- 日本の航空会社は、基本的にペットと飛行機に同乗はできない
- ペットは手荷物・貨物として、飛行機の貨物室に搭乗する
- 現状、日本でペットと同乗できる航空会社は「スターフライヤー」のみ
- 同乗した場合でも、緊急時にはペットは機内に置いていかなくてはならない
昨今、ペットの飛行機の搭乗について多くの意見が発信されています。「ペットの安全を守るために飛行機には乗せない」という人もいますが、何らかの事情でどうしてもペットを乗せなければいけないケースもあるでしょう。
今回は、ペットの飛行機事情について紹介します。ペットと一緒に搭乗できる飛行機会社や、同乗の際の注意点についても解説していきます。被災や引越しなど万が一の事態に備え、飛行機におけるペット同乗のあり方について学んでいきましょう。
そもそもペットと一緒に飛行機に乗れるの?
ペットと飛行機に同乗できるかどうかは、航空会社によって異なります。日本における多くの航空会社では、ペットと一緒に飛行機に同乗することはできません。もしくは、飛行機に乗せること自体が不可となっています。
ここでは、ペットを飛行機に搭乗させるための一般的な方法や注意点について紹介します。
動物用のチケットは必要?
ペットを貨物室に乗せる際は、ペット用の搭乗チケットは必要ありません。その代わり、一般的な貨物を輸送する際に発生する「輸送料金」が必要になります。
多くの航空会社における輸送料金は、ペット用のキャリーケース・ケージ1個につき3,000~6,000円です。また会社によっては、貨物(ペット)+ケージ代金が必要になる場合もあります。
チェックイン時の注意
受付でチェックインする際は、夏場は冷却グッズ、冬場はカイロ・ヒーター系のグッズを用意します。なぜなら、貨物室は客室内とほぼ同じ空調が保たれていますが、季節や環境によって温暖差が大きくなる可能性があるからです。
また飛行中はペットに食事を与えられません。あらかじめ食事は済ませ、水分補給も行っておきましょう。航空会社によっては、ケージ内に給水器を設置してくれるサービスもあります(水は飼主が用意)。
動物は基本的に貨物室に乗ることに
ペットを飛行機に乗せる際は、空港で手続きを行った後、飛行機の貨物室にキャリーごと乗せられます。原則として、どの航空会社においてもペットは「貨物・小荷物」として取り扱われます。
ただしペット同伴NGの飛行機の場合でも、公的機関にて認定された盲導犬・聴導犬・介助犬などは、特別な取り扱いとして同伴可能です。
目的地での受け取り方を事前に確認しておく
ペットの受け取り方は、航空会社によって異なります。たとえばJALやANAでは、到着ロビーの手荷物受取エリアにて受け取ります。ソラシドエアでは、係員に到着を告げた後、手渡しでペットを持って来てくれるシステムです。
飛行中にペットが体調を崩していても、飛行機が規約通りの運行を行っていた場合は、会社側からのケアは基本的にありません。普段と様子が違う際にすぐに対応できるよう、到着地の動物病院を調べておくと安心です。
ペットと席で一緒に過ごせる航空会社もある
日本の航空会社において、唯一「ペットと一緒に搭乗できる会社」がスターフライヤーです。スターフライヤーでは、ペット同乗サービス「FLY WITH PET!」を提供しています。ここでは、スターフライヤーならではの取り組みについて紹介します。
スターフライヤーの取組み
スターフライヤーの「FLY WITH PET!」は、ペットと飛行機に同乗できるサービスです。料金はペット1匹5万円で、シートカバーをつけた専用の席にキャリーを設置するシステムになっています。
海外は日本とは異なり、さまざまな航空会社がペットと同乗可能です。しかし同乗時は会社ごとのルールがあり、使用するケージの形状やペットの種類、年齢などの規定が存在しています。
参考:Yahoo!ニュース「ペット(犬・猫)と同伴搭乗できる飛行機、海外には結構あります」
以下の記事では、スターフライヤーの「FLY WITH PET!」について詳しく紹介しています。
席に動物を連れて行く際の注意点
「FLY WITH PET!」を利用してペットを同乗させる際は、おむつ着用が必要です。また狂犬病予防ワクチンと混合ワクチン(3種以上)の接収証明書の確認が求められます。同乗時に必要なケージやハーネスは、飼主が持参します。
