【大募集中】盲導犬育成を支える飼育ボランティアのお仕事大解剖!

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まとめ
  • 盲導犬に関わる飼育ボランティアは必要不可欠なお仕事
  • ボランティアには必要な条件があり、それぞれの内容ごとに要確認
  • ボランティアには協会のサポートや、ボランティア仲間からのアドバイスもある

盲導犬1頭が育つためには、多くの人手が必要です。盲導犬を育てるために、たくさんのボランティアの人たちがその活動を支えています。

この記事では、盲導犬育成のためにどのようなボランティア活動がされているのかを解説し、現在募集のあるボランティアについても紹介します。

盲導犬に興味を持っている人や、ボランティアに興味のあるという人は、ぜひ参考にしてください。

◆取材・監修:公益財団法人 日本盲導犬協会

取材先・監修

公益財団法人 日本盲導犬協会

1967年8月に厚生省の認可を受け、日本で最初に設立された盲導犬育成団体。視覚障害者の自立と社会参加を推進するために、動物福祉の精神を尊重した盲導犬の育成・訓練、視覚障害リハビリテーション訓練などを行い、視覚障害者の福祉の増進と社会のバリアフリーの促進に寄与している。全国に4ヶ所の訓練センターを有し、200人以上の盲導犬ユーザー(使用者)がいる日本最大規模の協会。

目次

盲導犬の育成を支えるボランティアのお仕事内容

盲導犬はたくさんの人に支えられて育てられているのだそうです。それは日本盲導犬協会のスタッフだけではなく、多くの一般のボランティアの人々の支えがあってこそなのだとか。ここでは盲導犬の育成を支えるボランティアについて紹介します。

盲導犬に関わるボランティアに興味のある人は、参考にしてみてください。

盲導犬候補のパピーを育む繁殖犬ボランティア

盲導犬の親犬を家庭で飼育して、必要に応じてセンターに送迎するボランティアなのだそうです。

盲導犬を育成するためには必要不可欠なボランティアでありながら、なかなか知っている人も少ないため、応募の少ないボランティアなのだそう。

繁殖犬について、また繁殖犬ボランティアの詳しい仕事内容について聞きました。

日本盲導犬協会

繁殖犬は、ラブラドールとゴールデンのレトリーバー種です。 繁殖犬として認定されるのは、 おおよそ1歳半くらいからです。
 
その後繁殖犬として活躍します。 メス犬の場合は、シーズン(発情出血)がきた時点で交配の有無に関わらず協会に連絡をして頂き、交配・出産・子育てを行います。

Tierzine編集部

シーズンになると、協会へ繁殖犬を送っていくという感じなのですね。そのまましばらくは協会に繁殖犬を預ける感じなのでしょうか?

日本盲導犬協会

交配・出産をした場合、母犬は子犬が生後50日頃まで子育てをします。 その後子犬たちと離れ、繁殖犬飼育ボランティア宅に帰宅します。

オス犬の場合は、交配の予定がある場合は協会へ連れてきて頂き、 交配がおわったらボランティア宅に帰宅します。
繁殖犬を引退した後は、家庭犬として生涯飼育をお願いしています。

繁殖犬飼育ボランティアの基本条件や申込みフォームについては、こちらを確認してください。

訓練犬からキャリアチェンジした犬を支える

盲導犬になるための訓練中に、別の道へ進む犬たちがいます。そんなキャリアチェンジをした犬たちを育成するボランティアも存在するのだそうです。

そんなキャリアチェンジ犬に関わるボランティアについて話してもらいました。

日本盲導犬協会

キャリアチェンジ犬の犬種は、主にラブラドール・レトリーバーとゴールデン・レトリーバーです。盲導犬になるための訓練の過程で、訓練士が盲導犬にはしないと判断した若い犬(1~2歳)になります。

このキャリアチェンジ犬を、天寿を全うするまで家族の一員として迎え入れてくださる家庭を募集しています。

Tierzine編集部

キャリアチェンジした犬たちには何かお仕事があったりするのでしょうか?

