- リクガメの飼育は、種類に合わせた環境を用意することが大切
- 餌は野菜や野草を中心に、カルシウム剤をまぶしてあたえる
- 温浴や野外で日光浴させると、健康維持に繋がる

のんびりとした歩き方と、穏やかな性格が魅力のリクガメ。犬や猫のように鳴いたり甘えたりはしませんが、ゆったりとした動きを見ているだけで癒されます。正しく飼育すれば初心者でも飼いやすく、ペットとしておすすめです。
この記事では、初心者でも安心して飼育できるように、リクガメの基本情報からおすすめの種類・飼育に必要なアイテムや注意点までを丁寧に解説します。
生息地や寿命などリクガメの基本情報

リクガメの大きさや寿命など、基本情報を紹介します。飼育を始める前に、どんな生き物なのかを理解することが大切です。
リクガメはどんな生き物?大きさや寿命は?
リクガメは名前の通り、水辺ではなく陸地で暮らすカメの仲間です。世界各地の温暖な地域に分布しており、種類によってサイズや性格が大きく異なります。小型種では20cm前後、大型種では最大1mを超える個体も存在します。
寿命は長く、一般的には30〜50年です。そのため、飼育を始める際には長期の付き合いを意識しておく必要があります。
リクガメのエサは?食性は種類によってさまざま
リクガメは基本的に草食性で、野菜や野草を食べますが、一部の種類ではキノコや昆虫を好む個体もいます。
アカアシガメなどは雑食性の傾向があり、落ちた果実や昆虫の死骸を食べることもあります。間違った給餌をすると健康を損なう原因になるため、種類ごとの食性を把握しておくことが大切です。
リクガメは人に馴れる?
リクガメは犬や猫のように感情を表現することは少ないですが、飼主の声や気配を覚えて寄ってくることがあります。特にエサの時間になると、ヨチヨチと寄ってくる姿はとても愛らしく、絆を感じられる瞬間です。ふれあいを大切にすれば、徐々に馴れてくるでしょう。
おすすめのリクガメ5選!種類ごとの値段も紹介

ペットとしておすすめのリクガメを紹介します。初心者には広いスペースの必要ない、小型種がおすすめです。とはいえ長い付き合いになるので、気に入った種類・個体を選びましょう。
飼育しやすさナンバー1!ロシアリクガメ

ロシアリクガメ(ヨツユビリクガメ)は、小型で丈夫なことから初心者に非常に人気のある種類です。最大甲長20cm前後で、日本の気候にも適応しやすく、温度管理も過敏になりすぎる必要がありません。値段は1万5000~2万5000円が相場です。
人に良く慣れるヘルマンリクガメ

ヘルマンリクガメは活発で好奇心旺盛な性格が特徴です。馴れると飼主の前に寄って来ることも多く、活発なので観察していて飽きません。甲長20〜25cmなので、比較的コンパクトなスペースで飼育できます。値段は2万〜3万円で、こちらも初心者に人気があります。
甲羅が美しいギリシャリクガメ

ギリシャリクガメは甲羅の黄色と黒のコントラストが美しい種類です。性格はおだやかで、甲長約20cmと育てやすい大きさです。
ギリシャリクガメは産地によって少しずつ模様が変わります。値段も産地によって変わり、1万〜3万5000円が相場です。飼育のしやすさはそれほど変わらないので、お気に入りの模様の個体を探すのもよいでしょう。
赤い足がかわいいアカアシガメ

アカアシガメは鮮やかな赤い斑点が足に広がるユニークな見た目が特徴です。高い湿度を好むため管理にはやや慣れが必要ですが、それほど難しくはありません。人懐っこい性格なので、ふれあいを楽しみたい人にもおすすめです。
成体は30cm以上とやや大きくなりますが、室内でもなんとか飼える大きさです。値段は3万〜5万円が相場です。
大きく育つケヅメリクガメ

ケヅメリクガメは最大80cm近くまで成長する大型種です。人に良く馴れ、丈夫で飼育しやすいですが、最終的に広いスペースが必要です。成長後は一部屋丸ごと使うか、庭に飼育スペースを用意するなどしなくてはいけません。
爬虫類ショップで見かける小さな個体はとても可愛いですが、大きさ・寿命など長期的な視点で検討しましょう。値段は2万〜5万円前後です。すべてがクリアできれば、よきパートナーとなってくれるでしょう。

