- 国旗に登場する動物を知れば知るほど、国の歴史や文化がわかる!
- 国家のあり方や精神性などを反映した動物も多い
- 世界で唯一の『人間が描かれた国旗』も

国旗は、国の文化・価値観・歴史・風土を象徴する存在です。今回は、国旗に動物が描かれている国や理由を紹介します!国旗のデザインを通して、各国のカルチャーを楽しく学んでいきましょう。
鳥が描かれている国旗7選

ここでは、鳥が描かれている国旗を紹介します。世界には鳥が描かれた国旗が15種類存在していますが、今回はそのなかでも印象的な構図のものを7ヶ国ピックアップしました。自由の象徴ともいえる鳥に秘められた、国旗のメッセージを紐解いていきましょう!
国鳥であり世界最大の鳥アンデス・コンドル【エクアドル】

エクアドルの国旗の中央部分には、翼を広げたコンドルを含む国章が描かれています。これは『アンデス・コンドル』という種で、世界最大の鳥。エクアドルの国鳥であり、権力や偉大さ、力の象徴とされています。
力と強さを象徴するサラディンの鷲【エジプト】

エジプトの国旗に描かれている金色の鳥は『サラディンの鷲(わし)』と呼ばれます。サラディンとは、12世紀にエルサレム王国を破った、イスラム世界の英雄です(エジプトは人口の9割がイスラム教の国)。ワシは力と強さを象徴する鳥として描かれています。
アステカ神話に由来するワシ【メキシコ】

メキシコの国旗の中央には、ワシを含む国章が描かれています。これは『湖の中央の岩に生えるサボテンに、ヘビをくわえたワシが止まっている』という構図。アステカ神話における「そこに首都を創設せよ」という予言の内容を可視化したデザインとされています。
国の繁栄を表現するワシ【カザフスタン】

カザフスタンの国旗に描かれる、ワシと太陽。ワシは国家の力の象徴であると同時に、独立・自由・未来への飛翔のモチーフです。上部の太陽は生命の源であり、富と豊かさの象徴でもあります。青色の空をワシが飛ぶような構図の全体を通して、国の繁栄を表しています。
アジアとヨーロッパを見据える双頭のワシ【アルバニア】

アルバニアの国旗には、首が2つある『双頭のワシ』が描かれています。このデザインは、中世アルバニアの英雄である『スカンデルベク』の紋章にちなんだものです。
双頭のワシが見ているのは、アジアとヨーロッパ。両地域に挟まれた国として、周囲を警戒している様子が表されています。またアルバニアには『アルバニア人は強いワシの子孫』という言い伝えが残されています。
幸せのシンボル極楽鳥【パプアニューギニア】

パプアニューギニアの国旗の右上に描かれているのは、国鳥であるアカカザリフウチョウ(極楽鳥)です。パプアニューギニアにおける極楽鳥は『幸せのシンボル』として親しまれており、国章でも大きく目立つかたちでデザインされています。
自由の象徴ケツァール(カザリキヌバネドリ)【グアテマラ】

グアテマラの国旗に描かれているのは、国鳥であるケツァール(カザリキヌバネドリ)。ケツァールは飼育が難しく『誰にも支配されない鳥』として自由の象徴になっています。その神秘的な佇まいから、手塚治虫氏の『火の鳥』のモデルにもなった鳥です。
ライオン・獅子が描かれている国旗5選

ここでは、ライオンや獅子が描かれた国旗5ヶ国を紹介します。ライオンといえば、すべての動物たちの頂点に君臨する『百獣の王』としても知られていますよね。勇猛果敢なライオンを取り入れた背景を学び、海外への理解を深めていきましょう。
5つの王国の紋章が取り入れられたライオン【スペイン】

スペインの国旗には、ライオンを含む国章が描かれています。この国章は、5つの王国の紋章を組み合わせて作ったデザイン。
ライオンの紋章は、イベリア半島にかつて存在した『レオン王国』のものです。ほかにもスペインに関連するさまざまな紋章が取り入れられており、紋章学の観点からも好奇心を刺激する構図といえます。
ライオンの子孫の暮らす国【スリランカ】

スリランカの国旗に描かれているライオン(シンハー)は、シンハラ人のシンボル。シンハラ人はスリランカの民族の一つで、国内総人口のうち約7割を占めます。『シンハラ』には「ライオンの子孫」という意味も含まれており、国民の精神性に深く根付く動物です。
力と勇気を表現するライオン【パラグアイ】

