- エイはサメと同じ軟骨魚類の仲間
- お腹側の可愛らしい姿が観察のポイント
- エイに実際にふれられる水族館も少なくない

水族館でふわりと泳ぐ姿が印象的なエイ。どこか不思議で、でもどこか可愛い。そんな魅力を持つ海の生き物です。同じ軟骨魚類のサメとどんな違いがあるの?実は毒針をもつ種類も?
この記事では、エイの体のしくみ・泳ぎ方・サメとの違い・水族館での観察ポイントまで、エイの魅力をたっぷり紹介します。読むだけで、次に水族館へ行くのが楽しみになるはずです。
エイってどんな生き物?サメとの違いは?

エイがどんな生き物なのか解説します。まずはエイの基本情報を知っておきましょう。
エイは軟骨魚類の仲間
エイは『軟骨魚類』と呼ばれる魚の仲間です。軟骨魚類とは、名前の通り骨格が硬い骨ではなく、柔らかい軟骨でできている生き物たちのことです。エイのほかに、サメやギンザメといった種類もこのグループに含まれます。
骨が柔らかいことで、水中での身のこなしがとても滑らかになります。水族館の大水槽でひらひらと舞うように泳ぐ姿は、まさに軟骨ならではの特徴です。
エイとサメの違い
エイとサメは同じ軟骨魚類で近い仲間ですが、形状が大きく異なります。エイは体が平べったく、背中側に目が、腹側に口やエラがあります。一方、サメは細長い体で、目や口が頭の側面や前方についていて、一般的な魚と同じような形状です。
泳ぎ方にも違いがあります。サメは尾びれを左右に振って進むのに対し、エイは胸ビレを上下に波打たせるようにして泳ぎます。中には鳥の羽根のように、ヒレを羽ばたかせるように動かす種類もいるので、ぜひ水族館で違いを確かめてみてください。
毒を持つ種類もいる
一部のエイは、尾に毒針を持っており、身の危険を感じるとそれを使って防御します。とくにアカエイは、日本の沿岸でも見られる種類で、海水浴や磯遊び中に誤って踏みつけ、刺される事故が多いです。釣りで釣れることもあり、海遊びの際は注意しましょう。
水族館で観察してみたいエイの仲間5選

エイは世界中で500種類以上確認されています。その中で、水族館でぜひ観察してもらいたい、魅力的な5種類を紹介します。
世界最大のエイ オニイトマキエイ

『マンタ』の名でも知られるオニイトマキエイは、エイの中で最も巨大な種類です。大きなものでは体幅が7mにも達し、その姿はまさに海の王者。ゆったりと水中を飛ぶように泳ぐ姿は、迫力と優雅さを兼ね備えています。
一番身近なエイ アカエイ

日本の海でもよく見られるアカエイは、茶色い体色のエイです。ほかのエイと比べると地味な見た目ですが、身近なアカエイこそ、水族館でじっくりと観察してみてはどうでしょうか?尾に毒針を持っており、海水浴場で踏んでしまう事故もありますが、水族館では安心して観察できます。
インパクト抜群!ノコギリエイ

まるでノコギリのような長い吻(ふん)を持つノコギリエイは、最大で7mにもなるエイです。武器のような吻は、獲物を攻撃するのはもちろん、砂の中の獲物を探すためにも使われます。その特徴的な見た目と大きさで、マンタとは違った存在感があります。
派手な見た目のヒョウモンオトメエイ

名前のとおり、ヒョウ柄のような模様が特徴の美しいエイです。幼魚のうちは斑点模様ですが、成長とともにヒョウ柄へと変化します。その美しい見た目から、水槽内でひときわ目立つ存在です。
優雅に水中を舞うマダラトビエイ

背中に白い斑点を持つマダラトビエイは、水中を優雅に羽ばたくように泳ぐエイです。複数個体で編隊を組むように泳ぐことも多く、その姿は圧巻です。自然下では水面からジャンプする習性を持っています。
水族館でエイの観察を楽しもう

