- アカガエルは地域によって絶滅の危機に瀕している
- アカガエルの飼育では、湿度管理が大切
- アカガエルの餌には、小さな虫や生き物を与えよう

「キュクククク」と鳴いて、春の訪れを告げるアカガエル。ひと昔前までは、各地で鳴き声を聞けた身近なカエルでした。近年では土地開発などの影響もあり、生息数を減らしています。
そんなアカガエルも飼育をすると、さらに魅力を知ることができます。アカガエルの飼育には大きな設備も必要なく、それほど難しくありません。
「アカガエルを飼育してみたい」「アカガエルってどこにいるの?」と言った疑問を解決するために、このコラムではアカガエルはどんなカエルなのか、どうやって飼育をするのかを解説していきます。アカガエルに興味がある人はぜひ参考にしてください。
寿命・特徴・生息地など、アカガエルの基本情報

アカガエルはどんなカエル?大きさや寿命はどのくらい?
アカガエルは日本各地に生息する小型のカエルです。体長は3~7cmになり、オスのほうがやや小ぶりなことが多いです。
寿命は3~5年ですが、飼育下ではもう少し長生きすることもあります。環境に溶け込みやすいように、体色は赤みがかった茶色や灰色です。個体によっては、背中や足に黒い柄が入る個体もいます。
アカガエルの生息地や生息環境は?
アカガエルは日本各地の湿地や田んぼ、池などの水辺周辺で見られるカエルです。普段は水辺周辺の草地など陸上で生活し、春先になると繁殖のために水辺へ移動します。
近年では土地開発によって適した環境が減り、アカガエルの個体数も減っています。県によっては絶滅危惧種に指定されているほどです。千葉県では最重要保護生物に指定され、採取が禁止されています。
個体数が十分な地域での採集、飼育は問題ありません。ペットショップでも300~500円で販売されています。
アカガエルに毒はある?
アカガエルには毒はありません。素手で触っても大丈夫です。しかし細菌類が付着している場合もあるので、触ったり観察したりした後はしっかりと手を洗いましょう。
名前の似ている「ニホンアマガエル」には毒があるので注意してください。
日本には7種類のアカガエルが生息!見分け方は?

実は身近な環境に生息するニホンアカガエル
ニホンアカガエルは日本固有種で、本州から九州までの広い範囲に生息しています。田んぼや池など、住宅地に近い場所にも多いので、目にする機会は多いでしょう。
体長は3~7cmで、体色は茶色がかった赤色をしていることが多いです。背中には左右には黄色い筋が入っているのが特徴です。産卵期のオスは「キュクククク」と鳴いてメスを誘います。
生息地が人の生活圏に近いので、開発による生息地の減少が問題となっています。
山間部に生息するヤマアカガエル
ヤマアカガルは名前の通り、日本各地の山間部に生息するアカガエルです。体長は同じく3~7cmで、オスは「ニャニャニャニャ」と鳴きます。
一見ニホンアカガエルにそっくりですが、ヤマアカガエルのほうがやや赤みがかった体色です。また左右の黄色い筋が途中で曲がっていることで区別できます。
普段は山間部に生息するヤマアカガエルですが、繁殖期には平地の湿地に降りてきます。観察したい場合は、繁殖期である2~3月に探すと見つけやすいでしょう。
各地に生息するアカガエルの仲間
日本にはほかにも5種類のアカガエルが生息しています。
北海道に生息するエゾアカガエル、対馬に生息するツシマアカガエル・チョウセンヤマアカガエル、奄美諸島に生息するアマミアカガエル、沖縄諸島に生息するリュウキュウアカガエルです。どれも見た目が似ていますが、基本的には見られた地域で種類を区別します。
対馬には2種類が生息していますが、ツシマアカガエルは左右の白い筋がまっすぐなのに対し、チョウセンヤマアカガエルは筋が曲がっています。またツシマヤマアカガエルのほうが大きくなり、がっしりとした体形をしているのが特徴です。
アカガエルの飼育方法!適した環境を整えよう

