- カメが長生きの理由は、心拍数が少ないから
- 甲羅に入っている間や、冬眠・夏眠のときは、ほぼ無呼吸!
- カメに適した環境を知り、ペットに健康に長生きしてもらおう

私たちにとって、身近なエキゾチックアニマルでもあるカメ。動物園や水族館はもちろん、ペットとしても人気の生き物ですよね。カメの大きな特徴の一つが、犬や猫とは比べものにならないほどの寿命の長さです。
今回は、カメの寿命が長い理由や、ペットのカメにさらに長生きしてもらうためのポイントなどを紹介します。小さな体なのに、平均寿命は犬・猫の2倍以上!のんびり屋なカメの秘密を学び、長生きの秘訣を教えてもらいましょう。
『亀は万年』は伊達じゃない!カメが長生きする理由

ここでは、カメが長生きする理由を紹介します。
『亀は万年鶴は千年』ということわざがあるように、カメは長寿を象徴する生き物です。小さなカメですら何十年も生きる理由を学んでみましょう!
心拍数が少なく、老化が穏やかだから
カメが長生きである大きな理由は、心拍数が少ないことです。
そもそも心拍数とは、1分間に心臓が拍動する回数のこと。心拍数が多いほど代謝(体内で物質を変化させるための化学反応)が上がり、少ないほど代謝は下がります。
平均心拍数(1分あたり) | |
人間 | 60~70回 |
カメ | 10回 |
小型犬 | 80~120回 |
大型犬 | 60~80回 |
猫 | 100~160回 |
ポイントとなるのが、代謝で使われずに余った『酸素』。体内で余った酸素は、老化や病気の原因にもなる『活性酸素』に変わります。
心拍数が少ないカメは、人間や犬・猫と比べて代謝の速度も遅く、活性酸素の生成も抑えられます。結果的に、健康体のまま寿命が伸びやすくなるのです。
細胞の変化が少なく、病気にかかりにくいから
代謝によって生まれる活性酵素自体は、悪いものではありません。がん細胞やウイルスなどを攻撃してくれる作用もある活性酸素ですが、体内量が増えすぎるとリスクが増加します。
増えすぎた活性酸素は、本来攻撃する必要のない細胞まで攻撃するため、病気にかかりやすくなってしまうのです。
心拍数が少ないカメは活性酵素があまりにくいため、病気のリスクも低いといえるでしょう。
甲羅に入っている間、呼吸をほぼ止められるから
カメは、甲羅に入っている間はほぼ無呼吸であることもわかっています。また水中に潜っているときも心拍数が抑えられ、省エネモードで長時間過ごせるのだとか。
その結果、心拍数がさらに下がり、代謝も緩やかになり、寿命も伸びるというわけです。
冬眠と夏眠により、エネルギーの消費を抑えるから
カメは寒くなると冬眠、暑くなると夏眠に入ります。冬眠・夏眠の間は体を動かさないため、エネルギーの消費を大幅に抑えられます。
「冬眠・夏眠をさせない飼育下のほうが寿命が短いってこと?」と思うかもしれませんが、基本的には飼育下の個体のほうが寿命が長い傾向に。
野生のカメよりも、清潔な環境で栄養のある餌を与えられているカメのほうが、冬眠・夏眠を差し引いても長生きしやすいようです。
種類によっても寿命が変わる!カメ別の平均寿命

ここでは、カメの種類別の寿命を紹介します。
現在地球上には230種類以上のカメが存在していますが、今回は私たちに身近なカメや認知度の高いカメを5種類ピックアップしてみました。
ミドリガメ:平均寿命約30年

ペットとして人気のミドリガメの平均寿命は、約30年。
カメ全体のなかでは短めの寿命ですが、それでも犬や猫の倍程度と考えると、いかにカメが長寿であるかがわかります。活発で好奇心旺盛なミドリガメは、カメの飼育入門にもおすすめです。
クサガメ:平均寿命約30~40年

ミドリガメと同じく、ペットとして人気のクサガメ。
平均寿命は約30~40年程度で、クサガメよりもやや長いとされています。性格は穏やかな一面が目立ち、飼主にも懐きやすいのが魅力です。
リクガメ:平均寿命約30~50年