水族館では、エイをボーっと眺めて癒されるのもよいですが、じっくりと観察できるのも水族館ならではです。どんなところに着目したらよいのかを紹介します。
エイの身体の構造を見てみよう!口・エラ・鼻はどこにある?
エイの顔は少し不思議です。目は背中側についているのに、口・鼻・エラはすべてお腹側にあります。水槽の壁面に沿って泳ぐ個体や、トンネル水槽ではエイのお腹側を観察できるので、ぜひ見てみましょう。お腹側を見ると、エイの口がにっこり笑っているように見えることもあり、子どもたちに人気です。
エラはお腹側に穴のように開いており、そこから水を通して呼吸しています。背中側にある『噴水孔』も、呼吸に使われる重要な器官です。じっくりと観察すると、噴水孔から出入りする水の動きも見れます。
給餌タイムは絶好の観察チャンス!
一部の水族館では、給餌をしながら解説を行っているところもあります。スタッフが餌を与える様子は、生態や食性を知るうえでとても参考になるので、ぜひ観察してみてください。
エイが餌を食べるとき、どう口を動かすのか、どんな風に飲み込むのかなど、観察ポイントがたくさんあります。時間を決めて行っているところもあるので、事前にスケジュールを確認しておくとよいでしょう。
タッチプールで肌を触ってみよう!
一部の水族館では、エイにふれることができる『タッチプール』が設置されています。エイにふれる機会はなかなかないので、ぜひ触ってみてください。
多くの人は、エイの体表はヌルヌルしていると思うのではないでしょうか?実はエイの体表はサメ肌と一緒で、ザラザラしています。こういった質感は、実際に触ってみて初めてわかるものです。
複数の種類のエイにふれたり、サメやほかの魚にもふれたりすることもあるので、それぞれ比べてみるのもよいでしょう。
エイを観察できる!全国のおすすめ水族館7選

エイは種類を選ばなければ、多くの水族館で展示されています。今回は、エイを観察するのであれば、ぜひ訪れてもらいたい7つの水族館を紹介します。
沖縄美ら海水族館【沖縄県】
沖縄美ら海水族館は、世界でも有数の巨大水槽『黒潮の海』を擁する水族館です。この水槽では、世界最大のエイであるオニイトマキエイを間近で観察することができます。それ以外にも黒い体色を持つ希少なブラックマンタや、ウシバナトビエイ・イトマキエイ・マダラトビエイ・ウシエイなど大型の種類が豊富で、それぞれの違いを観察するのも面白いです。
所在地 | 沖縄県国頭郡本部町石川424 |
アクセス | 那覇空港より高速道路で約2時間 |
営業時間 | 通常期8:30~18:30(入館17:30まで) 繁忙期・GW・7月下旬~8月は20:00または21:00まで延長あり |
休館日 | なし(台風等による臨時休館除く) |
入場料金 | 大人:2,180円 高校生:1,440円 小・中学生:710円 |
駐車場 | 約1,900台 |

