アナゴとウナギ、結局どう違う?見分け方と生態の違いを紹介

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まとめ
  • アナゴは一生を海で過ごし、ウナギは川と海を行き来する回遊魚
  • 口の形や体色、背びれの位置で両者を見分けることができる
  • 身の味わいの違いは生活環境と運動量の差から生まれる

アナゴとウナギは、どちらも細長い体を持つ魚として知られています。アナゴの天ぷら、ウナギの蒲焼きなど食材としても馴染み深い存在です。しかし、この二つの魚は見た目こそ似ているものの、実はまったく異なる生き物なのを知っていますか?

分類上の位置づけから生息環境、さらには一生の過ごし方まで、両者には多くの違いがあります。一方で、繁殖の謎や体表の特徴など、共通する部分も少なくありません。

この記事では、アナゴとウナギの基本情報から、生態の違いや観察方法まで詳しく紹介します。両者の違いを知れば、水族館や釣りでの出会いがもっと楽しくなるはずです。

目次

アナゴとウナギとは?基本情報と特徴を紹介

アナゴとウナギは同じような姿をしていますが、分類や生態には明確な違いがあります。ここでは、それぞれの基本的な特徴や見分け方、生息環境の違いについて解説していきます。

似ているようで別物!アナゴとウナギの基本的な分類

アナゴもウナギも、硬骨魚類の『ウナギ目』に属する仲間です。細長い体と背びれ・尾びれ・尻びれが一続きになった姿が特徴で、この点では共通しています。

しかし、科のレベルで見ると両者は異なるグループに分かれます。アナゴは『アナゴ科』に、ウナギは『ウナギ科』に分類されており、進化の過程で異なる道を歩んできた魚なのです。日本近海で見られるアナゴにはマアナゴやクロアナゴなどがいます。一方、ウナギは二ホンウナギやオオウナギが代表的です。

見た目の違いは?見分けるポイント

両者を見分けるポイントはいくつかあります。まずは下あごの長さで、アナゴは上あごが下あごより前に出ていますが、ウナギは下あごが上あごより前に出ています。口の形を横から見れば、すぐに判別できるでしょう。

体色も違い、アナゴは茶褐色から灰色をベースに、体側に白い斑点が規則的に並ぶ模様を持つ種が多いです。対してウナギは全体的に暗褐色から黒っぽい色をしており、斑点模様はほとんど見られません。腹側は両者ともに白っぽくなっています。

背びれの始まる位置も判別の手がかりになります。アナゴは胸びれのすぐ後ろから背びれが始まるのに対し、ウナギは胸びれからやや離れた位置から背びれが始まるのです。これらの特徴を組み合わせれば、慣れていない人でも見分けられるようになります。

生息地や生息環境の違い

アナゴとウナギでは、暮らす場所が大きく異なります。アナゴは一生を海で過ごす魚です。沿岸の砂泥底や岩礁域を好み、水深数mから数百mの範囲に生息しています。

一方、ウナギは淡水と海水の両方で生活する『通し回遊魚』です。大半を河川や湖で過ごし、繁殖のために海へと下ります。川の中流から下流域・用水路など、淡水域であれば広く生息可能ですが、産卵は必ず海で行われます。

このように、生活史における環境の使い分けが両者の大きな違いといえるでしょう。漁獲される場所も、アナゴは主に沿岸の定置網や底引き網、ウナギは河川での筒漁やはえ縄など、全く違う漁法が使われます。

それぞれの餌と食性の特徴

両者とも肉食性の魚ですが、食べる餌には環境に応じた違いがあります。アナゴは海底に生息する小魚や甲殻類、多毛類などを捕食します。夜行性で、暗くなると巣穴から出て活発に獲物を探すのです。嗅覚が発達しており、砂に潜った貝類やゴカイなども見つけ出して食べます。

ウナギは水生昆虫や小魚、エビなどを食べており、時には魚の死骸も食べる雑食性を示します。成長に伴って大型の餌を好むようになり、成魚ではかなり大きな魚も丸呑みするほどです。

身の味わいの違いは生活環境から生まれる

アナゴとウナギは、どちらも食材として親しまれていますが、味わいには大きな違いがあります。アナゴはあっさりとした淡白な身質で、ウナギは脂がのった濃厚な味わいです。この違いはどこから生まれるのでしょうか。

大きな要因は、生活環境と運動量の差です。アナゴは、海流のある環境で餌を探して泳ぎ回るため、運動量が多く筋肉質な体になります。

ウナギは流れの緩やかな河川や湖で長期間を過ごすため、激しく泳ぐ必要がありません。さらに、産卵のために海へ下る長い旅路に備えて、体内に大量の脂質を蓄える習性があります。この生理的な特性が、脂肪分の多い身体を作り出しているのです。

アナゴとウナギの生態の違いや共通点

似た姿を持つアナゴとウナギですが、一生の過ごし方には大きな違いがあります。ここでは、それぞれの回遊パターンや繁殖の謎、日常的な行動の特徴について詳しく見ていきましょう。