アカガエルの飼育に必要なものは?広めの水場を用意しよう
アカガエルを飼育する場合は、しっかりと飼育環境を整えることが大切です。飼育することに問題はありませんが、生息数が減っているカエルということを意識して飼育しましょう。
ジャンプ力があるので高さのあるケージを用意しよう
飼育ケースは幅が30cm以上のプラケースかガラス製の水槽がおすすめです。ジャンプ力があるのでなるべく高さのあるものがよいでしょう。ジャンプした際に開けられないように「カチッ」としっかりしまる蓋のものがおすすめです。
水槽の場合、網目状の蓋をしたうえで重石を乗せて対策しましょう。
湿度を保ちやすい床材を用意しよう
床材には、湿度を保ちやすい素材のものを用意しましょう。自然なレイアウトにしたい場合は赤玉土・腐葉土・ミズゴケがおすすめです。見た目を気にせずメンテナンス性を重視する場合はキッチンペーパーや新聞紙でも大丈夫です。
定期的に交換が必要ですので、交換しやすいものを選びましょう。
水浴びが大好きなので広めの水入れを設置しよう
アカガエルは水浴びをするので、水入れも必要です。アカガエルの体長より一回り以上大きなものを用意します。
専用のものでもよいですが、深めのお皿やタッパーでも大丈夫です。アカガエルが下敷きにならないよう、安定感のあるものを選んでください。
メンテナンスのしやすい観葉植物、隠れ家を選ぼう
アカガエルが落ち着いて生活するための隠れ家も用意しましょう。
観葉植物を使用すると、自然に近いレイアウトができるのでおすすめです。木の枝やコルクなどを組み合わせてもよいでしょう。シンプルにする場合、専用のシェルターも。
複雑なレイアウトにするとメンテナンスが大変なので注意が必要です。
冬眠のリスクを回避するためにパネルヒーターを設置
寒い時期にはパネルヒーターが必要です。野生のアカガエルは冬眠をしますが、飼育下では冬眠させるとリスクが高いので加温して飼育しましょう。パネルヒーターであれば、ケージの側面に張るだけで簡単に加温できます。
大きなパネルヒーターでは暑くなりすぎるので、ケージの半分程度の大きさのものを選んでください。
生活リズムを整える照明もあるとよい
草陰に潜んで生活するアカガエルには照明は必ずしも必要ではありません。しかしレイアウトに植物を設置する場合は、あったほうがよいでしょう。
照明を設置することで鑑賞性が高まりますし、アカガエルの生活リズムが整うメリットもあります。植物用や水草用のLEDがおすすめです。
快適に過ごせる温度の管理方法
アカガエルは日本に生息しているカエルなので、基本的には常温で大丈夫です。しかし近年の猛暑で暑くなりすぎることもあります。その場合はエアコンを稼働したり、風通しの良い場所に置いたりしてケージ内の温度が上がりすぎないようにしましょう。
冬場には本来冬眠をしますが、飼育下で冬眠させるのは危険です。保温して冬眠させないようにしましょう。保温には上記でも紹介したようにパネルヒーターがおすすめです。ケージの側面に張って保温してください。
アカガエルの餌は何をあげる?

アカガエルの健康を維持するために、餌やりはとても大切です。アカガエルが好む餌を用意し、適切な量を与えなくてはいけません。同時に餌やりはアカガエルとのスキンシップの時間でもあるので、スキンシップを楽しみながら餌を与えましょう。
小さな生き物を中心に与えよう
アカガエルは肉食性で、小さな虫やミミズなどが好物です。飼育下では、基本的に生き餌を用意する必要があります。
餌となる生き物は、自分で捕まえる場合はバッタ・コオロギ・イモムシ・クモ・ミミズなどです。爬虫類ショップではコオロギ・ミルワーム・ハエ・ゴキブリなどが購入できます。
栄養の偏りを防ぐために、複数の種類をローテーションするとよいでしょう。
餌の数や回数は?与えすぎには注意!
餌やりの頻度の目安は成体で2~3日に1回、幼体は毎日です。幼体は代謝が高いので、こまめに給餌します。
しかしあくまで目安で、大切なのはアカガエルを観察して回数や量を調節することです。餌を欲しがる仕草や、身体の太り具合を見て調整しましょう。
アカガエルの日々のお世話

アカガエルの飼育にはそれほど手間はかかりませんが、日々の世話は大切です。自分では環境を整えられないアカガエルのために、しっかりと世話をしてあげましょう。
小まめに掃除して清潔に保とう
アカガエルの健康を保つために、ケージ内を清潔に保つことが大切です。1週間に1回程度、ケージ内の掃除をしましょう。
排せつ物や餌の食べ残しがあると雑菌が湧きやすいので、しっかりと取り除きます。壁面やレイアウト素材についたものもふき取りましょう。床材に土を使用している場合、汚れていれば部分的に取り除きます。ペーパー類の場合は掃除するたびに、新しいものと取り替えてください。
乾燥に注意!毎日霧吹きをしよう
アカガエルは乾燥を嫌うので、毎日霧吹きをして湿度を保ちましょう。水入れが置いてあれば大丈夫と思いがちですが、それだけではケージ内の湿度を保てません。霧吹きをすることで、空気中の湿度を高められます。
もしアカガエルがずっと水入れにいる場合、湿度が足りない可能性が高いです。その場合は、霧吹きの頻度や量を調整しましょう。
アカガエルを観察・飼育をして、その魅力に迫ろう

アカガエルは身近な環境に生息するので大掛かりな設備も必要なく、飼育しやすいカエルです。長く飼育をしていると人にも慣れますし、餌をねだる仕草はとても可愛くみえます。飼育することで、アカガエルのさらなる魅力を知ることができるでしょう。
アカガエルを飼育するポイントは、湿度の管理です。乾燥しすぎても、蒸れても良くないので、日ごろから観察して上手に調整しましょう。
もちろん、野外での観察も楽しいものです。可愛い鳴き声を聞けば癒されること間違いありません。自然の残っている地域に行けば観察できますので、ぜひ訪れてみてください。