- 実はニホントカゲは3種類存在する
- ニホントカゲの飼育には、体温を調整するためのバスキングライトが重要
- ニホントカゲの餌には、小さな虫を与えよう
ニホントカゲは住宅街でも見ることができる、比較的身近な爬虫類です。幼体は鮮やかな青い尻尾をしていて、爬虫類が苦手な人でもきれいと思えるのではないでしょうか。
よく晴れた日中に、公園などで日光浴をしているニホントカゲの姿をよく見かけます。太陽の光を浴びる姿はとても気持ちがよさそうで、観察しているととても楽しいです。
そんなニホントカゲも飼育すると、さらに深くその魅力を知ることができます。しかし身近なニホントカゲでもいざ飼育しようとすると「どうやって飼ったらいいの?」と疑問が湧いてくるでしょう。
その疑問を解決するためにこのコラムでは、ニホントカゲとはどんなトカゲなのか生態や飼育方法を解説していきます。ニホントカゲの飼育を始める前に、ぜひ参考にしてください。
輝く青い尻尾が魅力!ニホントカゲの基本情報
先述の通り、ニホントカゲは身近なトカゲです。青い尻尾のイメージが強いですが、実は成長とともに色が変化します。まずは、ニホントカゲがどんなトカゲなのか、詳しくみていきましょう。
ニホントカゲはどんなとかげ?大きさや寿命は?
ニホントカゲは、体全体が滑らかな鱗で覆われたトカゲです。
幼体の時は黒い体に黄色の縦線模様、そして青い尻尾が特徴です。成長とともにくすんでいき赤褐色の背中に、黒褐色の側面に変わっていきます。
大きさは15~20cmで、寿命は5~10年とされています。野生では天敵も多いですが、飼育をすると意外と長生きする生き物です。自分で捕まえることもできますが、爬虫類ショップでは1,000~2,000円で販売されています。
生息地や生息環境はどんなところ?
ニホントカゲは、日本全国のさまざまな環境で見られるトカゲです。
主に日当たりの良い平地や低山地に生息しています。畑・土手・原っぱはもちろん住宅地の庭先でも姿を見かけることがあります。都市部でも比較的馴染みのある生き物の1つといえるでしょう。
ニホントカゲは変温動物なので、体温を上げるために日光浴をする必要があります。晴れた日の日中には、太陽の光が当たる開けた場所や石の上・塀の上などで、日光浴をする姿が見られます。
実は3種類もいる!ニホントカゲの種類ごとの特徴
実は日本には3種類のニホントカゲの仲間が生息し、3種類を総称して『ニホントカゲ』と呼んでんでいるのです。それぞれの種類には特徴があり、生息地や見た目にも違いがあるので、解説していきます。
西日本だけに生息する!?ニホントカゲ
ニホントカゲは、主に西日本に生息するトカゲです。九州から近畿地方にかけて広く分布し、特に温暖な地域でよく見ることができます。
パッと見ではほかの種類との区別はつきません。基本的には生息地が分かれているので、西日本にいるものは、ニホントカゲと考えて良いでしょう。
実は別種!遺伝子が異なるヒガシニホントカゲ
ヒガシニホントカゲは主に東日本に生息するトカゲで、一般的なニホントカゲとは遺伝子的に異なる別種とされています。見た目は非常に似ていますが、研究者による詳しい調査で違いが明らかになりました。
長年ニホントカゲと同じ種類とされていたほどですので、外見だけで判断するのは難しいでしょう。
伊豆半島だけに生息!?オカダトカゲ
オカダトカゲは、伊豆半島と伊豆諸島のみに生息する非常に珍しいトカゲです。オカダトカゲは日本国内でも限られた地域にしか見られない、地域固有種として知られています。
外見での判断は専門家ではないと難しいですが、伊豆半島にいるものはオカダトカゲと考えて大丈夫です。
ニホントカゲを飼いたい!まずは環境づくりから
ニホントカゲの飼育をする場合は、まずは適した飼育環境を作ることから始めましょう。身近な生き物とはいえ、しっかりと準備をしないとニホントカゲを弱らせてしまいます。
ニホントカゲの飼育に必要なものは?
ニホントカゲの飼育には最低限、飼育ケージ・バスキングライト・床材が必要になります。日光浴を好むニホントカゲのために、バスキングライトは必須です。
ガラス製かプラスチック製がおすすめの飼育ケース
飼育ケースはガラス製の水槽か、プラケースが適しています。最低でも30×30cmのサイズが必要で、できるだけ広いものを用意することが望ましいです。ケースの蓋は、脱走防止に「カチッ」と閉まるものがよいでしょう。
日光浴のために必須で用意したいバスキングライト
次に必要なのが、バスキングライトです。ニホントカゲは日光浴をすることで体温を調整するため、バスキングライトを設置して日光を再現しましょう。バスキングライトの下には、石や流木を置くと体を温めやすくなります。その他にも複数の石や木の枝、枯れ葉などを使って、自然を再現するとニホントカゲも落ち着きやすいです。
床材におすすめなのは赤玉土・腐葉土
ケージの底には赤玉土、腐葉土などを敷くのがおすすめです。見た目を気にせず、メンテナンスのしやすさを重視するのであれば、キッチンペーパーや新聞紙でも構いません。
快適に過ごせる温度と湿度管理方法
ニホントカゲを健康に飼育するためには、適切な温度と湿度の管理が必須です。
ニホントカゲは変温動物なので、自分で体温を調整することができません。そのため飼育環境の温度に影響されるので、温度と湿度の管理が重要です。
最適な温度は?
