- ウミガメは50年以上も生きる長寿な生き物
- 気候変動・土地開発・ゴミ問題などによって絶滅の危機に瀕している
- ウミガメは、さまざまな法律で飼育が規制されている

大海原を泳ぎ渡り、何十年も生きるウミガメ。多くの水族館で展示され『浦島太郎』に登場することから、馴染の深い生き物です。そんなウミガメは、実は絶滅の危機に瀕している生き物でもあります。
何となくウミガメのことは知っていても、「何種類いるの?」「他のカメとの違いはあるの?」といった疑問を抱く人も多いでしょう。このコラムでは、そんな疑問を解消するために、ウミガメの基本情報から、日本で見られる5種類の特徴、ウミガメを観察する方法などを解説します。ぜひ参考にしてください。

長寿の象徴!ウミガメの基本情報

ウミガメがどんな生き物なのかを解説します。カメの仲間は広く知られた存在ですが、詳しいことを知らないという人も多いのではないでしょうか。まずはウミガメの基本的なことを学んでいきましょう。
ウミガメとは?ウミガメの基本情報を紹介
ウミガメはカメ目ウミガメ上科に分類されるカメの総称です。名前の通り、一生のほとんどを海の中で過ごします。海での生活に合わせ前肢が大きく発達してヒレのようになり、甲羅はスリムで泳ぐのに適した体型です。
行動範囲がとても広く、海流に乗って移動しエサを求めて長距離を泳ぎます。産卵期になると生まれた海域に戻り交尾・産卵をします。ウミガメは基本的に陸上では歩くことができず、産卵のために砂浜へと上陸する際も、這うように動くのが特徴です。
かなり長生き!ウミガメの寿命は?
ウミガメは非常に長寿な生き物として知られ、種類にもよりますが、50年以上生きるといわれています。中には100年以上生きた個体も確認されており、これが『長寿の象徴』とされる由縁となっています。
生まれてきたウミガメのすべてが長生きするわけではなく、1,000匹のうち1匹が成体まで生き残る程度です。これは、孵化後に海へ向かう際に鳥類やカニ・魚などに捕食されるためです。成体になった後も、シャチやサメなどの天敵による捕食の危険があり、過酷な自然環境を生き抜く必要があります。
ウミガメは絶滅の危機に瀕している
近年ウミガメの個体数は減少し続けており、絶滅の危機に瀕している種も少なくありません。その主な原因は生息地の破壊・気候変動・海洋汚染・乱獲、そして漁業による混獲です。特に産卵地である砂浜の開発や観光地化が進むことで、ウミガメが安全に産卵できる環境が失われています。
種類によっては、海に漂うプラスチックごみを誤って食べてしまい、消化不良を起こして死亡するケースも多いです。
これらの問題に対処するため、各国・各地域でさまざまな保護活動が進められています。特定の海岸を保護区に指定する取り組みや、漁業用の網にウミガメが逃げられる装置をつける技術開発なども行われています。

