野良猫にエサをあげてはいけない理由とは?エサやりOKな猫の特徴も解説

記事をシェア

まとめ
  • 野良猫へのむやみなエサやりは、人間も猫も不幸になる
  • エサをあげる際は『あげてもいい猫』を知ることが大切
  • 自治体やボランティアのサイトから情報を集めよう

野良猫のエサやりについては、日々さまざまな意見が交わされています。

実は日本では、野良猫へのエサやりは法律で禁止されていません。しかし猫や地域を心から大切に思っているのであれば、エサやりを控えるべきケースが多いといえます。

今回は、野良猫にむやみにエサをあげてはいけない理由や、エサをあげられる猫との違いを紹介します。人間のエサやりが野良猫に与える影響を学び、正しいコミュニケーションについて考えていきましょう。

目次

野良猫にむやみにエサを与えてはいけない5つの理由

ここでは、野良猫にむやみにエサを与えてはいけない理由を紹介します。

動物好きな人からすると、「おいしそうにエサを食べる野良猫を見たい!」と思うこともありますよね。しかし野良猫へのエサやりは、猫自身の不幸につながってしまう可能性があります。

ぜひこの機会にエサやりの弊害について学び、野良猫との関わり方を考えていきましょう。

1.過剰に繁殖してしまう

野良猫にエサをやると、猫が過剰に繁殖してしまうリスクがあります。猫は1年に2~3回の出産が可能な生き物であり、1回の出産で3~8匹ほどの子猫を生みます。社会が抱えられる以上の数の子猫が生まれると、殺処分や事故のリスクが高まってしまうのです。

また野良猫が生きる野生の世界は厳しいもの。せっかく健康に生まれても、狩りができずに飢えて死んでしまうことも少なくありません。人間の介入による過剰な繁殖は、不幸な猫の増加につながります。

2.近隣の衛生問題のリスクがある

野良猫にむやみにエサを与えると、近隣の衛生問題のリスクも上がります。具体的には、野良猫の糞尿やエサの腐敗による被害です。

たとえば野良猫に缶詰めを与えたまま立ち去ると、食べ残しが少しずつ腐敗していきます。その結果、害虫を寄せ付けたり異臭を放ったりなど、さまざまなトラブルの原因になります。

また野良猫の糞は水分が少なく、水に溶けにくいことを知っていますか?雨が降ってもその場に残り、近隣住民が片付ける羽目になってしまうのです。

3.自力で生きる力を失ってしまう

人間からエサを与えられた猫は、「自分で狩りをしなくても人間がごはんをくれる」と学習してしまいます。

たとえばエサを与えている人間が引っ越した場合や、エサやりに飽きて中途半端に投げ出した場合、後に残るのは自分でエサを狩る能力を失った猫だけです。

野生で生きるにおいて、狩猟能力は生死や飢えに直結します。野良猫への無責任なエサやりは、猫が生きる力を奪う行為ともいえるのです。

4.猫の健康上の問題がある

猫には、年齢や状態ごとに適したフードがあります。ペットとして猫を飼っている場合でも、痩せすぎの猫には高カロリーの食事、アレルギー持ちの猫には特定の素材が含まれていない食事などを使い分けますよね。

野良猫も、状態によって『適した食事』が異なります。もちろん猫自身が自分に合った食事を摂れるとは限りませんが、人間が与えた食事によって病気や症状が進行してしまう可能性があります。

5.悪意のあるいたずらの被害が増える

世の中には、猫が嫌いな人や、猫に強い憎しみを持っている人もいるものです。悲しいことに、野良猫に対して悪意のあるいたずらをする人も少なくありません。

エサやりによって人間への警戒心が薄まった猫は、危険察知能力が低くなる可能性があります。その結果、毒入りのエサを気づかずに食べてしまうこともあるでしょう。

たとえば港町に住む野良猫は、『毒がある魚や腐った魚を見分ける』のような危機察知能力を持っている場合があります。しかし人間に心を許しすぎると、そのような『自分の身を守る能力』が薄れてしまうのです。

人間からエサを与えられている『さくら猫』『地域猫』とは?

