- カラスの知能は人間の7歳程度!人間の顔も覚えられる
- 40種類以上の言語を操り、仲間とのコミュニケーションを大切にする
- カラスの飼育は課題が山積み。飼育環境の整備を徹底しよう

カラスは、人間社会にもっとも身近な鳥といえるでしょう。
黒い体に黒い瞳。少し怖いイメージを持たれやすいカラスですが、コミュニケーション力が高く、知的な遊びも楽しむ『人間らしい生き物』でもあるのです。
今回は、カラスの特徴や飼育について紹介します。クールでちょっぴりお茶目なカラスの世界を、一緒に覗いてみませんか?
カラスってどんな生き物?基本情報を紹介!

ここではカラスの基本的な情報を紹介します。
私たちの生活に身近な鳥でありながら、ミステリアスな部分も多いカラス。ぜひこの機会に、人間の隣人ともいえるカラスについて詳しくなってみましょう!
木の上に巣をつくる一夫一妻制の鳥
カラスは、鳥類カラス科の生き物を総称した生き物です。木の上に巣をつくる一夫一妻制の鳥で、家族で群れを作って生活しています。
電柱に巣をつくることで、停電の原因になってしまうことも。鳴き声の騒音やゴミ漁りなど、何かと人間とのトラブルも多い鳥だからこそ、お互いに適切な距離感での共存が求められます。
警戒心が強く臆病な性格
カラスは、警戒心が強く臆病な性格をしています。基本的に人間には必要以上に近づきませんが、縄張り意識が高いため、自身のテリトリーに入った人間には攻撃的になることもあります。
とくに5~7月は子育て時期になるため、うっかり巣の近くを通ると威嚇されることも少なくありません。
カラスの寿命は7~8年
カラスの寿命は、種族全体で見ると10~20年程度です。しかし日本でよく見かけるハシブトガラスやハシボソガラスの寿命は、平均よりやや短めの7~8年程度といわれています。
知能が高い生き物であるため、ほかの野鳥よりも餌を見つけたり危険を察知したりする能力が高く、寿命が長い傾向にあります。
雑食性のカラス。食べられる餌が豊富!
カラスを語るうえで欠かせないのが、その雑食性です。よくカラスはゴミ捨て場を漁るイメージがありますが、ほかの鳥がゴミ漁りをしている姿は滅多に見かけませんよね。
その理由は、ゴミ捨て場にあるものは「カラスにしか食べられないようなもの」だから。カラスは木の実や昆虫だけではなく、生ごみや動物の骨など、ほかの生き物にとっては毒になるようなものまで食べてしまいます。
カラスの見ている世界はとても詳細で色鮮やか

カラスはとても視力がよく、色を識別する能力もあわせ持つ鳥だということを知っていますか?
ここではそんなカラスの見ている世界について紹介していきます。
カラスには人間の5倍の視力がある!?
カラスや猛禽類などの鳥の仲間には、優れた視力を持つ種類がいます。それは遠くの小さなものを鮮明に見分けたり、細かい動きを捕捉することで、餌を獲ったり危険を察知したりするためなのだとか。
また、カラスは夜になっても人間程度には目が見えているそうで、鶏にいわれるような鳥目ではないようです。
カラスは色を見分ける能力も優れているため、遠くからでもゴミ袋の中身を識別でき、この特徴がゴミ漁りにつながっていると考えられています。
人間と同じ色を識別できる
カラスは犬や猫とは異なり、4色型色覚で色を識別できます。つまり、世界を人間と同じ色で見分けられるのです。
さらに紫外線も識別できるため、もしかするとカラスは人間以上に色彩や奥行きが豊かな世界で生きているのかもしれません。
『カラスは光るものが好き』の真偽は?
カラスの視力のよさは、ビー玉やガラスなどの光るものを好むことにもつながっています。遠くの光る物に気づいたり、色の識別能力に優れているため『遊びの一環』として光るものを集めるのだとか。
知能が高いカラスにとって、キラキラと光る物体は『集めたくなるもの』『興味を惹くもの』として映ります。光の反射が好奇心を刺激し、ついコレクションしたくなるのだといわれています。
頭がいい鳥の代表格!カラスの知能はどれくらい?

カラスは、頭がいい鳥の代表格といえる存在です。ここでは、カラスの知能の高さについてさらに詳しく解説していきます。
簡単な仕掛けやパズル程度なら、人間のように解いてしまうカラス。そんなカラスの驚きの知能について深掘りしていきましょう。
カラスの知能は、人間の7歳程度の高さ
カラスの知能は、なんと人間の7歳程度だといわれています。つまり、簡単な足し算や引き算程度であれば理解できるほどの知能を持ってるんです。
人間の言葉も覚えられるだけではなく、生きるために人間をまねして『自分に興味を持たせる』という手段を選ぶことも。
さらに鳴き声やイタズラなどのコミュニケーションを通して、人間の喜怒哀楽の反応が返ってくるのを待つこともあります!
カラスの脳化指数(脳の発達の度合いを示す目安の数)は、犬や猫よりも高いといわれています。犬や猫が覚えられるような物事は、理論上カラスにも覚えられてしまうんです。
コミュニケーション能力・記憶力も抜群!
カラスの知能を語るうえで外せないのが、コミュニケーション能力や記憶力です。カラスの記憶力は5年程度といわれており、過去には9年以上同じ人間の顔を覚えていたという事例もあるほどです。
餌を貯める習性もあり『どこに隠したか』や『何をどれくらい隠したか』などもしっかり覚えているんです。
危険が近づいたら鳴き声で仲間に伝え、必要とあれば攻撃を仕掛けます。カラスは少なくとも40種類以上の『カラス語』を持っており、状況に応じて使い分けていることがわかっています。
野生のカラスはペットにできるの?SNSで飼っている人がいるけど…

