- 安産祈願の『戌の日参り』の由来は、犬のお産が軽い傾向にあるから
- 戌の日参りのポイントをつかんで、安産の願掛けに参加してみよう
- 犬も人間も、安産のためには健康管理と定期健診が大切!

「母子ともに健康に、できる限り安産で出産したい!」は、すべての妊婦さんの願いですよね。日本には、安産に関連するさまざまな願掛けが存在しています。
その一つが『戌(いぬ)の日参り』。今回は、安産祈願としておこなわれる戌の日参りの意味や由来、お参り時のポイントなどを紹介します。
安産祈願の『戌の日参り』の意味・由来

ここでは、安産祈願として有名な『戌の日参り』の意味や、神社やお寺にお参りをする理由ついて解説します。
妊娠中にゲン担ぎができると、ナイーブな気持ちも明るくなれるかもしれませんよね。ぜひこの機会に、戌の日参りの概要を学んでみましょう。
戌の日参りとは、母子ともに健康に出産を終えるための願掛け
戌の日参りとは、古くから日本に伝わる安産祈願の風習の一つです。
十二支における『戌の日』に、お寺や神社に来訪し、妊娠中の女性のお腹に帯を巻き、母子ともに無事に出産を終えられるようにご祈祷をしてもらいます。
戌の日参りをおこなうのは、安定期に入った妊娠5カ月目以降が一般的。施設によっては、ご祈祷に使った帯を授与品として受け取れる場合もあります。
戌の日参りの由来は『犬の出産が安産』だから
戌の日参りは、犬の出産が軽いことに由来しています。犬の分娩にかかる時間は約30分程度。出産全体を通しても最長6時間程度であり、比較的お産が軽い生き物として知られています。
犬は、安産の象徴としても親しまれている動物。そんな犬に由来する『戌の日』は安産祈願に適していることが現代まで伝えられています。
そもそも『戌の日』っていつ?

干支でお馴染みの『十二支』は、月・日・時間を表すための指標としても用いられていました。日付にも十二支の考えが取り入れられており、12日間のサイクルで干支が一周します。
つまり『戌の日』は、12日ごとに何度も訪れるということ。もちろん戌の日以外にも、『酉(とり)の日』や『丑(うし)の日』など、ほかの十二支の日も順番にやってきます。
妊娠中に何度も迎える戌の日のなかでも、戌の日参りに適しているのは『妊娠16週後、最初に訪れる戌の日』といわれています。
戌の日参りに行くときのポイント・マナー

普段からお寺や神社に行き慣れていないと、特別なお参りでは不安や緊張を感じますよね。ここでは、戌の日参りに行くときのポイントやマナーを紹介します。戌の日参りならではのポイントをおさえ、安心して当日を迎えましょう。
戌の日参りには予約が必要!祈祷した腹帯を受け取ろう
戌の日参りでは、お寺や神社にご祈祷をお願いするため予約が必要です。施設によって細かな動向は異なりますが、基本的には『ご祈祷した帯(腹帯)をお腹に巻きつける』のが戌の日参りの概要になります。
最近では、ご祈祷した帯を受け取るだけのスタイルも増えてきているようです。帯を持参するケースや、ご祈祷前に購入するケースなど、施設によって内容はさまざま。事前に施設の公式サイトを確認して流れを把握しておきましょう。
神社やお寺に納める初穂料を用意しよう
戌の日参りでは、施設に応じた初穂料(お寺の場合はご祈祷料)が必要です。初穂料の相場は5,000~1万円程度ですが、あらかじめ細かく定められている施設も多いため、こちらも事前にリサーチしましょう。
初穂料はのし袋に入れてお渡しします。水引は安産祈願らしく、花結び(婚礼以外の一般祝い事や、記念行事に用いられる種類)のものが良いでしょう。のし袋をさらにふくさに包んで持参すると、より丁寧な印象になります。
季節に合った無理のないファッションで。歩きやすい靴で訪れよう
お寺や神社は、階段や砂利道など足場が悪いことも多いため、歩きやすい靴で訪れましょう。季節に合った無理のないファッションで構いませんが、ご祈祷は厳粛な儀式であるため、カジュアルすぎる服装は避けたほうがベターです。
たとえばTシャツ+ショートパンツのような服装だと、TPOに合っていない印象に。ゆったりとしたワンピースや滑り止めがついたフラットシューズなど、安全かつシーンに応じたコーディネートを心がけましょう。
『戌の日』に縛られなくてOK!体調や日程に無理のない日を選ぼう
戌の日参りは多くの妊婦さんに親しまれている慣習ですが、日程に縛られる必要はありません。
そもそも昨今では、安定期に入っても働いている女性が多いため、戌の日にお参りができないケースもあるでしょう。そうでなくても、妊娠中はスケジュール以上に体調管理を優先したいものですよね。
戌の日参りは、あくまで願掛けです。体調やスケジュールが安定しないなかで、無理して行くようなものではありません。戌の日にお参りに行けなかったからといって、落ち込む必要はないのです。
『気持ちを明るくするおまじない』程度の認識を持ち、無理のない範囲で戌の日参りを楽しんでください。
安産祈願に有名なスポットは?

