- 鳥類・爬虫類・哺乳類の特性を持つユニークな生き物!
- 生息地はオーストラリアのみで、日本では見られない
- 準絶滅危惧種に指定されており、保護プロジェクトが行われている

鳥類と哺乳類・爬虫類の特徴を持ち合わせた不思議な生き物であるカモノハシ。名前は知っていても、生態までは詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
カモノハシは恐竜がいた時代から生息していた説があり『生きた化石』とも呼ばれています。この記事では、そんなカモノハシの基本知識やユニークな生態、絶滅の危機に瀕している現状まで詳しく解説します。
カモノハシとは?まずは基本的な情報を知ろう

カモノハシは、そのユニークな外見と不思議な生態から『生きた化石』とも呼ばれています。まずは、カモノハシがどのような動物なのか、基本的な情報から見ていきましょう。
しっぽと平たいくちばしが特徴的!ユニークな見た目
カモノハシは独特な見た目が特徴です。体は分厚い茶褐色の毛皮で覆われており、アヒルのような平たく大きなくちばしと水かき、ビーバーのようなしっぽがあります。
この奇妙な見た目から、18世紀末の科学者たちは初めてカモノハシを目にしたとき『ビーバーの体にアヒルのくちばしを縫い付けた模造品』と信じて疑わなかったそうです。
カモノハシは『哺乳類』の一種
カモノハシは、鳥類や爬虫類の特徴を持ち合わせていますが、人間と同じ哺乳類に分類されます。また、哺乳類のなかでも卵を産んで子育てするため『単孔類(たんこうるい)』という原始的なグループに属するのが特徴です。
単孔類に属する動物は、カモノハシの他にハリモグラ科の数種しか存在しません。子どもは卵から孵ったあと、母親から与えられる母乳を飲んで成長するため、この点が哺乳類としての特徴を持っています。
生息地は『オーストラリア』のみ
カモノハシの生息地は、オーストラリアの東海岸沿いから南オーストラリア州の一部エリアに限られています。数が減っていることや動物愛護の観点から、国外に運び出すことが禁止されているのが現状です。
そのため、日本の動物園でカモノハシが展示されている場所はありません。

生息環境や食生活について
カモノハシは水の中を泳いでエサを獲り、水辺付近の穴で生活する半水生の動物です。おもに川や湖・池などの淡水で生活しています。
餌は、エビや小さな甲殻類・水棲昆虫など。餌を捕ると、水面に上がってから食べます。カモノハシには歯がないため、くちばしの中で砂利と一緒にすりつぶして食べます。
カモノハシの不思議な生態を紹介!

カモノハシが持つ生態は、他の哺乳類には見られないユニークなものばかりです。ここでは、特に不思議な生態についていくつか紹介します。
哺乳類なのに卵を産む
前述したとおり、カモノハシは哺乳類でありながら卵を産みます。1〜2個の卵を産んだら、体としっぽの間に挟み温めて孵化させます。
孵化した赤ちゃんはとても小さく、目が開いていない状態です。また、カモノハシには乳首がないため、赤ちゃんは腹部にある乳腺から染み出す母乳を舐めて育ちます。
オスの後ろ足には猛毒が隠されている
かわいい見た目のカモノハシですが、実は毒があります。オスの後ろ足には長さ1.5cmほどの蹴爪が生えており、ここから毒を分泌します。
より大きな動物を撃退するほど、刺されるとかなり痛いといわれています。ちなみにメスにも蹴爪はありますが、成長の過程で退化し、毒も分泌されません。
くちばしで獲物が発する電気や動きを感知
カモノハシのくちばしには『電気受容器』と『機械受容器』という2つの感覚器官が備わっています。電気受容器は、エビや昆虫が筋肉を動かす際に発するごく微弱な電流を感知するものです。
また、機械受容器で水中の中で水流や水圧を感知します。カモノハシはこれらの発達した第六感を使うことで、獲物の正確な位置を突き止めて捕らえられるのです。
紫外線を当てると青緑に光る
2020年に発表された論文で、カモノハシの毛皮に紫外線を当てると、青緑色に光る『生物蛍光』という現象があることが発表されました。
これは、毛皮などに含まれる物質が紫外線を吸収し、別の波長の光を放出する現象です。なんのために光るのかは、現時点では解明されていません。
絶滅の危機に瀕しているカモノハシと保護プロジェクト

不思議な生態が魅力的なカモノハシですが、生息数がかなり減少している現状があります。カモノハシが直面している現実と、保護の取り組みについて見ていきましょう。
環境破壊や気候変動で『絶滅危惧種』に指定
カモノハシは、国際自然保護連合のレッドリストで『準絶滅危惧種』に分類されています。以下、カモノハシの個体数が減っている原因の一例です。
- 河川の開発やダム建設による環境破壊
- 水路の汚染
- 狩猟
- 森林火災や干ばつといった気候変動 など
この状況が続くと、2070年までにさらに50〜70%ほど個体数が減少すると予想されています。

オーストラリア行われる保護プロジェクト
カモノハシを絶滅の危機から救うため、オーストラリアではさまざまな保護プロジェクトが進められています。たとえば、シドニーにあるロイヤル王立国立公園では、カモノハシのコロニーを取り戻すためのプロジェクトが実施されています。
野生動物局や世界自然保護基金(WWF)が一丸となって進めるこのプロジェクトによって、50年ぶりにカモノハシのコロニーが確認できました。このように、オーストラリアではカモノハシの生息環境を守る取り組みが進んでいます。
ユニークで珍しいカモノハシは魅力がたくさん!

カモノハシは卵を産む哺乳類というだけでなく、オスの足に毒があったり、くちばしで電気を感知したりといった驚くべき特徴を数多く持つ動物です。
そのユニークな生態は、カモノハシならではの魅力といえます。残念ながら日本では見られませんが、実際に見てみたいという方はオーストラリアの動物園に足を運んでみてください。