- 犬猫のダイエットは1週間に体重の0.5%~2%減が目安
- 犬は散歩のスピードを意識、猫は飼い主さんが遊んであげよう
- 市販のダイエットフードを利用すると手軽にダイエットが可能
- 満足度を上げるために食事の時間を遊びの時間にしてみるのもおすすめ

読者の皆様は、楽しいお正月を過ごされたでしょうか?美味しいものをたくさん食べて、ちょっぴり体重が増えてしまったという人もいるでしょう。
飼主と同じように、ペットも普段よりのんびり過ごしたり、いつもよりも少し贅沢な食事をもらったりして太ってしまうことがあります。今回の記事では「うちの子がお正月太りしてしまった!」という人向けに、犬や猫のダイエットについて紹介します。
まずは計画を立てよう。急激なダイエットはNG

ペットのダイエットは、数ヶ月かけてゆっくり取り組みましょう。犬では、1週間の減量の目安を、体重の1%~2%までに設定してください。猫は、犬よりもさらにゆっくりな減量が安全で、1週間で体重の0.5%~2%が目安です。
太ってしまったからといって、1ヶ月に5%以上体重を落とす急激なダイエットは絶対に行ってはいけません。
急激なダイエットを行うと、重要な栄養素が失われてしまって、便秘や皮膚トラブルを引き起こすことがあります。
免疫力が低下することで感染症にかかりやすくなるなどの健康問題につながる可能性もあります。筋肉量が減ってしまうため、基礎代謝が低下して、太りやすくなることもあります。
また、小型犬では低血糖を引き起こすこともあります。猫では、体脂肪が一気に動員されることで『肝リピドーシス(脂肪肝)』という病気を引き起こし、命に関わる状況になるおそれもあります。
安全に体重を落とすためには、焦らず計画的に取り組むことが大切です。
参考: AAHA「犬と猫の体重管理ガイドライン(2014)」
犬と猫、ダイエットのために取り入れるべき運動について

ダイエットの基本は運動と食事です。ここでは、ダイエット中の犬や猫に取り入れるべき運動をお伝えします。
犬はお散歩のスピードを意識する
犬のダイエットのためには、普段のお散歩よりもスピードを上げて、飼主が軽く汗ばむ程度で動きましょう。
スピードの目安は、15分間で約1.6Kmを歩ける速度です。これは、アメリカの『ペット肥満予防協会』が推奨する速度でいわゆる早歩きのスピードです。
ときどき飼主が自転車に乗って、犬を走らせる姿を見かけることがありますが、獣医師としてはあまり推奨できるスタイルではありません。
理由は、固いアスファルトの上を駆け足で走ると、犬の足腰・足裏への負担が大きく、心臓などへの負荷がかかるからです。さらに、リードが自転車の車輪に巻き込まれたり、犬が転んだ際に引きずってしまうなどの事故も心配です。
また、犬にとっては周囲の匂いを嗅いだり、探索することができずストレスになることもあります。
ダイエットのためには、お散歩の速度に加えて、継続時間も意識しましょう。理想の散歩時間は、
小型犬:20分~60分を1日1回か2回程度
中型犬:30分~2時間程度を1日1回か2回程度
大型犬:30分~1時間くらいを1日1回か2回程度 です。
のんびり過ぎず、かと言ってスピードを出しすぎない早歩きのスピードで、1日に1~2回散歩するのがおすすめです。
猫は飼主が一緒に遊んで運動を促そう
猫は上下運動が得意で、高いところを好みます。まずはキャットタワーなどを取り入れて、上下に動ける環境を作ってみましょう。運動が好きな子であれば、それだけでも運動量が増えるかもしれません。
しかし、猫は犬よりも運動嫌いの子が多い傾向があります。ほとんどの子が、自主的には運動をしないため、飼主が一緒に遊んであげると良いでしょう。
特に猫が積極的に楽しんでくれるのが、狩猟本能をかきたてる遊びです。猫じゃらしなどを獲物に見立てて、緩急をつけて動かしましょう。目の前を横切らせたり、視界の隅の方で素早く動かすなど、猫によって目の色を変える動きが必ずあるはずです。飼主も楽しみながら愛猫が好きな動きを発見すると良いでしょう。
高齢の猫の場合、こういった遊びにもあまり積極的になれなかったり、すぐに動くのが億劫になってしまうこともあります。
そんな時は、家の家具の配置を変えてみるだけでもちょっとした運動になることがあります。猫が普段好んで移動している場所に、あえて家具を置いて、登り降りをするように促したり、食事の時の食器皿を飛び乗らないと食べられない位置に設置するなどでもかまいません。
ダイエット時の食事5つのポイント

