日本固有のニホンイシガメの特徴や生態について解説

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まとめ
  • ニホンイシガメは日本固有の水棲ガメ
  • 生息環境の破壊や、外来種との交雑により絶滅の危機に瀕している
  • ニホンイシガメの飼育では、長期飼育できる環境づくりが大切

日本固有のカメであるニホンイシガメは、かつては田んぼや小川でよく見かける存在でした。近年は土地開発を含むさまざまな要因により生息数が減少しています。そんなニホンイシガメは、美しい甲羅をしていてペットとしても人気です。つぶらな瞳は可愛らしく、とても魅力があります。

このコラムでは、「ニホンイシガメはどんな生き物?」「ニホンイシガメは飼育できるの?」といった疑問を解決するために、生態や観察、飼育のポイントについて詳しく解説します。カメや爬虫類に興味がある人はぜひ参考にしてください。

目次

大きさ・寿命などニホンイシガメの基本情報

ニホンイシガメの大きさは?寿命は?

ニホンイシガメはイシガメ科イシガメ属に分類される水棲のカメです。成体はオスが約15cm、メスが約23cmまで成長します。メスのほうがオスよりも大きくなるのが特徴です。甲羅の色は幼体のうちは鮮やかな黄色や橙色を帯びることがありますが、成長するにつれて暗褐色や黒色に変化します。

寿命は比較的長く野生では20〜30年、飼育下で適切な環境が整えば40年以上生きることもあります。カメの中でも長寿な部類に入り、上手に飼育すれば長く付き合うことができる生き物です。

生息地や生息環境はどんなところ?

ニホンイシガメは、本州から九州にかけての河川や湖沼、田んぼなどの淡水域に生息します。河川の中でも流れの穏やかな場所や止水域を好み、日光浴ができる岩場や流木などが近くにある環境が適しています。

近年では都市開発や河川の護岸工事によって生息環境が大きく変化し、野生のニホンイシガメを見かける機会は少なくなっています。

土地開発以外にもペットとしての乱獲や、外来種であるミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)との競合なども個体数減少の原因となっています。その結果、環境省によって準絶滅危惧種に指定され、東京・千葉・神奈川県ではより深刻な状態です。

ニホンイシガメの生態:食性や繁殖行動など

ニホンイシガメは何を食べる?天敵はいるの?

ニホンイシガメは雑食性です。小魚・エビ・昆虫・カタツムリ・ミミズなどの動物性のエサを中心に、水草や果実などの植物質のエサも食べます。幼体のころは動物性のエサを多く食べますが、成長すると植物質の割合が増える傾向があります。

ニホンイシガメの天敵は、カラス・イタチ・アライグマ・ヘビなどです。特に小さな幼体は捕食されやすく、ナマズやライギョなどの魚にも狙われることもあります。近年は外来生物であるアライグマの増加によって、捕食圧が高くなっているのが問題です。

昼行性で、寒い時期は冬眠する

ニホンイシガメは昼行性で日中に活発に活動します。変温動物であり、晴れた日には石の上や護岸で日光浴をして体温をあげている姿をよく見かけます。日光浴をするのは体温を上げるだけでなく、紫外線を浴びることでカルシウムの代謝を助けるためです。

冬になって気温が低下し、水温が10℃以下になると、川底や池の泥の中に潜って冬眠します。普段は肺呼吸のために水面に顔を出しますが、冬眠中はほとんど動きません。代謝を極力抑えることによって、皮膚から入り込むわずかな酸素で呼吸しているのです。

冬眠後に繁殖行動開始する

春になり冬眠から目覚めると繁殖期を迎えます。オスはメスの後を追いかけて求愛行動を行い、交尾が成功するとメスは砂地や土の中に卵を産みます。

産卵は5〜7月ごろです。1回に4〜12個の卵を産み、卵は約70日で孵化します。孵化したばかりの個体はわずか2〜3cmです。鮮やかな黄色や橙色をしていて小判に見えることから、「ゼニガメ」と呼ばれることもあります。

