- コブラはアジアやアフリカ中心に熱帯~亜熱帯地方に生息する
- コブラの仲間は約150種類いて、日本にも生息する種類がいる
- 多くのコブラは神経毒をもち、死亡事故も多い

フードを広げ、威嚇する姿が印象的な『キングコブラ』。強力な毒を持ち、相手を威圧するその姿は、見る人に強烈な印象を与えます。その見た目や行動から恐れられることも多いですが、とても興味深い生態を持っています。
そして実は、コブラにはそれ以外にも驚くほど多様な種類があり、見た目や性格もさまざまです。この記事では、そんなコブラの仲間の特徴や種類、生態についてわかりやすく解説していきます。
生息環境・寿命などコブラの基本情報

コブラはコブラ科に属するヘビの総称です。まずはコブラの生息地や食性など、基本情報を紹介します。
コブラの生息地・生息環境はどんなところ?
世界にはおよそ150種類のコブラの仲間が知られています。『コブラ』とひとくくりにされることが多いですが、実際には種類によって姿形や生息環境は大きく異なります。
主な分布地域はアジアやアフリカを中心とした熱帯〜亜熱帯の温暖な地域です。東南アジアのジャングルに暮らす種もいれば、アフリカの乾燥したサバンナ地帯に生息する種もいます。人間の生活圏に入り込むこともあり、農耕地で噛まれる事故も珍しくありません。
コブラの大きさや寿命は?
種類にもよりますが、コブラの体長は1.5~3mが一般的です。最大種であるキングコブラは、時に5mを超えることもあります。寿命は野生では10年程度、飼育下では15年以上生きることもあると言われています。
コブラは肉食性!ほかのヘビや爬虫類を食べる
コブラの主なエサはカエル・トカゲ・ヘビ・小型哺乳類・鳥類と、肉食性です。動きは非常に素早く、俊敏なハンターとして知られています。獲物を捕らえると、強力な毒を使って麻痺させ、そのまま丸呑みにします。
コブラは猛毒!?毒の強さは?
コブラの最大の特徴はその強力な毒です。種類によって毒の成分や作用は異なりますが、多くのコブラは神経毒を持っており、獲物の神経を麻痺させて呼吸困難に陥らせます。
特に『キングコブラ』や『ブラックマンバ』などは非常に強力な毒を持ち、噛まれた場合には早急な医療処置が必要です。一方で、毒液を遠くに飛ばして攻撃する『スピッティングコブラ(毒を飛ばすコブラ)』といった変わった能力を持つ種類も存在します。
代表的なコブラの種類

コブラの仲間は、世界各地に約150種類が分布しています。キングコブラの名は広く知られていますが、それ以外にも魅力的な種は少なくありません。今回は、その中から5種を紹介します。
世界最大の毒蛇|キングコブラ

キングコブラは、その名のとおり『コブラの王』と称される存在で、体長は平均で3〜4m、大きな個体では5m近くにも達することがあります。これは毒蛇としては世界最大であり、その堂々とした姿には圧倒されます。
生息地はインドから東南アジアにかけての森林地帯です。繁殖期になるとメスが巣を作って卵を産み、孵化するまで警戒を続けるという、ヘビとしては珍しい子育て行動も見られます。
キングコブラの毒は神経毒で、量が非常に多く、ひと噛みで注入される毒の量は20人を致死させるほどです。とはいえ、キングコブラは基本的におとなしく、むやみに人間を襲うことはありません。
ヘビ使いで踊る|インドコブラ

インドコブラは、インドやパキスタンなどに広く分布しています。首元のフードに現れる『メガネ模様』が特徴で、ヘビ使いが奏でる笛に合わせて体を揺らすパフォーマンスで有名です。実際には音ではなく笛の動きに反応しているだけですが、その光景はとても神秘的です。
インドコブラの毒は神経毒で、噛まれると死に至ることが少なくありません。農耕地に生息するため、インド国内では毎年1万人以上が噛まれています。血清の開発により、以前より死亡率が下がりましたが、現地では危険なヘビとして恐れられています。
世界一危険な毒蛇|ブラックマンバ

