【絶対ダメ!】飼えなくなった魚や爬虫類を、外に放してはいけない理由

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まとめ
  • ペットとして飼育されていたの魚・爬虫類は、野生環境に対応できない可能性が高い
  • 魚・爬虫類を放すと、土地の生態系を崩してしまう可能性がある
  • どうしても飼えないときは、放さずに譲渡先を探そう

「お世話が面倒臭くなった…」「想像よりも長生きした…」「こんなに増えると思っていなかった…」「家庭の事情により手放すことになった…」

どのような理由であれ、ペットの飼育放棄は許されることではありません。すべてのペットは終生飼育が前提であり、飼主が責任を持って命を見届ける責任があります。

とくに絶対にやってはいけない行動が『ペットを野生に放すこと』。「殺すわけではないから…」と、安易に考えて外に放す行為は、ペットを『捨てる』ことであり、『殺す』ことと何ら変わらないということをよく覚えておきましょう。

今回は、魚や爬虫類を野生に捨ててはいけない理由を紹介します。

「野生で元気に生きてほしい」は、すべて人間によるエゴです。犬や猫を捨ててはいけないのと同じように、魚や爬虫類を遺棄することによる影響を学んでいきましょう。

目次

飼えなくなった魚・爬虫類を捨ててはいけない7つの理由

ここでは、飼えなくなった魚や爬虫類を捨ててはいけない理由を紹介します。

「小さな魚やトカゲ1匹を放したとしても、環境に問題はないのでは?」と思っている人もいるのではないでしょうか。

たしかに、1匹がもたらす影響は小さいものかもしれません。しかし「そう思ったのは1人だけではないかもしれない」ということを考えたことはありますか?安易に考えた人の手によって、何十匹、何百匹と増えていった魚や爬虫類が、ゆくゆくは生態や環境に大きな影響をもたらすのです。

1.環境が合わずに死んでしまう可能性が高い

日本で飼育されている魚や爬虫類は、飼育用に海外から輸入されている生き物が多い傾向にあります。繁殖自体は国内でおこなわれている場合でも、そもそも生態の特徴自体が日本の環境に合っていない可能性が高いでしょう。

日本独自の水温・水質・気温・湿度などでは、生息が困難になるリスクがあります。その結果、野生に放ってもすぐに死んでしまうケースが考えられます。

2.自分でエサを探す能力が欠落している可能性が高い

自分でエサを探す能力が衰えている可能性が高いことも、魚や爬虫類を捨ててはいけない理由の一つです。

人間の手によって繁殖・育成されたペットは、自分が狩りをせずともエサにありつけていました。生まれ持っていたはずの狩猟本能が鈍った状態では、すぐに飢えて死んでしまうリスクが高いでしょう。

野生において、狩りの能力は生死に直結します。たとえ生態が日本の環境に適していた場合でも、健康に生きられるとは限らないのです。

3.生態系を壊してしまう可能性がある

人間によって捨てられた魚・爬虫類は、もともと『その地域に存在していなかった生き物』です。

自然環境は、生き物同士の食物連鎖や共生関係によって成り立っています。魚・爬虫類を野外に捨てることは、本来の生態系が破壊されてしまう可能性につながります。

代表的な例としてあげられるのが、ペット向けザリガニ『アメリカザリガニ』の遺棄による被害です。アメリカザリガニがさまざまな環境の動植物を摂食した結果、貴重な生物が絶滅するリスクが高まっています。

参考:生物多様性センター「アメリカザリガニの及ぼす影響」

4.被害が広がるほど、ペットに関わる規制が増える可能性がある

ペットの遺棄による被害が増えることで、ペットや生き物の所持に関連する規制も増加する可能性があります。

たとえば現在は、一般的な観賞魚や爬虫類であれば、購入に特別な許可はいりません。しかし規制が進むと、身近なペットを購入するためにも資格や届け出が必要になってしまうことが考えられるでしょう。

環境へのリテラシーが低い一部の人が原因で、大勢の人が迷惑を被ってしまうリスクがあるのです。

5.在来種が減少してしまう可能性がある

在来種の減少による影響は、生態系の乱れだけではありません。

在来種は、伝統芸能や歴史的遺産などと同じように『その国固有の資産』であり、環境そのものでもあります。在来種の減少や絶滅は、国としてのアイデンティや価値を低下させ、文化的な損失を招くといえるでしょう。