実は3種類?日本に生息するイシガメの仲間

生息数が減っているニホンイシガメ

ニホンイシガメは日本固有種であり、かつては単に『イシガメ』と呼ばれていました。近年ではヤエヤマイシガメやペットとして流通する外国産のイシガメ類と区別するために『ニホンイシガメ』と呼ばれています。

ニホンイシガメの特徴として、甲羅の後ろ端がギザギザとのこぎり状になっている点。甲羅にキールと呼ばれる3本の隆起が見られる点があげられます。

八重山諸島に生息するヤエヤマイシガメ

ヤエヤマイシガメは名前の通り、石垣島などの八重山諸島に生息するイシガメです。マングローブや湿地帯を好み、ニホンイシガメとは違い夜行性です。八重山諸島では土地開発などの影響で、生息数を減らしています。その一方で沖縄本島や八重山諸島以外の離島、そして千葉県で定着が確認されており問題となっています。

ニホンイシガメと比べて、甲羅が厚くて丸みを帯びています。うっすらと縞模様が入るのも特徴です。

中国大陸からやってきたミナミイシガメ

ミナミイシガメは中国大陸や台湾などに生息するイシガメの仲間です。ペットとして輸入されたものが逃げ出し、環境の似ている日本各地で確認されています。特に関西地方や千葉県では定着しており、問題となっています。

ヤエヤマイシガメと同様に、ニホンイシガメと比べて甲羅が厚くて丸みを帯び、縁が滑らかなことで見分けられます。

外来種との交雑が問題に

ニホンイシガメは同じイシガメ属のミナミイシガメやヤエヤマイシガメ、クサガメと交雑しやすく、自然下でも交雑個体が多く確認されています。土地開発などによる単純な個体数の減少に加えて、交雑個体が増えることで純粋なニホンイシガメが減ることが問題です。

ニホンイシガメの個体数を回復させるには、豊かな自然環境を回復させるとともに、外来種を駆除する必要もあります。特に外来種を根絶させるのは現実的ではなく、難しい問題と言えるでしょう。

ニホンイシガメの観察や飼育について

日光浴している個体を探そう!

ニホンイシガメを観察したい場合は、冬眠の時期ではない春から秋にかけて探しましょう。石の上などで日光浴している個体を探すのがコツです。

特に午前中の早い時間では体温が上がりきっていないので、日光浴をしている確率が高いです。一度日光浴をしている場所を見つければ、万が一水中に逃げてもまた戻ってくる可能性が高いのでしばらく待ってみましょう。

野生の個体は音や振動に非常に敏感です。ニホンイシガメが好みそうな場所を見つけたら、遠目から探しましょう。

ニホンイシガメは飼育可能!適切な環境を整えよう

準絶滅危惧種のニホンイシガメですが、飼育することは問題ありません。ブリーダーによって繁殖された個体が、3,00円~5,000円で販売されています。飼育をしたい場合は野外で採集するのではなく、お店で購入しましょう。

ニホンイシガメは長寿な生き物ですので、最後まで飼育できるのかをしっかりと考えた上で飼育を始めましょう。

幼体のうちは小さなケージでも飼育できますが、成長とともに広いケージが必要です。最低でも90cm以上の水槽か、屋外での飼育が望ましいです。日光浴を好むのでバスキングライトやUVライトも設置し、しっかりと環境を整えてください。

いずれにしても、飼育が出来なくなったからと言って野外に逃がすのは絶対にやめましょう。どうしても飼いきれなくなった場合は、お店や保護団体に相談しましょう。そうならないためにも飼育を始める前にしっかりと検討することが大切です。

ニホンイシガメの魅力に迫ろう

かつては日本各地の水辺で観察できたニホンイシガメ。派手さはないものの、美しい甲羅とつぶらな瞳が魅力的な生き物です。近年は、観察できる機会も減ってきましたが、豊かな自然が残っているエリアに行けば野生個体も観察できます。

自然での観察や飼育をすることで、改めてニホンイシガメの魅力に気づけるでしょう。同時に魅力的なニホンイシガメが元気に暮らせる自然について考えてみてください。

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のべじ

のべじ

元水族館職員の生き物好きライター。ダイビングガイド、農家などの経験を活かし生き物、自然、家庭菜園、料理など、さまざまな分野でライティングしています。

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