- 霊長類は見た目だけではなく、性質や習慣も異なる
- 人間と霊長類の大きな違いは『二足歩行』
- チンパンジーは『99%人間と同じ動物』である

サルは、人間にもっとも近い動物です。しかしサルと一言で言っても、さまざまな種が各地で生息していますよね。たとえばゴリラ・チンパンジー・オランウータン。大きさや見た目以外にも、霊長類には大きな違いが存在しています。
今回は、霊長類の定義や、代表的な霊長類をピックアップして紹介します。知能の高さや手先の器用さが特徴的な霊長類。彼らの驚くべきIQや人間との関わりを学びつつ、共生のかたちについて考えていきましょう。
そもそも『霊長類』の定義とは?

霊長類は、実は正式名称ではありません。正しくは『霊長目』であり、哺乳網に分類される目です(今回は便宜上『霊長類』と記載します)。別名を『サル目』とも呼び、一般的には『霊長類からヒトを除いた総称』を指します。
霊長類は、脳が小型で嗅覚が発達した『原猿類』と、脳が大型で視覚が発達した『真猿類』に大別されます。このうち『ヒト』は真猿類の一種です。現存する霊長類は、約200種類程度と記録されています。
霊長類の最古の化石が発見された時期は、白亜紀末期。つまり人類を含む霊長類の歴史は、約6,500万年前に始まったと予測されています。
代表的な霊長類6選|違いや特徴を徹底解説!
ここでは、代表的な霊長類を紹介します。今回紹介するのは、以下の6種類です。
- ゴリラ
- チンパンジー
- オランウータン
- マンドリル
- ニホンザル
- マントヒヒ
それぞれの特徴を見比べつつ、霊長類への理解を深め、人間や多種との違いを学んでみましょう。
※記載する寿命は野生下の目安です。飼育下では大幅に寿命が伸びる場合もあります。
ゴリラ|世界最大&最強の霊長類

- 大きさ……約80~180kg
- 寿命……約35~40年
- 生息地……おもにアフリカ中部・南部
ゴリラは現存する最大の霊長類です。身長は2m近くに及ぶこともあり、両腕を広げた幅は2.5mを超えます。おもに熱帯林に生息しており、草食性の大型猿人類です。筋力も高く、最強の霊長類として知られています。
大型な見た目に反して性格は穏やか。平和主義者で争いを好みません。鉄の棒を曲げられるほどの強いパワーは、自分や群れを危険から守るために使われます。胸を叩くドラミングは、あくまで威嚇行動。無駄な争いを避けるためにおこなう習性です。
チンパンジー|人間にもっとも近い動物

- 大きさ……約32~60kg
- 寿命……約30~40年
- 生息地……おもにアフリカ大陸の赤道付近
チンパンジーは、人間にもっとも遺伝子が似ている動物です。ヒトとチンパンジーのDNAの違いは、約1%。つまりチンパンジーは約99%が『ヒト』なのです。普段は熱帯雨林やサバンナなどに生息しており、最大100匹程度の群れで暮らしています。
群れ同士は非常に不仲であり、異なる群れと遭遇すると殺し合いに発展することも珍しくありません。また木の葉を使って水を飲んだり、石を使って果実の殻を割ったりなど、高い知能で道具を使いこなします。訓練によっては簡単な言語を習得でき、記号・単語・短文などを作成することも可能です。
オランウータン|器用な腕で生活する森の住人

- 大きさ……約37~75kg
- 寿命……約50~60年
- 生息地……東南アジアのスマトラ島とボルネオ島
オランウータンは、東南アジアの2つの島のみに生息する霊長類です。樹木の上で生活する哺乳類のなかでは最大の体躯を持ち、大きな体に見合わぬ軽やかな動きで枝から枝へと移動します。人間が足で地面を歩く生き物なら、オランウータンは腕で樹上を歩く生き物といえるでしょう。
基本的には草食性で、豊富な種類の果実や植物を食べます。集団行動はせず、ほかの個体との距離感を保ちながら単独で暮らしています。
ほかの霊長類と同様に知能が高く、さまざまな道具を使い狩りや寝床づくりをすることも。絶滅が危惧されており、複数の団体が野生個体の生存のため活動しています。
マンドリル|赤と青の模様が特徴的なサル