温度はバスキングライトの下で35〜40℃、離れた場所で25~30℃を目安にしましょう。ケージ内に温度勾配を作ることで、ニホントカゲ自身が居場所を選ぶことができます
最適な湿度は?
次に湿度管理です。ニホントカゲは過度の乾燥や蒸れが苦手です。40~60%を目安に湿度を維持しましょう。特に湿度が低すぎると、脱皮不全や体調不良の原因になります。
湿度を保つ方法は、毎朝ケージ内に霧吹きする方法がおすすめです。霧吹きをすることで、湿度維持だけでなく、ケージの壁や石についた水滴を舐めて水分補給させることもできます。個体によっては、水入れの水を認識できないことがありますが、水滴は認識してくれます。
もう1つは水入れを設置することです。常設することで霧吹きを忘れたり、忙しくてできなかったりしても、ある程度の湿度を維持できます。
ニホントカゲの餌は何を与える?
ニホントカゲの飼育で一番楽しいのが、餌やりの時間です。ニホントカゲの健康を維持するためにも、正しい餌やりをしましょう。
ニホントカゲは小さな虫が大好き!
ニホントカゲは肉食性で、小さな虫が大好物です。人工の餌は食べないので、基本的には生きた虫を与えます。
餌となる虫は、自分で捕まえるか爬虫類店などで購入しましょう。自分で捕まえられる身近な虫としては、バッタ・コオロギ・クモ・イモムシなどです。お店で購入できるものは、コオロギ・ミルワーム・ゴキブリなどがあります。
栄養の偏りを防ぐためと、ニホントカゲが飽きるのを防ぐために、いくつかの種類をローテーションするのがおすすめです。
餌の与えすぎには要注意!餌やりの回数は?
ニホントカゲの餌は、2~3日に1回で十分です。餌の量は、与える虫の大きさにもよりますが、2~3匹を目安にしてください。
ニホントカゲはお腹が満たされていても、動くものに反射的に食いつくことも多いです。餌やりの時間が楽しいからと言って、ついついたくさんの餌を与えすぎないようにしましょう。餌を与えすぎると消化不良や肥満の原因となるので注意してください。
餌を与える際は、カルシウム剤を添加しましょう。カルシウムが不足すると、骨がまがったり、もろくなったりするクル病にかかる可能性があります。
ニホントカゲの日々の世話や注意点
ニホントカゲはそれほど手間のかからない生き物ですが、日々の世話は大切です。その他にも、ニホントカゲを飼育する上で、注意すべき点を解説します。
ニホントカゲは綺麗好き!こまめに掃除しよう
ニホントカゲの健康を保つために、ケージ内は小まめに掃除しましょう。
毎日ではなくても構いませんが、排せつ物や食べ残した餌などを取り除いてください。床材が汚れていた場合、部分的に取り換え、ガラスが汚れていれば、ふき取りましょう。
不衛生な環境では、雑菌が繁殖しやすく、ニホントカゲの健康にも影響します。
複数での飼育は要注意!上手に飼育するポイントは?
ニホントカゲを複数飼育する際はケンカをする可能性があるので注意が必要です。特にオス同士は激しくケンカをするので、基本的には1匹で飼育しましょう。
メス同士や、幼体同士であれば比較的うまくいくこともあります。幼体同士でもオス同士の場合は、成長してケンカしてしまうので注意が必要です。
どうしても複数で飼育したい場合は、まず広いケージを用意することです。その上で、複数の隠れ家を用意しましょう。
活動範囲を広げることで、干渉を減らし、万が一の時に逃げ込める場所があることで、複数飼育が成功しやすくなります。
身近なニホントカゲの魅力をもっと知ろう
ニホントカゲは身近な爬虫類です。成長とともに体色がくすんでしまいますが、魅力がある生き物に変わりありません。飼育をすると人にも慣れますし、さまざまな表情で楽しませてくれます。
そんなニホントカゲの飼育は、温度管理が重要です。変温動物であるニホントカゲの体温をしっかりと上げるために、バスキングライトを設置し、環境を整えてあげましょう。
飼育をすれば、あらためてその魅力に気が付くはずです。ぜひ飼育にもチャレンジしてください。