- マーモットは、げっ歯目リス科ジリス亜科マーモット属に分類されるリスの仲間
- ペットとして飼育する際は、主に食事・温度・日光・スペースの4つに注意が必要
- マーモットは専門のペットショップからお迎えできる
- マーモットの希少性の高さと飼育の特殊性を考慮して、十分な知識と覚悟をもってお迎えを検討しよう

「アーーーッ!!」と叫ぶ愛らしい動物、マーモットを知っていますか?
SNSで動画が話題になり、かわいいのにおもしろいミームとして親しまれているマーモット。茶色の毛色や丸っこいもこもこの見た目から、ビーバーと誤解している人もいるようですが、その正体はマーモットです。
マーモットはペットとしての可能性も秘めており、日本で会える場所も存在しています。今回は、マーモットが愛されている魅力やポイント、気になる飼育方法などをまるごと解説します。
SNSで話題になった『叫ぶマーモット』

2015年頃にSNSで流行し、現在も定番化している『叫ぶマーモット』。直立したマーモットの映像に、人間の男性が「アーーーッ!!」と野太い声で叫ぶアフレコを施したもので、その強烈なインパクトが多くの人を魅了しています。
日本では尊さがあふれたときや、言葉にできない感情のたかぶりを表現する場面で使われており『自然界のぬいぐるみ』や『小さなおじさん』とも呼ばれ、親しまれています。
小さなおじさん!?マーモットってどんな動物?

マーモットが『小さなおじさん』と呼ばれる理由は、その人間っぽさを感じるしぐさや行動にあります。壁にもたれながら気だるそうにもぐもぐと食事をとる様子や、食べながら寝落ちしてしまう姿は、まるでおじさんのようです。
丸みのある可愛らしいぬいぐるみに、おじさんが入っているようなマーモット。その姿は人間っぽさを感じさせ、見る人を癒します。穏やかでマイペースなマーモットの魅力は、その愛らしい外見だけではなく、どこかユーモラスで親しみやすい行動にもあるのです。
マーモットの寿命は野生で約6〜15年!実は『リス』の仲間
マーモットは、げっ歯目リス科ジリス亜科マーモット属に分類される大型のげっ歯目で、実はリスの仲間です。
2本足で直立する姿がプレーリードックに似ていますが、プレーリードックもリスの仲間で、どちらもジリス亜科に属しています。プレーリードック属かマーモット属かの違いはありますが、分類学的にはかなり近い関係です。
寿命は飼育下で約15年、野生では約6〜15年とされており、適切な環境で飼育できれば長く一緒に過ごすことができます。体長は約40〜70cm、体重は約3〜7kg。毛色は茶色・灰色・黒色などさまざまです。
日本に輸入されたマーモットは4種類
世界では15種類のマーモットが確認されていますが、日本に輸入されたマーモット(マーモット属)は以下の4種類ほどです。
- ボバクマーモット
- アルプスマーモット
- ヒマラヤマーモット
- ウッドチャック
国内には30〜40匹ほどが流通しており、2025年2月には初めてヒマラヤマーモットが日本に上陸したことで話題になりました。マーモットは輸入数が限られているため希少性も高く、これからの輸入状況について、動物園やマーモット愛好家からの注目を集めています。
マーモットの生息地はアルプスやヒマラヤなどの高山地帯
野生のマーモットの主な生息地は、アルプスやヒマラヤなどの高山地帯です。
生息している地域によって種類は異なり、それぞれの環境に適応して暮らしています。天敵のキツネやオオカミ・猛禽類などを避けて繁殖した結果、標高の高い場所や寒冷地で暮らすことになったといわれています。
野生のマーモットは、10月〜4月頃まで冬眠をします。気温が著しく低下することと食料が少なくなることが理由です。長期間の冬眠は、マーモットが高山地帯で生き抜くための重要な生存戦略になっています。
マーモットの鳴き声はうるさい?
野生のマーモットは、巣穴を守る見張り役が危険を感じると、ホイッスルのような大きな鳴き声で仲間に危険を知らせる習性があります。
飼育下では、警戒音として短く高く鳴くことがまれにある程度で、通常は鳴かないため飼いやすい動物です。動画のように大きな叫び声を出すことはありません。騒音の心配が少ないため、都市部での飼育も可能です。
むちむちでもふもふのマーモットはペットにできるの?

