- 水質が安定しやすい60cm以上の水槽を用意しよう
- ケンカを防ぐために単独もしくはペアで飼育する
- イソギンチャクの飼育は難しいので、まずはクマノミだけで飼育しよう

映画の影響で一躍有名になったクマノミは、鮮やかなオレンジと白い帯模様が特徴の可愛らしい魚です。小型で人懐っこく、初心者でも飼いやすい海水魚として人気です。
しかし、見た目の可愛さとは裏腹に、クマノミの飼育にはいくつかのコツや注意点が存在します。この記事では、クマノミの基本情報から、具体的な飼育環境の整え方、管理のポイントまでを分かりやすく解説します。
クマノミとはどんな魚?特徴は?

ここでは、クマノミの体の特徴や性格・寿命・食性など、飼育する前に知っておきたい基本情報を紹介します。クマノミの生態を理解しておくことで、よりストレスの少ない飼育環境を整えられます。
クマノミの大きさや寿命
クマノミはスズメダイ科に属する海水魚です。オレンジや赤茶色をベースに、数本の帯が入る種類がほとんどです。成魚のサイズは種類によりますが、10~15cmに成長します。
寿命については、飼育下で良好な環境を整えれば10年以上生きる個体も少なくありません。ただし水質が悪かったりストレスが強い環境では、短命になってしまうこともあります。飼育をする場合は、しっかりと環境を整えた上で迎え入れることが大切です。
クマノミは雑食性
クマノミは自然界ではプランクトン・小型の甲殻類・藻類などを摂食する雑食性の魚です。共生するイソギンチャク周辺に流れてくる餌を食べています。
環境に慣れれば人工飼料もよく食べます。雑食性なので、複数の餌を用意し、バランスよく与えるのがポイントです。
クマノミは人に慣れる?
クマノミは学習能力が高く、毎日餌をくれる飼主を覚える個体も多いです。手を近づけると寄ってくることもあり、その愛らしい反応に癒やされる飼主も多いでしょう。ただし、縄張り意識が強いため、メンテナンス時に手を入れると噛みついてくる個体もいます。
性格には個体差がありますが、環境を整えて、決まった時間に餌を与えたり、餌を与える前に合図を出したりすると慣れやすいです。
アクアリウムで人気のクマノミ5選

クマノミの仲間は世界中で約30種類います。その中でアクアリウムで人気の5種類を紹介します。
一番人気のカクレクマノミ

カクレクマノミは、クマノミと聞いて最初に思い浮かべる人も多いでしょう。オレンジ色の体に3本の白線が入り、コントラストがはっきりしています。
性格は比較的おだやかで、混泳にも比較的向いています。初めてクマノミを飼育する人にもおすすめです。
丈夫で飼育しやすいハマクマノミ

ハマクマノミはオレンジ色の体色に、白線が1本はいるのが特徴です。成熟したメスは赤黒くなり、体長も15cmと大きく、力強い印象を与える種類です。
クマノミの中ではやや攻撃性が強く、混泳には注意が必要です。しかし丈夫で環境適応力が高いので、単独飼育であれば初心者でも扱いやすい種類といえるでしょう。
温厚で混泳しやすいハナビラクマノミ

ハナビラクマノミはピンクの体色に、頬と背中に白いラインが入ります。淡い色合いから優しげな印象で、他の種類とは一味違った雰囲気です。
性格も穏やかで、ほかの魚とも混泳しやすいです。その反面、気の強い魚種との相性は悪いので注意してください。
頬にトゲをもつスパインチークアネモネフィッシュ
スパインチークアネモネフィッシュは頬にトゲを持つのが特徴です。色合いもやや赤みが強く、力強く泳ぐので存在感があります。
性格はややきつく、混泳には注意が必要です。最大で16cmとクマノミの中でも最大級なので、広い水槽を用意しましょう。
個体差が激しいスノーフレークオセラリス
スノーフレークオセラリスは、カクレクマノミの改良品種です。白い帯部分が乱れ、中には体の大部分が白い個体もいます。個体差が激しく、お気に入りの個体を見つけるとよいでしょう。
飼育は普通のカクレクマノミと変わりありません。すべての個体が養殖個体なので、むしろ育てやすいとも言えます。お気に入りの個体でペアを組み、繁殖させる人も多いです。
クマノミの飼い方・管理方法

