- 長浜高校水族館部にはショーなどを担当するイベント班がある
- 長浜高校水族館では海獣ではなく魚がショーを観せてくれる
- 魚はトレーニングによって学習する
- 長浜高校水族館は4月20日に新しい場所でリニューアルオープン!
日本で唯一の高校生が運営する水族館「長浜高校水族館」。そこでは魚もショーを見せてくれるのだとか。
海獣ではなく、魚が活躍するショーとはいったいどのようなものなのでしょうか?
長浜高校水族館部のイベント班に所属し、ハマチショーの担当をしている尾上駈さんと森愛佳さん、イシダイサッカーショーを担当している山地知成さんと金津沙知さんにお話を聞きました。
◆取材・監修:飼育スタッフ
イベント班の副班長。イベント班の先輩の活動に惹かれてイベント班に。新しいショーを次々と考案するメンバーを統率する班長を助け、イベント班の運営を担っている。
中学3年生の時に見学した、長浜高校水族館のMCに魅せられて、長浜高校に入学を決めたのだそう。実際にMCをやる夢が叶い、ハマチのショー活動にも熱が入っている。
生物好きが高じて、高校から本格的に生物に携われることに魅力を感じ、大阪から長浜高校に入学。水族館部でも新しいことに挑戦するのが楽しいと語る。今はイシダイの魅力を他の人にも知ってほしいと、イシダイのショーを担当。
水族館部に入部するために、はるばる東京から長浜高校に入学を決めたという行動派。普段から物を見ると「これ、ショーに使えないかな?」と考えてしまうという筋金入りの水族館好き。
ハマチってどんな魚?
長浜高校水族館では、ハマチが輪くぐりを見せてくれるのだそうです。ハマチと聞くと、なんとなくお寿司やお刺身をイメージしてしまいがちですが、輪くぐりをするというハマチとは、どのような魚なのでしょうか?
出世魚のハマチの名前、全部言える?
出世魚として知られるハマチですが、成長するとブリと呼ばれるようになります。呼び名のたくさんあるハマチの名前について、お二人に聞いてみました。
ハマチの呼び名は日本全国にいろいろあって、全部合わせると144あると言われています。
関東と関西でも呼び名は違いますが、長浜では10cmくらいで藻にくっついている時期を「モジャコ」。40cmくらいになると「ヤズ」。60cmくらいの時期を「ハマチ」。80cmくらいになると「ブリ」と呼ぶようになります。
ハマチに輪くぐりをさせようと考えたきっかけは?
ハマチが輪くぐりをするという発想はどこから思いついたのでしょうか。
5年ほど前に卒業した先輩の発案だと聞いています。
ハマチの水槽を管理していた先輩が「輪くぐりさせたら面白いんじゃない?」ってところから始まって、そこから引き継がれて続いているショーなんです。
これからも後輩に引き継いでいきます。
ハマチは学習するって本当?
魚が学習すると聞くと不思議に思ってしまいますが、ハマチはどのようにして学習するのでしょうか?
最初は小型の水槽に輪っかを設置して、慣れさせるところから始めます。慣れてきたら輪っかをくぐったらエサをあげるようにします。
繰り返しているうちに、輪っかをくぐるとエサがもらえることを魚も学習します。
最初はエサありですが、そのうちエサがなくても輪っかをくぐるようになります。
トレーニング秘話
ハマチのトレーニングに関して、最初はいろいろ苦労もあったようです。
もともと釣られて水族館に来た魚なので、最初は人間や環境に対して警戒心がとても強いんです。
ですから輪っかを水槽に入れると、最初は怖がって輪っかに寄ってきてくれません。
「人間はこわくないよ。この環境は安心して大丈夫だよ」と、わかってもらうまでがなかなか大変なんです。
イシダイはサッカーする!
水族館のもう1つの目玉として、イシダイサッカーショーがあります。こちらのショーについて、山地さんと金津さんにお話を聞きました。
イシダイってどんな魚?
