- タヌキには、夜行性・雑食性・凶暴な一面がある
- タヌキは飼育目的では捕獲できない
- タヌキと犬・猫の赤ちゃんは、想像しているより似ているため間違いやすい
- 毛の抜けたタヌキは疥癬症かもしれないため、さわらないようにしよう
タヌキは、信楽焼のモチーフにもなり、日本人に親しまれている動物です。「他抜き」という語呂合わせから、お店の入り口に置いておくと、他を抜いて商売繁盛につながる縁起物として、昔から大切にされてきました。
たれ目のような模様に、まんまるなフォルムの愛らしいタヌキ。ペットとして飼ってみたいと思ったことはありませんか?そこで今回は、タヌキを拾ってしまったときの対応や、犬・猫の赤ちゃんとの見分け方を解説します。タヌキについて知識を深めてみましょう。
タヌキってどんな動物?
昔話にもよく登場する動物で、日本人には身近な存在のタヌキですが、どのような動物か知っていますか?ここからは、タヌキのことを学んでみましょう。
タヌキとは?
タヌキは、哺乳網食肉目イヌ科タヌキ属の動物です。生息地は、日本の本州・四国・九州、海を越えてヨーロッパにも生息しています。
タヌキはアライグマに似ていることから、英語では「raccoon(アライグマ)dog」と名付けられました。タヌキのほとんどが日本に生息していることから「Japanese raccoon dog」とも呼ばれています。
タヌキの特徴
日本に生息しているタヌキは、ホンドタヌキ・エゾタヌキの2種類です。タヌキは、外来種も含めて約6種類いるとされています。
- ホンドタヌキ:本州・四国・九州など日本に広く分布
- エゾタヌキ:北海道に分布
- タイリクタヌキ:中国の東部、ベトナム北部に分布
- コライタヌキ:朝鮮半島に分布
- ウスリータヌキ:ロシアのウスリー地方・アムール地方、中国の東北部に分布
- ウンナンタヌキ:中国の雲南省に分布
種類にもよりますが、タヌキの体長は約50cm〜70cmです。体重は約4〜6kgあり、小型犬と同じくらいの重さです。
野生のタヌキの生態と特徴
タヌキはイヌ科タヌキ属で、大きさや体重も小型犬と似ていることがわかりましたね。ここでは、犬とは違った特徴がある、野生のタヌキの生態を解説します。
野生のタヌキは夜行性
野生のタヌキは、人間が休み始める時間帯から活発になります。タヌキは夜行性であるため、夜に餌探しやなわばりにマーキングをします。ときには鳴き声が聞こえてくることもあるでしょう。
なんでも食べる雑食性
タヌキは雑食性の動物です。果物・昆虫・ネズミ・カエルなど、なんでも食べられます。都市部や農村部では、生ゴミや農作物も食べてしまうため、人間を困らせています。
タヌキには、特定の場所に群れで糞をする「ため糞」の習性があり、悪臭や病原菌を媒介するケースもみられます。雑食性の動物の糞は、特に臭いが強い傾向があるそうです。
実は臆病な性格
タヌキは警戒心が強く、実は臆病な性格をしています。タヌキがピンチになったとき、死んだふりをしてその場をやり過ごす習性は「タヌキ寝入り」の由来にもなっています。
タヌキは、小さな音にもおどろいてしまうほど臆病なため、人間にすぐになつくようなことはありません。時間をかけて距離を縮めても、なつかないこともあるでしょう。
凶暴な一面がある
身の危険を感じたタヌキは、臆病ゆえに激しく反応し、人間にケガをさせるほど凶暴になります。必死に抵抗し暴れる姿は、普段のおっとりした印象から想像できないようなパワーです。タヌキの威嚇は、低くうなるような、犬に似た声をあげます。
寿命は約4〜8年
野生のたぬきの寿命は、約4〜8年といわれています。雑食であるため食べ物には困りにくいタヌキですが、森林伐採などの影響で、街におりてきたときに交通事故にあうこともあり、野生下では長く生きられません。
タヌキってペットとして飼えるの?
