広い池がなくても飼える?!水槽で飼育する鯉の飼い方

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まとめ
  • 鯉は水槽でも飼育可能
  • 水槽サイズに合わせた数の個体を飼育し、水質維持を維持することが大切
  • 鯉の状態を見ながら、適した量のエサを与えることが大切

鯉といえば、広い庭の池でゆったり泳いでいる姿を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか? しかし、実は鯉は水槽でも飼育可能な魚で、室内でじっくり育てる楽しみもあるのです。最近では、水槽で飼育する鯉がひそかに人気を集めています。

この記事では、鯉を飼育するための方法や必要なアイテム、注意点などを初心者向けにわかりやすく解説していきます。

目次

鯉の上手な飼い方

鯉を健康に育てるためには、いくつかのポイントを押さえる必要があります。ここでは、鯉の飼育に必要な環境づくりや、餌・日々の管理方法など、初心者でも実践しやすい基本的な飼育方法を解説します。

鯉は水槽で飼える?

鯉は大型の魚であるため池などの広いスペースが必要とされがちです。広いスペースがあるに越したことはないですが、適切な水槽と環境を整えれば室内でも飼育可能です。

稚魚から幼魚を飼育する場合、60cm程度の水槽でも問題ありません。成長すると60cmを超えることもあるため、将来的には120cm以上の大型水槽を用意することをおすすめします。水槽飼育ではろ過能力や酸素供給が限られるため、過密飼育にならないように注意しましょう。

鯉の飼育で必要なもの

鯉の飼育には、健康を保つための基本的な設備が欠かせません。ここでは、最低限そろえておきたい飼育用品について解説します。

鯉がゆったりと泳げるサイズの水槽・池

60cmの標準的な水槽では、15cmほどの個体を3~5匹飼育できます。20cmを超えた個体の飼育は、90~120cmの水槽を用意しましょう。水槽の横幅も大切ですが、奥行きがないとUターンができないので、鯉の大きさ以上の奥行きが必要です。

屋外飼育の場合、プラ池やプラ舟と呼ばれるプラスチック製の容器が手軽でおすすめです。いずれにしても、飼育する鯉が窮屈でないサイズのものを選びましょう。

水をきれいに保つフィルター

鯉はフンが多く水を汚しやすいため、ろ過能力の高いフィルターが不可欠です。上部フィルターや外部フィルターを使うとメンテナンスもしやすく、水質の安定にもつながります。適合水量がワンランク上のパワーのものを選ぶと、水質がより安定するのでおすすめです。

池で飼育する場合は、ウォータークリーナーと呼ばれるタイプのフィルターがおすすめです。適度に水面を波立たせ、酸素の供給もしてくれます。

鯉を美しく見せる照明

水槽飼育の場合、観賞性のアップや昼夜のリズムを整えるために照明を設置しましょう。LEDライトは省エネで長寿命、かつ発熱も少ないため水温への影響も抑えられるのでおすすめです。高輝度のものを使用すると、鯉の鱗が反射して、より美しさを楽しめます。

鑑賞性を高める底砂

底砂は必ずしも必要ではありませんが、水槽全体の雰囲気や水質の安定、バクテリアの繁殖に役立ちます。黒っぽい砂を選ぶと、鮮やかな体色が映えて鑑賞性が高まります。

メンテナンス性を重視するのであれば、底砂を敷かなくても問題ありません。鯉はフンが多いので、砂が無い方が発見しやすく、掃除もしやすいでしょう。

飛び出し防止の蓋・ネット

鯉は驚いた拍子にジャンプして水槽から飛び出してしまうことがあります。水槽には必ず蓋をして、飛ばされないよう重石をしましょう。

屋外で飼育する場合、ネットをすることで枯れ葉やごみの混入予防になります。環境によっては猫やアライグマなどの外敵から守るためにも必要です。

鯉の餌には何をあげる?

鯉の餌には市販の鯉用フードを与えましょう。成長段階や季節に応じて、成長用・色揚げ用・栄養強化用などを使い分けると効果的です。公園の池などではパンの耳をあげる人を見かけますが、水質悪化に繋がるので家庭では与えないようにしてください。

日々の管理は何をする?

