- タコは200種以上存在し、8本の腕と柔軟な体が特徴
- 道具を使う、迷路を解くなど高い知能を持ち、色や形を変えてカモフラージュも可能
- 短命だが繁殖に全力を注ぐ
- 腕にも神経中枢があり、独自の知能を発達させている

『タコ』と聞くと、普段は食材としてのイメージが強いかもしれません。しかし、タコは驚くほど高い知性を持ち、非常にユニークな生態を持つ海の生き物です。
本記事では、タコの知られざる知性と生態について、具体的なエピソードを交えながら詳しく解説していきます。
タコってどんな生き物?

ここではタコという生き物の生物学的な分類や、タコの体の構造について解説します。
200種類以上にもおよぶタコの分類
動物界 軟体動物門 頭足綱に属し、イカやホタルイカ、コウイカなどと近縁です。
タコには200種類以上の分類があり、日本で一般的に食用とされる『マダコ』や、体長が4mを超えることもある『ミズダコ(オオダコ)』など、世界の海に多様な種類が生息しています。

心臓が3つ!?タコの体の構造
タコは腕が8本あり、腕には無数の吸盤が付いています。骨格を持たないため、非常に柔軟に体を変形させられるのが特徴です。
頭部に当たる部分には三つの心臓と、大きな脳、そして優れた視覚を支える目が存在します。
賢すぎる海の忍者!?タコの知能

タコの知能の高さは、水族館や研究で明らかになってきました。
例えば、ココナッツの殻を持ち歩き、敵が来たら隠れるという『道具』を使う習性が発見されています。また、水槽の迷路を素早くクリアしたり、フタ付きの容器を開けて中の餌を取り出したりすることもできるほど頭がいいのです。
さらには、形や色の違いを学習して記憶することも可能で、経験から学ぶ力を持っています。
カモフラージュの達人!色・形を自在に変える身体能力

タコの知性を語る上で欠かせないのが、色や形を瞬時に変えて周囲の環境に溶け込む能力です。これは『クロマトフォア(色素胞)』という特殊な構造を皮膚に多数持っているためです。
瞬時の体色変化
周囲の岩や海藻、砂の色に合わせてわずか数秒で体の模様や色合いが変わります。
形状の変化
骨格がないため、岩の隙間や砂底に体を潜り込ませて外敵の目を欺きます。
威嚇や求愛
怒ったり、興奮したりすると体全体が赤や白く変化し、感情表現をしているともいわれます。
カモフラージュは狩りの際にも活用されており、じっと獲物を待ち伏せて、近づいた瞬間に捕らえるという戦略をとるタコも多く存在します。
魚介や甲殻類を食べるタコの狩りと生態

タコは肉食のため、魚介類や甲殻類を捕食します。そんなタコの狩りの様子や、繁殖について紹介していきます。
獲物を毒で麻痺させることも!タコの狩りの方法
多くのタコは魚介類や甲殻類を捕食します。吸盤でしっかりと相手を捕らえ、鋭いクチバシ(口)で殻を砕いて食べることも。
また、唾液には毒素を含む種類もあり、獲物を麻痺させて食べやすくする例も知られています。
メスは食事をせずに卵を守る 繁殖と寿命
タコの寿命は種によって異なりますが、一般的には1〜2年程度の短命な種が多いです。
オスとメスが交尾した後、メスは卵を産み、孵化までの数週間から数ヶ月卵を守り続けます。その間ほとんど食事をせず、体力を消耗します。
孵化した子どもたちはプランクトンとして海中を漂い、やがて成長して海底の生活に移行します。
タコの知能が教えてくれること

タコは人間や哺乳類とは異なる進化の道を歩みながら、独自の知能を発達させました。
タコの脳は頭部だけでなく腕にも神経の中枢があり、それぞれがまるで独立して考えているかのように動けるのです。このユニークな神経系を研究することで、生物の知能や環境適応の仕組みを知る手がかりになるかもしれません。
- 脳の構造
タコは脳が頭部だけでなく、腕にも神経の中枢が存在する分散型の神経系を持っています。これは、まるで「腕それぞれが考えている」かのように動きを制御できる仕組みです。
- 学習とコミュニケーション
タコ同士のコミュニケーションや、環境からの学習プロセスを研究することで、生物の知性と環境適応を理解する手がかりになると期待されています。
「海の知性派」タコ、その奥深き世界へ

タコは、驚くほど賢く、変幻自在な体を持つ不思議な生き物。狩りの工夫やカモフラージュの技、そして短い生涯の中で繰り広げられるドラマチックな生態は、知れば知るほど奥深いものです。
タコの研究は今も進んでおり、そのユニークな知性や進化の秘密が少しずつ解き明かされています。水族館でじっくり観察してみると、その魅力にどっぷりハマってしまうかも?
次のお休みには、水族館を訪れて、タコをじっくり観察してみてはどうでしょうか。