タヌキはペットとして飼えるのでしょうか?タヌキを飼いたいと思ったときに、知っておいてほしい法律を紹介します。
知っておきたい「鳥獣保護管理法」
鳥獣保護管理法では、鳥獣を「鳥類または哺乳類に属する野生動物」と定義しています。タヌキも鳥獣保護管理法の対象です。
タヌキを飼育目的で捕獲することは、法律違反にあたります。輸出や輸入も禁止され、ブリーダーもいないため、タヌキは流通していません。したがってタヌキの値段も不明です。タヌキは拾ってはいけない、基本的にはペットにできないと覚えておきましょう。
タヌキを拾ってしまったらどうしたらいいの?
もしタヌキを拾ってしまったら、どうしたらいいのでしょうか?鳥獣保護管理法の例外として、ケガをしたタヌキは一時的な保護が可能です。タヌキを保護するためには、市町村に飼育許可の申請が必要になります。タヌキを保護したときは、忘れずに届け出ましょう。
飼育許可があれば一時的に保護することはできますが、タヌキは想像しているよりも飼育がむずかしく、犬と同じように飼うことはできません。人もタヌキも不幸になってしまわないように、まずはタヌキをむやみに拾わないようにしましょう。
タヌキと犬や猫の赤ちゃんは似ている!?
「おじいちゃんが犬と間違えて拾ってきた」でおなじみのタヌキ。動物好きなTierライターも、さすがに犬・猫の赤ちゃんとは区別がつくと思っていました。ここからは、思っている以上に間違いやすい、タヌキと犬・猫の赤ちゃんを比較してみましょう。
間違いやすい「タヌキと子猫」
A.
B.
画像提供:@Tanuki_Mumさん
A・Bどちらが赤ちゃんタヌキでしょうか?
正解は、Aが子タヌキ、Bが子猫です。タヌキと猫の赤ちゃんは体格も鳴き声も似ているため、見分けるのは非常に困難です。タヌキのほうがマズルが長く、しっぽの形が違うところで見分けましょう。
タヌキの繁殖期は、2月下旬から4月にかけてです。妊娠期間は、約60〜65日。5〜9匹ほどの赤ちゃんを産みます。子猫のような鳴き声の黒っぽい動物を見つけたときは、子猫と間違えて保護しないように気をつけましょう。
間違いやすい「タヌキと子犬」
A.
B.
画像提供:@1966SFさん
A・Bのどちらが赤ちゃんタヌキでしょうか?
正解は、Aが子タヌキ、Bが子犬です。タヌキと子犬は見た目が似ていますが、タヌキよりも子犬のほうが少し大きい傾向があります。黒っぽい赤ちゃんを見つけたときは、すぐにさわらず、親が帰ってくるのを静かに待ってみましょう。
人間の匂いがついてしまうと、母タヌキが自分の子どもかわからなくなってしまうことがあります。犬・猫と似ている赤ちゃんタヌキを、拾ってしまわないようにすることが大切です。
野生のタヌキを犬や猫と間違って拾ってしまい、自分たちで保護できない場合は、タヌキの保護センターや保護団体を探して相談するようにしましょう。
毛の抜けたタヌキに気をつけて!
タヌキを見つけたときに気をつけたい動物由来の感染症は「疥癬症」です。疥癬症は、ヒゼンダニによって引き起こされる皮膚病です。
感染した場合は、かゆみによる脱毛や皮膚の状態悪化により体温調節が行えず、衰弱し死に至ります。飼っているペットや人間にも感染するため、注意が必要です。
近年、疥癬症にかかっているタヌキの目撃情報が増加傾向にあります。毛の抜けたタヌキを見つけたときは、絶対に素手でさわらないようにしましょう。
タヌキを拾ってしまったら市町村に飼育許可の申請をしよう
今回は、タヌキを拾ってしまったときの対応や、犬・猫の赤ちゃんとの見分け方を解説しました。
愛嬌のあるタヌキをペットにしてみたい気持ちもわかりますが、飼育目的では飼えないことを理解しましょう。もしタヌキを拾ってしまったときは、鳥獣保護管理法を守り、市町村や鳥獣保護団体に問合せをして相談しましょう。
タヌキは犬と似ているところもありますが、飼育のむずかしい野生動物であるため、飼うことはおすすめできません。お互いのストレスにならないためにも、タヌキをむやみに拾わないように心がけていきましょう。
野鳥のヒナを飼うことはできる?もし見つけたらどう対応するべきかをまとめています。ぜひチェックしてみてください。