- アルマジロは、鎧をまとったユニークな哺乳類
- 丸くなれるのは『マタコミツオビアルマジロ』など一部だけ
- 野生では暖かい地域に暮らし、夜行性で穴掘りが得意
- ペット飼育は難しく、動物園で観察するのがおすすめ

体を鎧のようなもので覆われた、不思議な姿のアルマジロ。実は世界に20種ほどが存在し、なかには体を丸めてボールのように防御する種類もいます。
夜行性で巣穴を掘って暮らすなど、ユニークな生態を知れば知るほど「どんな生活をしているの?」と気になってしまう存在です。日本ではペットとして飼育されることもありますが、実際には専門的な知識と環境が必要で、誰もが簡単に飼える動物ではありません。
アルマジロに会いたい場合は、動物園でじっくり観察するのがおすすめ。この記事では、野生での暮らしからペット事情、国内で出会える施設まで、アルマジロの魅力をたっぷり紹介します。
アルマジロとは?鎧をまとった不思議な哺乳類

アルマジロは、哺乳類のなかでもめずらしく『鎧のような体』を持つ動物です。
『皮骨(ひこつ)』と呼ばれる特別な骨でできた硬い板で体を守っています。カメの甲羅とも仕組みは違い、見た目はまさに鎧そのもの。その姿から別名『ヨロイネズミ』とも呼ばれています。
世界には20種ほどのアルマジロが確認されており、体の大きさや行動パターンは種によって異なります。特徴的なのが、防御の方法です。すべてのアルマジロが体を丸められるわけではなく、完全に球体になって身を守れるのは限られた種だけ。
多くの種類は、素早く巣穴に逃げ込んだり、硬い甲羅を相手に見せて威嚇したりして敵から身を守ります。こうした特徴的な体と防御行動から、アルマジロは『鎧をまとう哺乳類』としてユニークな存在感を放っているのです。
掘って・歩いて・食べて——野生のアルマジロ

アルマジロは南米の暖かい地域に広く分布し、穴掘りや夜行性といった独特の習性をもつ動物です。
生態を知ると、鎧のような姿の裏にある生活の工夫や、自然界で果たしている役割が見えてきます。
アルマジロは寒さが苦手!暖かい場所の巣穴で暮らす
南米を中心に、草原や森林・サバンナといった暖かい地域で暮らすアルマジロ。寒さに弱く、体温を一定に保つのが苦手なため、穴を掘って巣穴を作り、その穴のなかで温度を安定させながら生活します。
掘られた巣穴はアルマジロ自身だけでなく、ほかの小動物が利用することもあり、生態系のなかで『シェルター提供者』のような役割も果たしているのです。
大好物はアリとシロアリ!意外と雑食な食生活
アルマジロは雑食性で、とくにアリやシロアリといった昆虫を好みます。鋭い嗅覚で昆虫の巣を見つけ、長い舌を使って捕らえるのが得意です。
そのほかにも果実や小動物を食べることがあり、食べるものは地域や季節によって変化します。外見は硬い鎧のようでも、歯は小さく、舌を使った捕食が中心というギャップもユニークなポイントですね。
成長とともに硬くなるアルマジロの『鎧』
アルマジロは夜行性で、日中は自分で掘った巣穴にこもり、夕方から夜にかけて活動を始めます。暗闇のなかでも鋭い嗅覚を頼りに餌を探し、広い範囲を歩き回るのが特徴です。
個体によっては数km先まで移動することも。見た目のイメージ以上に行動的な一面を持っています。
また、繁殖においてもユニークな点があります。アルマジロの赤ちゃんは、生まれたときにはまだ『よろい』が柔らかい状態です。これは母体からスムーズに出産できるようにするためで、成長とともに皮ふの下にある皮骨が硬化し、次第に鎧らしく形成されていきます。
小さな体にだんだんと防御の仕組みが備わっていく様子は、アルマジロならではの成長の特徴だといえるでしょう。
ペットにできる?アルマジロ飼育のリアル

