- リクガメは約60種類いて、中には絶滅に瀕している種類もいる
- リクガメは長寿な生き物で、中には200年近く生きる個体もいる
- 飼育をする場合、種類に合わせた飼育環境を用意することが大切

のんびりとした動きと愛らしい見た目で、近年人気が高まっている『リクガメ』。カメと聞くと水辺をイメージする人も多いかもしれませんが、リクガメはその名のとおり陸で暮らすカメの仲間です。人にもよく馴れ、長寿な生き物であることから、ペットとしても人気が高いです。
今回はそんなリクガメの生態や飼育に向いている種類、さらには魅力的な特徴まで初心者にも分かりやすく解説します。
リクガメの基本情報|生息環境や寿命は?

リクガメの生息地や寿命、食性など基本情報を詳しく紹介します。まずはリクガメがどんな生き物なのかを見ていきましょう。
生息地や生息環境はどんなところ?
リクガメは世界各地の乾燥地帯や草原、森林などさまざまな環境に生息しています。生息地もアフリカ・南米・地中海・マダガスカルなどを中心にさまざまです。基本的に陸上で生活しますが、地域や環境によって甲羅の形や生態もそれぞれ違います。
寿命はどれくらい?大きさは?
リクガメの特徴のひとつが長寿命です。種類にもよりますが小型種でも30~50年、大型種では100年を超えることも珍しくありません。最高齢の記録として、推定192歳のガラパゴスゾウガメが現在も生き続けています。
大きさも幅広く、手のひらサイズの15cm前後の種類から、1.3m以上の巨大な種類までさまざまです。
リクガメの食性は?天敵はいるの?
基本的にリクガメは草食性で野草・野菜・果実などを食べます。一部の種類では昆虫や動物の死骸を食べることもあり、完全な草食とは限りません。動きが早くないので、生きた生き物を追いかけて食べることは少ないのです。
野生下では肉食動物や猛禽類(もうきんるい)に狙われることもあります。硬い甲羅に覆われているリクガメですが、大型の肉食動物の牙には敵いません。
リクガメの中には絶滅の危機に瀕している種類もいる
リクガメは地域によって、現地の人々の貴重なたんぱく源となっています。近年ではペット用に乱獲されたり、土地開発の影響を受けたりして、絶滅の危機にあるリクガメも増えています。動きが遅いので、良くも悪くも簡単に捕まえられてしまうのです。
代表的な例として、ホウシャガメやガラパゴスゾウガメは国際的に保護対象とされ、飼育や販売が厳しく制限されています。リクガメに関心を持つ私たち一人ひとりが、こうした現状にも目を向けることが大切です。
代表的なリクガメ5選
リクガメの仲間は世界に約60種類確認されています。ペットとして人気の種類もいれば、保護されている種類などさまざまです。今回はその中から代表的な5種類を紹介します。
ペットとして人気のケヅメリクガメ

アフリカ原産で、リクガメの中ではトップクラスの人気を誇ります。成長すると80cm以上にもなりますが、性格は温和で、人にもよく慣れます。
丈夫で初心者でも飼いやすい反面、大型になるため飼育スペースの確保が必要です。飼育スペースさえ許せば、よきパートナーになるでしょう。
世界最大のガラパゴスゾウガメ

エクアドルのガラパゴス諸島に生息する一種で、体長1.3m・体重250kgにも達する世界最大のリクガメです。かつて船乗りたちの食料や油の原料として乱獲され、絶滅寸前まで数を減らしました。現在はエクアドル政府によって厳重に保護され、少しずつ生息数が増えています。
国内では一部の動物園で展示され、その堂々たる姿と、ゆったりとした動きは多くの人々を魅了しています。世界でもっとも長生きするカメでもあり、寿命が100年以上に達する個体も多いです。
模様が美しいホウシャガメ

