- ニシキヘビは、熱帯・亜熱帯地方に生息する
- ニシキヘビに毒はなく、好んで人を襲うことはない
- ニシキヘビには20種類以上いて、種類によっては温和でペット向き

ニシキヘビと聞くと、巨大で獰猛なイメージを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?映画やニュースでは、人を襲う危険なヘビとして描かれることもあります。しかし実際のニシキヘビは、種類によっては温厚な性格で、ペットとして人気がある種も存在します。
この記事では、そんなニシキヘビの基本情報から、代表的な種類・飼育のポイントまで、初心者にもわかりやすく解説していきます。
生息環境・寿命などのニシキヘビの基本情報

ニシキヘビの大きさや寿命・生息地・食性など、基本情報を詳しく紹介します。まずはニシキヘビがどんな生き物なのか見ていきましょう。
生息地・生息環境はどんなところ?
ニシキヘビは主にアジア・アフリカ・オーストラリアなどの熱帯から亜熱帯にかけて広く分布しています。種類によって森林地帯・草原・湿地帯など好む環境はさまざまです。
一部の種類は水辺に生息しており、水中での生活にも適応しています。水中に潜んでいるニシキヘビに気づかず襲われる事故があり、ニシキヘビが獰猛なイメージとなっている理由でもあります。
ニシキヘビの大きさや寿命は?
ニシキヘビの大きさは種類によって大きく異なりますが、小型の種類では1メートル、大型の種類では7メートルを超えることもあります。飼育下での寿命は平均15~20年で、丁寧に飼育すればさらに長生きする場合もあります。成長がゆっくりで長寿であることから、ペットとして迎える際には最後まで飼育できるのかしっかりと考えましょう。
ニシキヘビは肉食性!自分より大きな餌も食べる
ニシキヘビは完全な肉食性で、野生下では小型哺乳類や鳥類・爬虫類などを捕食します。獲物を締めつけて窒息させてから丸呑みにする習性があります。
ニシキヘビの顎は、上顎と下顎を繋ぐ特殊な骨でつながっており、大きく口を開けても顎が外れることがありません。肋骨も自在に動くようになっています。このような身体の構造によって、自分の体の太さよりも大きな獲物も飲み込むことが可能です。
ニシキヘビには毒がある?
ニシキヘビは毒を持っていません。獲物を仕留める際も毒を使わず、体を巻きつけて締め上げる『絞め殺し』によって捕食します。
ニシキヘビは獰猛なイメージを持つ人も少なくありませんが、積極的に人を襲うことはありません。偶発的に大型種が人間に巻きついた場合、重大な事故につながる可能性はあります。
代表的なニシキヘビ5選

ニシキヘビの仲間は世界中で20種類ほどが確認されています。その中にはペットとして人気の種類もいれば、多くの人がイメージする大蛇のような種類までさまざまです。今回はその中から代表的な5種類を紹介します。
ペットとして人気のボールパイソン

ボールパイソンは、ニシキヘビの中でも最もポピュラーなペット種のひとつです。アフリカ中部~南部のサバンナや草原地帯に生息しています。成体でも1.5〜2メートルと比較的小型で、性格も温厚です。
初心者にも飼いやすいことから、世界中で人気があります。多彩なモルフ(体色や模様のバリエーション)も魅力のひとつで、自分好みの個体を見つける楽しさもあります。
荒々しい性格のブラッドパイソン

ブラッドパイソンはマレー半島やスマトラ島などに生息する中型のニシキヘビです。熱帯雨林や湿地帯に生息し、体が太く、筋肉質な見た目が特徴です。体長は1.5~2.5mほどで、やや荒い性格をしています。ハンドリングには不向きなものの、荒々しい性格を魅力に感じるファンも多いニシキヘビです。
派手な体色が美しいグリーンパイソン

鮮やかな緑色や黄色の体色が目を引くグリーンパイソンは、樹上性のニシキヘビです。オーストラリア・インドネシア・パプアニューギニアの熱帯雨林に生息しています。美しい外見から観賞価値が高く、爬虫類愛好家の間でも非常に人気があります。
性格はやや気性が荒い傾向があり、観賞用として楽しむのに向いている種類です。産地によって体色や模様が異なり、コレクションする人も多いニシキヘビです。
世界最大のヘビ アミメニシキヘビ

アミメニシキヘビは世界最大級のヘビで、記録上では7メートルを超える個体も確認されています。インドネシアを中心とした東南アジアに生息しており、全身に網目状の模様があることが名前の由来です。野生ではシカなど大型の哺乳類を捕食することもあり、締め付ける力が非常に強いヘビです。
絶滅が危惧されるビルマニシキヘビ

ビルマニシキヘビは、アジアに広く分布していた種ですが、現在では生息地の減少や乱獲により数が減少しています。最大で5メートル近くになる一方で、性格が比較的温和なこともありペットとして人気があります。現在日本では飼育できませんが、アメリカでは飼育していた個体が逃げ出し、自然界に定着して問題となっています。
ニシキヘビは飼育できるの?

ニシキヘビの飼育について解説します。ニシキヘビの仲間は種類を選べば飼育もしやすいですが、間違った環境では健康に育ちません。しっかりと飼育のポイントを押さえておきましょう。
飼育できるニシキヘビとその値段は?
飼育ができるニシキヘビには、
- ボールパイソン
- グリーンパイソン
- ブラッドパイソン
- カーペットパイソン
などがあげられます。
ボールパイソンは1万円台から購入できる個体もあります。希少性の高いモルフの場合、高価なものでは数十万円に上ることもあるほどです。そのほかのニシキヘビも3~5万円で販売されています。
アミメニシキヘビ・ビルマニシキヘビは特定動物に指定されており、飼育できません。
種類に合った環境を用意しよう
ニシキヘビの飼育では、湿度や温度管理が重要です。種類によって好む環境が違うので、それぞれにあった環境を用意しましょう。また飼育するサイズに合わせたケージを用意することも大切です。
ケージ以外には、保温器具・床材・水入れなどを用意する必要があります。床材や水入れを調整することで、ケージ内の湿度を調整可能です。湿度不足は脱皮不全の原因となるので注意しましょう。
餌はサイズに合わせて冷凍マウスや冷凍ラットが基本となります。大型の個体になると、1ヶ月に1回しか食べない個体もいます。その個体が食べられる最大サイズの餌を用意するのがポイントです。
脱走させないように注意しよう
ヘビは意外なほど狭い隙間から脱走することができます。ケージの蓋はしっかりと固定し、隙間ができないようにしましょう。
ニシキヘビが魅力的な生き物であるのは確かですが、怖く感じる人は少なくありません。万が一脱走してしまうと、近隣とのトラブルにもなりかねませんので、厳重に管理する必要があります。
ニシキヘビの魅力に迫ろう

ニシキヘビは『危険な存在』と思われがちですが、実際にはおとなしい種類や美しい種類も多いです。正しい知識と飼育環境があれば魅力的なペットにもなります。
個性的な模様や色彩、種類ごとの違いを楽しみながら、ヘビという生き物の奥深さにふれてみてはどうでしょうか?興味を持った人は、まずはペットショップや専門店で実物を観察してみるのもおすすめです。新たな魅力に気づけるかもしれません。