ブラックマンバは、アフリカ大陸のサバンナや森林に生息するコブラの仲間です。平均2.5m、最大で4.5mにもなる細長い体型が特徴です。名前にブラックとありますが、実際の体色は灰色〜オリーブ色をしています。
ブラックマンバの恐ろしさはその速さと攻撃性、そして毒の強さにあります。動きが非常に素早く、しかも何度も噛みつくという攻撃的な性質なのです。
注入される神経毒はわずかな量でも致命的です。医療処置が遅れると、30分〜数時間で死に至るほどの毒性を持ち、『世界最強の毒蛇』と恐れられています。
実はコブラの仲間|エラブウミヘビ

エラブウミヘビは太平洋の暖かい海に広く生息しているウミヘビで、日本では沖縄の海で見られます。一見するとコブラとは無関係に思えるウミヘビですが、実はコブラ科に属しており、進化的にも非常に近い関係にあります。
毒性は非常に高いですが、基本的におとなしい性格をしており、人を襲うことはめったにありません。そのため、沖縄では伝統的に『イラブー』と呼ばれ、燻製などの食用としても利用されてきました。
日本に生息するコブラの仲間│ヒャン
ヒャンは沖縄本島や奄美大島に分布するコブラ科のヘビです。「コブラ=外国のヘビ」というイメージを持っている人も多いかもしれませんが、実は日本にもコブラ科の仲間が生息しているのです。体長は約1m前後で、夜行性のため、人前に姿を見せることはあまりありません。
ヒャンは非常に大人しく、口が小さいので、人間が噛まれる事故はほとんどおきません。毒性は非常に強く、同じ沖縄に生息するハブの4~5倍の強さを持っています。
コブラは飼育できる?観察したい場合はどうする?

危険な毒蛇であるコブラですが、近くで観察したいと思う人も少なくないでしょう。危険な毒蛇を一般家庭で飼育するわけにもいきません。どうすればコブラを観察できるか紹介します。
コブラは法律で飼育が禁止されている
日本では、コブラは『特定動物』に指定されており、原則として一般人が飼うことはできません。無許可での飼育は法律で禁止されており、違反すると罰則が科されます。猛毒を持つ生物である以上、安全のために当然の措置と言えるでしょう。
動物園で観察しよう
コブラを間近で観察したい場合は、動物園や爬虫類館がおすすめです。安全な環境で、その独特なフードや威嚇行動を見ることができます。施設によっては解説イベントなどに力を入れているところもあるため、ぜひ足を運んでみましょう。
コブラを展示している施設
2025年4月現在、コブラの仲間を展示しているのは以下の施設です。
- ジャパンスネークセンター(キングコブラ・シンリンコブラ・ブラックマンバなど)
- 体感型動物園 iZoo(キングコブラ・アカドクハキコブラ・ブラックマンバなど)
- かごしま水族館(エラブウミヘビ)
- 沖縄美ら海水族館(ヨウリンウミヘビ)
展示内容が変更されることもあるので、確実に観察したい場合は事前に問合せるとよいでしょう。
コブラは怖いだけじゃない!奥深い生態を知ろう

コブラはその鋭い眼光やフードを広げて威嚇する姿、そして強力な毒によって、昔から恐れられてきた生き物です。一方で、過酷な自然環境を生き抜くために、長い年月をかけて得た独特の生態は、自然界の神秘ともいえるでしょう。詳しく知れば知るほど奥深く、魅力的に映ってきます。
ただの「怖い毒蛇」ではないことに気が付くと、コブラへの見方が少し変わるかもしれません。ぜひ動物園などでその姿を観察して、コブラの魅力を探してみてください。