日本に生息する野生のネズミ8種類を解説!ネズミ被害の対処法も紹介

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まとめ
  • 野生のネズミは、農作物への被害や感染症リスクなどを高める存在
  • 駆除するだけではなく、お互いの生息域や健康を守るための取り組みが重要
  • 絶滅が危惧される日本固有種も。絶滅の原因と対策について考えてみよ

ネズミは、私たちの生活に非常に近い野生動物の一種。かわいらしい見た目とは裏腹に、人間との共生では多くの課題を抱えている存在でもあります。

今回は、日本に生息する野生のネズミの種類や、ネズミ被害への対策などを紹介します。ネズミの生態を楽しく学びつつ、野生動物との関わり方についても考えていきましょう。

目次

『家ネズミ』と『野ネズミ』の違いは?

ここでは、野生のネズミの定義について紹介します。

野生のネズミは『家ネズミ』と『野ネズミ』に大別されます。ライフスタイルによっては「どちらかのネズミにしか出会ったことがない」という人も珍しくありません。両者の違いを知り、ネズミの分類について学んでいきましょう。

住んでいる場所が『屋内 or 屋外』

家ネズミと野ネズミとの違いは、住んでいる場所にあります。

排水管や屋根裏など『人の棲み処である屋内』に住んでいるネズミは家ネズミ。野山や森・林などの屋外に住んでいるネズミは野ネズミに分けられます。

このうち『野生のネズミ』と呼ばれるのは、野ネズミのほうです。

野ネズミは環境適応力も学習能力も高い!

野ネズミは過酷な自然環境のなかで生活していますから、家ネズミよりも環境適応能力が高く、学習能力にも優れている傾向にあります。

自身の適応力が生死に直結するため、洞察力や警戒心にも長けており、餌を探す力も高いことが特徴です。

家ネズミよりも野ネズミのほうが短命な傾向

そんなパワフルな野ネズミですが、家ネズミよりも平均寿命が短い傾向にあります。

家ネズミの平均寿命は1~2年程度ですが、野ネズミは3~4ヶ月程度。この理由は、野ネズミの生活環境における天敵の存在です。

自分で餌を見つけられたとしても、猫やヘビ・大型の猛禽類などの天敵に見つかったら一巻の終わり。また病気の感染や殺鼠剤による中毒なども死因としてあげられます。

日本に生息する野生のネズミ8種

ここでは、日本に生息する野生のネズミ8種類を紹介します。

高温多湿かつ春夏秋冬の気温差が激しい日本で、たくましく生き抜くネズミたち。彼らのライフスタイルから、ネズミならではの生存戦略を学んでみましょう。

ハツカネズミ|世界中に生息する家ネズミの代表格

ハツカネズミは家ネズミの一種。民家だけではなく、草地や田畑などにも生息しています。

乾きに強いハツカネズミは、コンテナのような貨物に潜んで移動し、世界中の広い地域に分布しました。動物実験にしばしば利用される『マウス』は、ハツカネズミの飼養変種(※1)です。

※1 飼養変種:人間によって飼育されたり繁殖をしたりする過程で、人間の目的に合う個体を選んで繁殖を繰り返し、特徴的な形質を固定化された生き物の型のこと

アカネズミ|パワフルな脚を持つ日本の固有種

アカネズミは野ネズミの一種。日本の固有種であり、北海道から九州に分布しています。

低地・高山帯・田畑・森林・河原の藪など幅広い環境に生息しており、小さな体ですが1日数km程度も移動できる脚力を持ちます。

ヒメネズミ|樹上でも生活する小さな野ネズミ

ヒメネズミは、アカネズミと同様に日本の固有種の野ネズミです。

分布図も生息地もアカネズミと酷似しており、識別は『頭蓋骨の形状』や『尾と脚の長さの比率』などによっておこなわれます。またアカネズミが登れない樹上でも生活できる点も特徴です。