食事管理で重要なのは、こまめな体重測定・食事量の設定などです。この章ではポイントを5つ紹介します。
体重は同じタイミングでこまめに測定
ダイエットの時は、できる限り毎日同じ時間に体重を測定しましょう。おすすめは、朝一の朝ごはんの前です。
体重を計ってから食事という流れをルーチン化すると、犬や猫が覚えてくれて協力的になってくれることも少なくありません。
1日の食事量は理想体重を元に決める
食事の量を決めるには、体重を元にフードの裏面などに記載している量を計っているでしょう。この時の注意は、現在の体重ではなく、理想の体重を目安にしなくてはならないということです。現在の体重で計算してしまうと、いつまでたっても減量ができません。
食事の量は一定に、回数を増やす
1日に与える食事は可能な範囲で小分けに与えましょう。食事から次の食事までの間隔が短い方が、血糖値の上下が穏やかになり、空腹を感じにくくなります。今の食事が1日1回なら、朝晩2回に分けることからはじめてみてください。
市販のダイエットフードを使おう
ダイエット食の選び方は、高タンパク質(筋量維持)で低脂肪であることで、繊維や水分を含んでいることです。また、ビタミンやミネラルが適量であることも必要です。『ダイエットサポート』などと書かれた市販のダイエットフードを利用すると手軽です。
フードを変えない場合は量を80%くらいに
普段のフードを変更せずに使う場合は、量を80%くらいに抑えましょう。食事量が減ってペットが物足りないという時は、フードをぬるま湯でふやかしたり、キャベツなどの野菜やきのこ類を足したりしてかさ増しするのも良いでしょう。
食事の時間を遊びの時間にする工夫をしてみよう

食べる量が少なくても、食事の時間を遊びの時間に変えることでペットの満足度を上げることが可能です
犬におすすめなのは探索しながらの食事
犬におすすめな食事時間の遊びは、フードを隠して探索させながら食べさせる方法です。まずは、目の前でフードにタオルをかけて、取り出させてみましょう。
鼻先でタオルをめくるといった一見単純な動作も、慣れるまでは意外と難しいもので、努力した結果フードを得られると、犬はお皿から簡単に食べるよりも、はるかに大きな満足感を得られます。
他にも、カプセルトイのカプセルなどに穴を開けたり、空のペットボトルにフードを入れて、転がすとフードが出てくるおもちゃを作るのもおすすめです。
慣れてきたら、市販の知育玩具なども取り入れて少しずつ難易度を上げてみると良いでしょう。
動物はわざわざ努力して得られる食べ物に満足感を得る
上のような食事方法を紹介すると「大好きなフードを簡単に食べられないのはかわいそう」と思うかもしれません。
しかし人を含む多くの動物は、何もしなくても得られる食べ物より、少し努力して得られる食べ物の方を好むという傾向があります。
この概念は『コントラフリーローディング(contrafreeloading)』と呼ばれ、筆者が働く動物園業界でもよく知られています。
動物園では、動物たちのストレス解消のために、餌を展示場のあちこちに隠したり、フィーダーと呼ばれる知育玩具のようなものに入れて与えたりする工夫を行っています。
猫におすすめなのは疑似狩り
猫はコントラフリーローディングを、ほとんど示さない動物として知られています。
フードを食べるためにわざわざ探索したり、おもちゃを転がしたりなどはせずに、ひたすら飼主に訴え続ける子が多いでしょう。
ただし猫でもフードを『獲物のように』転がしたり、軽く投げて与えたりすると、楽しそうに追いかけて食べてくれます。
「行儀が悪いのでは?」と心配する人もいますが、こうした疑似狩りによって狩猟本能を満たし、食事への満足度が上がる可能性があります。
イベント時でもペットの食事はいつも通りが一番

お正月は、飼主にとっては楽しい日々ですが、ペットが体調を崩しがちな時期でもあります。人のごちそうを分け与えることで、犬や猫が食べ慣れない食材を口にし、下痢や嘔吐などの消化器症状を起こしてしまうケースがあるからです。
イベント時でも、ペットへの食事のおすそ分けは控え、普段通りのフードを普段通りに与えることが、肥満の防止だけでなくペットの命を守るためにも大切です。