機内では原則としてペットをケージ・キャリーから出せず、餌も与えられません(給水器の利用による飲水は可能)。事前に長時間の密閉空間に耐えられるよう練習しておきましょう。また被毛の飛び散りを防ぐため、出発前日までにできる限りトリミングやブラッシングを終わらせておくのがマナーです。
ペットを飛行機に乗せる時に気をつけること
ここでは、ペットを飛行機に乗せる際に気をつけるべきポイントを紹介します。
- 飛行機に向かない性格でないかをチェック
- 必要なしつけをしっかりとしておく
- 初めて乗せる前には事前に獣医師に相談を
- 動物の搭乗にはリスクが伴うことを理解しておく
「ペットの同乗が難しい」と感じたら、諦めて別の方法を探すのも一つの手段です。人間とペットの負担が最小限になるように、ベストな選択を行いましょう。
飛行機に向かない性格をチェック
人間と同様に、ペットの性格も千差万別です。以下に、飛行機の搭乗に向かないペットの性格の特徴を記載します。
- 警戒心が強く、緊張しやすい
- 環境の変化に弱く、心身を崩しやすい
- 臆病で、大きな音や揺れを怖がる
- 極度の甘えん坊・寂しがり屋
飛行機に向かない性格のペットは、搭乗の不安から吠えてしまったり、嘔吐や下痢などの症状が出たりする可能性があります。目安として、車やバスでも緊張しやすい子や酔いやすい子は、飛行機の搭乗はまだ早いと考えましょう。
必要なしつけをしっかりとしておく
ペットを飛行機に乗せる際は、必要なしつけをしっかりと行う必要があります。公共マナーにおけるしつけといえば、トイレを思い浮かべる人も多いでしょう。
しかしペットとの同乗ではおむつ着用が必須のため、粗相は大きな問題ではありません(おむつに慣れさせるしつけは大切です)。
最も重要といえるしつけは「吠え癖」です。不安やストレスからペットが吠えてしまうと、機内の乗客に大きな迷惑がかかります。
飛行機の環境に少しでも適応してもらうため、自宅での留守番時や移動時にキャリーや音に慣れさせましょう。くれぐれも、吠え癖が十分に直らないまま搭乗させないよう心がけてください。
初めて乗せる前には事前に獣医師に相談を
ペットを初めて飛行機に乗せる際は、事前にかかりつけの獣医師に相談すると安心です。ペットの犬種や性格・体格・体質・疾患などの情報から、その子に適した対処法を提案してもらえる可能性があります。
たとえばすぐに暴れてしまう子や鳴き続けてしまう子などの場合は、眠らせたりリラックスさせたりしてから搭乗させる方法も。相談内容によっては、ペット用の睡眠薬やサプリメントを処方してもらえるかもしれません。
動物の搭乗にはリスクが伴うことを理解しておく
世の中の安全に「絶対」はありません。飛行機に乗っている以上、何かしらの事故やアクシデントに見舞われる可能性は必ず存在しています。
2024年1月には、JALの旅客機と海上保安庁の航空機との衝突事故により、2匹のペットが貨物室で命を失いました。
スターフライヤーを利用してペットと同乗した場合でも、非常時にはペットを機内に置いていかなければなりません。なぜならペットは「手荷物」扱いであり、非常時はスマホや財布を含む一切の手荷物を持てないからです。
もちろん緊急時の酸素サービスも、人間用しか用意されません。
キャリーやペットによって脱出用のシェルターに穴が空いてしまうと、後続の人が降りられなくなり、すべての人の命に関わります。
また乗客が全員脱出しない限り、乗務員は脱出できません。万が一の際はペットを機内に置いていく覚悟がなければ、同乗はできないのです。
非常時は客室乗務員の指示が絶対であり、例外はありません。ペットの搭乗には常にリスクが伴うことを、あらかじめ理解しておきましょう。
ペットとの飛行機同乗では、徹底したしつけと事前準備が大切
今回は、ペットとの飛行機同乗について紹介しました。ペットと飛行機に乗るためには、事前に同乗用の訓練が求められます。狭い空間に慣れさせるだけではなく、音・揺れへの慣れや吠え癖のしつけが必要です。
「普段から車に乗っているから大丈夫!」と楽観視せず、飛行機の機内を想定した訓練を行いましょう。普段はお利口な子でも、機内では突然不安になってしまいがちです。
飼主の姿が見え、声の聞こえる状態で乗る車と、飼主がどこにいるのかわからない状態で貨物室に預けられる飛行機では全く環境が違います。飛行機に同乗する際は、環境変化によるストレスをケアする方法の準備を忘れないようにしましょう。