リクガメの飼い方・管理方法

具体的にリクガメの飼育方法を解説します。比較的丈夫なリクガメですが、間違った飼育をすると、健康を損ないかねないので注意してください。
リクガメ飼育に必要なものは?
リクガメの飼育に必要なものを紹介します。リクガメが落ち着いて過ごせるよう、しっかりと環境を整えてあげましょう。
ケージ
飼育には爬虫類用の専用ケージがおすすめです。自作ケージや、そのほかの容器でも大丈夫ですが、脱走を防げ、各ライト類を設置できる構造のものを使用しましょう。
サイズは小型種でも60〜90cmのケージが必要です。高さはそれほど必要ありませんが、なるべく広い底面積を確保しましょう。大型種は最終的に屋外飼育や専用の飼育スペースを用意しなくてはなりません。
床材
乾燥を好む種類にはデザートサンド・ヤシガラ・バークチップなど。湿潤を好む種類には、ヤシガラや赤玉土を湿らせたものがおすすめです。清潔を保つために、数ヶ月に1度は交換しましょう。
バスキングライト
リクガメは日光浴をすることで、体温を調整しています。太陽の代わりにバスキングライトを設置し、身体を温められる環境を作りましょう。ケージの片隅に設置することでケージ内に温度勾配ができ、カメ自身に好きな温度を選んでもらえます。
紫外線灯
UV-Bを含む紫外線ライトは、健康な甲羅の育成に欠かせないカルシウム吸収やビタミンD3合成を促します。健康を維持するために、必ず紫外線灯を設置しましょう。1日8〜12時間の照射を行います。
ヒーター
冬季には保温用のパネルヒーターや電球型のヒーターで保温しましょう。温度が上がりすぎも良くないので、サーモスタットを接続して調整するのが理想です。
シェルター
リクガメが落ち着ける場所を作るために、シェルターを設置しましょう。小型の個体であれば、爬虫類用のシェルターを設置するのが手軽です。大型個体になると、市販のものでは小さい場合があるので、木材で手作りするのがおすすめです。
種類ごとに合った餌をあげよう
飼育するリクガメの食性に合わせて、野菜・野草・人工餌料などをバランスよく与えましょう。単一の種類だけでは栄養が偏るので、さまざまな種類を与えた方がよいです。季節ごとに野草を摘んで与えると、リクガメも飽きないのでおすすめです。
雑食性の種類には、果物や昆虫も与えてください。爬虫類ショップでは、コオロギやミルワームなどの昆虫が販売されているので利用するとよいでしょう。
餌を与える際には、カルシウム剤もまぶしてください。カルシウムが不足すると、甲羅の変形が起きる可能性があります。
温度・湿度管理をしよう
リクガメに適した温度は25〜30℃です。夜間は20℃程度でも問題ありません。ヒーターやエアコンなどを使用して、温度管理をしてください。
湿度は種類によって異なりますが、アカアシガメなど多湿を好む種類は、床材を湿らせて湿度を維持しましょう。湿度不足は甲羅の変形や脱皮不良の原因になるため、乾燥しすぎる場合は加湿器を使用するのもおすすめです。
リクガメの飼い方とポイント

リクガメを飼育する上でのポイントを紹介します。ちょっとしたことを意識するだけで、リクガメの健康状態も良くなりますので、ぜひ参考にしてください。
たまに温浴すると効果的
便秘解消や水分不足を防ぐために、週1~2回ぬるま湯で温浴させてあげると効果的です。水温は30℃前後を目安に、頭が浸かる程度の水深で大丈夫です。
温浴中に排便する個体も少なくありません。そのような個体は小まめに温浴すると、ケージ内で排便せず、清潔に保ちやすいです。
種類によっては多頭飼育も可能
リクガメは単独飼育が基本ですが、同じ種類や、体格が似ている種類で、広いスペースを確保できる場合は多頭飼育も可能です。万が一ケンカをしたときに、すぐに隔離できるように準備をしておく必要があります。
屋外での日光浴もおすすめ
晴れた日には、屋外での自然光による日光浴も大変有効です。紫外線灯を設置していても、太陽の光には敵いません。ケージから出ることで、ストレス解消にも繋がります。
逃走や天敵に注意しながら、目の届く範囲で日光浴の時間をつくってあげましょう。
リクガメを飼育して、さらに魅力を知ろう

リクガメとの暮らしは、日々の忙しさを忘れさせてくれる癒しに満ちています。派手な動きはありませんが、人にも馴れ、少しずつ心が通じ合う感覚はリクガメならではの魅力です。しっかりと準備を整え、自分に合った種類を選ぶことで、初心者でも安心して飼育を始められます。あなたもぜひ、リクガメとの時間を楽しんでみませんか?
カメに興味があるかたは、こちらのコラムもぜひ参考にしてください。