日本で見られる5種類のウミガメ

世界にはウミガメが7種類いますが、その中で日本で見られるのは5種類です。それぞれ大きさや食性、生息域などが違います。日本で見られる5種類の特徴をみていきましょう。
一番よく見かけるアカウミガメ
アカウミガメは、日本沿岸で最もよく見られるウミガメです。体長は80~100cmほどで、赤褐色の甲羅を持つのが特徴です。産卵のために沖縄県から本州の太平洋側の砂浜に上陸します。肉食性が強く、甲殻類や貝類を好んで食べます。
ダイバーに人気のアオウミガメ
アオウミガメはツルっとした甲羅で、最大で120cmにもなる大型のウミガメです。日本では小笠原諸島や沖縄周辺で見られることが多く、ダイバーたちに人気の存在です。藻類や海草を主に食べる草食性のウミガメで、サンゴ礁周辺でのんびり泳ぐ姿がよく観察されます。
くちばしが尖ったタイマイ
タイマイは、くちばしのように尖った口先を持つのが特徴です。これはサンゴや岩の隙間にある餌を食べるためと考えられます。体長は70~90cmほどで、甲羅には複雑な模様があり、べっ甲細工のために乱獲された歴史があります。タイマイは主に熱帯や亜熱帯のサンゴ礁に生息し、沖縄や奄美大島などではダイビング中に出会える可能性が高いです。
一番大きくなるオサガメ
オサガメはウミガメの中で最も大きく、体長は最大で2.5m、体重は900kgを超えることもあります。他のウミガメと異なり硬い甲羅ではなく、柔らかい革のような皮膚で覆われているのが特徴です。
オサガメは深海を泳ぐ能力があり、最大で1,000m以上の深さまで潜ることができます。主にクラゲを食べるため、ビニールゴミなどを誤って食べて死んでしまう事例が多発しています。日本近海を回遊しますが、確認例は多くありません。産卵の記録は、奄美大島で1回だけあります。
一番小さなヒメウミガメ
ヒメウミガメは最も小型のウミガメで、体長は約60cm程度、体重は45kgほどです。日本近海は本来の生息域ではありませんが、ときおり回遊してきた個体が見られます。
ヒメウミガメは集団で一斉に砂浜へ上陸し、大量に産卵するシンクロナイズド・ネスティング(同調産卵)と呼ばれる習性を持っています。この習性は天敵から卵を守るためと考えられており、数千匹のメスが同時に砂浜に現れる光景は壮観です。
ウミガメは飼育できる?観察するには?

ウミガメの魅力に迫るには、間近で観察することが一番です。むやみに海に探しに行っても、簡単に見つかりものではありません。野生動物であるウミガメを観察する方法を紹介します。
ウミガメの飼育は法律で禁止されている
ウミガメの飼育や流通は、水産資源保護法・ワシントン条約などの法律によって規制されています。国内では学術研究や、特定の地域における食用の漁獲以外で捕獲ができません。海外からの輸入もワシントン条約によって規制されているので、流通することもないです。もし浜辺や港で子ガメを見つけたとしても、絶対に捕獲しないようにしましょう。
まずは水族館に見に行ってみよう
ウミガメを確実に観察したいのであれば、水族館を訪れるのがおすすめです。ウミガメの展示をしている水族館は多く、中には孵化したての子ガメを展示しているところもあります。生態の解説をしているところも多いので、学ぶことも多いでしょう。
産卵の観察会に参加しよう
太平洋側の地域では、ウミガメの産卵を観察するイベントを開催しているところもあります。専門家の解説を聞きながら、産卵する姿を観察できるのはとても貴重な機会です。
ウミガメと産卵地を守るために、観察会ごとにさまざまなルールが定められています。ルールを守って参加しましょう。野生のウミガメですので、参加する際には必ず観察できるわけではないことを理解しておきましょう。
ダイビングやシュノーケリングで見られることも
沖縄や奄美諸島などでは、スキューバダイビングやシュノーケリングでウミガメに遭遇するチャンスもあります。大海原をスイスイと泳ぐ姿や、海底で餌をついばむ姿など、彼らの生活を垣間見ることができます。場所によってはかなり高確率で出会えるポイントもあるので、申込時にリクエストしてみましょう。
ウミガメとウミガメが生きる自然を守ろう

日本では主に5種類のウミガメが見られ、それぞれが異なる生態を持っています。ウミガメは個人での飼育は法律で禁止されているため、水族館や観察会などを通じて観察しましょう。
ウミガメは長寿な生き物でありながらも繊細な生き物で、地球環境の変化に大きく影響を受けています。今のままでは近い将来、絶滅してしまうかもしれません。それを防ぐためにも、ささいなことでも、私たちができることをする必要があります。ウミガメに興味を持ち、ウミガメのことを考えるだけでも未来を守る第一歩となるでしょう。