- ベタは品種改良が盛んで、さまざまな色彩・ヒレの形の個体がいる
- ベタの飼育では最低でも5L以上の水槽を用意する
- オス同士の混泳は厳禁で、レイアウトもシンプルにする

ベタは、色鮮やかなヒレと独特の存在感で、古くから多くのアクアリストを魅了してきた熱帯魚です。小型水槽でも飼育できることから初心者にも人気がある一方で、飼育にはいくつかのポイントを押さえる必要があります。
この記事では、ベタの基本的な特徴から飼育方法、注意点まで詳しく解説していきます。ベタの魅力を知り、適切な飼育環境を整えて、この美しい熱帯魚との暮らしを楽しみましょう。
ベタとはどんな魚?特徴は?

ベタは東南アジア原産の淡水魚で、その美しい姿と飼いやすさから世界中で親しまれています。ここでは、ベタの基本的な特徴や生態について紹介します。
ベタの基本情報と性格
ベタは、東南アジアが原産地の熱帯魚です。野生のベタは比較的地味な体色をしていますが、品種改良によって現在では赤・青・白・黄色など多彩な色合いの個体が流通しています。
性格は非常に縄張り意識が強く、特にオス同士は激しく争う習性があることで知られています。この攻撃的な性質から、タイでは『闘魚』として古くから親しまれてきました。一方で、飼主に対しては慣れやすく、水槽に近づくと寄ってくることもあります。
ベタの大きさや寿命
ベタの成魚の大きさは、ヒレを除いた体長で約5〜6cmになります。ヒレを含めると品種によってはさらに大きく見えるでしょう。小型の熱帯魚に分類されるため、限られたスペースでも飼育を始められる点が魅力です。
寿命はおおよそ2〜3年ですが、飼育環境や水質管理が適切であれば、それ以上生きる個体もいます。ただし、コップのような極小容器で飼育すると、ストレスや水質悪化により寿命が大幅に短くなってしまうため注意が必要です。健康に長生きさせるためには、適切なサイズの水槽と定期的な水換えが欠かせません。
特殊な呼吸器官、ラビリンス器官をもつ魚
ベタの最大の特徴のひとつが『ラビリンス器官』と呼ばれる特殊な呼吸器官を持っていることです。この器官により、ベタは水中の溶存酸素だけでなく、水面の上から空気中の酸素を直接取り込むことができます。
原産地は、雨季と乾季で水量が大きく変動する環境が存在します。ベタはこうした酸素の少ない水域でも生き延びられるよう、進化の過程でラビリンス器官を獲得しました。
オス同士は激しく争う!気性の荒さの理由
ベタのオスは、同じ水槽内に複数匹入れると激しく争い、最悪の場合は命を落とすこともあります。この攻撃性は、野生環境での縄張り争いに由来するものです。威嚇時にはヒレを広げる『フレアリング』という行動で自分を大きく見せることで、相手を威圧します。
人気の改良品種ベタ5選

ベタには長年の品種改良によって、さまざまなヒレの形や色彩を持つ品種が生まれています。ここでは特に人気のある代表的な品種を5つ紹介します。それぞれ異なる魅力があるため、好みに合わせて選ぶ楽しみがあるでしょう。
定番で飼いやすい│トラディショナルベタ

※画像はイメージです
トラディショナルベタは、最も一般的に流通している品種で、初心者にもおすすめです。ヒレは適度な長さがあり、泳ぎやすさと見た目の華やかさのバランスが取れています。赤・青・白など単色の個体が多く、シンプルながらも美しい姿が魅力的です。
価格は500円〜1,500円と比較的手頃で、ホームセンターやアクアリウムショップで手に入りやすい点も人気の理由といえます。ヒレが極端に長くないため、他の品種と比べて水流の影響を受けにくく、飼育の難易度も低めです。
迫力ある短ヒレが魅力│プラカット