カヤネズミ|絶滅が懸念される日本最小の野ネズミ

カヤネズミは、野ネズミの一種。日本でもっとも小さな野ネズミで、体重は7~14g程度しかありません。

水田の雑草を主食としており、水場付近の草原に生息しています。昨今では開発によって棲み処を追われており、地域によってはレッドリストに掲載されています。

ハタネズミ|人間との共生に課題が残る野ネズミ

ハタネズミも、日本固有種である野ネズミです。田畑や河川敷などに、約50cmの深さの巣穴を掘り生活しています。

畑で地中からヒョッコリと顔を出し、人間に捕獲されることも。作物や樹木に甚大な被害を及ぼすこともあり、共生における課題が残っているネズミです。

スミスネズミ|絶滅の回避に注目が集まる野ネズミ

スミスネズミも日本固有種の野ネズミ。日当たりが悪く湿った場所を好み、果実や葉を主食とします。

落葉樹林や松林をおもな棲み処としていますが、近年では野生のシカによって草地が食べられてしまい、生息場所が激減。シカの管理による山林の植生回復が急がれています。

エゾヤチネズミ|北海道に生息するエネルギッシュな野ネズミ

エゾヤチネズミは、日本では北海道地域にのみ生息する野ネズミです。

農林業への被害が大きく、北海道ではエゾシカと並んで害獣として認識されています。冬でも冬眠せず、雪の下にトンネルを掘って生活するエネルギッシュな生態を持ちます。

ドブネズミ|街中にも現れる身近な家ネズミ

ドブネズミは、家ネズミの一種。大型のネズミであり、体重は大きな個体では500gにもなります。

下水や家屋だけではなく、海岸・湿地・河原など、水辺や湿った場所を好み生息します。線路や地下街の通路にも突然現れ、通行人を驚かすことも、私たちの生活にもっとも近しいネズミともいえるでしょう。

一部の野生のネズミは駆除・飼育が可能

日本の家ネズミは、ドブネズミ・クマネズミ・ハツカネズミの3種類。この3種類は、鳥獣保護管理法の適用外になります。つまり、上記3種類であれば自由に捕獲や駆除・飼育が可能です。

とはいえ家ネズミの飼育は感染症のリスクが非常に高いため、飼育よりも駆除が強く推奨されています。反対に、上記以外のネズミ(つまり『野ネズミ』)は、鳥獣保護法に守られており駆除や捕獲・飼育ができません。

野生のネズミを放置するとどんな被害が?

野生のネズミを放置すると、以下のようなさまざまな被害が懸念されます。

  • 衛生面のリスク(例:サルモネラ症やエキノコックス症など危険な病原菌を運ぶ)
  • 建物への被害(例:木材や断熱材をかじる)
  • 大きな事故のリスク(例:電気配線をかじり、火災の原因になる)
  • 経済的な被害(例:飲食店や工場では、保健所の検査次第で営業停止になるケースもある)

人間とネズミが共生するためには、適切な距離感を保つ工夫が重要です。不必要に命を奪わないためにも、『寄り付かせない』『増やさない』ための取り組みが求められます。

ネズミ被害の対処法

ここでは、ネズミ被害への対処法を紹介します。

ネズミによる被害は、目に見えないかたちで迫っていることも。「まだ直接的な被害はないから」と楽観視せず、早い段階で捕獲や駆除をおこない、感染や事故のリスクを下げましょう。

餌になる食べ物や水場をなくす

ネズミ被害を減らすための近道は、餌になる食べ物や水場をなくすことです。生ごみやペットフードなどを放置せず、清潔な状態を保ちましょう。

軒下や庭などに水が溜まりやすい場所があれば対処し、餌場・水場としての価値を下げることが大切です。

ネズミの侵入経路を塞ぐ

巣作りの場所を与えない取り組みも、ネズミ被害の減少につながります。侵入経路となる通気口には、金網の設置が効果的パイプ部分の隙間にも要注意です。

また床下・天井裏・押し入れなどを清潔に保ち、巣の材料となる紙屑やビニールなどを放置しないようにしましょう。

市販の駆除商品を活用する

ネズミの駆除には、市販の殺鼠剤が推奨されます。

多くの殺鼠剤には、ネズミだけではなく人間やペットにも有害な成分が含まれています。小さなお子さんやペットの手が届かない場所に設置し、数日程度様子を見てみましょう。

殺鼠剤の効果が現れるまでには、最大10日間程度の期間が必要な場合があります。

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専門業者に頼むのも手

対策を講じてもネズミがいなくならないときは、ネズミ駆除の専門業者に依頼するのも一つの手段です。

依頼の際は、すべての作業を自社スタッフで担う『自社施行の業者』が推奨されます。スタッフが受けている研修や資格などを確認したうえで、信頼できる業者を選択しましょう。

ネズミの性質を理解して、丁度良い距離感を保とう

今回は、日本に生息するネズミの種類や、ネズミ被害への対策などを紹介しました。

不衛生な環境でも、餌さえあればたくましく生き抜く野生のネズミ。しかし人間にとっては、農業被害や感染被害などで悩みの種になるケースもあります。

大切なのは、ただ駆除し続けることではなく、適切な距離感を維持するための工夫です。お互いの生息域を尊重しつつ、住み分けができる環境づくりを考えていきましょう。

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あらゆるジャンルを縦横無尽に駆け巡る雑食系ライター。元ペットショップ販売員として表彰経験あり。SEOを中心に、執筆記事は2,000本以上。アニマル・メンタルヘルス・ウェルビーイングなどを中心に、毎日の充実度がちょっぴり高まる記事を発信中。

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