アライグマやハクビシン…野生動物が街中に現れるのはなぜ?原因と対策

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まとめ
  • 野生動物が街中に現れる理由は、環境破壊だけではない
  • 人口減少による放置果樹や空き家の増加も、野生動物増加・繁殖の原因に
  • ただ追い出すだけではなく、動物侵入の背景を考え、根本的な対策につなげることが大切

昨今、街中でも野生動物が出没するニュースを多く耳にするようになりました。

野生動物を見かける機会が増えた原因としては『開発による自然破壊』を連想する人が多いのではないでしょうか。

もちろん、野生動物の生息地域の減少も間違いではありません。しかし、実は『動物が住む場所が増えた』からこそ人間との衝突につながるケースもあるのです。

今回は、街中に野生動物が出没する原因や対策を紹介します。

目次

近年街中でよく見かける野生動物の例

ここでは、近年街中でよく見かける野生動物たちを紹介します。

建物や人通りが多い地域でも、突然草むらから動物が飛び出してきてギョッとすることがありますよね。野生動物たちの習性を知りつつ、特有の注意点を学んでいきましょう。

長いシマシマのしっぽが特徴【アライグマ】

アライグマは、普段は森林・市街地・農作地などの場所に住んでいます。雑食性であり、農作物から小型哺乳類、昆虫などさまざまなものを食べます。基本的には夜行性で、夜中の住宅街で見かけることが多い傾向に。住宅侵入や寄生虫の媒介などのリスクがあります。

白い鼻筋がくっきり【ハクビシン】

ハクビシンもアライグマと同様に、山間部から市街地まで幅広く生息する動物です。夜行性であり、穀物や果実などを好んで食べます。とくに活発な季節は夏から秋。繁殖時期に含まれるため、活動範囲を増やしながら食べ物を探し回ります。

昔話でもお馴染みの動物【タヌキ】

タヌキは基本的に夜行性ですが、食べ物が少ない時期には日中にも活動します。平野部・山林部・市街地と幅広いエリアに生息し、果実・植物・昆虫・小動物などを食べる雑食性の動物です。農作物だけではなく、悪臭や騒音などの被害も問題視されています。

人の食べ物を奪いにくることも【ニホンザル】

ニホンザルは森林部や農作地に生息する、昼行性の動物です。昨今では、放置された野菜や果物などを狙って人里に降りてくるケースが増えています。追い出そうとすると人に飛びついたり噛みついたりなど、人身被害につながることも。車や住宅への被害も深刻な問題です。

野生動物が街中に出没する原因は?

ここでは、野生動物が街中に出没する原因を紹介します。

人気のない時間帯はもちろん、時には白昼堂々と道路を横断することもある動物たち。彼らはなぜ森や林のなかだけではなく、危険の多い人間世界に侵入してくるのでしょうか?

人間側の生活スタイルの変化

街中に野生動物が増えた原因として、人間側の生活スタイルの変化があげられます。代表的な要素が、日本の人口減少です。少子高齢化が進む昨今では、林業や農業を営む人口も減少傾向にあります。

限界集落の一部は、住民の転居や死亡などですでに消滅集落に。農山村地域の人への立ち入りが減った結果、管理が行き届かないエリアも増えてきています。

すると野生動物にとって生息しやすいエリア』がどんどん拡大していきます。放置果樹や放置畑が増え、自分たちを追い出す人間たちもいない。そんな場所では野生動物の総数が増え、人間との物理的な行動圏が重複しやすくなるのです。

空き家の増加

人がいなくなった集落は空き家になり、野生動物の便利な棲み処になってしまいます。外敵から隠れられ、雨風も防げる空き家は、格好の生息場所に。天敵に襲われるリスクも減り、個体数増加の要因になります。

人が住んでいる民家でも、出入りが少なかったり山林から近かったりする場合は、天井裏から侵入されてしまうこともあります。

2025年現在、日本ではおよそ7軒に1軒が空き家という状況です。空き家による動物侵入の問題は、田舎だけではなく、都市部でも深刻となっています。

参考:総務省統計局「令和5年住宅・土地統計調査 (参考分析)共同住宅の空き家についての分析」

餌付けによる人慣れ

餌付けによる人慣れも、野生動物が街中に侵入する理由です。餌付けと聞くと、食べ物をわざと与えるようなイメージを持っている人も多いでしょう。しかし野生動物における餌付けは意図的なものとは限りません。

たとえばルールを守らずに投棄された生ごみは、野生動物の食べ物に。人間が食べないペットフードのゴミも、動物によっては栄養バランスに優れたご馳走になる場合があります。