鯉の飼育では、以下のような管理が欠かせません。

  • 健康状態のチェック
  • 食べ残しや排泄物の掃除
  • 水温チェック

毎日泳ぎ方や餌の食べ具合をチェックして、健康状態を確認することが大切です。定期的な水換えとは別に、食べ残した餌やフンを小まめに吸い出すことで、きれいな水質を保てます。鯉が元気に過ごせるよう、日々の管理はしっかりと行いましょう。

鯉を飼育する際のポイントや注意点

鯉を元気に長く飼うために、気を付けたい点があります。水質管理・餌の与え方・匹数の調整など、初心者が見落としがちな注意点を中心に、ポイントを紹介します。

水槽の大きさにあわせた数を飼育しよう

鯉を複数飼育する場合は、水量や泳ぐスペースを十分に確保する必要があります。一般的には、60cm水槽では幼魚が5匹程度、120cm水槽に対して成魚5匹程度が目安です。過密飼育は水質の悪化やケンカの原因になるため、成長に応じて飼育数の調整や別水槽への移動も検討しましょう。

週に1回水換えをしよう

水換えは鯉の健康を守るうえで最も重要な作業です。水槽の3分の1程度を目安に、週1回の水換えを行いましょう。水換えの際は、水温やpHの急変に注意し、カルキ抜きをした水を使用します。鯉はフンが多いので、水を吸い出す際に一緒に取り除きましょう。

小まめに餌やりをしよう

鯉は食欲旺盛で、人に慣れやすい性格から餌をねだるようになります。その姿はとても可愛いですが、与えすぎは禁物です。肥満は内臓に負担をかけ、病気の原因になります。また、肥満は泳ぐ動きを鈍くするため、さらなる肥満を招きます。太り過ぎには注意しましょう。

基本的には1日に2~3回、2~3分で食べきれる量を目安に与えると良いでしょう。季節によって食べる量は変わるため、水温や活動量を観察して調整してください。

鯉は長寿な生き物!最後までしっかりと飼育しよう

鯉は20~30年以上生きる長寿な魚として知られています。中には50年以上生きた例もあります。見た目の華やかさや可愛さに惹かれて飼い始める人も多いですが、長く飼育する覚悟が必要です。引っ越しや家庭環境の変化にも対応できるよう、長期的な飼育計画を立てておきましょう。

鯉の代表的な品種5選

鯉は品種によって体色や模様の入り方が大きく異なり、まさに『泳ぐ芸術品』ともいえる魅力を持った魚です。ここでは人気が高く、初心者にもおすすめできる代表的な5品種を紹介します。

錦鯉の定番品種│紅白

紅白は白い地肌に紅(赤)の模様が入る、最も代表的な品種です。単純でありながら奥深く、模様の配置や色の濃淡でその印象は大きく変わります。個体ごとにそれぞれ違う魅力を楽しめます。

鯉を初めて飼育する人にも親しみやすく、おすすめの一種です。気に入った模様の個体を探してみてください。

華やかな三色模様が魅力│大正三色

大正三色は、紅白をベースに黒(墨)の模様が加わった三色鯉です。1914年(大正3年)に作出されたことからこの名前が付けられました。

墨模様は成長とともに変化しやすく、時間の経過とともに『模様の変化を楽しめる』点も人気の理由です。バランスよく3色が配置されている個体は非常に美しく、品評会でも人気の高い品種です。

力強さと迫力が光る│昭和三色

昭和三色は、大正三色に似ていますが、ベースが黒(墨)であることが特徴です。黒地に赤と白の模様が乗ることで、全体に力強い印象を与える品種です。

1930年代の昭和時代初期に作出されたことから、この名が付けられました。墨模様の深さや赤の鮮やかさ、白の清潔感が調和すると、非常に迫力のある美しさを放ちます。墨の入り方で印象が大きく変わるため、「個性豊かな鯉を育てたい」という人に向いています。

白と黒の対比が美しい│白写り

白写りは、白い地肌に黒い模様が入る二色の鯉で、『写りもの』と呼ばれるグループの一種です。白地に浮かぶ墨模様の美しさが評価されており、和の雰囲気にもよく合います。

紅白や三色鯉に比べると地味に思われがちですが、シンプルな配色だからこそ、模様の位置やバランスが際立ちます。水槽内でもよく目立ち、落ち着いた雰囲気を求める人や、モノトーンのインテリアと調和させたい人にもおすすめです。

上品で涼し気な印象│浅黄(あさぎ)

浅黄は、浅い青色(浅葱色)の体色に、腹部やヒレに赤が入る品種です。青と赤という和の配色が特徴的で、静かな美しさと品格を持ち合わせています。

他の派手な模様の鯉と比べると控えめな印象ですが、水草の緑や黒い背景との相性がよく、落ち着いた和風の水槽にぴったりです。比較的丈夫で育てやすいことから、初心者にもおすすめされることが多い品種です。

適切な環境を整えて鯉の飼育を楽しもう

水槽で鯉を育てるのは、決して特別な技術が必要なわけではありません。基本的な設備と日々の観察、こまめな手入れを心がけることで、健康で美しい鯉を育てることができます。

美しい泳ぎと人懐っこい性格を持つ鯉は、見る人の心を癒してくれる存在です。ぜひ鯉との心温まる時間を楽しんでみてはどうでしょうか。

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のべじ

のべじ

元水族館職員の生き物好きライター。ダイビングガイド、農家などの経験を活かし生き物・自然・家庭菜園・料理など、さまざまな分野でライティングしています。

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