- 飼育の前に、大きさ・パワー・寿命などを理解することが大切
- 餌は冷凍マウスや昆虫類をバランスよく与える
- 絶対に脱走させない設備と管理が重要

「まるで恐竜が現代に蘇ったよう」そんなロマンを感じさせる生き物が、オオトカゲです。力強い体つき、鋭い目つき、そして堂々とした佇まい。その姿に魅了され、飼育を考える人も少なくないでしょう。
オオトカゲはそれだけ魅力的な生き物ですが、飼育をするとなると、そのパワーや大きさがハードルになることもあります。この記事では「それでも飼育をしてみたい!」という人のために、オオトカゲの基本情報から飼育の基本・注意点を解説していきます。
大きさや寿命などオオトカゲの基本情報

オオトカゲの大きさや寿命など、基本情報を紹介します。飼育を始める前に、どんな生き物なのかをみていきましょう。
オオトカゲはどんな生き物?大きさや寿命は?
オオトカゲとはオオトカゲ科に属するトカゲの総称です。東南アジア・アフリカ・オーストラリアなどの熱帯・亜熱帯地域に広く分布しています。種によって大きさは異なるものの、小型の種で50cm前後、大型になると3mを超えるものも存在します。
寿命も種類によりますが、10〜20年と非常に長いです。飼育をする際は、長期間飼育することを考慮しなくてはいけません。
オオトカゲは肉食性
オオトカゲは基本的に肉食性で、野生では小型哺乳類・鳥・昆虫・魚類などを捕食します。中には腐肉やほかの肉食獣が食べ残した獣の肉を食べることもあり、スカベンジャーとしての役割もあるのです。
オオトカゲは狂暴!?性格は?
『狂暴』とされることもありますが、実際の性格は種類や個体によって異なります。中には人慣れして、おとなしい個体も少なくありません。一方で神経質な個体もいますし、飼主の接し方や飼育環境が性格に影響を与えることもあります。
攻撃的な個体も、積極的に噛むわけではなく、あくまで自己防衛のために噛むことがほとんどです。もちろん、噛まれるとケガにつながるので、飼育の際は注意しなくてはいけません。
おすすめのオオトカゲ!種類ごとの値段も紹介

ペットとしておすすめのオオトカゲを紹介します。初心者には大人しい性格で、あまり大きくならない種類がおすすめです。とは言え、最終的には気に入った種類・個体を選びましょう。
人気のサバンナオオトカゲ

サバンナオオトカゲは、アフリカの乾燥地帯に生息するオオトカゲです。体型はがっしりとしており、短く太めの四肢としっかりとした尻尾を持っています。最大でおよそ1.2mに達します。
見た目は迫力がありますが、性格は比較的おとなしく、人によく慣れる個体も多いです。値段も5,000~1万5,000円と比較的安価で、初心者の入門種としても人気があります。
人に慣れやすいコガネオオトカゲ

コガネオオトカゲは、インドネシアに生息するオオトカゲで、別名『イエローヘッドモニター』とも呼ばれています。全長は約1〜1.2mで、四肢や尾がやや長く全体的にスリムな印象を受ける体型です。光沢のある金色がかった体色が美しく、その美しさと飼育のしやすさから人気があります。
コガネオオトカゲの魅力はなんといっても、人に良く馴れることです。とても好奇心旺盛で、飼主の動きにもよく反応し、よく懐きます。値段は5~7万円と少し高価です。
樹上性のミドリホソオオトカゲ

ミドリホソオオトカゲは、インドネシアやパプアニューギニアの森林に生息する樹上性のオオトカゲです。別名『エメラルドツリーモニター』と呼ばれるように、全身が鮮やかなエメラルドグリーンに彩られているのが最大の特徴です。全長は最大でも90cm前後と比較的小型で、細くしなやかな体型をしています。
飼育する場合は樹上性のため、高さのある縦長のケージと登り木の設置が必須です。性格は神経質な個体が多く、ハンドリングにはあまり向きません。値段は7~10万円とやや高額です。
小型のチモールモニター
チモールモニターは、インドネシアに分布する小型のオオトカゲです。成体でも全長は60cm程度と、日本の住宅でも飼育しやすいサイズといえるでしょう。黒褐色の体に白いドット模様が散らばる独特な見た目も魅力のひとつです。
やや臆病で俊敏な性格をしているため、無理にふれようとするとストレスを与えてしまう可能性があります。長く飼育して環境と飼主に慣れれば、徐々にハンドリングもできるようになる個体が多いです。値段は1万5,000~3万円で販売されています。
スペースが許せば飼育しやすいミズオオトカゲ

ミズオオトカゲは、東南アジアに広く分布しているオオトカゲです。成長すると2mを超えることもあり、その堂々とした体格は、オオトカゲの中でも特に恐竜のように見えます。その反面、人慣れしやすい性格で、飼育をしやすい種類でもあります。
最終的には非常に広いスペースと強度の高いケージが必要です。丈夫で人馴れしやすいので、スペースさえ許せば、とてもおすすめのオオトカゲです。値段も1~3万円と比較的安価で、流通量も多く入手しやすいでしょう。
オオトカゲの飼い方・管理方法