野生動物にとって、食べ物の確保は生死に直結します。一度でも餌場と認識されると、追い出そうとしてもなかなか立ち退いてくれません。

都市と自然環境の境界が曖昧になっている

地方の都市化や山間部の開発によって、野生動物の棲み処が縮小・分断されてしまうことも、動物が街中に現れる理由の一つです。

もともと野生動物が住んでいた場所に人間が住みつき始めたのですから、動物が現れるのはある意味当然のこと。一部の動物たちにとっては、『今いる場所で生きていく』ために、人間の生活圏に出没せざるを得ないのです。

いわゆる『自然破壊によって動物たちが棲み処を追われたパターン』といえるでしょう。道路建築や農地の転用などによっても、動物の生活圏が狭まります。

安全な環境で餌を探しに来ている

安全な環境で餌を探しに来ることも、野生動物が出没する原因です。「人間社会も、車や電車も走っていて危ないのでは?」と思うかもしれません。しかし一部の動物にとっては、天敵のいる山林部よりも街中のほうがずっと安全なのです。

とくに都市部の住民は田舎と比べ、野生動物に慣れていません。動物を怖がりはするものの、積極的に追い出そうとする人は少ない傾向に。スマホで撮影して面白がるだけ、というケースも多いでしょう。

そんな都市部は、身軽な動物たちにとってほぼ無害なエリア。車や電車は危ないとはいえ、言い方を変えれば『車や電車にさえ気をつければ、餌や安全が保証されているような環境』なのです。

街中に野生動物を寄せ付けないための対策方法

ここでは、街中に野生動物を寄せ付けないための対策方法を紹介します。

野生動物との距離感を守るために、最優先で心がけるべきは最初から近寄らせないこと。野生動物が自然と人里を避ける環境をつくり、お互いに丁度よい距離感を保っていきましょう。

野生動物が食べられるものの排除

街中に野生動物を寄せ付けないためには、野生動物の餌になる要素を排除していきます。たとえば廃棄された果樹園や、使っていない畑などは、野生動物の恰好の餌場になってしまいます。ベランダや庭で楽しむ家庭菜園にも要注意です。

生ごみは必ずルールを守って捨て、野生動物たちに荒らされない状態を保ちましょう。軒先やベランダなどの室外で食事をする際も、しっかりと後片付けをして食べかすを掃除するように努めます。

敷地内に侵入しにくい環境を作る

野生動物が街中に出没するおもな理由は、餌探しです。そのため、街中の『餌場としての価値』を下げれば、距離感を保ちやすくなります餌場の価値を下げるために必要な要素として、『敷地内に侵入するハードルの高さ』があげられます。

防護柵やネット、棘がついているシートなどを活用し、野生動物の侵入難易度を上げましょう。またペットを飼っていないご家庭であれば、庭やベランダに動物が嫌いな臭いを撒くのもおすすめです(公道はペットの散歩道になる可能性があるため、臭いの元がはみ出ないように気をつけましょう)。

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地域全体で力を合わせ、一人ひとりが取り組む

野生動物の侵入防止策は、1人が頑張っているだけではなかなか進みません。地域全体で力を合わせ、住民一人ひとりが取り組む姿勢が大切です。自治体や近隣と協力し合いながら、みんなで課題を共有して解決につなげましょう。

たとえばゴミ出しルールを徹底したり、草刈り活動によって動物の隠れ家をなくしたり。1人では難しい課題でも、全員で協力すれば実現に近づきます。自治体のアンケートに提案を記載したり、回覧板で状況・課題の周知をしたりなどから始めてみましょう。

野生動物を追い出すだけではなく、侵入する背景まで考えることが大切

今回は、野生動物が街中に侵入する理由や対策を紹介しました。

野生動物の侵入は、作物被害や感染被害など、人間にさまざまなリスクを与えます。しかしその背景には、環境破壊という一言だけでは表せない複雑な要因が存在しているものです。

社会の変容は、人間と野生動物の関わりにも強く影響を及ぼします。ただ追い出すだけではなく、動物たちが増えた原因にまで思考を広げ、人と動物が共に生きる道を模索していきましょう。

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あらゆるジャンルを縦横無尽に駆け巡る雑食系ライター。元ペットショップ販売員として表彰経験あり。SEOを中心に、執筆記事は2,000本以上。アニマル・メンタルヘルス・ウェルビーイングなどを中心に、毎日の充実度がちょっぴり高まる記事を発信中。

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