艶やかなヒレをまとって泳ぐ美しい姿が魅力的!ベタの生態や種類を紹介

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まとめ
  • ベタは東南アジアに生息する淡水魚
  • 品種改良が盛んで、さまざまなヒレの形、色彩の個体がいる
  • ラビリンス器官を持ち、水面の上から直接空気を取り込める

美しいヒレをなびかせて優雅に泳ぐベタは、熱帯魚の中でも特に人気の高い種類です。「鮮やかな色に惹かれて飼ってみたい」「どんな魚なのか詳しく知りたい」そんな気持ちを持つ人も多いのではないでしょうか。

この記事ではベタの基本的な特徴から性格、さらには代表的な種類や飼育のポイントまで、初心者にもわかりやすく解説します。少しでも興味がある人は、ぜひ読んでみてください。

目次

ベタとは?基本情報と特徴を紹介

Nemo Betta

ベタは、その美しい姿と飼いやすさから多くのアクアリストに愛されている熱帯魚です。ここでは、まずベタの基本的な特徴や生態について紹介します。

ベタはどんな魚?原産地や生息環境は?

ベタはタイやカンボジア・ベトナムなどの東南アジアが原産の淡水魚です。現地では水田や沼地・小川など流れの緩やかな場所に生息しています。野生のベタは水草や枯れ葉が多い場所を好み、身を隠しながら生活しています。

ベタは、長い年月をかけて品種改良が進められてきました。現在では色彩やヒレの形が多様な改良品種が数多く作出されており、観賞魚として世界中で高い人気を誇っています。美しさを競うコンテストが開催されるほど、その魅力は多くの人々を惹きつけているのです。

ベタの大きさや食性は?

ベタの体長は成魚で5〜7cm程度と、比較的小型の熱帯魚に分類されます。品種によってヒレの大きさが異なるため、見た目の印象はそれぞれ違って見えることがあります。寿命はおおよそ2〜3年ですが、飼育環境が良ければもう少し長生きする個体もいるようです。

食性は肉食性で、自然界では水面に落ちた昆虫や小さな甲殻類・プランクトンなどを食べています。飼育下では専用の人工飼料に慣れるので、苦労することも少ないでしょう。

オスとメスで姿が異なる魚

ベタはオスとメスで見た目に大きな違いがある魚です。オスは長く美しいヒレを持ち、体色も鮮やかで観賞価値が高いとされています。一方でメスはヒレが短く、体色もオスに比べると控えめな印象を受けるでしょう。

オスの美しさは、メスへの求愛・オスへの威嚇に役立ちます。自分の美しさをメスにアピールすることで受け入れてもらうのです。同様にオスへの威嚇時も、ヒレを広げて自分を大きく見せます。

ベタの性格と行動の不思議

Colorful yet aggressive fish. I’m working on a project to photograph Bettas and this is 2nd one I shoot.

ベタには他の熱帯魚にはない独特な生態や行動パターンがあります。ここでは、ベタの知られざる習性や面白い行動について詳しく見ていきましょう。

空気呼吸ができる!ラビリンス器官のしくみ

ベタは水中の酸素だけでなく、水面から直接空気を吸って呼吸できる魚です。これは『ラビリンス器官』と呼ばれる特殊な呼吸器官を持っているためで、エラと併用しながら呼吸を行っています。この器官があることで、酸素濃度の低い水域でも生きていくことが可能です。

水面に口を出して空気を吸う姿は、ベタを飼育していると頻繁に見られる光景です。原産地の浅い水田や沼地では、この能力が生存に欠かせません。

オス同士は激しくケンカする

ベタのオスは非常に縄張り意識が強く、同じ水槽内に複数のオスを入れると激しく争います。相手を追い回し、一方が 死ぬまで攻撃が続くので、オス同士の混泳は避けなければなりません。タイでは古くから『闘魚』として扱われ、その闘争心の強さが品種改良にも影響を与えてきました。

メス同士であれば比較的穏やかですが、個体差もあるため飼育する場合は注意深く観察することをおすすめします。

ヒレを広げる『フレアリング』とは?

ベタがヒレを大きく広げて体を膨らませる行動を『フレアリング』と呼びます。これは威嚇や求愛のサインで、相手に自分の存在をアピールするための行動です。他のベタが視界に入った場合はもちろん、鏡で自分をみせても、この行動を見ることができます。

泡の巣を作って子育てする

ベタのオスは繁殖期になると、水面に泡を集めて巣を作る習性があります。この泡巣は口から粘液と空気を混ぜて作られ、産卵場所として使われる大切な場所です。メスが産んだ卵をオスが一つひとつ拾い上げ、泡巣の中に丁寧に配置していきます。

卵が孵化するまでの間、オスは巣を守り続け、卵の世話を献身的に行います。巣から落ちた卵を拾い直したり、新しい泡を追加したりする姿は、見ていて微笑ましいものです。稚魚が泳ぎ出すまでオスは巣の近くを離れず、子育てに専念します。

ベタの種類にはどんなものがいる?

