- 野生動物は夢をあまり見ない傾向にある
- 家庭で飼育されているペットは、人間のように夢を見ることも
- ペットが夢を見ているサインを知り、うなされているときの対処法を学ぼう

空を飛んだり、魔法が使えたりと、不思議なことが起こる夢の世界。実は、動物も人間のように夢を見ることがあるんです。
今回は、動物が見る夢について紹介します。ペットが夢を見ているときの仕草や、悪夢にうなされているときの対処法なども解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
動物も夢を見るの?人間との『眠り』の違い

昨今の研究では、動物も人間と同じように夢を見ることがわかっています。しかし動物の眠りは、人間とはやや違いがあるようです。
ここでは、動物と人間との眠りの違いや、動物が見る夢について解説していきます。
動物は、夢を見る『レム睡眠』の時間が短い
睡眠は『浅い眠りのレム睡眠』と『深い眠りのノンレム睡眠』を繰り返します。
夢を見るのは、レム睡眠のときです。しかしレム睡眠時は『脳は浅い眠りだが、体は深く眠っている状態』。体に力が入りにくく、起きてもすぐに動けないのです。
そのため野生動物は、危険から身を守るために『レム睡眠が少ない』傾向にあります(もしくは一度の睡眠時間が少ない)。とくに外敵に襲われやすい草食動物はその傾向が顕著です。
多くの動物の睡眠時間を締めるのは、ほぼノンレム睡眠。つまり動物は、基本的に人間よりも夢を見る可能性が低いのです。
安全な環境の動物たちは、夢を見る機会が増える
しかしペットや家畜など『安全な環境で生活する動物たち』は、安心して一度に長時間眠ることが可能です。
そのため野生動物と比べ、レム睡眠とノンレム睡眠を周期的に繰り返しやすくなり、夢を見る可能性も上がります。
とくに家庭犬はレム・ノンレムの繰り返しが目立ち、全体の睡眠時間の約20~30%をレム睡眠が占めることがわかっています。
また猫は、睡眠の大部分が『浅い眠り』。1日10時間以上眠る猫でも、実際に熟睡している時間は最大4時間程度であり、残りは夢を見る可能性が高い『うたた寝』の状態です。
【参考】
日本経済新聞「魚やクモも夢をみる可能性 ネコは眠りながら狩りを練習」
湘南Ruana動物病院「犬も夢を見る?睡眠中の行動のヒミツ」
子犬・子猫は夢を見る機会がさらに増える傾向に
そもそも夢とは、睡眠中に脳がおこなう記憶や情報の整理・定着のプロセスです。
子犬・子猫は、1日に新しい体験を毎日しているため、成犬・成猫よりも夢を見る時間が増える傾向にあるようです。ただし人間の場合は、成人のほうがレム睡眠の比率が高くなりやすいため、動物の場合も所説があります。
子犬・子猫が睡眠中に脚を動かしたり、寝言を言ったりする場合は、様子を見ながら「眠りながら色々なことを学んでいるんだな」と見守ってあげると良いでしょう。
動物が夢を見ているときの状態

ここでは、動物が夢を見ているときに、どのような行動をするのかを解説していきます。
人間が寝言を話すように、動物も寝ながら不思議な行動を取ることがありますよね。ペットのリラックスした瞬間から、夢の内容を予想するのも楽しいものです。
尻尾を振る
夢のなかで感情が昂っているとき、ペットが尻尾を振る場合があります。犬の場合は喜びやうれしさを感じている可能性が高いですが、猫の場合はイライラや不機嫌さを感じていることも。とはいえゆっくりと尻尾を振っているときは、リラックスしているサインともいえます。
脚をパタパタさせる
動物が脚をパタパタさせながら眠っているときは、夢のなかで走ったりジャンプしたりしている可能性があります。お部屋の中なのか、それとも広い公園や草原の中なのか……夢から冷めたら、現実でも元気いっぱい走らせてあげたいですね。
目や耳がピクピク動く
目や耳がピクピク動いているときも、動物が夢を見ているサイン。夢を見るレム睡眠では、眼球が活発に動く傾向にあります。薄目を開けながら寝ているペットを観察してみると、体の力は抜けていても、目だけは速く動いている場合もあるんですよ。
鼻をヒクヒクさせる
動物が寝ているときは、鼻をヒクヒクさせることも。夢のなかで美味しそうな香りを嗅いだり、飼主の臭いを探したりしているのかもしれませんね。とはいえ鼻のヒクヒクがずっと続く場合は、鼻づまりや鼻炎の可能性があるため注意してあげましょう。
寝言のような鳴き声を出す
動物も人間と同じように、睡眠中に寝言を言うことがあります。夢のなかで何らかの鳴き声をあげたのが、現実とリンクしている状態です。ただしうなり声や威嚇する声なら、悪夢を見ている可能性が高いでしょう。優しい声かけで目を覚まさせてあげるのも一つの手段です。
いきなり吠える
うなり声と同様に、睡眠中にいきなり吠えた場合も悪夢の可能性大。とくに、明らかに大きな声で吠えたのに起きていない場合は、苦しい夢を見ているケースが多いでしょう。また実際に痛みや息苦しさを感じていることも考えられます。
ペットが夢でうなされていたらどうするべき?