そもそも、イシダイとはどんな魚なのか、解説してもらいました。
イシダイはとても好奇心の強い魚なんです。人にも興味を持って寄ってきてくれる好奇心の強さは、他の魚にはないところです。
特に幼魚の時には警戒心が薄く、大人になるに従ってだんだん警戒心が強くなっていきます。
ほかにもイシダイの特徴としてはクチビルがとがっていることがあります。他の魚のクチビルはもっと分厚いので、イシダイはサッカーに適してるといえますね。
どうしてイシダイにサッカーをさせようと思ったの?
イシダイにサッカーをさせようと思ったきっかけについて聞きました。
始まりは1年半ほど前に漁師さんが釣った幼魚を譲ってもらったことでした。
飼育してみてわかったことは、イシダイはとても好奇心の強い魚だということ。
「この特徴を知ってもらうにはどうすればいいだろう?」
そう話し合ううちに出てきたのが、イシダイの魅力や生態を知れるショーをやろう!ということでした。
そこから1年ほどかけて準備をして、2023年の夏頃から、やっとショーとして形になった感じです。
イシダイにサッカーをさせるために
イシダイは好奇心の強い魚だということはわかりました。ではイシダイにサッカーをさせるためにどのような工夫があったのでしょうか。
まずはボールを怖がらなくなるようにするところから始めました。
最初はボールをつついたらエサをあげる。これを繰り返すうちにイシダイが学習してくれます。
あとは技を覚えてもらうために、ゴールできたらエサをあげる。これを繰り返します。
エサをちょうだい!って下から見つめてくるイシダイの目がウルウルしてとってもかわいいんですよ!
長浜高等学校水族館は2024年4月20日リニュアルオープン!
長浜高校水族館は2024年の3月の開館日を休館とし、1ヶ月をかけて新しい水族館に生まれ変わりました。
毎月第3土曜日に開催される水族館は、1週間前からの予約制だそうです。
3月に行われた水槽のお引越しを経て、ついに新しい水族館へ
長浜高校は、松山方面から大洲市に向かう国道378号線沿いという立地です。
新しい水族館は、松山から大洲市方面に向かって378号線を長浜高校の手前で右折した場所にあります。
長浜高校からは道を挟んで向かい側にある建物ですが、大きな水槽を移動するのはなかなか大変な作業。春休みも利用して、部員一丸となって取り組んだのだそうです。
新しい水族館のレイアウトも、水族館部がみんなで考えて決めたのだとか。
今後のイベントでやりたいこと
常に新しいショーのことを考えているというイベント班のメンバーたち。これからどんなショーを考えているのでしょうか。
100均なんかに行くと「ショーやイベントでコレ使えるかな⁉️」と、すぐ考えてしまいます(笑)
そんなふわふわした思いつきから新しいアイディアも広がります。
イシダイショーのバリエーションももっと増やしたいですし、まだまだやりたいことはたくさんあります!
魚好きの高校生が全国から集まる水族館を観に行こう!
愛媛県立長浜高校には、全国から水族館部を目当てに、魚好きな生徒が集まってきます。
北は北海道から南は沖縄まで、日本各地から魚好きが集まり、それぞれが魚の持つ魅力を最大限に伝えてくれる展示を観せてくれます。
「一つひとつの展示について詳しく解説をするのが長浜高校水族館の最大の魅力」と言われるほど、他の水族館ではなかなか受けられない説明をしてくれる魅力的な水族館です。
四国を訪れる機会があったら、ぜひ魚好きな高校生に、魚についてレクチャーしてもらいましょう!
◆施設情報
長高水族館
所在地:愛媛県大洲市長浜甲576番地(長浜保健センター内)
入館料:無料
公開日:毎月第3土曜日のみ開館(事前予約制)
電話:0893-52-1251(愛媛県立長浜高等学校内 長高水族館)
営業時間:11:00~15:00
駐車場:あり(長浜港湾緑地50台)※高校内には駐車できません
以下の記事では、長高水族館部の魅力を紹介しています!