- 丈夫で病気に強い種類を選ぼう
- ショップで人工飼料を食べている個体を選ぶと失敗が少ない
- 温和で混泳に向く種類を選び、水槽サイズに合わせた数を飼育しよう

海水魚にはカラフルな体色や個性的な動きのものが多く、自宅で飼育してみたいと思う人も多いでしょう。一方で『海水魚は淡水魚より飼育が難しい』というイメージを持つ人もいるのではないでしょうか。確かに水質管理や餌付けが難しい種類も少なくありません。
それでも種類を選べば初心者でも海水魚飼育は可能です。今回は、初めて海水魚を迎える人に向けて、魚を選ぶ際のポイントと、飼いやすく美しいおすすめの10種を紹介します。それぞれの特徴や飼育のコツ、注意点も解説しますので、種類選びの参考にしてください。
初心者が飼育する海水魚を選ぶ際のポイント

初心者が海水魚を飼育する場合、まずは飼育をしやすい種類を選びましょう。具体的にどういった視点でえらぶのかよいのかを紹介します。
丈夫で病気に強い種類
初心者は環境変化や水質の悪化に強い種類を選ぶと安心です。最初のころは水質管理が上手くいかず、安定させられないことも少なくありません。弱い種類は水質の変化で弱ったり、病気になったりします。
丈夫な種類なら多少の変化にも耐えられるため、失敗が少ないでしょう。いくら強い魅力を持っていても、弱い種類は慣れないと上手に飼育できない可能性が高いです。そうした種類は、経験を積んでから飼育をすることをおすすめします。
人工飼料に餌付いている個体
海水魚は、淡水の観賞魚と比べて養殖個体が少なく、海で採取された個体が多いです。海から来たばかりの個体は人工の餌に餌付くまで時間がかかり、中には食べられずに弱る個体も少なくありません。
ベテランアクアリストの中には、こういった個体を餌付かせるのも含めて楽しみますが、初心者にはハードルが高いです。ショップですでに餌付いている個体であれば、環境が変わっても落ち着けば徐々に食べてくれるはずです。
温和で混泳しやすい種類
海水魚の中には攻撃性が強い魚も少なくありません。弱い個体を追いかけ、逃げ場がない狭い水槽ではケガをしたり、時には瀕死になるまで追いかけまわしたりします。初心者は温和な種類を選び、水槽内のトラブルを減らすのがおすすめです。
飼育しやすい大きさ
一般的に海水魚飼育の目安として、10Lにスズメダイなどの小型魚が1匹飼育できると言われています。多くの初心者アクアリストは45~60cmの水槽で始める人が多いです。45cm水槽であれば3匹、60水槽であれば6匹が飼育できる計算になります。
大きな魚は食べる量も排出量も多く、それだけ水を汚しやすく、飼育できる数が限られます。また遊泳スペースの問題もあり、大きな魚は大きな水槽で飼育すべきです。まずはスズメダイやクマノミなど、飼育しやすい大きさの種類を選ぶと良いでしょう。
初心者におすすめの海水魚10選

アクアショップに行くと、非常にたくさんの種類の海水魚が販売されています。その中でも初心者でも飼育しやすく、おすすめの種類を紹介していきます。
映画で人気の定番種 カクレクマノミ

映画で有名になった、いわゆる『ニモ』です。環境変化に比較的強く、人工飼料もよく食べるので、初心者でも飼育しやすくおすすめできます。1匹1,000円程度で販売されています。
最大で10cmほどになり、60cm水槽であればペアや小グループでの飼育も可能です。時折ケンカもするので、隠れる場所を複数作るのがポイントです。
イソギンチャクとの共生は魅力ですが、イソギンチャクの飼育はやや難しいのでおすすめできません。最初は魚だけで始め、飼育に慣れてから挑戦するとよいでしょう。
丈夫で価格も手ごろなデバスズメダイ

デバスズメダイは丈夫で価格も手頃、人工飼料をよく食べるため海水魚飼育の入門種として定番です。照明があたるとキラキラと輝き、見ているだけで癒されます。
デバスズメダイはもともと群れで生活をするため、必ず複数で飼育しましょう。遊泳力もあるので、ある程度の大きさの水槽で、群泳させることでその魅力も倍増します。1匹500円程度で販売されています。
グラデーションと長い背びれが美しいハタタテハゼ

ハタタテハゼは白から赤へとグラデーションする体色と、長い背びれが特徴の小型のハゼです。性格は温和で砂底に近い中層をホバリングしながら過ごします。驚くと砂と岩の隙間に隠れるので、岩陰やトンネル状の隠れ場所を確保すると落ち着きます。
注意したいのは飛び出し事故で、給餌の時の驚いた時にジャンプすることがあるので必ずフタをしてください。最大で7cmほどになり、1匹1,000~1,500円が相場です。
水槽を明るくする活発なコガネキュウセン