※画像はイメージです
プラカットは、野生のベタに近い短いヒレを持つ品種です。ヒレが短い分、泳ぎが機敏で力強く、活発に動き回る姿を楽しめます。体つきもがっしりしており、他の品種とは異なる迫力を感じられるでしょう。
タイでは闘魚として使われることもあり、気性の荒さは他の品種よりもやや強い傾向があります。価格は1,000円〜2,500円が一般的で、色彩や体型の美しさによってはさらに高価な個体も存在します。
扇のように広がる│ハーフムーン

※画像はイメージです
ハーフムーンは、尾ビレを広げたときに半円形になることからその名が付けられました。ヒレが大きく広がる姿は圧巻で、観賞価値が非常に高い品種です。色彩も豊富で、単色から複数色が混ざったマーブル模様まで多様な個体が流通しています。
ただし、ヒレが大きく重いため、水流の強いフィルターは避ける必要があります。価格は2,000円〜5,000円で、美しい個体になると1万円を超えることもあるでしょう。
切れ込みが特徴の│クラウンテール

※画像はイメージです
クラウンテールは、尾ビレや各ヒレに王冠のような切れ込みが入る独特の見た目を持つ品種です。ヒレの先端が尖り、ギザギザとした輪郭が特徴で、他の品種にはない個性を楽しめます。赤や青の鮮やかな色彩と相まって、存在感のある姿が人気です。
価格は1,500円〜3,000円が中心で、美しさによってはさらに高価になります。ヒレの切れ込みが深いほど価値が高いとされています。
華な見た目の人気種│ダブルテール

※画像はイメージです
ダブルテールは、尾ビレが上下に分かれて二股になっている品種です。背ビレも通常より大きく広がるため、全体的にボリューム感があり、華やかな印象を与えます。泳ぐ姿はゆったりとしていて、優雅な雰囲気を楽しめるでしょう。
色彩のバリエーションも豊富で、単色からグラデーション、メタリックな光沢を持つ個体まで存在します。価格は2,000円〜4,000円が一般的です。
ベタの基本の飼い方

ベタは比較的丈夫な魚ですが、健康に長生きさせるためには適切な飼育環境を整えることが大切です。ここでは、ベタ飼育に必要な用品や日々の世話について解説します。
飼育に必要なもの
ベタの飼育では、最低限そろえておきたい基本的な用品があります。ここでは、快適な環境を作るために必要なアイテムを紹介します。
小型でもOK│水槽
ベタは小型魚であり、ラビリンス器官をもつことから、小さな水槽でも飼育できます。それでも最低5リットル以上、理想的には30cm水槽(約12L)以上のサイズが推奨されます。コップや1L以下の容器での飼育は、水質が急激に悪化しやすく、ベタに大きなストレスを与えるのでおすすめできません。
水槽が大きいほど水質は安定しやすく、温度変化も緩やかになるため、ベタを長生きさせることができます。また、水量に余裕があると日々の管理も楽になるでしょう。
水質を保つ│フィルター
ベタはラビリンス器官をもち、水面上から呼吸できますし、水質変化に強いです。また長いヒレを持つ個体は、フィルターによる水流がかえってストレスとなる場合もあるので、フィルターを設置せずに飼育する方法もあります。
しかし水質維持のしやすさの観点から、フィルターは設置したほうがよいです。シンプルなスポンジフィルターや外掛け式フィルターがおすすめ。水流を調整できるタイプを選ぶとよいでしょう。
適温を保つ│ヒーター
ベタは熱帯魚なので、水温を24〜28℃に保つ必要があります。特に冬場は室温が下がるため、ヒーターは必須アイテムです。水槽のサイズに合わせたワット数のヒーターを選び、サーモスタット機能付きのものを使用すると温度管理が簡単になります。
体色を引き立てる│照明
照明は必須ではありませんが、設置することでベタの美しい体色をより鮮やかに観賞できます。また、昼夜のリズムを作ることで、ベタの生活サイクルを整える効果もあるでしょう。LEDライトは発熱が少なく電気代も抑えられるため、長時間使用に適しています。
ベタの餌の与え方
ベタの餌は、人工飼料が栄養バランスに優れておりおすすめです。水面に浮くものを選び、1日1〜2回・2〜3分で食べきれる量を与えます。
食べ残しは水質悪化の原因になるため、与えすぎには注意が必要です。ベタは食欲旺盛で、餌をねだるような仕草を見せることもありますが、肥満は健康に良くありません。
水換えの頻度とポイント
ベタの健康を保つには、定期的な水換えが欠かせません。週に1回・水量の3分の1程度を目安に、小型水槽の場合はもう少し増やしてもよいでしょう。底に溜まった汚れやフンは、ホースで吸い出すようにしましょう。
新しい水は、カルキ抜きをした水道水を使用し、水温を水槽内と同じくらいに調整してから注ぎます。温度差があると、ベタがショックを受けて体調を崩す恐れがあるため注意してください。
ベタ飼育のポイントと注意点