マーモットは集団で生活する動物です。飼主を仲間と認識すれば懐いてくれます。
ペットとして飼育する際は、主に食事・温度・日光・スペースの4つに注意が必要です。マーモットとの充実した生活を送るためには、特殊な動物であることを理解した上で、適切な環境の準備が必要になります。
マーモットは野菜や草食動物のフードを食べる
マーモットは草食性の動物です。飼育下では、野菜と草食動物のフードを主食とします。キャベツ・にんじん・かぼちゃなどの野菜を好み、ウサギやモルモットなどの草食動物のフードも食べられますが、果物など糖分が多いものは与えすぎに注意が必要です。
マーモットの好む食材は日本でも手に入りやすく、食事の面では飼いやすい動物といえます。与える食材のバランスに気をつけることで、健康に配慮した飼育が可能です。
マーモットの快適な温度は20〜25度
マーモットが快適に過ごせる温度は20〜25度で、この温度帯をキープすることが重要です。
他のペットと同じように、15度以下や30度以上になると、冬眠や熱中症のリスクがあるため注意が必要になります。飼育下では、10度以下が続かない限り冬眠することはありませんが、温度管理は健康管理の基本です。
マーモットにも夏毛と冬毛があり、換毛期は春と秋の年2回。数ヶ月かけて生え変わります。換毛期間は特に温度変化に敏感になるため、より細やかな温度管理が求められます。エアコンなどを使って適温を保つことが、マーモットの快適な生活には欠かせません。
日照時間によって生活リズムを調整している
昼行性のマーモットは、日照時間によって生活リズムを調整しています。マーモットには適度な日光浴が健康維持に必要です。
マーモットは暑さが苦手なため、夏季は直射日光を避け、換気やクーラーなどで適温を保つようにしましょう。自然光を取り入れながら、温度管理と両立していくことが飼育のポイントです。
日光浴は、マーモットの生活リズムや毛艶の維持などにも関わるため、季節に応じた適切な環境作りが大切になります。
喧嘩は穏やか|必要なスペースは部屋ひとつ分
マーモットに必要なスペースは、部屋ひとつ分。意外に運動量の多い動物です。穴を掘ったり走ったり、自由に動き回れる環境を用意する必要があります。マーモットは穴を掘る習性があるため、穴掘りのできる環境も準備しましょう。
マーモット同士で相撲やレスリングのような取っ組み合いの喧嘩もしますが、穏やかな喧嘩をするため心配はいりません。喧嘩をすることで、マーモットのストレス解消にも役立っています。
マーモットのお迎えは専門のペットショップから
マーモットのお値段は、約110万円。特に人気のあるヒマラヤマーモットは、より高価です。マーモット専門のペットショップからお迎えできますが、輸入数が少なく手に入りにくい状況です。
希少性の高さと飼育の特殊性を考慮し、十分な知識と覚悟をもってお迎えを検討しましょう。マーモットを診療できる病院探しや、専門知識をもつ専門ショップのサポートが得られるかなどが、飼育成功の重要な要素になります。
マーモットに会える動物園や施設2選

ここではユーモラスで愛らしいマーモットに会える動物園や施設を紹介します。マーモットの体調や施設の改装などによって会えない場合もあるため、お出かけ前に施設に問合せをしてみてください。
- 那須どうぶつ王国【栃木県】:ウッドチャック4匹
- マーモットカフェ マーモット村【東京都】:ヒマラヤマーモット10匹
マーモット村では、マーモットの保護活動や密猟防止活動も行っています。不適切な環境で飼育されたマーモットや、ケガをしたマーモットを海外ブリーダー施設から保護し、バックヤードでお世話をしています。
ヒマラヤマーモットとオナガマーモットは、ワシントン条約により保護されていることも知っておきましょう。
見ているだけでほっこりするマーモットに会いに行こう!

叫ぶ動画やミームをきっかけに、マーモットを好きになる人が急増中!マーモットをペットとしてお迎えするためには、責任・知識・環境の整備など、慎重な判断が必要ですが、その愛らしさは格別です。
警戒心の強いマーモットに仲間と認識されるまで、時間をかけて信頼関係を築くことができれば、可愛くてユーモラスなマーモットとの充実した生活が送れます。
まずは動物園やマーモットカフェに会いに行き、マーモットの魅力や習性を観察するところから始めてみましょう。マーモットの愛らしさにあなたも夢中になるはずです。