日本盲導犬協会

普及推進活動の場でデモンストレーションなどを行う盲導犬PR犬として活躍することもありますが、家庭犬となることが多いです。

ただ早い段階でキャリアチェンジとなった場合、十分に訓練されていないこともあります。

キャリアチェンジ犬飼育ボランティアの基本条件や申込みフォームについては、こちらを確認してください。

盲導犬候補のパピーを育てるパピーウォーカー

盲導犬候補となるパピー(子犬)を家庭で育てるボランティア。パピーに、将来盲導犬ユーザーと安心して暮らしていけるよう必要なことを学ばせていきます。

いろいろなルールを覚えたり、経験を積ませてあげる必要のあるというボランティアは、どのくらいの期間、どのようなことをするのでしょうか。

日本盲導犬協会

盲導犬候補のパピーを生後 2ヶ月から 1歳前後までの約10ヶ月間、家族の一員として迎え、人と一緒に安心して暮らすための関係づくりと家庭でのルールを教えていただくボランティアです。

将来盲導犬になった時のことを想定して、さまざまな経験をさせてもらうようお願いしています。

Tierzine編集部

新しい経験をさせてあげるというと、具体的にはどのような経験が必要なのでしょうか?

日本盲導犬協会

毎日のお散歩で体験する車や電車の音・雨や雪・人混み・いろいろな場所へのおでかけをするなどです。こうした経験はパピーにとって、多様な刺激を受け入れるための練習となります。

パピーは家族とともにさまざまな経験や出会いをする中で、社会や家庭の中で暮らすためのルールを学んでいきます。その中で人への親しみや信頼感が築かれ、将来目の見えない・見えにくい方との生活がスムーズに送れるようになるのです。

パピーウォーカーの基本条件や申込みフォームについては、こちらを確認してください。

引退した盲導犬の新しい家族になる

盲導犬は、およそ10歳になると活動を引退します。引退した盲導犬を、家族として迎えるボランティアがあるそうです。

引退犬を預かるボランティアとはどのようなものなのでしょうか。

日本盲導犬協会

引退した盲導犬を家族の一員として迎えていただき、看取りまでを担っていただくボランティアです。

引退犬は主に、ラブラドールやゴールデンのレトリーバー種なので大型犬です。体重は20~30kg程度あり、好奇心旺盛で人懐っこい犬種です。約8年間を盲導犬として活動した後、引退した10歳前後の犬になります。

Tierzine編集部

引退後にさせてあげなければいけないことや、別のお仕事などあるのでしょうか?

日本盲導犬協会

引退後は、 新しい家庭で一般の家庭犬のように、のんびりと余生を過ごします。特にお仕事などはありません。

引退犬飼育ボランティアのおかげで、盲導犬ユーザーは安心して、新しい盲導犬と歩くことができるのです。
ただ、いつも引退犬がいるわけではないことをご理解ください。

引退犬飼育ボランティアの基本条件や申込みフォームについては、こちらを確認してください。

日本盲導犬協会の訓練施設は全国に4ヶ所

日本盲導犬協会の訓練施設は全国にあり、訓練センターそれぞれで募集しているボランティアの内容が違います。

またボランティアの内容によっては、訓練センターの最寄りに住んでいることが条件のものもあるため、興味を持った人は、訓練センターごとの詳細をHPで確認してください。

神奈川訓練センター

神奈川訓練センターは、横浜市にあります。近くに住んでいるという人は、詳細を確認してみてください。

所在地:神奈川県横浜市港北区新吉田町6001−9

神奈川訓練センターのボランティア情報はこちら

仙台訓練センター

仙台市にある訓練センターです。ボランティアによっては車で通えることも条件にあるため、興味のある人は詳細を参照してください。

所在地:宮城県仙台市青葉区茂庭字松倉12−2

仙台訓練センターのボランティア情報はこちら

日本盲導犬総合センター(富士ハーネス)