品種改良が進むベタにはさまざまな品種があります。ここでは特に人気のある代表的な種類を5つ紹介します。ヒレの形や色彩が異なるため、見ているだけで飽きることがありません。

原種の魅力をそのままに│ワイルドベタ

※画像はイメージです

ワイルドベタは改良品種ではなく、自然界に生息する原種のベタを指します。派手さはありませんが、落ち着いた体色と短いヒレが特徴的な種類です。青や緑・赤褐色など地味ながらも深みのある色合いを持ち、野性味あふれる姿が魅力といえます。

闘魚の原点を受け継ぐ│プラカット

※画像はイメージです

プラカットは短いヒレを持つ品種で、闘魚として使われてきた歴史があります。ヒレが短いため素早く泳ぐことができ、力強い印象を与える見た目が特徴です。体はがっしりとしており、他の品種に比べて筋肉質な体型をしています。色彩は赤や青・黄色など多彩で、メタリックな輝きを持つ個体も多く見られます。

鮮やかなヒレと体色が特徴│トラディショナルベタ

※画像はイメージです

トラディショナルベタは最も流通量が多く、ペットショップでよく見かける品種です。ヒレは適度な長さがあり、扇状に広がる優雅な形をしています。体色は赤や青・白など単色のものが多く、シンプルながらも美しい姿が魅力です。価格も比較的手頃で、初心者でも購入しやすい点が人気の理由といえます。

まるでドレスを着たようなような姿│ハーフムーンベタ

※画像はイメージです

ハーフムーンベタは尾ビレが180度に大きく広がる品種で、その名の通り半月のような形が特徴です。フレアリング時には尾ビレが完全な半円を描き、まるでドレスを広げたような華やかな姿を見せてくれます。ヒレの縁まで美しく発色する個体が多く、観賞価値が非常に高い種類です。

大きな胸鰭が美しい│ダンボ

※画像はイメージです

ダンボは胸ビレが非常に大きく発達した品種で、その姿がディズニーキャラクターのダンボに似ていることから名付けられました。胸ビレを広げて泳ぐ姿はまるで羽ばたいているようで、独特の魅力があります。体色やヒレの形は個体によってさまざまで、コレクション性の高い種類です。

ベタの飼育は難しい?

Beta

ベタは比較的飼いやすい熱帯魚として知られていますが、いくつか注意すべきポイントがあります。ここでは、ベタを飼育する際の基本的な知識や気をつけたいことを解説します。

単独飼育が基本!混泳は避けよう

ベタのオスは縄張り意識が非常に強いため、基本的に1匹ずつ単独で飼育する必要があります。他のベタはもちろん、ヒレをかじる習性のある魚や、動きの速い魚との混泳も避けたほうが良いでしょう。ベタがストレスを感じたり、ヒレを傷つけられたりする可能性が高くなります。

どうしても他の生き物と一緒に飼いたい場合は、底に住むコリドラスやエビ類など、ベタの生活圏と重ならない種類を選ぶことがポイントです。ただし個体によっては攻撃的な性格のベタもいるため、様子を見ながら慎重に判断する必要があります。

小型の水槽でも飼いやすい

ベタは体が小さく、激しく泳ぎ回る魚ではないため、小型の水槽でも飼育することができます。最低でも5L程度の容量があれば飼育可能ですが、余裕を持って10〜20Lほどの水槽を用意するのが理想的です。水量が多いほど水質が安定しやすく、管理も楽になります。

水槽にはフィルターやヒーターを設置し、水温を25〜28度程度に保つことが重要です。ただしベタは強い水流が苦手なので、フィルターの水流は弱めに調整してあげましょう。

コップで飼育できるの?

ベタは『コップで飼える魚』として紹介されることもあります。ラビリンス器官をもつベタは、フィルターやエアレーションが無くても空気呼吸ができます。またヒレの大きなベタは強い水流が苦手で、むしろフィルターが無い方が好都合な点もあることから、コップで飼えると紹介されるのです。

実際、水温と水質維持ができればコップで飼えないことはありません。しかしその環境を長期間維持し、健康的に飼育するのは難しいです。コップの中で『生かす』ことはできてもそれは『飼育』とは言えません。最低限の設備を整えた上で飼育してください。

美しいベタの魅力に迫ろう

A stunning close-up of a vibrant Betta fish, also known as a Siamese fighting fish, swimming gracefully. The fish features rich shades of deep blue on its body, complemented by flowing fins that display hues of orange and yellow.

ベタは鮮やかな色彩と優雅なヒレ、そして独特な生態が魅力の熱帯魚です。小型の水槽でも飼育できる手軽さがありながら、観賞価値は非常に高く、初心者から上級者まで幅広く楽しめる種類といえます。

品種によって個性が大きく異なるため、自分好みのベタを探す楽しみもあるでしょう。フレアリングや泡巣作りなど、他の魚では見られない行動を観察できるのも、ベタならではの魅力です。これを機会に、ベタとの生活を始めてみませんか?きっと毎日の癒しになってくれますよ。

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のべじ

のべじ

元水族館職員の生き物好きライター。ダイビングガイド、農家などの経験を活かし生き物・自然・家庭菜園・料理など、さまざまな分野でライティングしています。

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