- ニホンアマガエルの皮膚には弱い毒がある
- ニホンアマガエルは繁殖期や雨の日に鳴く
- ニホンアマガエルの飼育では、湿度管理が大切

雨上がりに「グワッ、グワッ」と大合唱しているかのように鳴き声を上げるニホンアマガエル。住宅街にも生息し、日本に住んでいると、一番身近に感じるカエルといえるでしょう。生き物に興味がない人でも、「見たことがある」「触ったことがある」という人も多いのではないでしょうか。
そんな身近なニホンアマガエルですが、観察したり、飼育したりするとさらにその魅力を知ることができます。身近な生き物だからこそ、知らないことも多いものです。
「ニホンアマガエルはどんなカエル?」「ニホンアマガエルは飼育できるの?」といった疑問を解決するために、このコラムではニホンアマガエルについて詳しく解説していきます。カエルに興味がある人はぜひ参考にしてください。
寿命・生息環境・餌などニホンアマガエルの基本情報

ニホンアマガエルはどんな大きさ?寿命は?
ニホンアマガエルの体長は約2.5cm〜4cmほどで、オスの方がやや小柄です。体色は黄緑色が基本ですが、環境に応じて茶色や灰色に変化します。吸盤状の指先を持ち、ガラス面や葉の表面にも張り付いて移動できます。
寿命は野生下では3〜5年です。天敵がいなく、気候の影響がない飼育下ではそれよりも長く生きることもあります。適切な管理を行えば、長く付き合っていけるでしょう。
生息地や生息環境はどんなところ?
ニホンアマガエルは北海道から九州までと、日本の広い範囲に生息しています。低地から低い山地の水辺に生息し、田んぼや湿地・池・用水路・小川などでよく見かけます。市街地の公園や庭先の植え込みなど、人の生活圏にも生息しており、一番身近なカエルと言えるでしょう。
水の中で生活しているようにも思えますが実際には樹上性で、水辺近くの草むらや樹木の上を好みます。夜行性で、昼間はじっとしていることが多く、夜になると活発に動き回ります。
ニホンアマガエルは何を食べる?天敵はいる?
ニホンアマガエルは肉食性で、主に昆虫やクモなど小さな生き物を食べます。捕食の際は獲物めがけて飛びつき、短い舌で捕まえます。口にはやすりのような小さな歯が並び、くわえた獲物を逃しにくい構造です。
ニホンアマガエルには多くの天敵が存在し、サギやカラスといった鳥類やヘビが好んで捕食します。また水中ではタガメやゲンゴロウなどの肉食性の水棲昆虫や、ナマズなどもにも捕食されます。
ニホンアマガエルの特徴

まるで忍者!?ニホンアマガエルの体色変化
ニホンアマガエルの特徴のひとつが、体色を変化させる能力です。基本は黄緑色ですが、周囲の環境に合わせて緑・茶色・灰色などに色を変えることができます。植物の上にいるときは緑色、木の幹や土の上では茶色や灰色といったように、周囲にカモフラージュをすることで外敵から身を守るのです。
カモフラージュすることで、獲物から気づかれずに捕食できるメリットもあります。この姿はまるで忍者のようで、過酷な自然界で生き抜くための優れた策といえます。
体色の変化は、皮膚の下にある色素細胞の働きによるものです。色素細胞には黒色素胞・黄色素胞・白色素胞などがあり、これらを調整することで体色が変わります。
ニホンアマガエルには毒がある!?
見た目が可愛らしいニホンアマガエルですが、実は弱い毒を持っています。皮膚から分泌されるペプチド毒と呼ばれるものです。この毒は外敵から身を守るためというよりも、カビや菌類から身を守るための抗菌剤としての役割をしています。
それほど強い毒ではないので、人間が触っても大きな被害はありません。しかし口や目など粘膜に付着すると痛みが生じたり、腫れたりする可能性があるので注意してください。肌の弱い人は、触っただけでもかゆみが出る可能性もあります。ニホンアマガエルを捕まえたり触ったりした後は、必ず手を洗うようにしましょう。
オスは繁殖期や雨の日に一斉に鳴く
ニホンアマガエルのオスは繁殖期になると「グワッ、グワッ」と鳴き声を上げてメスを引き寄せます。繁殖期は地域にもよりますが4~7月で、夜になるとオスたちが一斉に鳴き、まるで大合唱のようになります。その光景は、梅雨から夏の風物詩ともいえるほどです。
多くのカエルは繁殖期だけに鳴きますが、ニホンアマガエルは繁殖期以外にも、雨が降る前後に鳴くことが多いです。そのため『雨蛙』と名付けられたといわれています。
鳴く時は、喉にある鳴嚢(めいのう)と呼ばれる袋を震わせて鳴きます。鳴いている姿を観察すると、喉が大きく膨らんでいる姿が見られるでしょう。
ニホンアマガエルを野外で観察しよう