アルマジロは、日本国内でペットとして飼育できないわけではありません。ただし、気軽にお迎えできる動物ではなく、専門的な環境づくりや知識が必要です。珍しさゆえに流通量もごくわずかで、実際に飼育している人は限られています。
さらに、海外から輸入される個体には感染症リスクが伴うほか、輸入規制が厳しく、価格も高額です。日本で実際に流通しているのは、主に『マタコミツオビアルマジロ』など一部の小型種に限られます。
体温調節が苦手なため、つねに高めの温度を維持できる環境が欠かせません。また、穴掘りを好む習性があるため、床材の工夫や広めの飼育スペースも必要。食事も雑食性に合わせたバランス管理が求められるため、簡単なペットフードで済むわけではありません。
こうした理由から、一般家庭での飼育はとてもハードルが高いといえるでしょう。アルマジロに興味を持った場合は、まず動物園などで観察するのが安全で現実的な選択肢です。
日本でアルマジロに会える!おすすめの動物園3選

アルマジロは国内の動物園でも限られた場所でしか見られません。展示状況は変わることもあるため、訪れる際は公式サイトで最新情報を確認するのがおすすめです。
ここでは、現在も展示が確認できる代表的な3施設を紹介します。
千葉市動物公園【千葉県】
千葉市動物公園では『ムツオビアルマジロ』が飼育されています。比較的小型で丸くはならない種ですが、鎧のような体を間近で観察できるのが魅力です。
夜行性のため活動的な姿が見られるタイミングは限られますが、独特の歩き方や動作に注目してみてください。
住所 | 千葉県千葉市若葉区源町280 |
アクセス | 千葉都市モノレール「動物公園」駅下車 徒歩1分 千葉内陸バス「千葉市動物公園」駅下車 徒歩1分 |
営業時間 | 9:30〜16:30 |
休園日 | 毎週水曜日・年末年始 |
入場料金 | 大人(高校生以上):800円 中学生以下:無料 ※千葉市在住の65歳以上の人は住所・年齢の確認できるものの提示で無料 |
駐車場台数 | あり |
神戸どうぶつ王国【兵庫県】
神戸どうぶつ王国では『マタコミツオビアルマジロ』が展示されています。この種は、アルマジロのなかでも数少ない『体を丸められる』種類で、防御姿勢をとる姿が見られることも。
鎧のような体をまん丸にする様子は、アルマジロらしさを体感できる貴重な瞬間です。
住所 | 兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-9 |
アクセス | 電車:ポートライナー「計算科学センター駅(神戸どうぶつ王国・「富岳」前)」下車 バス:神姫バス「神戸どうぶつ王国前」停留所下車(土日祝のみ運行) |
営業時間 | 10:00~17:00(最終入園16:30) |
休園日 | 毎週木曜日(祝日・春休み・GW・夏休み・年末年始は営業) |
入場料金 | 大人(中学生以上):2,200円 小人(小学生):1,200円 幼児(4・5歳):500円 シルバー(65歳以上):1,600円 ラクダライド:800円(各回先着20名様まで) |
駐車場台数 | 普通車880台(平日:700円・土日祝:1,000円) |
上野動物園【東京都】
恩賜上野動物園(上野動物園)では『ムツオビアルマジロ』と『マタコミツオビアルマジロ』の両方が展示されています。
異なる種を一度に見比べられる動物園は都内でもここだけで、丸くなる種類とそうでない種類の違いを見られるのがポイントです。
住所 | 東京都台東区上野公園9-83 |
アクセス | JR「上野駅」公園口より徒歩5分 |
営業時間 | 9:30~17:00 |
休園日 | 月曜日・年末年始(12月29日~翌年1月1日) |
入場料金 | 一般:600円 65歳以上:300円 中学生:200円 都内在住・在学の中学生:無料 小学6年生までの子ども:無料 |
駐車場台数 | なし |
知れば知るほど不思議なアルマジロの世界!

アルマジロは『ヨロイネズミ』とも呼ばれる、鎧のように硬い『骨皮』に覆われたユニークな哺乳類です。体を丸めて身を守る種もいれば、巣穴に逃げる種もいるなど、多様な暮らしぶりを見せてくれます。
ペットとしても飼育できるものの、専門的な温度管理や広いスペース、食事管理などが必要で、一般家庭には難しいのが現実。だからこそ、日本国内の動物園で実際に観察するのがおすすめです。
千葉市動物公園や神戸どうぶつ王国・上野動物園ではアルマジロの展示が確認されており、それぞれアルマジロを間近で見ることができます。まずは動物園で本物の姿にふれ、その暮らしや進化の不思議に思いを巡らせてみてはどうでしょうか。