マダガスカル固有種で、放射状の美しい模様を持つことから『ホウシャ(放射)ガメ』と呼ばれます。その美しさから人気の高い種類ですが、絶滅危惧種に指定されており、国際取引は厳しく規制されています。最大で40cmになり、甲羅がドーム状に盛り上がるのが特徴です。
甲羅が動くベルセオレガメ
アフリカの広い範囲に生息する種類です。名前の通り甲羅の一部が折れるというユニークな特徴を持っています。敵に襲われた際には甲羅の後部を閉じることで、身を守ります。
食性は植物だけでなく、キノコ・カタツムリ・動物の死骸などを食べる雑食性です。見た目のインパクトと特徴的な生態から愛好家に人気がありますが、飼育は難しい種類です。
平たい甲羅のパンケーキリクガメ
その名のとおり、パンケーキのように平たい甲羅を持つ個性的なリクガメです。外敵に襲われると、リクガメらしからぬ速さで逃げ、岩場の隙間に入ります。その後に空気を吸い込み、甲羅を膨らませることで外から引き出されないようにして身を守ります。
特徴的な見た目や生態に加え、最大で20cmほどと飼育しやすいサイズなのでペットとして人気がありました。近年は、保護対象となっており、無許可での飼育は出来なくなっています。
リクガメは飼育できる?動物園でも見られる?

リクガメの飼育について解説します。リクガメは種類を選べば初心者でも飼育しやすい生き物です。しっかりと飼育環境を整えた上で、迎え入れましょう。
飼育しやすいリクガメとその値段は?
初心者でも比較的飼いやすいのは、ヘルマンリクガメ・ギリシャリクガメ・ロシアリクガメなどの小型種です。これらは成体でも20~30cmにとどまり、室内飼育が可能な点が魅力です。価格は種類やサイズによって1~3万円で、ペットショップでもよく取り扱われています。
最終的に広いスペースが用意できるのであれば、ケヅメリクガメやヒョウモンリクガメも飼育しやすいです。こちらは1~5万円で販売されています。
種類に合った飼育環境を用意しよう
リクガメは種類によって、適した温度や湿度が異なります。飼育する際は、種類に合わせた飼育環境を整えることが大切です。
用意すべき飼育環境によって、必要なものも変わってきます。リクガメを健康に育てるためには、事前に情報を収集し、環境を整えた上で迎え入れましょう。
餌は基本的には人工餌料、野菜が中心となります。影響が偏らないように、複数の種類を与えるのがポイントです。餌にはカルシウム剤をまぶし、毎日与えましょう。
長寿なリクガメは最後まで飼育することが大切
リクガメは非常に長生きする生き物です。一度飼い始めたら数十年の付き合いになります。「かわいいから」「珍しいから」という理由だけで飼うのではなく、ご自身のライフプランも含めて責任ある判断が求められます。
ケヅメリクガメなど大型になる種類は、最終的に広いスペースが必要になります。小さなうちは部屋の一角で飼育できますが、ゆくゆくは一部屋用意するか、庭で飼育するなどしなくてはいけません。安易な気持ちで飼育を始めないようにしましょう。
飼育できない種類は動物園で観察してみよう
法的に飼育が禁止されているリクガメは、無理に手に入れようとせず、動物園で観察するのがおすすめです。スタッフの話を直接聞けたり、パネルや解説板が設置されていたりするので、貴重な学びになるでしょう。大きなゾウガメを間近で見ると圧巻です。

リクガメの魅力を知り、リクガメが生きる環境を守ろう

リクガメは長い寿命と穏やかな性格、そして種類ごとの個性が魅力の生き物です。ゆったりとした行動は見ているだけで癒やされます。ペットとして迎え入れれば、日々の生活に安らぎを与えてくれる存在になるでしょう。
一方で、生息地の減少や乱獲により絶滅の危機に瀕しているリクガメも少なくありません。リクガメの世界を知ることは、自然環境や生物多様性について考えるきっかけにもなります。まずは身近にできることから、リクガメたちの暮らしを守る一歩を踏み出してみましょう。