上記の理由から、基本的に『野良猫にエサやりをするのはNG』です。しかし一部例外として、与え方を守ることでエサやりがOKとされている猫がいます。

地域住民や保護団体、自治体の管理によりエサやりができる猫が、さくら猫』と『地域猫です。ここでは、さくら猫・地域猫の意味を紹介します。

さくら猫とは『避妊去勢手術が終わっている猫

さくら猫とは、避妊手術や去勢手術が終わり、一代の命であることが決定している猫です。

手術を終えた証として、耳の先が『V字型』にカットされていることが特徴です。このカットが桜の花びらに見えるため、さくら猫と呼ばれています。

さくら猫は生殖機能を失っているため、過剰に繁殖するリスクはありません。さくら猫を増やす活動(=野良猫に避妊去勢手術をして元の場所に返す活動)は『TNR活動(Trap:捕獲・Neuter:去勢・Return:リリースの略語)と呼ばれ、全国各地で展開されています。

地域猫とは『地域住民によって世話をされている猫

さくら猫のなかには『地域猫』と呼ばれる、地域住民や保護団体により管理されながら暮らす猫もいます。

さくら猫は『手術後は元いた場所に戻す』のが主流ですが、地域猫はさらに『手術後は地域住民が協力してお世話をする』という特徴を持ちます。

地域猫食事や排泄などの世話や管理をされながら、地域と共生する猫なのです。地域猫活動は、動物愛護だけではなく、地球環境を守るという観点でも拡大中です。

野良猫にエサをあげる際のポイント・注意点

ここでは、野良猫にエサをあげる際のポイントや注意点を紹介します。「エサをあげていい猫なら、どんなあげ方でもOK」というわけではありません。猫や地域ごとのルールを守り、猫も人も穏やかに暮らせる関係性を築いていきましょう。

ボランティアに参加し、エサをあげていい猫を知る

野良猫にエサをあげる際は、地域が展開しているボランティアに参加することから始めます。なぜなら耳がカットされている猫であっても、適した食事の種類や量が異なる可能性があるからです。

野良猫へのエサやりでは『どの猫に・どのエサを・誰が・どの位の量を・いつあげるのか』のルールを共有することが大切です。「さくら猫や地域猫であれば自由にエサをあげてもいい」というわけではありませんので、注意してください。

糞尿の清掃や食器の片づけなどを責任持っておこなう

ボランティアや野良猫関連のコミュニティに参加することで、さまざまなルールを教えてもらえます。地域ごとにさまざまなルールがありますが、共通しているのは『糞尿の清掃や食器の片付けへの責任』です。

そもそもTNR活動や地域猫活動は、不幸な猫を減らすためだけではなく、人間と猫の共生のためにもおこなわれています。猫を大切にするあまり、地域住民の負担を増やしてしまっては本末転倒です。

コミュニティ内の役割分担や給餌ルールをしっかり確認し、清掃の負担や衛生被害を他者に押し付けないように心がけましょう。

地域・自治体ごとに発表されているルールを確認する

TNR活動や地域猫活動は、現在も全国に拡大中です。ルールは地域や自治体ごとに定められており、市区町村のホームページで詳細が公開されています。

野良猫のエサやりに関する活動をおこなう際は、まず活動地域の自治体情報をチェックしましょう。自治体によって、活動を希望する際の連絡先(対応している保険センターや役所の課など)も異なります。

野良猫へのエサやりは基本NG。自治体やボランティアの情報を確認しよう

今回は、野良猫にむやみにエサをあげてはいけない理由や、あげる際に気をつけるべき点などを紹介しました。

「野良猫にエサをあげたい」と思える人は、総じて動物に愛情を持っている人といえるでしょう。

「少しでも野良猫がお腹を満たせるように」「飢える猫が減るように」。そんな想いがあるからこそ、善意からエサをあげたくなるものですよね。

しかし現実問題として、知識不足なエサやりは、猫にとってのリスクを高めてしまう行為になります。エサをあげたくなるほどに猫や地域を愛せる人であれば、猫の不幸を減らす方法もきっと冷静に考えられるはず。

ぜひ本記事をきっかけに、野良猫との共生やTNR活動について調べてみてほしいです。エサやり以外にも、一人ひとりが野良猫のためにできることは必ず存在しています。

METLOZAPPのアバター

METLOZAPP

METLOZAPP

あらゆるジャンルを縦横無尽に駆け巡る雑食系ライター。元ペットショップ販売員として表彰経験あり。SEOを中心に、執筆記事は2,000本以上。アニマル・メンタルヘルス・ウェルビーイングなどを中心に、毎日の充実度がちょっぴり高まる記事を発信中。

関連記事

Tier

動物ファンが集う動画
SNSアプリ Tier (ティア)

目次