コガネキュウセンは鮮やかな黄色が特徴のベラの仲間です。動きが機敏で、水槽のあ地落ちを泳ぎまわり、底面や岩肌をよくついばむので見ていて飽きません。人工飼料にも餌付きやすく、底に落ちた餌も食べてくれるので、掃除屋さんとしても役立ちます。
砂に潜ることも多いので、身体を傷つけないよう角のないパウダー状の砂を敷きましょう。よく泳ぐので60cm以上の水槽がおすすめです。1匹600~1,000円が相場です。
群れで泳ぐと美しいキンギョハナダイ

キンギョハナダイは、名前の通りまるで金魚のようにも見えるハナダイの仲間です。海では群れで泳ぐ習性がありますが、狭い水槽内ではケンカをする可能性があるので注意しましょう。複数飼育する場合は、最低でも60cm以上の水槽で飼育するのがおすすめです。
実はオスとメスでは体色が違い、オスは青白い体色をしています。最大で10cmほどになり、1匹1,000~1,500円が相場ですが、沖縄産やインド洋産などはもう少し高価です。
赤い斑点模様が特徴のマンジュウイシモチ

マンジュウイシモチは白地に黒い縞模様、赤い斑点が可愛らしく、穏やかな性格なので混泳に向いています。人工飼料にも馴れやすく、最大で5~6cmと小型水槽でも飼いやすい種類なので、初心者が最初に選ぶ魚としておすすめできます。
マンジュウイシモチは口の中で卵を守る『口内保育』を行うことが知られています。長く飼育すれば家庭でもその様子を観察できる可能性があり、飼育の楽しみを広げてくれる種類ともいえるでしょう。1匹500円程度が相場で、複数飼育するのがおすすめです。
存在感抜群でコケも食べてくれるヒフキアイゴ

ヒフキアイゴは黄色い体に、黒いお面をかぶったような顔が目を引きます。最大で20cmを超えますが、温和で目立つ存在なので60cm以上の水槽が用意できる場合にはおすすめです。海藻や底生のコケをよく食べるので、水槽のコケ対策にも役立つ魚です。
人工の餌も食べますが、もともと植物質の餌を好むので、植物性が強いものを選びましょう。背びれに毒棘があるので、メンテナンス時には注意が必要です。1匹2,000~4,000が相場です。
青と黄のツートンカラーが映えるソメワケヤッコ

ソメワケヤッコは青と黄色のツートンが特徴の小型ヤッコです。飼育が難しい種類が多いヤッコのなかで、比較的飼育しやすくおすすめです。ヤッコの飼育でてこずりがちな人工飼料への切り替えもしやすく、最初から食べてくれる個体も少なくありません。
やや臆病な性格なので、岩組で隠れ家を作ると落ち着きやすいです。最大で15cmになり、同じヤッコの仲間とはケンカしますが、ほかの種類であれば混泳できます。2,000~3,000円が相場です。
紫と黄のコントラストが鮮やかなバイカラードティーバック

バイカラードティーバックは紫と黄色のコントラストが強烈で、小型水槽の主役におすすめです。最大で7cmほどと小型ですが、縄張り意識が強く、同じニセスズメの仲間や見たような体型の種類とは混泳を避けましょう。岩を組み、縄張りを作りやすくするとストレスなく飼育できるでしょう。
人工飼料もよく食べ、ゆっくりと沈むタイプの餌がおすすめです。1,000~1,500円が相場です
愛嬌のある顔で人気のヤエヤマギンポ

ヤエヤマギンポはコミカルな表情と愛嬌のある仕草が人気のギンポの仲間です。草食性で、岩肌のコケを食べるので、掃除屋さんとしても役立ちます。その反面、コケの量が減ると痩せやすいので、植物性の人工飼料も与えるのが健康に育てるポイントです。
性格は温和ですが、同じギンポに対しては縄張りを主張するので、混泳はやめましょう。最大で10cmほどになり、1,000~1,500円販売されています
まずは丈夫で飼育のしやすい種類から飼育を始めてみよう!

海水魚の飼育は、淡水魚の飼育と比べるとやや難しいです。それでも飼育しやすい種類を選べば、初心者でも十分に飼育できます。まずは今回紹介した丈夫で人工飼料に慣れやすく、温和な性格の種類を選ぶとよいでしょう。
最初は少数から始め、徐々に管理のコツをつかんでいきましょう。慣れてきたら水質に敏感な種類や、イソギンチャク・サンゴなども飼育できるようになります。ぜひこの機会に、自宅で美しい海の世界を楽しんでください。