ベタを健康に飼育するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。ここでは、特に注意すべき点について詳しく解説します。
始めは水槽で飼育しよう
ベタはコップなどの容器でも飼育できるという情報を目にすることがありますが、おすすめできません。確かにラビリンス器官を持つため酸素の少ない環境でも呼吸できます。それは『生存できる』というだけで『健康に飼育できる』こととは異なります。
小さな容器では、水質が急速に悪化し、水温も不安定になりがちです。その結果、ベタは体調を崩しやすく、本来の寿命を全うできません。初心者こそ、最低でも5L以上、できれば30cm水槽を使用することをおすすめします。
水量に余裕があれば水質が安定し、結果的に日々の管理が楽になり、ベタも健康的に長生きできるでしょう。
オス同士の混泳は厳禁!
ベタのオス同士を同じ水槽に入れることは絶対に避けてください。激しく争い、ヒレがボロボロになったり、最悪の場合は命を落としたりすることがあります。たとえ水槽が大きくても、隠れ家が多くても、オス同士の同居は危険です。
水槽を並べて置く際も、互いが見えないように仕切りや目隠しを設置しましょう。常に相手の姿が見えている状態だと、威嚇行動を続けてストレスが溜まってしまいます。
他魚と混泳する場合のポイント
ベタは水槽環境によっては他の魚との混泳も可能です。ただし、相手の魚選びには慎重になる必要があります。ベタのヒレをかじる習性のある魚や、動きの素早い魚は避けてください。
混泳に適しているのは、温和な性格で動きがゆっくりした小型魚です。コリドラスなど、底層を泳ぐ魚は比較的相性が良いでしょう。ネオンテトラなどの小型カラシンも、温和でベタとは干渉しにくい傾向があります。
レイアウトはシンプルに
ベタのヒレは非常に繊細なため、水槽内のレイアウトはシンプルに整えることが大切です。角の尖ったレイアウト素材は、ベタが泳ぐ際にヒレを引っ掛けたり裂いたりする原因になります。特にハーフムーンやダブルテールなど、ヒレの大きな品種ではより注意が必要になります。
また、レイアウト素材を詰め込みすぎると、ベタの泳ぐスペースが狭くなってしまいます。、ベタがゆったりと泳げる空間を確保しましょう。シンプルに、水草を植えただけの水槽でも十分楽しめます。
ベタを飼育して、その魅力に迫ろう

ベタは色鮮やかなヒレと独特の個性を持ち、観賞魚として多くの人を魅了してきました。小型水槽から始められる手軽さがありながら、品種の多様性や繁殖の楽しみなど、奥深い魅力を持つ熱帯魚です。
ベタの特性を理解し、適切な飼育環境を整えれば、初心者でも十分に飼育を楽しめます。飼い続けると飼主によく慣れ、餌の時間には水槽の前に寄ってくるようになります。ぜひ適切な環境を整えて、ベタとの暮らしを始めてみてください。