パラグアイの国旗は、表と裏とでデザインが異なります。表は上図のようにトリコロールカラーですが、裏には下図のような横向きのライオンが描かれています。

表と裏とでデザインが違う国旗は珍しく、世界でも数ヶ国のみ。ライオンは力と勇気を表しており、自由のシンボルである帽子と杖を守っています。
獅子やヤギがデザインされた【クロアチア】

クロアチアの国旗には、獅子やヤギのデザインを含む国章が描かれています。上部中央の盾に、3匹の黄金のライオンがデザインされているのがわかるでしょうか。これは13世紀のダルマチア(現クロアチアの建国の中核となった地域)の紋章です。異なる5つの地域の紋章が集まった国章は、クロアチアの多様性や歴史の象徴です。
ベネツィアのシンボル聖マルコのライオン【モンテネグロ】

縦横比1:2の『長細い国旗』として有名なモンテネグロの国旗。中央に描かれたライオンと双頭のワシは、国章のデザインです。このライオンは『聖マルコのライオン』と呼ばれ、ベネツィアのシンボルです。これは、モンテネグロが1979年までベネツィア共和国の傘下にあったことを表現しています。
牛が描かれている国旗2選

ここでは、牛が描かれた国旗2ヶ国を紹介します。牧歌的な動物の代表格である牛ですが、国旗のモチーフになる理由と考えると、なかなかイメージしにくいですよね。各国の歴史的な背景にも目を向けながら、個性的なデザインの理由を学んでいきましょう。
牛で表す乳製品の名産地【アンドラ】

アンドラの国旗には、右下に2頭の牛が描かれた国章が取り入れられています。アンドラは、フランスとスペインが協働主権で管理してきた国。色・柄ともに両国の特徴がそれぞれ採用されています。
牛はフランスのベルアン爵家の紋章で、乳製品の名産地として知られるベルアン地方そのものを表現しています。
現在は絶滅したオーロックス(原牛)【モルドバ】

モルドバの国旗の中央に描かれているのも国章です。まず中央部分には、自由を象徴するワシ。ワシの胸には、モルドバを含む地域『モルタヴィア』の記章として、現在では絶滅したオーロックス(原牛)が描かれています。
またモルドバはかつてルーマニアと同じ国でした。両国は文化的な結びつきが深く、ルーマニアの国旗にも似た牛が描かれています。
ほかにもたくさん!変わった動物が描かれている国旗たち3選
国旗には、ほかにも架空の動物や珍しい動物が描かれたデザインも存在しています。ここでは、独自性の高い動物が描かれた国旗3ヶ国を紹介します。
国の守り神としてのドラゴン【ブータン】

ブータンの国旗に描かれているのは、想像上の生き物であるドラゴン。実は『ブータン』という国名は『雷龍の国』という意味を持っています。ブータンにとってドラゴンは国の守り神であり、国家としての文化やアイデンティティを象徴する生き物なのです。
恵まれた生態系を表すビクーニャ(ラクダ)【ペルー】

ペルーの国旗に描かれた国章には『ビクーニャ』というラクダの一種が描かれています。ビクーニャが表しているのは、ペルーの恵まれた生態系です。実はペルーは、世界でも屈指の生物多様性を持つ国。ビクーニャはペルーの豊かな自然環境を象徴する動物でもあるのです。
世界で唯一・人間をデザインしている【ベリーズ】

ベリーズの国旗は、世界で唯一の『人間が描かれたデザイン』です。ベリーズはさまざまな人種が共存する多民族国家。さまざまな国から移民や難民を受け入れてきた歴史を持ちます。
国旗には、国を代表するヒスパニック系と黒人系の人間が描かれており、人種の壁を超え一致団結して国家建設する決意が表現されています。
国旗の動物たちは、各国の歴史やポリシーの象徴!
今回は、動物が描かれている国旗たちを紹介しました。
国旗は、国の歴史やポリシーを象徴する存在。描かれる動物たちには、各国の風土や宗教観、精神性などが色濃く反映されています。
国旗に秘められたメッセージを読み解くことは、海外の多様な文化や価値観を知ることにもつながるのです。ぜひこの機会に各国の国旗のデザインにふれ、グローバルな視野を広げていきましょう。