- 大きさ……約11~30kg
- 寿命……約15~25年
- 生息地……おもにアフリカ大陸
マンドリルは、青と赤の皮膚が特徴的な大型の霊長類です。熱帯雨林で生活しており、ほとんどの時間を日中の地上で過ごします。メスを中心とした数百匹にもなる大規模な群れで生活しており、オスの多くは単独行動です。
顔にカラフルな模様があるのは、すべてがオスの個体。強いオスであるほど、模様や被毛の色も鮮やかな傾向にあります。オスは繁殖期になると一時的に群れに合流し、一時的に模様の色がさらに濃く美しくなります。
ニホンザル|日本だけに生息する身近な霊長類

- 大きさ……約6~18kg
- 寿命……約20~25年
- 生息地……日本の本州・四国・九州
ニホンザルは、日本の固有種の霊長類。日本各地に生息していますが、暮らす場所によって被毛のタイプが異なります。寒冷地では長く密な被毛に覆われており、温暖地では短く薄い被毛が特徴です。
さまざまな創作物や慣用句などにも登場しており、日本人にとってもっとも身近なサルといえるでしょう。
食性はおもに植物性。小型の脊椎動物(カエルやトカゲなど)や昆虫なども捕食します。数匹~数十匹の群れで生活しており、メスは生まれた群れで一生を終え、オスは群れを離れ別の群れに入ることも。
群れは仲間意識に支えられた集団であり、死亡した仲間に対しては追悼のような仕草を見せる場合もあります。
マントヒヒ|神様の遣いとして崇められた歴史を持つ

- 大きさ……約10~30kg
- 寿命……約25~35年
- 生息地……おもにアラビア半島・アフリカ大陸北東部
マントヒヒは、草原や岩場に生息する霊長類です。昼は、1匹のオスと複数匹のメス・子どもからなる小さな群れで生活しています。夜になると100匹以上の大規模な群れを形成し、崖の上などで休みます。
コミュニケーション能力が高く、かつてのエジプトでは『神々の遣い』として崇められた歴史も。壁にマントヒヒの姿が描かれた寺院も発見されています。
群れのなかでは善悪の判断に基づいた行動をしていることがわかっていますが、チンパンジーと比べると知能に関する研究はまだ少ないようです。
ヒトとサルの違いは?高い知能を持つようになった理由

同じ霊長類であるヒトとサル。両者には、具体的にどのような違いがあるのでしょうか?ここでは、ヒトとサルの明確な違いについて解説します。
もっとも大きな違いは『二足歩行』
ヒトとサルを大きく区別する要素が、二足歩行です。人類は700万年前には二足歩行をしていたことが、化石の分析からわかっています。直立の二足歩行によって激変したのは、重力への負担の減少です。
大きく重い脳を支えるための力が節約されたことで、余ったリソースを『肉体の維持』ではなく『思考』に使えるようになりました。また上体を自由に動かせるようになり、道具の利用や運動性が向上した結果、知能も高まっていったと考えられています。
人間の知能は、環境への適応の賜物
人間の知能は、環境の変化によってさらに高まっていきました。知識を高めるためには、獲得した知識を新しい状況で活用する機会が必要です。激しく変化し続ける気候のなかで、ヒトは生きるために狩りをしなければなりません。
約250万年前から160万年前には、すでに石器文化が発達しており、生活のために必要な道具を自作していたことがわかっています。環境への適応や道具の使用、社会的な行動の変化など、複数の要素が影響した結果として、ヒトの知能が発達していきました。
人間ならではの文化的様式は約3万年前から誕生
サルとの違いであげられるのが、文化的な様式です。二足歩行により知能を得たヒトは、約8万年~3万年前頃を皮切りに、音楽・装飾・葬儀などの現代的な行動を身につけたといわれています。約3万6000年前の発掘品として、世界最古の音楽楽器も発見されています。
現在も人間は進化の途中にある
実はヒトは、生物学的にはほとんど進化しておらず、約30万年前のホモ・サピエンスと比べて大差はありません。
しかし文化や社会は大きく変化し続けています。ヒトとサルを分けたのは、生息・生活する環境の違いです。現在もヒトは進化の過程にあり、変わり続ける環境への適応を続けています。
霊長類の種類を知るほど、ヒトとの共通点も見えてくる!

今回は、霊長類の種類や、人間との違いを紹介しました。
人間と霊長類は、遺伝子上はほぼ同じ存在です。種類ごとの特徴や知能を分けたのは、あくまで環境に他なりません。霊長類たちを観測すると、生息地ごとに適した習性や特性を持っていることがわかります。
ぜひこの機会に、ヒトとサルとのつながりについて調べてみましょう。今後の環境や社会の変化によっては、ヒトが再びサルのような生き物に進化する可能性もあります。そのときに私たちは、霊長類と肩を並べて暮らしているのかもしれません。