SNSで、カラスを飼育する人を見たことがある人もいるでしょう。「カラスってペットにできるんだ!」と驚いたかもしれませんが、カラスをペットとして飼育するためには厳しい条件が存在しています。
そもそもカラスは、鳥獣保護法により保護されている野鳥です。理由は、自然界の生態系バランスが崩れるのを防ぐため。基本的には、カラスの捕獲や飼育は違法行為となってしまいます。
ただし『ケガによる保護』や『ペットショップでの購入』などは例外です。保護の場合は役所へ申請する必要がありますが、ショップでの購入であれば一般的なペットと同様に飼育ができます。
カラスを飼育する際のポイント・注意点

ここでは、カラスを飼育する際のポイントや注意点などを紹介します。
カラスは、ペットとしてはとても認知度が低い生き物。飼育方法を発信しているメディアも少なく、診察の経験がある獣医師も少ない傾向にあります。
飼育の際は販売者と相談しながら、カラスに必要な環境をしっかり整えたうえで、慎重にお迎えを検討していきましょう。
カラス用の大きな鳥かごを用意しよう
カラスの飼育でまずハードルとなるのが、生活空間の確保です。カラスは大きく育つと55cm以上に成長することもあり、通常の鳥かごや犬用ケージなどでは到底飼育できません。
基本的には鳥小屋のような大型鳥用ケージが必要になります。両翼を広げると90cm近くにもなるため、十分な空間の余裕が求められます。
▼おすすめの大型鳥かご
綺麗好きな人には向かない生き物
カラスの飼育は、糞との闘いと言っても過言ではありません。カラスは犬や猫とは比べ物にならないほど頻繁に糞をする生き物であり、しかも一度の排泄による糞の量が多いのです。
室内に放すと、そこら中に糞を撒き散らしてしまうため、綺麗好きな人には向かない生き物といえるでしょう。
またカラスはとってもアクティブな生き物。手あたり次第に物を壊してしまうこともあるため、文鳥や小型インコと同じ感覚では飼育できません。
声量が大きく、防音対策は必須
カラスは、仲間同士のコミュニケーションを重視する鳥です。自分の声を届けるために鳴き声はとても大きく、集合住宅には向かない生き物です。
一軒家であっても、余程近隣との距離がない限り、防音対策は必須といえるでしょう。
水浴びが大好き!濡れてもいい場所を用意しよう

『カラスの行水』という言葉は、一般的にはとても短い入浴時間を意味し、風呂嫌いを想像させる言葉ですが、実はカラスは大の水好き。羽に付着した汚れや虫などを落とすために、頻繁に水浴びを楽しみます。
気温が4℃以下の真冬でもお構いなしに水浴びをするため、濡れてもいい『水浴び場』の用意は必須です。ときには汚れとは関係なく、ただ水遊びを楽しんでいる様子も見られます。
食べられるものが多すぎる…販売者に相談するのが吉
カラスほど『何でも食べてしまう鳥』はほかにいないでしょう。虫も木の実も生の肉も、ザリガニも爬虫類も動物の糞ですらも、驚くほど何でも食べてしまいます。
だからこそ、飼育では何を食べさせればいいのかわからずに悩みがちに。ゼロから食の好みを探すよりは、販売者に「この子は何が好きですか?」と聞くのが確実です。
環境変化が少ない場所で飼育しよう
実はカラスの心はデリケート。環境の変化に弱く、小さなことでストレスをためやすい生き物でもあります。
引越しはもちろん、家具やインテリアが少し変わるだけでも心のバランスを崩してしまいがち。またお世話をする人が毎回違うような状況でも、不安や警戒を抱いてしまいます。
カラスの飼育では、人も空間もなるべく変化がないように努めましょう。
生活のそばに生きる鳥、カラスをもっと身近に感じてみよう!

今回は、カラスの生態や飼育のポイントなどを紹介しました。
ときには『不吉の象徴』のようなイメージを持たれるカラス。しかし実際は、家族や仲間への意識が高く、コミュニケーションを大切にする賢い生き物です。
キラキラしたものや水遊びが大好きな一面には、人間臭さすら感じられますよね。次にカラスを見かけたら、少し表情を覗いてみませんか?もしかしたらカラスのほうも、こちらの表情を観察しているかもしれませんよ!