日本には、安全祈願に有名なお寺や神社が数多く存在しています。以下は、全国的に有名な施設の一例です。
- 水天宮 【東京】
- 子安神社 【東京】
- 住吉大社 【大阪】
- 敷地神社(わら天神宮) 【京都】
- 鶴岡八幡宮 【神奈川】 など
安産祈願で有名なお寺・神社であれば、腹帯を用意して貰える可能性が高く、安産に関連するお守りも充実しています。
とはいえ、近場にスポットがなければ遠出する必要はありません。地元の神様に無理のない範囲でお祈りするだけでも、心が晴れやかになるでしょう。
さらに縁起アップ!戌の日参りにおすすめの六曜や日時は?

戌の日以外にも、安産の願掛けとしておすすめの日は多く存在しています。
- 先勝(せんしょう・さきかち)……午前中に行動することで運気が上がる日。
- 友引(ともびき・ゆういん)……お祝い事に向いている日。朝の行動が吉。
- 大安(たいあん)……何においても運気が良いとされる日。
- 酉の日……開運祈願に向いている日。
- 子の日……子(ねずみ)が子だくさんであることから、安産祈願に適している日。
体調や予定と相談しつつ、六曜や十二支を掛け合わせながら、お参りに適した日取りを探してみてください。
犬も人間も、安産のためには健康管理が大切!

安産祈願に起用されるほど、お産が軽いとされる犬。しかしその背景には『昔の日本には、安産の傾向が強い中型犬や大型犬しかいなかった』という事実もあります。
現在の日本では、世界中のさまざまな犬種が飼育されていますよね。多くの犬種のなかでも、チワワのような超小型犬や、パグのような短鼻種などは、お産が重くなりやすいといわれています。また肥満や運動不足の犬も、難産になりやすい傾向にあります。
つまり犬も人間も、安産のためには健康管理が大切だということです。
妊婦だからと食べすぎたり動かなすぎたりは、健全だとはいい難いでしょう。もちろん体調を最優先にしつつ、定期健診をしっかり受け、最適な環境で出産に臨むことが安産につながります。
もちろん愛犬が妊娠した場合にも、獣医師の定期健診が大切。「犬は安産だから」と出産時期まで放置するのではなく、人間の妊婦さんと同様に、健康管理やメンタルケアに努めましょう。
戌の日参りを楽しみながら、明るい気持ちで出産を迎えよう

今回は、安産祈願で有名な戌の日参りの意味や、お参りをする際のポイントなどを紹介しました。
妊娠中は、何かと気持ちもナイーブになりがちに。「気分転換をしたい」と思っても、体調が思い通りにならないこともありますよね。
戌の日参りをはじめとする願掛けは、そんな落ち込んだ気持ちを変えてくれるきっかけになるかもしれません。もし無理なく動けそうな日があれば、ぜひお寺や神社に足を運んでみてはどうでしょうか。