盲導犬の一生をトータルでケアできる設備の整ったセンターで、静岡県富士宮市に広い敷地を有した見学可能な施設です。

所在地:静岡県富士宮市人穴381

日本盲導犬総合センター(富士ハーネス)のボランティア情報はこちら

島根あさひ訓練センター

島根県浜田市にある訓練センターです。2025年6月現在、中国四国地域で唯一の訓練センターとなっています。

所在地:島根県浜田市旭町丸原155−15

島根あさひ訓練センターのボランティア情報はこちら

訓練の様子を知りたいと思ったら

富士ハーネスではおよそ40分間の盲導犬のデモンストレーションを見学することができます。

盲導犬の役割や、視覚障害のある人のサポートの仕方など、学びたいと思ったら、訪れてみてはどうでしょうか。

富士ハーネス・盲導犬デモンストレーションの詳細はこちら

ボランティアに参加したい!と、思ったら

ボランティアについて紹介してきました。「ぜひ、やってみたい!」と思ったら、行動してみましょう。

応募の方法は仕事内容ごとに条件などが変わりますので、それぞれの内容について詳しくは公式HPを参照してください。

全ての応募にはそれぞれ登録申込みが必要になります。

パピーウォーカーの募集条件と応募方法

2025年5月現在、一番募集の多いボランティアです。車での送迎が必須のボランティアになります。ほかの条件については下記を参照してください。

パピーウォーカーになるためには登録が必要です。登録申込み用の書式も同様のページから参照できます。

パピーウォーカーについての詳細はこちら

繁殖犬飼育ボランティアの募集条件と応募方法

繁殖犬ボランティアも、車での犬の送迎が必要になります。申込みから登録までの流れ、登録申込みの書式はこちらを参照してください。

繁殖犬飼育ボランティアについての詳細はこちら

キャリアチェンジ犬飼育ボランティアの募集条件と応募方法

キャリアチェンジ犬の場合は譲渡という形になります。車での送迎などは必要ありませんが、飼育環境についての条件があります。譲渡契約までの流れなども下記で詳しく紹介されていますので、確認してください。

キャリアチェンジ犬飼育ボランティアについての詳細はこちら

引退犬飼育ボランティアの募集条件と応募方法

引退犬の場合、最期の時まで犬を飼育することになります。訓練センターへの送迎などもあるため、車が必要になります。申込みから実際にボランティアとして活動するまでに、時間がかかることがあります。

申込みの書式や流れについては下記を参照してください。

引退犬飼育ボランティアについての詳細はこちら

ボランティア参加者のコメント

「ボランティアには興味があるけど、どんなことをすればいいのかわからない」「盲導犬という特別な犬に対して自分ができることのイメージがわかない」と思う人も多いと思います。

ここからは実際にボランティアに参加した人のコメントを、日本盲導犬協会HPの『ボランティア活動体験レポート』記事から抜粋し、いくつか紹介します。

詳しく読んでみたいと思ったら、各ボランティア参加者の紹介ページへリンクを貼ってありますので、こちらを参考に、ボランティアに参加したときのイメージをふくらませてみてください。

初めてのことをなるべく減らしてあげたい

パピーウォーカーとして2頭目の犬を迎え、活動するご夫婦のお話です。

訓練センターにパピーウォーカー(PW)が集まるイベントの様子や、さまざまな環境へパピーを連れ出す様子などが紹介されています。

PWとしてのあり方を悩んだ際の解決方法や、PWとしての生活の楽しみ方などが書かれたコメントは、パピーと一緒に送る生活の豊かさを教えてくれます。

パピーウォーカー参加者のコメントはこちら

颯爽と歩く盲導犬の姿にほれぼれ

引退犬2頭と先住犬と暮らすご家族のお話です。

先住犬と引退犬との関係や、ご家族の引退犬との向き合い方、シニア期の犬のサポートの仕方など、さまざまな工夫をしていることがわかります。

犬たちからもらった大切なものを、犬たちにお返ししたい」と話すご家族の暖かいコメントが紹介されています。

引退犬飼育ボランティア参加者のコメントはこちら

2ヶ月までのパピーたちのお世話も楽しい

今までに自宅で3回の出産を迎えたという、繁殖犬ボランティアの4人家族のお話です。

家族が一丸となって繁殖犬をサポートする様子や、実際に体験した出産の様子、生まれたパピーを2ヶ月間預かる様子が生き生きと語られています。

忙しい中にやりがいを感じられるやりとりは、命の大切さも教えてくれます。

繁殖犬飼育ボランティア参加者のコメントはこちら

盲導犬は人の手で育てるから、人が大好きになる!

盲導犬として活躍する犬たちの影には、犬を支える多くの人がいることがわかりました。日本盲導犬協会の活動を支える多くのボランティアの人々は、盲導犬を育てることを楽しんでいることもよくわかりました。

盲導犬に興味がわいたという人は、ぜひボランティアへの参加も検討してみてください。

施設情報

公益財団法人 日本盲導犬協会

目の見えない人、目の見えにくい人が、

行きたい時に、行きたい場所へ行くことができるように

私たちは、安全で快適な盲導犬との歩行を提供します。

この使命のもと、盲導犬の育成のほか、視覚障害リハビリテーションを行っている。全国に4ヶ所の訓練センターを有し、200人以上の盲導犬ユーザー(使用者)がいる日本最大規模の協会。

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YUMI

YUMI

子どもの頃から動物好きで、今までに飼った動物は犬・猫・ウサギ・プレーリードッグ・十姉妹・熱帯魚・カブトガニetc。
今も保護犬と暮らすエディター兼ライターです。エディター歴は15年以上。動物と旅行と美味しいものとクラゲをこよなく愛する、子育て中の母でもあります。

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