リクガメは、世界各地の熱帯・温帯地域に生息するカメです。
平均寿命は30~50年で、星柄やヒョウ柄など個性的な模様の甲羅を持っています。種類によっては甲羅が約70cmにも育つ巨大なカメですが、環境さえ整えれば家庭での飼育も可能です。
スッポン:平均寿命約50年

淡水に生息するカメであるスッポン。
平均寿命は50年程度ですが、飼育環境課では20~30年程度が一般的のようです。古くから食用として親しまれているスッポンは、ペットとしても飼育できます。強い顎で噛みつくイメージが強いですが、性格は臆病で怖がりなのだとか。

ゾウガメ:平均寿命約80~120年

ゾウガメは、大きな体とゾウの肌のような見た目の手足をもつカメです。
大型のリクガメの総称であり、甲羅の大きさは全長1mを越えることも珍しくありません。平均寿命は80~120年で、全種類のカメのなかでもトップクラスの長さとなっています。
ギネス認定『世界最高齢カメ』は、190歳越え!

存命する陸生生物で最高齢とされる動物は、やっぱりカメ!
英国領のセントヘレナ島に住む『セーシェルセマルゾウガメ』のジョナサンは、推定190歳を越える超・長寿のカメです。ジョナサンが生まれた頃、日本はまだ江戸時代でした。
ジョナサンは『世界最高齢のカメ』としてギネスに認定されています。以下の記事ではさらに詳しく紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。

いつまでも健康に!ペットのカメを長生きさせるためのコツ

ここでは、ペットのカメを長生きさせるためのポイントを紹介します。
愛しいペットには、1日でも長く健康に過ごしてもらいたい!カメに適した環境をあらためて学びながら、いつまでも愛情を持って飼育していきましょう。
水温をキープ!種類ごとに適切な温度を管理する
変温動物であるカメの飼育では、水温の管理が非常に重要。カメが快適に過ごせる水温は25℃前後ですが、種類ごとに適切な温度を管理する必要があります。
とくに飼育初心者は、カメを冬眠させない工夫が求められます。冬場はヒーターを設置し、水温を一定に保つように心がけましょう。
こまめな水槽掃除で快適な環境を保つ
代謝が遅く病気にかかりにくいカメですが、環境の悪化が続くと皮膚炎を患うリスクがあります。
3日に1回程度のペースで水を換え、週に1回以上は水槽内の掃除をしましょう。とくに排泄物や餌の食べ残しなどを放置すると、細菌の温床になるため要注意です。
紫外線ライトも重要!日常的な日光浴を取り入れる
カメを健康に長生きさせるために、日常的な日光浴を取り入れましょう。紫外線を浴びることでビタミンD3が合成され、カルシウムの吸収がサポートされます。
ビタミンD3によって甲羅や骨が健康に成長すれば、くる病を含む一部疾患の予防につながります。太陽光を取り入れにくい場合は、紫外線ライトでも代用可能です。
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たまに餌を変えつつ食欲を維持させる
カメは、意外にもグルメな一面を持っています。毎日同じ餌を与えていると、飽きて食べなくなってしまうことも。
適切な食事は、健康と長寿の源です。定期的に餌の種類を変えながら、食欲を維持してもらえるように工夫しましょう。
ビタミンやミネラルをバランスよく摂取させる
普段からの餌に加えて、ビタミンやミネラルをバランスよく摂取させることで、より健康的に長生きしてくれます。
ペットショップやアクアリウムショップでは、水棲カメの健康維持に適したサプリメントも販売中です。水に混ぜて与えるタイプや、餌の上から振りかけるパウダータイプなど、さまざまな商品が販売されています。
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元気がないときは、自己判断せず動物病院で相談しよう
ペットの飼育でもっとも避けるべき行動が、楽観視による自己判断です。カメの元気がないときは、なるべく早く動物病院で相談しましょう。
早期の判断と行動のためには、両生類を診察できる病院を平常時からリサーチしておくことが大切です。
生き物の神秘。カメの長生きの秘訣は『のんびり』だった!

今回は、カメが長寿の理由や、ペットのカメに長生きしてもらうためのポイントを紹介しました。
カメが長生きできる本質的な理由は、心拍数の少なさ。つまり、カメの生態が『のんびり屋さん』であることです。
ストレスの多い現代社会で、私たちが健康的に長生きするためには、カメのマイペースな生き方を見習うべきかも……。穏やかに生きるカメたちを愛でつつ、彼らの生態をさらに深く学んでみましょう!