春から秋に田んぼとその周りを探してみよう
ニホンアマガエルを観察する場合、活発に活動する春から秋にかけてがおすすめです。日中は草の葉の裏や木の枝に隠れていることが多いですが、夕方や夜になると餌を探して活動を始めます。特に雨が降った後には、水辺や草むらにたくさんの個体が集まるので観察しやすいです。
ニホンアマガエルを探す際は、田んぼのあぜ道や周辺の草むら、低い木の葉の上を探してみましょう。体色を変えてカモフラージュしている個体もいるので、じっくりと目を凝らして探してみてください。
観察時のマナーは?生息環境を荒らさないようにしよう
ニホンアマガエルを野外で観察する際には、生息環境を守ることがとても大切です。彼らが暮らしている田んぼや湿地は、ほかにも多くの生き物が共存しています。観察するときは、むやみに自然を荒らさないように気をつけましょう。また田んぼは私有地なので、勝手に入ってはいけません。
観察が終わった後は、ゴミを持ち帰ることも大切なマナーです。ペットボトルやビニール袋などのゴミが落ちていると、生き物たちの生活に悪影響を与えることがあります。自分が持ち込んだものは必ず持ち帰りましょう。
ニホンアマガエルは飼えるの?

ニホンアマガエルは飼育可能!捕まえて飼ってみよう
ニホンアマガエルは、飼育しても問題ありません。身近な環境に生息していることから飼育しやすく、適切な環境を整えれば長期飼育可能です。
よくジャンプする習性があるため、高さのあるケースを用意しましょう。ケースの中には流木や観葉植物を設置し、カエルが隠れたり登ったりできる環境を整えるとストレスが軽減されます。
ニホンアマガエルは水辺を好むので、湿度の管理も重要です。ケージ内を乾燥させないように、毎日霧吹きして湿度を保ちましょう。エサは生きた昆虫が基本でコオロギ・バッタ・クモなどを与えます。ペットショップで手に入りますが、自分で捕まえることも可能なので、数種類を変えながら与えるとよいでしょう。
観察後や触った後は必ず手を洗おう
ニホンアマガエルを触ったり、観察したりした後は必ず手を洗うことが大切です。素手で触っても問題はありませんがそのままの手で目や傷口を触ると、痛みや炎症を引き起こす恐れがあるので注意しましょう。
触るときは手のひらで優しく包み込むようにします。指先で摘まむとカエルにとって大きなストレスになるので気を付けてください。
身近なニホンアマガエルの魅力に迫ろう

ニホンアマガエルは日本全国の水辺に生息するとても身近な生き物です。小さい体ながらも体色を変化させる能力を持っていたり、意外にも毒を持っていたりと興味深い特徴を持っています。
自然での観察や飼育をすることで、改めてニホンアマガエルの魅力に気が付くはずです。身近な環境にいる生き物ですので、まずは気軽に探してみてはいかがでしょうか。