一生を海で過ごすアナゴ、川と海を行き来するウナギ

アナゴは生まれてから死ぬまで、ずっと海の中で生活します。孵化した仔魚は透明な『レプトケファルス』と呼ばれる形態で海中を漂い、成長しながら沿岸域へと移動していきます。やがて変態して稚魚になると、海底での生活を始めるのです。

対照的に、ウナギは複雑な回遊を行います。海で生まれた仔魚は黒潮に乗って日本沿岸まで運ばれ『シラスウナギ』と呼ばれる稚魚となって河口に到達します。そこから川を遡上し、数年から十数年を淡水域で過ごすのです。

成熟したウナギは『降河回遊』といって、再び海へと下ります。体色が銀色に変化し、目が大きくなる『銀化』という現象が起こり、これが産卵のための準備です。

産卵場所はどちらも深海!謎に包まれた繁殖生態

興味深いことに、アナゴもウナギも産卵場所は深海です。ニホンウナギの産卵場は、マリアナ諸島西方の深海であることが近年の調査で明らかになりました。水深200m以深の暗い海域で産卵すると考えられています。

アナゴの産卵場所も正確には分かっていませんが、同様に沖合の深い海域だと推測されています。両者とも産卵の瞬間が直接観察された例はほとんどなく、繁殖生態には多くの謎が残されているのです。

孵化した仔魚はレプトケファルスという特殊な形態をとります。体は平たく透明で、ほとんど筋肉を持たない独特の姿です。この形態で海中のプランクトンを食べながら漂流し、数ヶ月から一年以上かけて成長します。やがて変態して細長い稚魚の姿になり、それぞれの生息環境へと向かうのです。

砂に潜る?岩陰に隠れる?それぞれの隠れ方

日中の過ごし方にも、両者には違いが見られます。アナゴは砂泥底に生息し、体を砂の中に潜らせて隠れる習性があります。頭だけを砂から出して周囲を警戒し、危険を感じると完全に砂の中へ潜り込むのです。種類によっては岩の隙間を好むものもおり、クロアナゴなどは岩礁域でよく見られます。

ウナギは河川や湖の底にある石の下、護岸の隙間、水草の茂みなどに身を隠します。昼間はほとんど動かず、じっと物陰で休んでいることが多いです。時には泥の中に潜ることもありますが、アナゴほど頻繁ではありません。

ヌルヌルの粘液の役割とは

アナゴもウナギも、体表が大量の粘液で覆われています。触るとヌルヌルとした感触があり、これが両者の共通する特徴です。

粘液の層が皮膚を覆うことで、寄生虫や病原菌の侵入を防ぎます。また、傷ついた際の感染予防にもなり、狭い場所を通り抜ける際、岩や砂で傷つくリスクを減らしてくれます。

また、呼吸を補助する機能もあります。アナゴやウナギは鰓(えら)呼吸が基本ですが、粘膜を湿らせておくことで、ある程度の皮膚呼吸も可能です。これにより、一時的に水から出ても生存できる能力を持っています。

アナゴとウナギを観察するには?

アナゴもウナギも、実際に観察できる機会があります。ここでは、水族館での展示や、自然環境での出会い方について紹介します。身近な場所で両者を観察してみましょう。

どちらも水族館で見られる

アナゴとウナギは、多くの水族館で展示されています。水槽の中で静かに過ごす姿を観察すれば、これまで紹介してきた特徴を実際に確認できます。じっくり観察すると、下あごが前に出た口の形や、背びれの位置など違いがはっきり分かります。

展示方法は水族館によって異なりますが、タイミングが良ければ、砂から頭だけを出している姿や、体をくねらせながら隠れようとする行動を観察できるでしょう。一般的な魚との泳ぎ方の違いを観察するのも楽しみの1つです。

磯遊びや釣りで出会える可能性は?

自然環境でアナゴやウナギに出会うことも可能です。アナゴは沿岸部に生息しているため、防波堤や岸壁からの投げ釣りで狙えます。砂地のポイントでナイトダイビングをすると出会えることもあるでしょう。

ウナギは川での釣りや、たも網採集で出会うことが可能です。ただし、ニホンウナギは地域によっては漁獲規制がかけられています。釣りをする前に、必ず地域の規則を確認しましょう。

いずれの場合も、自然環境を大切にし、必要以上に捕獲しないよう心がけてください。

アナゴとウナギの違いを知って、より深く観察してみよう

アナゴとウナギは見た目こそ似ていますが、分類から生息環境、生活史まで多くの違いがあることが分かりました。アナゴは一生を海で過ごす魚であり、ウナギは川と海を行き来する回遊魚です。口の形や体色、背びれの位置などを観察すれば、両者を見分けることができます。

一方で、どちらも深海で産卵する点や、体表を粘液で覆っている点など、共通する特徴も持っています。夜行性で物陰に隠れる習性も同じです。

もし水族館や釣りで両者を観察する機会があれば、ぜひこの記事で紹介した違いを意識してみてください。実際に見比べることで、それぞれの個性がより鮮明に理解できるはずです。普段は食材としてしか目にしない人も、生きている姿を観察すれば、また新たな発見があるでしょう。

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のべじ

のべじ

元水族館職員の生き物好きライター。ダイビングガイド、農家などの経験を活かし生き物・自然・家庭菜園・料理など、さまざまな分野でライティングしています。

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