- 日本のパンダを所有する権利を持っているのは中国
- 中国からパンダ返還の要請があれば、日本は従わざるを得ない
- 2025年6月と2026年2月で、日本からパンダはいなくなる

最近、テレビやネットのニュースでは『パンダが日本からいなくなる』という話題が上がっています。
今回は、国内におけるジャイアントパンダの現状と、中国への返還に関する情報を紹介します。
ジャイアントパンダを取り巻く課題やニュースを知り、人間と動物との関わりについて考えていきましょう。
ジャイアントパンダとはどんな動物?

ここでは、ジャイアントパンダの生態について紹介します。
日本におけるジャイアントパンダは、グッズやイラストなども多く展開されており、比較的身近な動物という印象を受けますよね。
特徴的な見た目に隠された意外な性格やルーツなどを知り、ジャイアントパンダにさらに詳しくなってみましょう!

中国の高山地帯に生息する大型動物
ジャイアントパンダは、中国の一部高山地帯に生息する大型クマ科の動物です。体重は平均100~150kgで『パンダ』といえば一般的にジャイアントパンダを指します。
一見すると外敵から目立ちやすい白黒模様ですが、雪が多く降る森林に生息するジャイアントパンダにとっては、雪景色や木の幹に溶け込みやすい迷彩柄になっています。
レッドリストでは、絶滅が懸念される『危急種』に登録
一時期ジャイアントパンダは、レッドリストにおける『絶滅危惧種』に登録されていました。しかし保護活動の結果個体数が増え、現在は『危急種』にまで引き下げられています。
しかし危急種とは、絶滅危惧種よりも一段階絶滅リスクが低い分類でしかありません。現在でも野生での個体数は2,000頭以下といわれており、絶滅が懸念されている状態です。
主食の竹を、毎日10kg以上も食べる!
パンダといえば連想されるのが、竹を食べている姿。ジャイアントパンダの主食は知っての通り竹であり、毎日約12~38kgの竹を食べるといわれています。
1日の食事時間は、驚きの約14時間!起きている時間の大半を食事にあてているのです。しかし農業開発や森林伐採により、彼らの住処かつ食料である竹林は減少傾向にあります。
竹林の減少は、パンダの個体数減少にも大きな影響を与えていると考えられています。
シャイで大人しい性格も魅力
パンダは、大人しくシャイな性格をしています。クマ科というと獰猛なイメージを持っている人もいるかもしれませんが、ジャイアントパンダは人間やほかの動物を襲うことはほぼありません。
初めて会う人に対しては、前足で顔を隠すという人間らしい恥ずかしがり方をすることも。多くの個体が温厚であり、争いを避けながら生きています。
基本的には孤独を好む。仲良しな姿はレア!
ジャイアントパンダは、単体生活を好む生き物です。繁殖期以外では基本的に孤独であり、ほかのパンダと交流することはほぼありません。
そのため、ほかの個体と仲良くする姿を見られたときはとってもラッキー!フレンドリーな見た目にクールな生態、というギャップもジャイアントパンダの魅力です。
ジャイアントパンダが日本からいなくなる理由

ここでは、ジャイアントパンダが日本からいなくなる理由を紹介します。
動物園の人気者であるパンダの返還については、多くの人が悲しんでいます。「こんなに愛されている動物がなぜいなくなるの?」と思うかもしれませんが、そこには外交面やパンダの生体面など複雑な背景が存在しているのです。
もともとは『パンダ外交』の手段であり、中国に所有権がある
ジャイアントパンダは中国にしか生息しておらず、生体を所有する権利は中国が持っています。日本の動物園にいるパンダは、あくまで中国から借りている動物です。
パンダの貸付は、中国にとって外交手段の一つ。この手段は『パンダ外交』と呼ばれ、日本以外にもマレーシアやインドネシアなどさまざまな国にパンダが送られています。
「借りたものは返すのが当たり前」という一般的な考え方は、パンダ外交についても同様です。日本国内で生まれたパンダの所有権も中国が持っているため、中国が返還を希望した場合、日本が強く反発することはできません。
日本と中国の保護共同プロジェクトの契約期間が満了になった
ジャイアントパンダが日本からいなくなってしまう理由には、日本と中国の保護共同プロジェクトも関係しています。
そもそもパンダは、ワシントン条約によって商業目的の国際取引が禁止されています。そのため現在日本にいるパンダは、繁殖や研究を目的とした貸付という形で送られました。
研究は30年以上続けられていましたが、2025年8月をもって中国とのプロジェクト期間が満了となります。日本側はプロジェクトの続行を強く願っていますが、現在も中国側との協議が続いている状態です。