また在来種は『遺伝子的な資産』でもあります。生き物にはそれぞれの特徴や生態があり、医療・科学・品種改良などさまざまな分野で役立ちます。

在来種を失うことは、未来に控えていたはずの発見や発明の損失にもつながるのです。

6.人間の健康や財産に被害を与える可能性がある

魚や爬虫類の遺棄は、人間の健康や財産に被害を与える可能性もあります。

代表的な例としてあげられるのが、ヘビをはじめとする捕食性や機動力に優れた生き物です。一部のヘビは小さな隙間からも簡単に屋内に侵入できます。

たとえば遺棄したヘビが、見知らぬ人が室内で飼育しているハムスターを食べてしまうかもしれません。小さな子どもが咬まれてケガをしてしまうかもしれません。

遺棄した元飼主を見つけられなければ、被害者は泣き寝入りせざるを得ません。ペットの遺棄は自然環境だけではなく、近隣住民への不安や被害にもつながります。

7.法律違反として罰せられる可能性がある

上記にあげたさまざまな理由から、ペット(愛護動物)を捨てることは犯罪とされています。

ペットの遺棄による罰が定められているのは、動物愛護管理法です。動物愛護管理法によると『愛護動物を遺棄した者は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処する』と記載されています。

たかが1匹、されど1匹。ペットの飼育放棄は、たとえ誰にもバレなかったとしても、自分を犯罪者にする行為だと考えましょう。

参考:環境省自然環境局「虐待や遺棄の禁止」

すべてのペットは『終生飼育』が大前提

冒頭にもあげたように、すべてのペットは終生飼育が大前提です。

犬や猫だけではなく、魚・爬虫類・両生類・昆虫など、あらゆる生き物の飼育において『最期まで命を見届けること』が飼主の責務です。

何らかの事情で飼育の継続が難しくなった場合でも、遺棄や飼育放棄だけでは選択してはいけません。まずは終生飼育が本当に無理なのか?」「ほかに自分でできることはないか?を考え、あらゆる手段を試しましょう。

そのうえで「どうしても飼えない」となったときは、環境へのリスクを最小限に抑える手放し方を選ぶことが大切です。

飼えなくなった魚・爬虫類は、どうすればいい?

ここでは、魚・爬虫類の飼育が継続できないときの対処法を紹介します。

絶対に守っていただきたいのが『捨てない』こと最初から『捨てる』という選択肢は除外しましょう。

ペットが少しでも安全に、かつ健康に過ごせる方法を考え、命と環境の保護を両立する手段を探すことが大切です。

譲渡先(里親)を探す

魚・爬虫類が飼えなくなったときは、譲渡先(里親)探すことから始めましょう。

  • 友人や知人など身近な人に相談する
  • SNSや里親サイト、アプリなどに情報を掲載する
  • 地域のチラシや掲示板などに情報を掲載する

情報を掲載する際は、ペットの具体的な種類・大きさ・年齢・エサなども記載すると、読み手側が飼育イメージを抱きやすくなります。また『そのまま譲れる飼育道具』も記載できれば、より連絡が来やすくなるでしょう。

引き取りに対応しているショップを探す

一部のショップでは、生体の引き取り(売買含む)に対応している場合があります。

ショップによっては、生体だけではなく水槽や飼育用品まで引き取ってもらえることも。また出張でのサービスも展開しているショップも少なくありません。

多くの場合、ショップで引き取られた生体は、健康状態を加味したうえで商品として販売されます。飼育が難しくなった場合は遺棄するのではなく、ペットに新しい人生を提供するチャンスにつなげましょう。

一部のテーマパークや園による譲渡サービスを探す

一部のテーマパークや動物園でも、施設による譲渡サービスを展開している場合があります。たとえば体験型動物園『iZoo』では、特定外来生物に該当する生物を除き、ルールを定めたうえで個体を引き取る取り組みをおこなっています。

まずは手放すことを検討しているペットの受け入れ先を探し、施設ごとの規定を確認してみましょう。

参考:iZoo「飼いきれなくなってしまった爬虫類・両生類をiZooで引き取ります。」

終生飼育が前提のうえで、飼えないときは『譲渡』までが飼主の責任

今回は、飼えなくなった魚や爬虫類を捨ててはいけない理由や、遺棄の代わりに選びたい選択肢をご紹介しました。

記事内では何度も『終生飼育が前提』とは記載しましたが、人生は何があるかわかりません。

本来であれば『自分が飼えなくなったときに譲渡できる相手を探しておく』がベストですが、何らかの理由で譲渡すらも難しいというケースもあるでしょう。

だからこそ知っておきたいのが、遺棄以外の選択肢です。ペットの遺棄は、環境・生態系・文化・近隣住民など、多くの対象に多大な悪影響を与えます。

「遺棄だけは絶対にしない!」を心に刻み、今の自分にできる方法を考えていきましょう。

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あらゆるジャンルを縦横無尽に駆け巡る雑食系ライター。元ペットショップ販売員として表彰経験あり。SEOを中心に、執筆記事は2,000本以上。アニマル・メンタルヘルス・ウェルビーイングなどを中心に、毎日の充実度がちょっぴり高まる記事を発信中。

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