- カミツキガメは北米原産だが、日本にも定着している
- 雑食性で魚や両生類、水草を中心に、時には鳥も食べる
- カミツキガメは特定外来生物のため、飼育できない

ゴツゴツした甲羅に、大きな口。カミツキガメはまるで恐竜や怪獣のような見た目をしています。いかにも狂暴そうな名前も相まって、危険な生き物と思う人も多いのではないでしょうか。
そんなカミツキガメは確かに噛む力は強いですが、危険な生き物というわけではありません。ほかの水棲ガメとは違った独特の生態をしており、とても魅力あるカメなのです。今回はカミツキガメの基本情報から特徴・生態、そして飼育の可否までわかりやすく紹介します。
カミツキガメの基本情報 大きさ・寿命・生息環境は?

カミツキガメの大きさ・寿命・生息地・食性などを紹介します。まずはカミツキガメがどんな生き物なのかを見ていきましょう。
カミツキガメとは?大きさや寿命は?
カミツキガメ(英名:Common Snapping Turtle)は、大型の水棲ガメです。成体になると甲長は30〜40cm、体重は10kgを超えることもあります。寿命は野生で30〜40年、飼育下では50年近く生きることもあると言われており、非常に長寿なカメです。
その見た目はまさに怪獣のようです。ゴツゴツした甲羅と、まるで恐竜のような尻尾。鋭い爪と大きな顎で、圧倒的な存在感を放ちます。
生息地や生息環境は?
カミツキガメは主にアメリカ合衆国の東部から中部にかけて分布しており、川・湖・沼・池などの淡水の環境を好みます。泥の多い底質を好み、浅瀬でじっと身を潜めて、餌を待っていることも多いです。
基本的には水中で生活しますが、産卵期になるとメスは陸に上がって巣を作ることもあります。水棲のカメでありながら、陸上でも難なく動き回ります。
日本にも定着している特定外来生物
カミツキガメは日本でも野生化しており、問題になっています。もともとはペットとして輸入されたものが、飼いきれなくなった飼主によって放流され、繁殖してしまったのです。一部の地域では在来生物への影響が懸念され、『特定外来生物』に指定されています。
カミツキガメは何を食べる?天敵はいるの?
カミツキガメは雑食性で、魚・カエル・水生昆虫、さらには水草なども食べます。ときには小型の哺乳類や鳥を捕食することもある、非常に貪欲な捕食者です。餌をとるのはあまり得意ではなく、一度捕らえた獲物を逃さないよう、くちばしのような口でガッチリと捕えます。
一方で、卵や幼体はアライグマ・カラス・ワニ・ヘビなどに狙われることがあります。成体になれば天敵はほとんどいません。
カミツキガメの特徴や生態

カミツキガメならではの特徴、生態を紹介します。ほかの水棲ガメとはまた違った特徴も多く、カミツキガメの魅力と言えるでしょう。
顎の力が強く、動きも素早い!
カミツキガメ最大の特徴といえば、その名の通り噛みつく力です。ザリガニや貝類など硬い餌も簡単に砕いて食べるほどです。木の枝も簡単にへし折るほどで、もしカミツキガメに噛まれると、大けがをする恐れがあるでしょう。
加えて意外にも動きが素早いのも特徴です。水中ではスイスイと泳ぎ、陸上でも短距離であれば驚くほどのスピードを出すことができます。見た目に反して、機敏な一面を持っているのです。
お腹の甲羅が小さく、手足を引っ込められない
カメといえば「危険を感じたら甲羅に引っ込む」というイメージが強いです。カミツキガメはお腹側の甲羅(腹甲)が小さく、手足や頭を完全に引っ込めることができません。そのため、防御よりも攻撃的な姿勢で外敵に対抗する性質があります。人間に対して積極的に攻撃してくることはありませんが、むやみに近づかないようにしましょう。
カミツキガメの生活サイクル
カミツキガメは夜行性で、昼間は水底の泥の中で静かに過ごし、夜になると餌を探して活動を始めます。ほかのカメのように、日光浴することはありません。
比較的耐寒性が強いですが地域によっては、冬になると水底で冬眠します。産卵期は春から初夏にかけてで、交尾をしたメスは陸に上がって穴を掘り、20〜40個の卵を産みます。孵化までは約2〜3ヶ月。産まれたばかりのカミツキガメはわずか数センチの大きさしかありません。
成体になるまでには3〜5年ほどかかるといわれています。
カミツキガメは飼育できるの?観察する方法は?

カミツキガメの魅力に迫るには、間近で観察するのが一番です。特定外来生物に指定されているカミツキガメを観察するには、どうしたらよいのか解説します。
法律で飼育が禁止されている
現在、日本ではカミツキガメの飼育は法律で禁止されています。前述のとおり、『特定外来生物』に指定されており、許可なく飼うことはできません。違反した場合は厳しい罰則が科されるため、残念ながらたとえ興味があっても自宅で飼育することはできないのです。もし捕まえても連れて帰ってはいけません。
カミツキガメは水族館・動物園で観察しよう
全国の水族館や動物園では、カミツキガメを展示している施設があります。ガラス越しにその迫力ある姿を間近で観察でき、カミツキガメの魅力にも気づけるでしょう。
展示施設ではカミツキガメの生態や特徴についてもパネルやガイドが設置されているところも多く、より深く学ぶことができます。
カミツキガメを展示している水族館・動物園
2025年4月現在、カミツキガメを展示している水族館を一部紹介します。
展示内容が変更されることもあるので、確実に観察したい場合は事前に問合せるとよいでしょう。
野外でカミツキガメを発見したときはどうしたらいい?
万が一、野外でカミツキガメを発見した場合はむやみに近づかないようにしましょう。間近で観察するチャンスですが、特定外来生物のため、自治体や環境省の窓口に連絡し指示を仰いでください。素手でふれたり捕まえたりするのは非常に危険です。地域によっては駆除活動を行っている場合もあります。
カミツキガメの魅力に迫ろう

怪獣のような風貌に強靭な顎、そして独特な生態をしたカミツキガメは、見る者を圧倒する魅力を持つ生き物です。その一方で、日本では特定外来生物として扱われており、飼育には厳しい制限がかかっています。
飼育はできませんが、水族館などで観察すればその力強さやたくましさ、存在感をしっかりと感じ取ることができるでしょう。知れば知るほど興味が湧いてくるのカミツキガメ。ぜひ一度、カミツキガメの魅力にふれてみませんか?