海遊館【大阪府】
大阪にある海遊館は、ジンベエザメの泳ぐ巨大な太平洋水槽が有名ですが、ナンヨウマンタ・イトマキエイ・ウシバナトビエイ・ヒョウモンオトメエイなど大型のエイも見ごたえがあります。水槽の中をゆっくりと舞うエイたちの姿は、ジンベエザメと並ぶ海の主役級の存在感です。上下左右から水槽を眺められる構造になっているため、エイの泳ぎ方や体の構造をさまざまな角度から観察できるのも嬉しいポイントです。
所在地 | 大阪府大阪市港区海岸通1-1-10 |
アクセス | 大阪メトロ 中央線 「大阪港駅(海遊館前)」より徒歩約5分 |
営業時間 | 季節、曜日で変動。詳細は公式サイトにて |
休館日 | 不定休あり |
入場料金 | 変動制(カレンダーによって異なる)。詳細は公式サイトにて |
駐車場 | 約1,000台 |
マクセル アクアパーク品川【東京都】
都市型水族館の代表格であるアクアパーク品川は、プロジェクションマッピングや音楽演出など、五感を使った展示が特徴的な水族館です。エイの種類は多くないものの、世界で唯一展示の『ドワーフソーフィッシュ』を含む、ノコギリエイの仲間が3種類も展示されています。珍しい種類を見てみたい人にはとてもおすすめです。
所在地 | 東京都港区高輪4‑10‑30(品川プリンスホテル内) |
アクセス | JR・京急品川駅より徒歩2分 |
営業時間 | 9:00~21:00(最終入場20:00)※季節変動あり |
休館日 | 無休 |
入場料金 | 高校生以上:2,500円 小・中学生:1,300円 幼児:800円 |
駐車場 | 約750台 |
鳥羽水族館【三重県】
三重県の鳥羽水族館は、国内でもトップクラスの飼育種類数を誇る大型水族館です。アカエイ・ホシエイ・ツバクロエイなどの近海の種類が多いですが、個体数が多く見ごたえがあります。タッチプールでは実際にエイに触れるので、エイの身体を体感してみたい人におすすめです。
所在地 | 三重県鳥羽市鳥羽3‑3‑6 |
アクセス | JR・近鉄鳥羽駅より徒歩約10分 |
営業時間 | 9:30~17:00(GW・夏季は9:00~17:30) |
休館日 | 無休 |
入場料金 | 高校生以上:2,800円 小・中学生:1,600円 幼児:800円 |
駐車場 | 約500台 |
アクアワールド茨城県大洗水族館【茨城県】
茨城県にあるアクアワールド大洗は、日本で一番多くサメを飼育展示している水族館です。サメの近縁であるエイも多く展示されているので、サメと見比べながら観察するのも面白いです。広々とした水槽で泳ぎや給餌風景をじっくり観察できるため、エイの生態についてもっと知りたいという好奇心を刺激してくれるでしょう。
所在地 | 茨城県東茨城郡大洗町磯浜町8252‑3 |
アクセス | 那珂湊駅よりバスで6~7分(茨大前営業所ゆき) |
営業時間 | 9:00~17:00(最終入館16:00) |
休館日 | なし(台風等による臨時休館除く) |
入場料金 | 高校生以上:2,300円 小・中学生:1,100円 幼児:400円 |
駐車場 | 約750台 |
横浜八景島シーパラダイス【神奈川県】
神奈川県の八景島シーパラダイスには、アカエイやヒョウモンオトメエイ・マダラトビエイなど、さまざまなエイが展示されています。特に東京湾を再現したタッチプールは、直接海水に入ってタッチできます。さまざまな生き物の肌触りや体の動きを肌で感じることができ、大人も子どもも一緒になって楽しめる水族館です。
所在地 | 神奈川県横浜市金沢区八景島 |
アクセス | シーサイドライン八景島駅直結 |
営業時間 | 通常10:30~17:00(季節による変動あり) |
休館日 | 無休 |
入場料金 | 高校生以上:3,500円 小・中学生:2,200円 幼児:1,200円(特定日は変動あり) |
駐車場 | 約1,500台 |
登別マリンパークニクス【北海道】
北海道にある登別マリンパークニクスでは、冷たい海に生息するエイが展示されています。南の海に生息する種類のように派手さはないものの、その地域ならではの種類が見られるのは嬉しいポイントです。ホシエイにふれるタッチプールも人気です。
所在地 | 北海道登別市登別東町1‑22 |
アクセス | JR登別駅より徒歩約5分 |
営業時間 | 9:00~17:00 |
休館日 | 無休(4月に保守休館日あり) |
入場料金 | 中学生以上:3,000円 4歳以上:1,500円 |
駐車場 | 約750台 |
水族館で優雅に舞うエイに癒されよう

エイは、見た目の美しさや優雅な泳ぎだけでなく、体の構造や生態にも多くの魅力が詰まった生き物です。水族館は、そんなエイの魅力を間近で感じられる絶好の場所。お腹側もじっくりと観察でき、施設によってはふれることもできます。
またひとくちにエイといっても、種類によって大きさも生態もさまざまです。水族館によってみられる種類も違うので、ぜひいろいろな施設に足を運んで、じっくり観察してみてください。