ここでは、ペットが悪夢でうなされているときに、飼主がとりたい行動を紹介します。
たとえ睡眠中であっても、ペットが苦しんでいる姿は見たくないもの。適切な対処法を通して、ペットの安らかな眠りを守りましょう。
直接ふれず、優しく名前を呼ぶ
ペットがうなされていても、直接触ってはいけません。突然起こされたペットはパニックになりやすく、普段は穏やかな子でも噛みつかれてしまう可能性があります。
あくまで物理的な距離をとったまま、優しく名前を呼んであげましょう。「〇〇ちゃん」「お散歩行く?」「おやつ食べよっか?」など、明るい気持ちになれる言葉選びがポイントです(お散歩やおやつのワードで起こしたときは、必ず実行してあげてくださいね)。
優しい音楽を流す・好きな香りを近づける
ペットが悪夢を見ているときは、五感を使ったアプローチで安心させるのも良いでしょう。
たとえば優しい音楽を流したり、ペットが好きな香り(飼主の臭いのついた靴下や服など)を近づけたり。現実での感覚的な安心が、穏やかな眠りをサポートすることが期待できます。
ペットが寝ているときに注意するべき行動

ペットが熟睡している様子でも、以下のような行動が見られたら要注意です。
- 四肢を突っ張らせている
- 明らかに動いているときに呼びかけても反応がない
- 睡眠中に呼吸が荒くなる
- 不自然なうなり声をあげている など
上記の場合は、てんかんをはじめとする発作が起きている可能性があります。『どのような仕草がどれくらいの時間続いたか』をメモしておき、なるべく早く病院で相談しましょう。
ペットが快適に眠るためにできること

ここでは、ペットの幸せな夢を守るために飼主ができることを紹介します。
安らかな夢を見るためには、快適な睡眠環境が大切です。ペットの睡眠の質を上げ、現実でも夢でも穏やかな時間を過ごしてもらいましょう。
飼主が規則正しい生活をする
家庭で飼育されるペットは、家族のライフスタイルに合わせて生活します。ペットが快適に眠るためには、まず飼主が規則正しい生活をすることが大切です。
飼主が夜型であれば、ペットの睡眠パターンにも影響を与えます。できる限り『朝起きて夜眠る生活』を心がけ、動物本来のバイオリズムを安定させましょう。
ゆっくりと落ち着ける寝床の環境を用意する
快適な眠りのためには、ペットにとって安眠しやすい寝床の環境を整えます。犬種や描種に応じた適切な室温や湿度を維持し、お気に入りの場所にベッドを用意してあげましょう。
また季節に応じて寝床を調整することも大切。たとえば日向ぼっこに適した窓側のベッドは、真夏では熱中症の危険があるものです。その時期の環境に合わせた寝床づくりを心がけてください。
悪夢の原因を探し、ケアすることも大切
ペットがうなされる日が続いたときは、悪夢の原因を探して対処することも大切です。たとえば大きな音が苦手な子であれば、日々の掃除機やドライヤーの音などが、悪夢を見るほどのストレスの原因になっているかもしれません。
ペットの睡眠環境の調整は「この子は何が好きで、何が苦手なのか」をあらためて振り返る機会です。適切なケアを通じて、より健やかな眠りにつなげましょう。
夢を見ているペットには優しく穏やかに接しよう

今回は、動物が見る夢について紹介しました。
言葉を話せない動物は、夢の内容を教えてくれません。ときには怖い夢を見ても現実との区別がつかず、起きた後に不安を抱いてしまうこともあるでしょう。
飼主にできるのは、いつもの朝と同じようにペットを優しく受け止めること。とはいえ悪夢が続くようであれば、環境の調整や動物病院の受診が必要なサインかもしれません。
ペットの穏やかな眠りは、健康な心身のバロメーターです。起きているときと同じように都度様子をチェックしつつ、ペットが安心して眠れる状態を維持していきましょう。