クマノミを健康的に育てるための飼い方や管理方法を紹介します。クマノミに適した環境を整えたうえで迎え入れましょう。
飼育に必要なもの
クマノミは海水魚の中でも丈夫で、大きくならないので大掛かりな設備が無くても飼育できます。とは言え、必要なものはしっかりとそろえて、環境を作ることが大切です。
60cm以上がおすすめ│水槽
小型魚ゆえに小さい水槽で十分と考えがちですが、水量が少ないと水質変化しやすくトラブルの原因になります。60cm以上、水量50L以上の水槽がおすすめです。
十分な水量があれば水質も安定しやすいので、初心者こそ余裕のある水槽を用意しましょう。市販の60cmであれば、クマノミと同程度の大きさの魚を合わせて5~6匹飼育できます。
水温を保つアイテム│ヒーター
クマノミは水温 25〜27℃ を好みます。サーモスタット付きヒーターを用い、年間を通して同じ水温を維持しましょう。暑い時期はエアコンとの併用で温度管理もしやすくなります。
水質を保つアイテム│フィルター
クマノミは比較的丈夫な魚とされますが、餌もよく食べるので水を汚しやすいです。ろ過能力の高い外部フィルターや上部フィルターを導入して水質を維持することが重要です。個体数が多い場合は、ワンランク上位モデルの導入も検討しましょう。
鑑賞性を高めるアイテム│照明
クマノミの色味を引き立て、鑑賞性を高めるために照明の設置がおすすめです。決まった時間にオン・オフすることで、クマノミの生活リズムが整い、健康を維持しやすくなります。イソギンチャクと飼育する場合は、光合成を促すためになるべく明るい照明を用意してください。
自然な景観をつくるライブロック
ライブロックを使ってレイアウトすることで、クマノミの落ち着ける場所ができます。隠れる場所がないと落ち着かず、ストレスになるため、病気や体調不良の原因となります。ライブロックはバクテリアの住み家にもなるので、水質維持のためにもおすすめです。
pHを安定させる│サンゴ砂
サンゴ砂を底砂に使うことで、クマノミが好む弱アルカリ性を保ちやすくなります。ライブロック同様、バクテリアの住み家にもなります。クマノミが生息する南国の海を再現するのにも役立ちます。
餌の種類と与え方
餌は人工飼料を中心に、冷凍ブラインシュリンプ・ホワイトシュリンプなどを与えましょう。幼魚期には1日2回、成魚は1日1〜2回程度を目安に、数分で食べ切る量を与えるようにします。食べ残しがある場合はすみやかに取り除き、水質悪化を防いでください。
週に1回水換えをしよう
水質を維持するために、週に1回、全体の1/3の水量を目安に水換えをしてください。カルキを抜き、水温を合わせた水道水に人工海水を規定量混ぜてください。1か月に1回はフィルターや底砂も掃除し、きれいな環境を維持しましょう。
クマノミ飼育のポイントと注意点

飼育のしやすいクマノミですが、管理方法を誤ると体調不良の原因となります。ここでは飼育の際の注意点やポイントを紹介します。
基本は1匹かペアで飼育しよう
クマノミは同種間でも縄張り意識が強い上に、群れの中で序列を作ります。常に小競り合いがあり、逃げ場のない水槽では、小さい個体は弱ってしまう可能性が高いです。そのため1匹か、もしくはペアで飼育したほうがトラブルを減らせます。
複数飼育したい場合は、お店でペアとして販売されている個体を購入するとよいでしょう。ただしペア間でも相性が合わず、ケンカが起こることもあるので、小まめに観察してください。。
混泳相手は慎重に選ぼう
水量に余裕があり、同じくらいのサイズで大人しい魚種であれば混泳可能です。具体的にはデバスズメダイ・ハタタテハゼ・キンギョハナダイ・マンジュウイシモチなどがおすすめです。スズメダイの中には気が強いものも多いので注意してください。
混泳をさせる場合は、レイアウトを複雑にし、それぞれが隠れられる場所を作るとよいでしょう。
イソギンチャクは飼育に慣れてから
クマノミといえばイソギンチャクとの共生を思い浮かべる人も多いでしょう。イソギンチャクに包まれる姿はとても人気があります。しかしイソギンチャクの飼育難易度は高いので、まずはクマノミだけで飼育するのがおすすめです。
イソギンチャクは光量・水質・流量などが安定していないと弱りやすいです。
クマノミを飼育して、さらにその魅力に迫ろう!

クマノミは小型で愛嬌があり、海水魚の中でも特に人気の高い種類です。ただし、その魅力を引き出すには、適切な環境づくりと細やかな管理が必要です。
この記事で紹介した基礎知識や設備選び・管理のコツ・注意点を押さえておけば、初めての人でもクマノミを飼育できるでしょう。適切な世話をすれば10年以上も生き、よきパートナーにもなるはずです。ぜひクマノミの飼育にチャレンジしてみてください。




