の間で特別な存在とされています。今回は、そんなアロワナの基本情報から特徴・代表的な種類・観察や飼育の方法までをわかりやすく紹介します。

アロワナってどんな魚?基本情報を紹介

アクアリウムでも大人気のアロワナ。まずは大きさや食性など、基本的な情報を紹介します。
アロワナとは?大きさや見た目など
アロワナは、細長い体型に大きな鱗、そして上向きの口が特徴的な淡水魚です。種類によってサイズは異なりますが、成魚になると60cmから1mほどになります。とくにシルバーアロワナなどは大型化しやすく、1mを超える個体も少なくありません。
寿命は飼育下では10〜15年。環境が整っていれば30年生きたという報告もあります。
その見た目は非常に優雅でありながら力強さも感じさせ、泳ぐ姿はまるで龍のようと評されることもあります。こうした迫力と美しさが、アロワナが『観賞魚の王様』と呼ばれる理由の一つです。
アロワナの生息地や生息環境
アロワナは南米・東南アジア・オーストラリアに広く分布しています。アマゾン川流域やメコン川流域のほか、オーストラリアの川や湖にも生息しています。流れが比較的穏やかで、水草や倒木が多い環境が好みです。
アロワナは水面に落ちてきた昆虫を好んで食べます。そのため、川岸にたくさん草木が生えているような場所も好み、水面近くで昆虫が落ちてくるのを待っています。
アロワナは何を食べる?天敵はいる?
アロワナは肉食性で、小魚や甲殻類・カエル・昆虫など幅広い動物を捕食します。野生では驚異的なジャンプ力を活かし、水面上の枝にとまる虫や小鳥を捕らえることもあります。アロワナの口は大きく開くため、獲物を一気に飲み込める構造になっているので、想像以上に大きな餌も食べられるのです。
天敵としては、幼魚の段階では大型肉食魚や鳥類に捕食されることがありますが、成長すると天敵はほとんど存在しません。むしろ川の頂点捕食者として君臨する存在です。
アロワナならではの特徴とは?

ここではアロワナならではの特徴を紹介します。その特徴を知れば、なぜアロワナが多くの人を魅了するのか分かるでしょう。
太古から活きる古代魚の一種
アロワナは恐竜が地球を支配していた時代からほぼ姿を変えずに生き残ってきた古代魚です。数千万年前の化石と現代のアロワナを比べても大きな違いはなく、進化の過程で高い完成度に達していたことがわかります。私たちはアロワナを通して、太古の時代の川の姿を想像することができるのです。
ジャンプして獲物を捕獲する
アロワナは跳躍力に優れ、水面から1〜2mもの高さに飛び上がることができます。この能力を利用して、水辺に張り出した枝にいる昆虫や小動物を捕らえます。水族館でも展示解説で紹介されることが多く、実際に見られると驚きと迫力を感じます。
縁起物として人気
特にアジアアロワナは『龍魚』と呼ばれ、中華圏の富裕層を中心に、金運や成功を呼ぶ魚として人気があります。赤や金に輝く鱗は富や繁栄を象徴し、風水的にも縁起の良い存在とされてきました。そのため高額で取引され、希少性と美しさから観賞魚界の『ステータスシンボル』となっています。
アロワナの仲間全5種を紹介

アロワナの仲間は世界で5種類が確認されています。流通名としてはさまざまなものがありますが、ここでは学術的に分けられた5種類を紹介します。
アクアリウムの定番種シルバーアロワナ

シルバーアロワナはアマゾン川流域に生息し、最もポピュラーな種類の一つです。銀色に輝く体は美しく、体長は1m以上になることも珍しくありません。
養殖された幼魚は安価で比較的手頃で入手しやすいことから、アロワナ入門種としても人気です。ただし成長が早く、水槽は最低でも180cmクラスが必要になるため、本格的な設備を準備する覚悟が求められます。
南米に生息するブラックアロワナ

ブラックアロワナはシルバーアロワナに似ていますが、幼魚期に黒い体色とオレンジ色の模様が出ることが特徴です。この幼魚の姿が美しいため人気が高いですが、成長するとシルバーに近い体色へと変化します。落ち着いた雰囲気を好む愛好家に支持されています。
同じ南米産ですが、アマゾン川の支流であるネグロ川などに生息しています。ブラックウォーターと呼ばれる、腐食さ酸が多く含まれるpHの低い水質が好みです。そのため、飼育の際も水質管理がやや難しいです。
絶滅危惧種のアジアアロワナ

アジアアロワナは名前の通り東南アジアに生息する種類です。『紅龍』『金龍』『緑龍』など多彩な品種が存在します。野生の個体は非常に少なく、ワシントン条約により国際的に厳しく規制されています。
現地では許可を受けた養殖場で養殖され、そこで殖えた証明書が発行されて個体のみ取引可能です。その希少性から価格は非常に高く、中には数百万円に達する個体もいます。美しさと縁起物としての価値から『アロワナの王様』と呼ばれる存在です。
オーストラリア北部に生息するノーザンバラムンディ

ノーザンバラムンディはオーストラリア北部に分布する種類です。他のアロワナに比べると鱗が丸みを帯び、金属のような光沢をしてます。アジアアロワナのような派手さはないものの、野性味あふれる姿で根強いファンが多いです。
最大でも60cmほどと、アロワナの中では小型な種類です。丈夫で環境変化にも強いので、広いスペースさえ用意できれば初心者にもおすすめの種類です。
一番気性の荒いスポテッドバラムンディ

スポッテッドバラムンディはオーストラリア東部の河川に生息しています。最大で90cmほどに成長し、名前の通り体全体に細かいスポット模様が広がるのが大きな特徴です。ノーザンバラムンディに比べると鱗がやや細かく、模様がより明瞭に見えます。
性格は非常に荒く、同種他種含めて混泳ができません。近年では流通量が減り、希少なアロワナの一種になっています。
アロワナを観察するためには

アロワナの魅力に迫るのであれば、実際に観察するのがおすすめです。水族館に行けば手軽に観察できますし、環境を整えれば自宅での飼育も可能です。
水族館で観察しよう
アロワナを観察する最も手軽な方法は水族館を訪れることです。大水槽で悠然と泳ぐ姿は圧巻で、家庭の水槽では味わえないスケールの大きさを実感できます。
水族館によっては、アロワナのジャンプを実際に見られるところもあります。ダイナミックな捕食シーンをぜひ見てみてください。
設備を整えれば飼育もできる
アロワナは自宅での飼育も可能ですが、大型水槽と強力なろ過設備が必要です。最低でも120cm以上、理想は180cm以上の水槽が推奨されます。身体が硬いアジアアロワナやバラムンディは奥行きも1m以上必要です。
水質を安定させるために、高い能力のろ過装置を用意し、そして肉食性に対応した餌の準備も欠かせません。初心者にはハードルが高いですが、しっかりと知識と環境を整えれば家庭でもアロワナの魅力を堪能できます。
アロワナの魅力に迫ろう

アロワナは古代から姿を変えずに生き残り、今もなお人々を魅了し続ける存在です。美しい鱗・迫力あるジャンプ・縁起物としての価値など、他の魚にはない多彩な魅力を持っています。水族館で気軽に観察することもでき、十分な設備と覚悟があれば家庭で飼育することも可能です。
もし大きな水槽と時間、そして愛情を注げる環境があるなら、アロワナはまさに一生を共にできるパートナーとなるでしょう。ぜひその魅力に触れ、古代魚のロマンを感じ取ってみてください。