具体的にオオトカゲの飼育方法を解説します。オオトカゲは比較的丈夫な生き物ですが、間違った飼育方法では健康を損ないかねません。しっかりと飼育環境を用意しましょう。
オオトカゲの飼育に必要なものは?
オオトカゲの飼育に必要なものを紹介します。オオトカゲが安心して過ごせるよう、適した環境を用意しましょう。
脱走防止対策と強度が必須【ケージ】
ケージには、爬虫類用のケージがおすすめです。鍵がかけられ、隙間なく作られているので脱走防止になります。
サイズは、オオトカゲの種類と成長後の体長に応じて選ぶ必要があります。たとえば、体長が1m程度の個体であれば、最低でも横幅120cm以上のケージが望ましいです。
大型個体の場合、市販のケージでは適したものがないので、DIYで作成する人も多いです。オオトカゲのパワーに負けないよう頑丈に作り、かつ脱走を防ぐ構造にしなくてはいけません。
掃除のしやすさや湿度を保てるものを【床材】
床材には、ヤシガラ・バークチップ・新聞紙・人工芝などが使われます。湿度を保ちやすさ、掃除のしやすさ、見た目の何を重視するかによって変わります。清潔を保つため、定期的な交換が欠かせません。
体温調整の必需品【バスキングライト】
オオトカゲは変温動物であるため、体温を調整するための『ホットスポット』を設ける必要があります。バスキングライトを設置し、局所的に35〜40℃前後になるようにしましょう。ライトの下には岩や流木を置くと、それらが暖められ、オオトカゲも効率的に体温を上げられます。
オオトカゲの健康を守る【紫外線ライト】
紫外線(UVB)は、カルシウムの吸収に欠かせないビタミンD3の合成を促します。ビタミンD3が不足すると、クル病などの骨格異常を引き起こす可能性があるので、紫外線ライトは必須です。1日10〜12時間ほど照射しましょう。
サーモスタットで温度を一定に【ヒーター】
気温の低下による体調不良を防ぐために、保温器具の設置も必要です。パネルヒーターや電球型のヒーターが使いやすくおすすめです。温度が上がりすぎるのも良くないので、サーモスタットを接続して調整しましょう。
水浴びにも対応できるものを【水入れ】
オオトカゲは水を飲むだけでなく、時には体ごと浸かって水浴びをすることもあります。浅くて広めの容器を用意し、常に清潔な水を入れておきましょう。
オオトカゲの餌は何をあげる?
オオトカゲは肉食性です。サイズに合わせて冷凍マウス・冷凍ウズラ・昆虫などを与えます。栄養の偏りを防ぐために、複数の餌をバランスよく与えてください。
餌のサイズは頭の大きさより一回り小さい大きさを目安にします。成長期の若い個体は毎日、成体には週に1回の給餌で十分です。
オオトカゲ飼育の日々の管理
オオトカゲの日常の世話としては以下のようなものがあります
- 温度・湿度の確認
- 排泄物の掃除
- 水の交換
- 紫外線ライトや保温器具の作動確認
- 食欲、脱皮の状態など体調チェック
オオトカゲの健康を維持するために、毎日のこまめな観察と管理は欠かせません。月に1回はケージ全体の大掃除を行い、床材の入れ替えやレイアウト素材の洗浄もしましょう。
オオトカゲ飼育の注意点とポイント

オオトカゲを飼育する上でのポイントや注意点を紹介します。思ぬトラブルを防ぐためにも、参考にしてください。
個体によってはハンドリング可能
すべてのオオトカゲがハンドリングに適しているわけではありません。オオトカゲとハンドリングを楽しみたい人は、慣れやすい種類を選びましょう。神経質と言われる種類でも、ゆっくりと慣らしていくことで、抵抗の少ない個体に育つ場合もあります。
ハンドリングの際は無理に持ち上げず、体の下に手を添えて身体全体を支えるようにしましょう。嫌がるそぶりを見せたら、無理に触ってはいけません。定期的に少しずつ触ることで、オオトカゲも飼主も少しずつ慣れていきます。
脱走に注意しよう
オオトカゲは非常に力が強く、ケージの隙間や扉をこじ開けて脱走するケースがあります。特に大型種では力任せに突進し、ケージを破壊することもあるため、必ず鍵付きで頑丈な飼育設備を選びましょう。メンテナンス中やハンドリング中には、部屋の扉を開けっぱなしにせず、逃走ルートを遮断しておくことも重要です。
脱走は近隣トラブルや法的な問題に発展する可能性もあるため、常に『逃げられない環境づくり』が肝心です。
飼育環境を整えてオオトカゲの飼育を楽しもう

オオトカゲは見た目の迫力や野性味あふれる行動、そして飼主との信頼関係を少しずつ築いていく喜びなど、多くの魅力を持った爬虫類です。一方でサイズ・気性・飼育スペースの問題など、決して『誰でも手軽に飼えるペット』ではありません。
飼育を成功させるためには、正しい知識と設備、そして何より『オオトカゲと向き合う責任感』が求められます。しっかりと準備を整え、自分の生活スタイルに合った種類を選ぶことが大切です。よきパートナーとして、彼らの魅力をじっくり味わってみてはどうでしょうか。