中国では、高齢のパンダが安心して暮らせる施設・体制が整っている
今回返還が求められているパンダのなかには、24歳という高齢期に差し掛かった個体もいます。人間でたとえると70歳程度であり、静かで安全な場で余生を過ごしたい時期といえるでしょう。
中国には、日本よりも安全にパンダが暮らせる施設があり、専門的な医療体制も充実しています。専門家からも『中国のほうが穏やかに暮らせる可能性が高い』と意見を受けており、返還が現実的となっています。
子どものパンダは将来のパートナーを探す必要があるから
高齢期のパンダだけではなく、4・6・8歳という比較的若いパンダも、今回の返還の対象です。理由として、将来の繁殖のためのパートナー探しがあげられます。
ジャイアントパンダは2~3年に一度しか発情期を迎えません。期間も非常に短く、ほかの動物と比べて繁殖の機会が限定されています。
また一度の出産ではほぼ1頭しか生まれないため、限られた繁殖のチャンスを有効活用することが重要です。繁殖可能年齢になったパンダたちを本国に返還するのは、動物保護の観点からみても妥当性があるといえるでしょう。
中国が所有権を持つパンダを返すだけ。それでも、寂しいものは寂しい…

日本は、ジャイアントパンダの権利を持つ中国からの返還を断れません。
しかしパンダの存在は、何十年も私たち日本人の心を癒してくれました。一部地域ではパンダが街や動物園のアイコンになっており、地域の新興にもつながっています。
子どもから大人まで、多くの人に愛されてきたパンダたち。返還まで残された期間は少ないからこそ、今のうちにパンダの姿をチェックしにいきましょう!
行くなら今のうち!日本でジャイアントパンダに会える動物園

ここでは、日本でジャイアントパンダに会える動物園を紹介します。
パンダを見学できる動物園は、恩賜上野動物園とアドベンチャーワールドの2ヶ所。それぞれの返還時期についても記載していますので、ぜひスケジュールを調整して来園してみてください。
【東京都】恩賜上野動物園
恩賜上野動物園(上野動物園)では『シャオシャオ』と『レイレイ』の2頭のパンダに会えます。2025年5月13日からシャオシャオの観覧方法が変更されており、観覧列への整列(15:30締め切り)が必要になっています。
所在地 | 東京都台東区上野公園9-83 |
アクセス | JR「上野駅」公園口より徒歩5分 |
料金 | 一般:600円 65歳以上:300円 中学生:200円 都内在住・在学の中学生:無料 小学6年生までの子ども:無料 |
営業時間 | 9:30~17:00 |
休園日 | 月曜日・年末年始(12月29日~翌年1月1日) |
駐車場台数 | なし |
パンダの頭数 | 2頭 |
パンダに会える期間 | 2026年2月末までを予定 |
【和歌山県】アドベンチャーワールド
アドベンチャーワールドで会えるパンダは『ラウヒン』『ユイヒン』『サイヒン』『フウヒン』の4頭です。アドベンチャーワールドは現在までに17頭のパンダの育成に成功しており、繁殖において大きな貢献をした施設といえます。
4頭のなかでも『ラウヒン』は、24歳の高齢期のパンダ。閲覧の際は、彼女たちが中国で健康に暮らせるように祈りを届けましょう!
所在地 | 和歌山県西牟婁郡白浜町堅田2399 |
アクセス | JR「白浜駅」より路線バス約10分 「南紀白浜IC」より車約6km |
料金 | 18歳以上:5,300円 65歳以上:4,800円 中学生・高校生:4,300円 4歳~小学生:3,300円 |
営業時間 | 10:00〜17:00(時期により変動) |
休園日 | 不定期のため要確認 |
駐車場台数 | 約5,000台 |
パンダの頭数 | 4頭 |
パンダに会える期間 | 2025年6月末までを予定 |
多くの人の心を癒してきたパンダ。最後の姿に会いに行こう

今回は、ジャイアントパンダが返還される理由や、日本でパンダに会える動物園を紹介しました。
絵本や小説、ぬいぐるみやアニメのキャラクター。中国から送られたジャイアントパンダは老若男女の心を癒し、さまざまな創作物や商業的アイコンとして拡大していきました。
現在まで続くパンダ人気を作ったのは、実物のパンダたちの魅力に他なりません。返還までのタイムリミットまで後わずか。この限られたチャンスを見逃さず、リアルなパンダの姿を目に焼き付けにいきましょう!